ベルリンフィルのデジタルコンサートを何時も見ていますが、毎回、木管群の巧さに感嘆しています。勿論、金管も全く安定していて、安心して聴いていられます。木管楽器はソロのパートが多く、オーボエとフルート、クラリネットとファゴットの掛け合いなどは、素晴らしくいつもうっとりとして聴いています。何よりも凄いのは、音色が曲調にあわせて千差万別に変化することです。日本のオーケストラだと、フルートはフルートの音色、クラリネットも竹がなるような一辺倒の音が残念ながら多いのですが、楽器の音色が変幻自在に変わっていく演奏には、何時も驚かせられます。
そのベルリンのクラリネット奏者が、二年前から若い人に変わりました。調べるとオッテンザマーといいます。ん?オッテンザマー?そういえばウィーンフィルの首席もオッテンザマーですね。そう、ウィーンフィルには、父エルンストと兄ダニエルが両方とも首席のクラリネット奏者です。そして、弟のアンドレアスはなんと若干22歳でベルリンフィルの首席になったのです。驚きのファミリーですね。ベルリンフィルの演奏では、何時もアンドレアスの柔らかなサウンドを聴くことが出来ます。音がまろやかなのです。
その、アンドレアス・オッテンザマーの演奏会が、昨日、武蔵野市民文化会館小ホールで行われました。武蔵野市民文化会館はユニークな企画で知られています。実力派の演奏家を独自に呼び、好評を博しています。時に会員サービスで破格の入場料1000円で行ったりします。人気のある演奏会は予約開始からすぐに売り切れてしまいます。今回のクラリネット演奏会も、その1000円(通常は1500円)のコンサートでした。2月のコジュヒンの演奏会もそうでした。どうして、こんな企画が出来るのか、担当者にそれとなく聞くと、先物買いではなく、どちらかというと後物買いだと言うことです。要するに、他の企画への相乗りと言うことなのでしょうか?今回は、初めてのCDのプロモーションを兼ねていたのでしょう。我々としたら経過はどうでも、この演奏の質と価格の安さを満悦できればいいのですから。
その意味で、友人のSeiboさん風に言えば、私の中でももっともコストパフォーマンスの高い演奏会になりました。二番目が、オペラシティで聴いたコジュヒンですね。武蔵野で聴けば一番だったでしょう。
演奏曲目は、
チマローザ: 協奏曲
ウェーバー: コンチェルティーノop.26
バーンスタイン: クラリネットとピアノのためのソナタ
休憩
シューマン: 幻想小曲集 op.73
ビーチ: 子守歌
シュポア: 幻想曲とダンツィの主題による幻想曲 op.81
ドビュッシー: 亜麻色の髪の乙女
ガーシュイン:3つの前奏曲より
Ⅰ.Allegro ben ritmato e deciso
アレック・テンプルトン:ポケット・サイズ・ソナタ第1番より
Ⅰ.Improvisation
Ⅲ.In Rhythm
アンコールは
プーランク:クラリネット・ソナタより第3楽章
モンティ:チャルダッシュ
フォーレ:組曲「ドリー」より子守唄
すべて絶品です。シューマンとドビュッシーには驚きました。何しろご本人が楽しい曲しか吹かない感じが伝わってきます。音が柔らかい。しなやかで、早いパッセージもスローな曲も、納得の演奏です。オーボエの様に旋律が流れていきます。最後の音が消えるところなど、心憎い口の離し方です。音程の安定と音色の自在さ。クラリネットがなっているとは思えないほどしなやかな演奏なのです。
アンコールの一番最後の子守歌は、クラリネットではなく、ピアノの連弾でした。アンドレアスはクラリネットだけでは無く、チェロやピアノのコンクールでも優勝をしています。音楽ばかりではなくハーバードに在学中にベルリンフィルの首席になったほどです。才能が溢れているのですね。
柔らかで気の遠くなるような、洗練された演奏に、コンセルトヘボウで聴く響きが重なりました。ベルリンやアムステルダムで聴ける、天国にも登るようなまろやかな演奏です。その柔らかい響きが日本の演奏者からなかなか聞こえないのは何故かと考えますね。音色の認識と演奏にかける意気込みが違うような気がします。エマニュエル・パユの時よりも柔らかさと優しさを感じました。
ピアノの共演は、菊池洋子さんでした。難しいパッセージを楽々と引きこなす技術には驚きましたが、アンドレアスと共に溶けていく演奏がいま少し出来たなら完全だと思いました。最後のピアノ連弾でその音楽への姿勢の差がよく現れていたと思います。リズムが少し遅れず音の切れ味がいますこし有れば完璧でした。一流と超一流の差なのかもしれません。決勝に残れるのと、金メダルを取る差です。でも、良いコンビでしたよ。なにしろ、大満足です。
そのベルリンのクラリネット奏者が、二年前から若い人に変わりました。調べるとオッテンザマーといいます。ん?オッテンザマー?そういえばウィーンフィルの首席もオッテンザマーですね。そう、ウィーンフィルには、父エルンストと兄ダニエルが両方とも首席のクラリネット奏者です。そして、弟のアンドレアスはなんと若干22歳でベルリンフィルの首席になったのです。驚きのファミリーですね。ベルリンフィルの演奏では、何時もアンドレアスの柔らかなサウンドを聴くことが出来ます。音がまろやかなのです。
その、アンドレアス・オッテンザマーの演奏会が、昨日、武蔵野市民文化会館小ホールで行われました。武蔵野市民文化会館はユニークな企画で知られています。実力派の演奏家を独自に呼び、好評を博しています。時に会員サービスで破格の入場料1000円で行ったりします。人気のある演奏会は予約開始からすぐに売り切れてしまいます。今回のクラリネット演奏会も、その1000円(通常は1500円)のコンサートでした。2月のコジュヒンの演奏会もそうでした。どうして、こんな企画が出来るのか、担当者にそれとなく聞くと、先物買いではなく、どちらかというと後物買いだと言うことです。要するに、他の企画への相乗りと言うことなのでしょうか?今回は、初めてのCDのプロモーションを兼ねていたのでしょう。我々としたら経過はどうでも、この演奏の質と価格の安さを満悦できればいいのですから。
その意味で、友人のSeiboさん風に言えば、私の中でももっともコストパフォーマンスの高い演奏会になりました。二番目が、オペラシティで聴いたコジュヒンですね。武蔵野で聴けば一番だったでしょう。
演奏曲目は、
チマローザ: 協奏曲
ウェーバー: コンチェルティーノop.26
バーンスタイン: クラリネットとピアノのためのソナタ
休憩
シューマン: 幻想小曲集 op.73
ビーチ: 子守歌
シュポア: 幻想曲とダンツィの主題による幻想曲 op.81
ドビュッシー: 亜麻色の髪の乙女
ガーシュイン:3つの前奏曲より
Ⅰ.Allegro ben ritmato e deciso
アレック・テンプルトン:ポケット・サイズ・ソナタ第1番より
Ⅰ.Improvisation
Ⅲ.In Rhythm
アンコールは
プーランク:クラリネット・ソナタより第3楽章
モンティ:チャルダッシュ
フォーレ:組曲「ドリー」より子守唄
すべて絶品です。シューマンとドビュッシーには驚きました。何しろご本人が楽しい曲しか吹かない感じが伝わってきます。音が柔らかい。しなやかで、早いパッセージもスローな曲も、納得の演奏です。オーボエの様に旋律が流れていきます。最後の音が消えるところなど、心憎い口の離し方です。音程の安定と音色の自在さ。クラリネットがなっているとは思えないほどしなやかな演奏なのです。
アンコールの一番最後の子守歌は、クラリネットではなく、ピアノの連弾でした。アンドレアスはクラリネットだけでは無く、チェロやピアノのコンクールでも優勝をしています。音楽ばかりではなくハーバードに在学中にベルリンフィルの首席になったほどです。才能が溢れているのですね。
柔らかで気の遠くなるような、洗練された演奏に、コンセルトヘボウで聴く響きが重なりました。ベルリンやアムステルダムで聴ける、天国にも登るようなまろやかな演奏です。その柔らかい響きが日本の演奏者からなかなか聞こえないのは何故かと考えますね。音色の認識と演奏にかける意気込みが違うような気がします。エマニュエル・パユの時よりも柔らかさと優しさを感じました。
ピアノの共演は、菊池洋子さんでした。難しいパッセージを楽々と引きこなす技術には驚きましたが、アンドレアスと共に溶けていく演奏がいま少し出来たなら完全だと思いました。最後のピアノ連弾でその音楽への姿勢の差がよく現れていたと思います。リズムが少し遅れず音の切れ味がいますこし有れば完璧でした。一流と超一流の差なのかもしれません。決勝に残れるのと、金メダルを取る差です。でも、良いコンビでしたよ。なにしろ、大満足です。