昨晩、改良しましたDACをお届けし、GRF邸の定点観測を行わせて頂きました。
まずは、ユニコーンに繋がれたMola Molaプリアンプによるデジタル再生を聴きました。当方のDACが外出していましたので、その間の出動です。本来Mola Molaはアナログレコード再生の為に導入されていますので、ここでは代打出場なのですが、このプリのデジタル入力も本当に凄いです。
デジタルらしい再生音ですが、その高次元のSN、音のち密さ、回路の独創性、どれをとってもデジタル再生の最先端です。そして低音過多と思われるくらい強く、濃い音色です。ユニコーンがブリブリとなるのですが、当然これはプリだけの性能ではなく、パワーアンプ、そしてスピーカーセッティングの妙が解け合った結果ではあります。
感想は、とのGRFさんの問いに「凄い音ですが、デジタルらしさは明らかにありますね」と無謀にも暴言を吐いてしまいました。(すみません)
しかしGRFさんはその辺をすべて理解しておられ、「技術的には最先端だけど、EMMの再生音の方が柔らかくて自然だ」と仰って頂き、胸をなで下ろしました(笑)
この状況で、トラバ80+ウーハーのある部屋に移動したEMMのDACや、またあまりにも強力な伏兵であるMola Molaを相手に、当方のDACが無謀にも挑戦している状況はあまりにも過酷です(涙)
でも怯んでいる訳にもいきませんので、ユニコーンに繋がれていたMola Molaを外し、自作DACをセッティング。おそるおそる出音を開始しました。
落ち着いて音色を確かめ、たぶん大丈夫だろうと思いながらも、GRFさんの顔色を拝見。眉間のしわがよることはなく、「柔らかくて良い音だ」と及第点を頂きました。
以前より、「少しやかましい感じが抜けない」とのコメントと共に、その点を重点的に調整してきましたが、種々の対策の結果、やっと、この状況から抜け出せたようです。
結局デジタル部の電源ノイズに起因する部分が問題で、今までも定評のある回路と素子を使ったフルディスクリート電源でしたが、今回は現在最高峰の素子を使った回路に置き換えた結果、この「少しやかましい感じ」が完全に消え、柔らかい音が出るようになりました。いやいや、良かった!
最後に、今までの定位置であるサウンドパーツ製プリに戻すと、一気にかつての音に戻りました。DACもやっとGRF邸機器の仲間として認められた感じで、生き生きと音を出しておりました。
ユニコーン側が落ち着いたので、まさに定点観測ですが、現状のトラバ80+ウーハーに移動し、その出音を聴かせて頂きました。やはりある意味究極の再生音で、本当に何をかけても楽しく、たとえ音源がイマイチであっても、楽しく聴けてしまうのではないかと思います。
あらゆる楽器の奥行き感が出て、三次元に動く楽器と演奏者、そしてその出音の動きが見えるようです。それでいて一つの再生芸術としてそれぞれが溶け込み、名だたるマエストロが振ったオーケストラが目の前で具現化されていることに本当に驚きます。
また音色自体も素晴らしく、たとえコンソールで弄られ、作られた音のJAZZなんかも平面的ながらその音色の素晴らしさに酔うことが出来るので、もう「どのジャンルでも持ってこい!」です。
もちろん、スピーカーだけではなく、プリやパワー、その他の機器やケーブルも吟味に吟味を重ねた結果ですし、そもそも部屋とセッティング力が無ければこの音は出ないでしょう。
無い物ねだりをするとすれば、「もっと一般的な小さな部屋でもこんな音が出ないのか?」といったこと位でしょうか(笑)
今までいろいろな機器を定点観測と称して聴かせて頂きましたが、一言で感想を申し上げると「雲上の平原」ですね。飛行機が離陸して高度を上げ、雲の上に到達した際の、雲海が広がっている感じでしょうか?下界の雑踏から離れ、高次元のSNと共に無限の空間にいるかのように感じる、あのイメージが頭に残ります。映画ではそのまま昇天、ということですが、そういう意味ではありませんので悪しからず(笑)。
この音のイメージで、我が家の音も更に高めたいと思います。何せ、聴いたことの無い音を具現化することは出来ませんから(爆)
O
Oさんが作られたDACを和室に導入したのは、去年のまだ暑い頃でした。音量の調整やクロックの有無、シフト再生法、音量の調整、デジタルの入力方法の違い等の音の違いを聞き比べてきたのですが、最終的に音量を小さくすることと、emmやMolaMolaの最高級機と比べると、やはり全体に少しザワザワしている感じがしていました。特に、emmの新しいDA2の恐ろしいほどの静けさと比べると、まだやり残したことが見えてきたということで、改造を施すために、一度持って帰られたのが、11月の中頃でした。そして12月に今一度聞き比べをしたあと、今一度持って帰られました。それから、また抜本的な改造を施されて持参されたのです。早速聞いてみました。
とても静かになりました。柔らかく、アナログ的なサウンドが広がります。一番の差は、S/N比の良さですね。MolaMolaの驚異的な静けさに迫ってきました。どのように変わったのか、今回はOさんに説明していただきました。
DAC概要
ESSの最高峰DACチップ、ESS9018をLRそれぞれ各1チップ使用。SRC(サンプルレートコンバーター)AK4137EQによるPCM・DSDへの相互アップサンプリング可能。USB入力回路搭載。アナログ回路は表面を漆加工したファインメットトランス(2.5K:10K)を使ったトランス出力。ワードクロック入力・マスタークロック入力可能。デジタル入力は、デジタル同軸(アンバランス)、AES/EBU、オプティカル、USB、EXT(HDMI)の5系統に対応。
電源は、合計10系統、それぞれ独立した巻き線のトロイダルトランスを使用。デジタル入力回路、DAC部は以前の定評があったパーツによるフルディスクリート電源から、最新型の超低ノイズレギュレーターに変更し、異次元の高SN、低ジッター化を図る。
1.デジタル入力基板
デジタル入力チップは旭化成AK4113を使用。同じく旭化成のSRCチップAK3147EQを使い、PCMは88.2KHz、もしくは176.4MHzにアップサンプリング。DSDは11.2MHzにアップサンプリング。低位相ノイズの高品位内部クロックを、独立したトランスを使い、最新型の超低ノイズレギュレーターの安定化した電源で駆動、低ジッター化を実現。
2.DAC基板
ESS9018をLRそれぞれ1チップ使用(合計2枚)、再生はPCM、DSDに加え、シフト処理をしたDSD入力(S-DSD)に対応。電源部はデジタル部、アナログ部それぞれLRごとに分けて独立したトランスから給電。最新型の超低ノイズレギュレーターで安定化して電源を供給。
3.アナログ出力段
表面を漆加工したファインメットトランス(2.5K:10K)を使ったトランス出力。パッシブで出力すると、低域のドライブ力が不足するため、MOSFETを使ったバッファーでファインメットトランスをパワードライブする。バランス・アンバランス出力対応。MOSFET回路への給電は、LRそれぞれを別電源トランスからSiCショットキーダイオードを使用して整流、約70,000uFもの大容量のコンデンサで平滑化、その後ディスクリート回路で安定化してMOSFET回路に供給。
4.USB入力
USBを使ったPCオーディオに対応。USB Audio Class 2対応のCombo384基板を使い(http://www.tec-sol.com/products/elec/amanero/index.php)、32bit I2SまたはDSD入力が可能。PCMファイルは44.1~384kHzに対応。DSDファイルは128(5.64MHz)まで対応(WindowsではASIOドライバー使用でDSD512(22.58MHz)まで対応可) 2017.1.25
これでおわかりになったでしょうか?最近のDAコンバーターは相当な進歩があったと言うことですね。しかし、電源のノイズが一番音に悪影響を与えていたようです。そのノイズを徹底的に排除することによって、アナログと同じ柔らかで、落ち着いた音を実現しました。当初は、Mola Molaをプリにして鳴らしていましたが、最後はいつもの真空管プリに戻して安心しました。
下のCelloもどきのケースにはいっているのは、10個のトランスを使った大型の電源部。上のゴールドムンドもどきのケースに入っているのが、DAC部です。ケースは両方とも、中国から数千円で仕入れました。あくまでももどきですよ(爆)。
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一夜明けて、今日も聴いています。昨日より一層落ち着いた音になりました。和室は、これで安泰です。不思議な事に、低音がもりもりと出て来ました。音は冬空のようにきれいに抜けて、そしてこの厚みある低音ですから大満足です。Oさんにも、今一度聴いていただき安心して貰いたいですね。良い音で作っていただきありがとうございました。