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掃除のやり過ぎは・・・

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いつも楽しいBosscatさんのブログを見ていたら、久しぶりに真空管のピン掃除の事が書いて有りました。接点クリーニングですね。使用している環境にもよりますので、一概に言えないのですが、何年も放置しておけば、やはり接点の清掃は必要になります。プリアンプの真空管のソケットは3年ぐらい触っていません。しかし、外してみるときれいなものです。
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念のため、洗浄用のアルカリ水を使ってピンの表面を洗ってみました。それから綿棒で表面をこすって磨きます。綿棒が少しだけ黒くなりました。表面の酸化したところが磨かれたのでしょう。丁寧にこすっていくとぴかぴかになりました。
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どのような音の効果があるのか、早速聞いてみました。

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きれいには鳴っているのですが、音の深みがなくなったようです。磨きすぎたのでしょうか?それともアルカリ水が、酸化していた表面を中和して接触容量が変わったのでしょうか?音がクリアすぎて少し困惑です。一方、パワーアンプの初段管は12AT7です。こちらはまだ一年ですし、それほど汚れていませんでした。で、アルカリ水を使わずに、磨くだけにしました。さほど音の変化はありません。そのほかのソケットも点検して磨いておきましたが、汚れてはいなかったので音の変化はありませんでした。

入力のRCAピンやXLRのピンも磨きました。こちらも結構抜き差しているので、それほどの汚れはなかったです。プリアンプの方は自然放置して、音が戻ってくるのを待つしかありません。

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そこで、DACの音をテストするので、レコード用にEQを使っているMolaMolaを持ってきて繋ぎました。さすがに最低音まで広がり、SPの間隔が変わったように聞こえます。これは新次元の音ですが、隣の部屋からいつも移動するわけにはいきません。理想は、アナログ再生用とデジタル用に用とを分けて、二台有れば理想なのでしょうが、さすがに先立つものがありませんので、聞かなかったことにしてまた元のアンプに戻します。音が落ち着いてくると良いのですが・・・

Oさんのご感想  「雲上の平原」

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昨晩、改良しましたDACをお届けし、GRF邸の定点観測を行わせて頂きました。

まずは、ユニコーンに繋がれたMola Molaプリアンプによるデジタル再生を聴きました。当方のDACが外出していましたので、その間の出動です。本来Mola Molaはアナログレコード再生の為に導入されていますので、ここでは代打出場なのですが、このプリのデジタル入力も本当に凄いです。

デジタルらしい再生音ですが、その高次元のSN、音のち密さ、回路の独創性、どれをとってもデジタル再生の最先端です。そして低音過多と思われるくらい強く、濃い音色です。ユニコーンがブリブリとなるのですが、当然これはプリだけの性能ではなく、パワーアンプ、そしてスピーカーセッティングの妙が解け合った結果ではあります。

感想は、とのGRFさんの問いに「凄い音ですが、デジタルらしさは明らかにありますね」と無謀にも暴言を吐いてしまいました。(すみません)

しかしGRFさんはその辺をすべて理解しておられ、「技術的には最先端だけど、EMMの再生音の方が柔らかくて自然だ」と仰って頂き、胸をなで下ろしました(笑)

この状況で、トラバ80+ウーハーのある部屋に移動したEMMのDACや、またあまりにも強力な伏兵であるMola Molaを相手に、当方のDACが無謀にも挑戦している状況はあまりにも過酷です(涙)

でも怯んでいる訳にもいきませんので、ユニコーンに繋がれていたMola Molaを外し、自作DACをセッティング。おそるおそる出音を開始しました。

落ち着いて音色を確かめ、たぶん大丈夫だろうと思いながらも、GRFさんの顔色を拝見。眉間のしわがよることはなく、「柔らかくて良い音だ」と及第点を頂きました。

以前より、「少しやかましい感じが抜けない」とのコメントと共に、その点を重点的に調整してきましたが、種々の対策の結果、やっと、この状況から抜け出せたようです。

結局デジタル部の電源ノイズに起因する部分が問題で、今までも定評のある回路と素子を使ったフルディスクリート電源でしたが、今回は現在最高峰の素子を使った回路に置き換えた結果、この「少しやかましい感じ」が完全に消え、柔らかい音が出るようになりました。いやいや、良かった!

最後に、今までの定位置であるサウンドパーツ製プリに戻すと、一気にかつての音に戻りました。DACもやっとGRF邸機器の仲間として認められた感じで、生き生きと音を出しておりました。

ユニコーン側が落ち着いたので、まさに定点観測ですが、現状のトラバ80+ウーハーに移動し、その出音を聴かせて頂きました。やはりある意味究極の再生音で、本当に何をかけても楽しく、たとえ音源がイマイチであっても、楽しく聴けてしまうのではないかと思います。

あらゆる楽器の奥行き感が出て、三次元に動く楽器と演奏者、そしてその出音の動きが見えるようです。それでいて一つの再生芸術としてそれぞれが溶け込み、名だたるマエストロが振ったオーケストラが目の前で具現化されていることに本当に驚きます。

また音色自体も素晴らしく、たとえコンソールで弄られ、作られた音のJAZZなんかも平面的ながらその音色の素晴らしさに酔うことが出来るので、もう「どのジャンルでも持ってこい!」です。

もちろん、スピーカーだけではなく、プリやパワー、その他の機器やケーブルも吟味に吟味を重ねた結果ですし、そもそも部屋とセッティング力が無ければこの音は出ないでしょう。

無い物ねだりをするとすれば、「もっと一般的な小さな部屋でもこんな音が出ないのか?」といったこと位でしょうか(笑)

今までいろいろな機器を定点観測と称して聴かせて頂きましたが、一言で感想を申し上げると「雲上の平原」ですね。飛行機が離陸して高度を上げ、雲の上に到達した際の、雲海が広がっている感じでしょうか?下界の雑踏から離れ、高次元のSNと共に無限の空間にいるかのように感じる、あのイメージが頭に残ります。映画ではそのまま昇天、ということですが、そういう意味ではありませんので悪しからず(笑)。

この音のイメージで、我が家の音も更に高めたいと思います。何せ、聴いたことの無い音を具現化することは出来ませんから(爆)

O

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Oさんが作られたDACを和室に導入したのは、去年のまだ暑い頃でした。音量の調整やクロックの有無、シフト再生法、音量の調整、デジタルの入力方法の違い等の音の違いを聞き比べてきたのですが、最終的に音量を小さくすることと、emmやMolaMolaの最高級機と比べると、やはり全体に少しザワザワしている感じがしていました。特に、emmの新しいDA2の恐ろしいほどの静けさと比べると、まだやり残したことが見えてきたということで、改造を施すために、一度持って帰られたのが、11月の中頃でした。そして12月に今一度聞き比べをしたあと、今一度持って帰られました。それから、また抜本的な改造を施されて持参されたのです。早速聞いてみました。

とても静かになりました。柔らかく、アナログ的なサウンドが広がります。一番の差は、S/N比の良さですね。MolaMolaの驚異的な静けさに迫ってきました。どのように変わったのか、今回はOさんに説明していただきました。

               DAC概要

ESSの最高峰DACチップ、ESS9018をLRそれぞれ各1チップ使用。SRC(サンプルレートコンバーター)AK4137EQによるPCM・DSDへの相互アップサンプリング可能。USB入力回路搭載。アナログ回路は表面を漆加工したファインメットトランス(2.5K:10K)を使ったトランス出力。ワードクロック入力・マスタークロック入力可能。デジタル入力は、デジタル同軸(アンバランス)、AES/EBU、オプティカル、USB、EXT(HDMI)の5系統に対応。

電源は、合計10系統、それぞれ独立した巻き線のトロイダルトランスを使用。デジタル入力回路、DAC部は以前の定評があったパーツによるフルディスクリート電源から、最新型の超低ノイズレギュレーターに変更し、異次元の高SN、低ジッター化を図る。

1.デジタル入力基板
デジタル入力チップは旭化成AK4113を使用。同じく旭化成のSRCチップAK3147EQを使い、PCMは88.2KHz、もしくは176.4MHzにアップサンプリング。DSDは11.2MHzにアップサンプリング。低位相ノイズの高品位内部クロックを、独立したトランスを使い、最新型の超低ノイズレギュレーターの安定化した電源で駆動、低ジッター化を実現。

2.DAC基板
ESS9018をLRそれぞれ1チップ使用(合計2枚)、再生はPCM、DSDに加え、シフト処理をしたDSD入力(S-DSD)に対応。電源部はデジタル部、アナログ部それぞれLRごとに分けて独立したトランスから給電。最新型の超低ノイズレギュレーターで安定化して電源を供給。

3.アナログ出力段
表面を漆加工したファインメットトランス(2.5K:10K)を使ったトランス出力。パッシブで出力すると、低域のドライブ力が不足するため、MOSFETを使ったバッファーでファインメットトランスをパワードライブする。バランス・アンバランス出力対応。MOSFET回路への給電は、LRそれぞれを別電源トランスからSiCショットキーダイオードを使用して整流、約70,000uFもの大容量のコンデンサで平滑化、その後ディスクリート回路で安定化してMOSFET回路に供給。

4.USB入力
USBを使ったPCオーディオに対応。USB Audio Class 2対応のCombo384基板を使い(http://www.tec-sol.com/products/elec/amanero/index.php)、32bit I2SまたはDSD入力が可能。PCMファイルは44.1~384kHzに対応。DSDファイルは128(5.64MHz)まで対応(WindowsではASIOドライバー使用でDSD512(22.58MHz)まで対応可)  2017.1.25

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これでおわかりになったでしょうか?最近のDAコンバーターは相当な進歩があったと言うことですね。しかし、電源のノイズが一番音に悪影響を与えていたようです。そのノイズを徹底的に排除することによって、アナログと同じ柔らかで、落ち着いた音を実現しました。当初は、Mola Molaをプリにして鳴らしていましたが、最後はいつもの真空管プリに戻して安心しました。

下のCelloもどきのケースにはいっているのは、10個のトランスを使った大型の電源部。上のゴールドムンドもどきのケースに入っているのが、DAC部です。ケースは両方とも、中国から数千円で仕入れました。あくまでももどきですよ(爆)。

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一夜明けて、今日も聴いています。昨日より一層落ち着いた音になりました。和室は、これで安泰です。不思議な事に、低音がもりもりと出て来ました。音は冬空のようにきれいに抜けて、そしてこの厚みある低音ですから大満足です。Oさんにも、今一度聴いていただき安心して貰いたいですね。良い音で作っていただきありがとうございました。

レコードの洗浄とセルのベートーヴェン全集

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Mola MolaのS/N比の良さによって正確に再現されたイコライザーカーブのおかげで、今まで聴いたことのない低音を聞いています。カートリッジの出力に合わせた増幅度が選べるので、切り替えて使うカートリッジ間の出力差を合わせることが出来ます。それによりカートリッジ本来が持っている音色の個性が表れてきます。切れ味の良い音や、懐の深い音などが楽しめるのです。

レコードの再生は、レコードの質により相当変わります。きれいなレコードや、よく洗浄したレコードならほとんどスクラッチノイズは発生しませんから、ターンテーブルのS/N比が良ければ、ほとんどテープと同じ音がします。これは驚くべき事で、いままではいかに帯域が狭い音を聞かされてきたのかと驚くのです。50Hz以下の音は、カットされたり合成されたりしているレコードもあるのですが、詰め込みレコードの時代前のオリジナルレコードや、CDが出現した後のdmmのレコードの様に音質に配慮してあるレコードでは驚かされます。


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まずは、レコードの洗浄が大事です。それを拭き取るためのクリーンクロスも三種類ほど取り寄せてみました。偶然ですが、荒さが少しずつ違ったので、びしゃびしゃで洗う用途用、拭き取り用、乾燥用と使い分けています。写真手前の細かなタイプは、眼鏡用のマイクロファイバーのようです。これらが再生品なのですから、レコード愛好家にはうれしいですね。



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少しでこぼこのあり、密度も幾分粗いタイプは、洗浄用には溝の中まで入り込んで、拭き取ると汚れがしっかり取れてきます。中には、黒くなるぐらいです。それを、後方左側のクロスで拭き取りながら水分をとっていきます。ある程度乾いたら、最も密度の細かい手前のタイプで磨くのです。また、その紙で、針先の汚れも取ります。針先は、100倍のルーペで視ると、古いレコードを掛けたあとは、必ず汚れがついています。それらを丁寧に取れば、常にきれいな針先で聞くことが出来るのです。



現用のカートリッジは、ベンツマイクロのルビーエノボイとL04です。そして、トーレンスには、SPU-AEを鳴らすことが出来ます。SPUは低域の太い特有な響きなので、愛好家のリクエストに応えるためです。針圧も4gを超えています。低域は太いのですが最低域までは出ていません。今まではトランスを使っていましたが、MolaMolaでは、ダイレクトで鳴らすことができ最低域も伸びますが、いろいろあるトランスをつないで音色の変化を聞いてみるのもアナログの楽しみでしょうね。


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きれいにしたORFEOのレコードを掛けると、低音の響きが、今までとは違いますから、ほとんどCDと見極めがつきません。音色が違うだけです。三次元的な音もしっかり出ています。これはしっかりと溝の中に入って、左右の音を満遍なく出している証拠です。このような最低域の音の動きは、聞いたことがありません。


その後で、CDに切り替え、同じCDも聞いてみました。同じような音色でうれしいですね。しかし、安定性と定位感はゆるぎません。先日、大枚をはたいてかったSACDのジョージ・セルのベートーヴェン交響曲全集を聞きました。これはマスターテープから起こし直したそうで、音のバランスがレコードの高域の買った音と比べると安心して聞いていられます。英国コロンビアのSAXと同じ音がするのです。


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その、SAXのオリジナル盤は、1番、2番、5番、6番、7番、8番までは来たのです。SAXでは出ていない4番をのぞくと、あとは3番と9番だけなのですが、3番と9番は値段が高すぎて手が出ません。9番は2014年の時でも、20万以上していましたが、最近はなんと50万円以上しているそうです!これでは永久に手に入りませんね(涙)。


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アメリカ盤のOddessyの全集はもっていますが、70年代頃の制作なので、薄い盤です。そこで、第四と第九を聞くためにSACD盤を買ったわけです。

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大山さんがよられて

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今一段のSPシステムの進化を目指し、ネットワークのブラッシュアップを大山さんと考えています。もちろん、実験をまた重ねていかなければならないので、今日明日の話ではありません。なんだか、その分だけ命が延びた感じです(笑)。

一通りの打ち合わせを終えてから、いまいろいろとやっているレコードの音を聞いていただきました。最初は、クラシックのレコードを掛けて、レコードの針の洗浄の違いとレコード自身の洗いの違いも聞いていただきました。よほど汚れていなければ、先を磨いた静電気除去のブラシRELAXだけで充分きれいになります。静電気がきれいにとれて、ほとんどパチパチノイズはしなくなります。それでも汚れている場合や大事にするレコードは、本格的に洗って洗浄をします。それで掛けると今まで聴いたことのない音がし始めるのです。


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アームはSMEのシリーズ5を30年ぐらい愛用しています。その頃も、高い価格で50万近くしていたように思います。その頃輸入品も扱っていた中古屋さんから、新品のシリーズ5を比較的安価で求められました。その後、二本目のアームも名古屋のサウンドピットさんで見つけました。その頃にはほとんど品物がなく探していたのを思い出します。

このアームほど、調整を簡単にできるアームを知りません。アーム長の調整も、脱着式の六角レンチで簡単にできます。高さ、水平、ダイナミック型の安定した針圧負荷。0.01g単位で合わせられる針圧とともに、インサイドフォースキャンセラーの正確さは、触るのが楽しくなるほどです。それをかすかに動かして、左右に離れたSPの中央に定位したヴォーカルを10センチ単位で微妙に動かすことも可能です。加えて、オイルダンピング装置も備えていて、アームの調整に必要なあらゆるムーヴメントが簡単に調整できるのです。


昨今では、アームの支点をフリーにしたり、アーム自身をオイルで浮かすタイプのアームもありますが、音の安定性という点で、私はあまり気持ちよく聞いていられません。支点がないことで、音の安定性もなくなるような気がします。オートフォーカスの写真機のように、どこにでもピントが合っているようで、じつはどこにも焦点があっていないような気がします。溝にしっかりと入ったアームの安定した動きは、聞くとすぐわかります。音が微動だもせず、エネルギーがあります。


カートリッジは、SMEのアームに正確に取り付けた、BenzMicroのRubby EbonyとL04の二種類を聞いていただきました。Jazzやヴォーカルが聞きやすい04は、出力も大きい評判のよいカートリッジですが、今回MolaMolaで聞くとその差が明らかになります。低音は豊かで出力もあり迫力有る音を聴かせてくれたいたのですが、今回のEQでは、やはり最低域の再現が物足りません。その点Enoboyは、大変奥行きのある定位感溢れる音に聞こえます。驚くのはその定位感の良さです。最低域まで再現された音は、とてもレコードの再生音とは思えません。この深い音は今までの長いレコード歴の中でも初めての音です。ぼんぼんと響く低音ではなく、深く柔らかな低域です。コントラバスやオルガンの時しか聞けない音ですね。そして驚きは、その低域に裏付けられた音楽のダイナミックレンジの広さです。音が生き生きとして、音楽の中に引き込まれます。


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大山さんのリクエストで、いつも掛けている越路吹雪のライブ盤を掛けて一番驚いたのは、私自身でしょう。CDの音を基本に三次元の立体感を出そうというTroubadour80+TW3の組み合わせが、レコードでも立体的な実在感がある音が出たのに、驚いたのです。


ふたりで顔を見合わせて、これは、越路吹雪を聞く会を開かなければと頷きあったのでした。










越路吹雪の実況録音盤

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大山さんと一緒に聴いた越路吹雪のリサイタル盤は、いつも常用で聴いている1979年の公演のライブ盤です。1969年から日生劇場で毎年開かれるようになったリサイタルは、大変な反響をよび一年二回の公演は、もっともチケットが入らない演奏会になっていったのです。私は、1978年と79年の二回の公演をようやく聞くことが出来ました。その時の驚きをこの実況録音盤は余すことなく収録してあるのです。

『越路吹雪リサイタル』(1966年)
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『KOSHIJI IN BEL AMI-ナイトクラブの越路吹雪』(1968年、ナイトクラブ「ベラミ」にて収録)
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『日生劇場における越路吹雪-リサイタル第2集』(1968年)

『ロング・リサイタル'69』(1969年5月)
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『ロング・リサイタル・アゲイン』(1970年)

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『ナイト・クラブの越路吹雪 第2集』(1970年、ナイトクラブ「ベラミ」にて収録)

『越路吹雪リサイタル'72』(1972年)
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『'73年ロング・リサイタル』(1973年)

『ロング・リサイタル-ようこそ劇場へ-』(1974年)
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『初日の夜-越路吹雪ロング・リサイタル'75』(1976年)
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『ロング・リサイタル'76』(1977年)

『宝塚大劇場で歌う'77』(1977年12月)
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『春のリサイタル'78 巴里讃歌』(1978年3月)
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『ドラマチック・リサイタル-愛の讃歌-エディット・ピアフの生涯』(1979年)

『ロング・リサイタル'79』(1979年)
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『'80スペシャル・リサイタル』(1981年)
私の好きなアルバムは、68年のベラミでのナイトクラブでの収録、69年のロングリサイタル、上の79年です。演奏はどれを取っても日本最高水準でした。ジョージ川口のドラムの切れ味は、越路吹雪の演奏をどれほど助けているでしょう。そしてどれを聴いても越路自身の歌のうまさには驚かされます。今晩も、Oさんにも聴いていただきました。実際に聴かないとこの音の凄さは解らないでしょう。
『ユーヌ・シャンソン』(1978年)パリのスタジオ録音 自筆サイン付き

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大山さんから、越路吹雪のリサイタルを開かなければと言われました。私も、その通りだと感心したのです。越路吹雪が聞きたいと言われる方は、やはりそれなりにお年を召された方だと思うのです。この日生劇場のリサイタルが開かれていたのは、1968年から1980年までです。その頃、30歳だった方々は、現在は67歳から79歳になられています。そして、そのほとんどの方は、オーディオはされていないでしょう。そして、今回再現された音で、その会場にワープできるなど思いもしないでしょう。きれいにしたレコードを今回のEQで掛けた音は、ほとんどの越路吹雪ファンの想像を超えたものだと思うのです。この音は、360度の奥行きを再現できるTroubadour80+TW3ならば聞くことが出来ます。DSDファイルからならば、Hさんや横浜のMさん、大山さんのところだけでも聞くことが出来るのです。ぜひ、アルバムごと通しで聞いていただきたいですね。


冬の関西行き

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先月に行くはずだった関西行きが、寒波の襲来などがあり二週間延びて今週になりました。日程を再調整して今週行くことにしました。ところが、関西方面には今週も寒波が来るようです。東京を出た水曜日は、穏やかな良い天気でした。それほど寒くはなく、富士山も行く手に大きくそびえていました。ただ裾野に雲がかかり、天気が変わりつつある予兆を感じられますね。

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予定を少し押して、打ち合わせを終えてから、今一度高速に乗ったのは、六時少し前でした。七時半頃の京都の約策には、間に合わないので、到着が八時頃と連絡を入れて、ひたすら夜の道を走ります。こうして目的があって走るときは一気に走れますが、帰りは、くたびれて各駅停車になることでしょう。


神戸から元の京都に戻った、Kご夫妻が到着を待っていてくれました。年の暮れに引っ越されて、整理に一月かかったそうです。私が初めてお客さんだそうで、Kさんも出張が多いので、装置もようやくセッティングが終わったところだそうです。その前面に開けた場所に鎮座したのは、T-Audioです。
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試聴用に持ち込んだ38/2トラックの音に驚いていただきました。テープの全く次元が違う音にご夫妻とも驚かれたようです。Kさんが買い集めてきた4トラックの市販テープも堂々とした音を出します。ホテルにチェックインして、近所の和食のお店でごちそうになったと、また部屋に戻って、深夜まで聞いていました。


おいとまして夜の京都の町に出ると空気が入れ替わっていて寒波が来たようです。明日は雪が舞うかもしれません。酔っ払って寝たので最初は気がつかなかったのですが、明け方の寒さで目が覚めました。空調を調整してもなかなか暖かくならず、往生しました。セーターを着て寒さに震えていたら、しばらくしてようやく暖かくなってきたようです。気がついたら七時半になっていました。表は暗い空で、ちらちらと雪が舞っていました。


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京都から奈良へ向かう道で、奈良に近づくにつれて雪が降ってきました。大阪まで来ると、雪は時々舞ってくる天気になりました。夕方になると、椀方が来られました。今年に入って初めてです。ご常連のCさんは、奥さんと温泉に出かけているそうです。定年後の正しい時間の使い方ですね。うらやましいです・・・


冷蔵庫からビールを取り出して、二つ開けたところで、近所の人気店のイタリア料理店に電話してみました。冷たい天気で、空いているかもしれないと思ったからです。予想通り空いていてはいれました。ここは人気店で夜はなかなか入れません。椀方さんは、娘さんのご家族とよく来られているようです。まずは、モンタルチーノを開けて体を温めました。


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これは前菜盛り合わせ!豪華でしょう?写真はないのですが、この後は、トリッパをいただき、パスタはペンネのラグーソースで濃厚でした。


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ワインもおいしくいただいて暖まった身体をもう少し燃やすために、部屋に戻って、ウイスキーに移りました。いつものラフロイッグは飲んでしまったので、今日はタリスカーにしました。
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Cさんがいなかったので、ボトルが空くこともなく(爆)、ゆっくりと音楽を聴きながら、タリスカーを飲んでいました。久しぶりに聞くHartleyの音は大人の音だと思いました。
大阪を出たのは、お昼近くになっていました。黒い雲が北の方にかかり、時々、白いものが舞っていましたが、草津の辺までは、晴れていた天気も彦根に近づくと急に日本海側の天気になりました。雪雲が日本海側から流れ込んでくるのでしょう。
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雪は関ヶ原あたりまで続き、大垣のあたりでまた空は明るくなってきました。岐阜でおりて、久しぶりに田舎GRFさんのところに顔を出しました。GRFは袴を外して、脚をはいていました。そのためキャビネットの下に空間が出来て、柔らかく、軽やかな音も出てきました。オルガンのCDを聞いたときは、最低音まで出てくるのが素晴らしい音にまとまっていました。キャビネットも乾いてきたのでしょう。久しぶりにいい音のGRFを聞きました。
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犬山城を見ながら、明治村の上を通って中央道に出ました。恵那山トンネルのあたりは、やはり雪でしたが、伊那谷側晴れていました。再び雪を見たのは、辰野に近づいてからでした。茅野についたときは暗くなっていました。高速をおりたところで、マイナス2.5度でした。今は、マイナス9度を下回ってきました。明日の朝は、放射冷却もありマイナス12度ぐらいになるでしょう。今期一番の寒気でしょうね。 
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深夜、ストーブも全開して、なおかつ給湯器を使っていたら、ガスの供給が止まりました。普段使っていないので予想以上のガスが使われて自動的にストップしたようです。寒い中、取説を読んで復帰させましたが、その間、部屋の気温がどんどん下がっていくのがわかりました。ガスがあるのはありがたいことです。
暖かくしてよく寝られました。朝、七時前に気温を見ると、マイナス11.5度になっていました。風がないから体感上はそれほど寒くないのが不思議です。ガラスは、プチプチを貼ってあるので、冷たくはないのですが、サッシの部分は、室内側が凍っています。この部分が寒さを伝えるのですね。
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二次元のステレオ再生

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先日、旧友のFさんのお宅によったときのことです。長いオーディオ経験を通じて装置がどんどんシンプルになっていった彼の最新の研究は、SPの位置の検証でした。私と知り合った頃は、Gotoユニットを使った4ウェイの本格的なマルチステムでした。しかし、ホーン型の装置では、どうしても位相の管理が難しく音の一体感が得られませんでした。音は上から下まで出ているのですが、まとまりと一体感に難しさがあります。

その後、Dynaudioのシンプルだけど、最高級のユニットを使ったConfidence 3を使って音の一体性を求めてきました。CDプレーヤーは、私も茅野で使っている旧いマランツのCD80を使っています。もちろん、電源やクロック、送り出しのアナログアンプの改造は施しています。アンプも昔パイオニアから出ていたプリメインアンプです。これも、電源回路や構成している部品などもグレードアップしているのは、もちろんの事です。

今回、是非聞かせたいからと言われて、最新の研究結果を聞かせてくれました。以前は平行でおいてあったSPの位置が幾分内向きに変わっていましたが、一番の違いは、SPスタンドの下に積層板でしっかりとした置台を作って、SPの位置をあげていることです。Confidence 3は、例によってツィーターとウーファーの上下が反対なユニークなSPですが、そのウーファーの位置を部屋の高さのほぼ中央に来るように配置しているのです。そのため、25センチほどの台の上にのせているのですね。


SPが置いてある側の全面から音が出てきます。その豊かでゆったりとした低音は、とても17センチのユニットがなっているとは思えません。彼の話では、部屋の上下の真ん中から得てきた音が一番楽に部屋の空気を振動させているからだそうです。ストレスのない音は大口径のウーファーが楽々と音を出しているようになっています。そして、内向きにしてSPの指向性を中央の席に集中させているからでしょうか、音自体は二次元のサウンドですが、それが左右・上下と広がっていてきわめて雄大な音を聞かせてくれました。


私自身は、360度の指向性を持ったDDDユニットを部屋の中央において、三次元的な音の立体感を追求していますが、音楽を楽しむのには、もちろん、左右・上下に残響成分の深さ方向が再現される二次元サウンドで十分だと思っています。2.5次元まで出ているT4を除いて、大阪のHartleyも、茅野のESL-57も、和室の横置きに置かれたユニコーンでさえ二次元の再生を心がけているからです。SPの間隔や向きによって、左右の調整は比較的簡単に行うことが出来ます。しかし、上下方向の音はなかなか出てきません。安定性から部屋の低いところに置かれることが多いSPシステムでは、それを補うための若干の傾斜角をもうけて上向きにしているSPも多く見られます。


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QUADのESL-57も前と後ろのピンの高さと角度を変えて仰角を作っています。そのため音は上向きに放射されてきますから、音が遠くまで届きます。その仰角のため音が上限方向に広がり、結果として壁一面に音が昇華していくのです。以前このESLをダブルスタックした装置を聞いたことがありますが、その仰角がないので音の浸透性が少なくなっていました。二つのユニットの調整も相当難しいでしょうね。


和室のユニコーンは、バックロードホーンの出る位置も関係して、二階席から一階を見下ろしているような音場感が現れます。これが上の方まで拡散しないかどうかの実験もこれからの宿題です。二次元でのステレオも奥が深いので、三次元ステレオと平行してこれからもまだまだ実験は続きます。一度、coneqなども導入してその点を今一歩追求したと思っています。


相変わらず茅野のESL57はいい音です。前日聞かせていただいた田舎GRFさんの音と共通点があります。豊かに浸透する低音と飾らないすっきりとした高音部が一体化しているところです。その音を求めて、左側の位置をほんの少しだけ動かし、バランスの調整を行いました。1mmぐらいの微量な調整ですが、音は大きく変わります。ようやく暖かくなってきた部屋で、午前中はゆっくりと音楽を聴いていました。














流行歌の時代性 フランク永井のリサイタル盤

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先日来、越路吹雪のレコードから、金子ゆかりなどのシャンソン歌手、フランク永井などの流行歌歌手の実況録音盤を聞き続けています。この実況録音盤という言い方も、若い人たちには違和感があるかもしれません。ライブ盤ですね。検索サイトでは、リサイタル盤とかライブ盤で探さないと出てきません。これらの盤は、60年代から80年代までに出されました。大人の曲ですから、30代ぐらいから聴かれる曲ですね。すると30年から40年以上前の収録のアルバムなので、これらのLPを聞かれていた世代の方は60歳代から上の世代の方々に限定されてきます。中心世代は70歳から上の方々でしょう。この実況録音盤に収録されている聴衆の方々ももう、半分以上はいないと思うと感慨深いモノがあります。

このような実況録音盤には、やはり時代性が濃く反映しています。曲間に話す話が、大阪万博のことだったり、その時代時代の事柄が収録されています。また、歌を歌っている声はあまり変わりませんが、話している声は、年齢を反映しています。20周年記念アルバムと30周年記念アルバムでは、声の質や勢いが違うからです。その収録されていた頃自分が何をしていたかを思い起こすと感慨もひとしおです。このような昔のアルバムを聴いているのも、老人力がますます増してきた証拠ですね。


家に来られる若い世代の方に聞くと、ほとんど知らない世代と、親が聞いていたから曲は知っているという世代に分かれるようです。50歳代のかたはあまりご存じなく、40代の方は家にレコードがあった方もおられました。40歳代の親の世代は70歳代でしょうから、時代性が合っているのです。考えてみると収録されたのが1970年だとすると、その時生まれた方はもう、46歳なのです。


ですから、こうして越路吹雪やフランク永井のアルバムの紹介をしても、ほとんどの方には興味ない事柄なのですね。しかし、その頃、会場まで聴きに行った音楽ファンの方には、今回再現しているような会場にワープする音をお聴かせしたいと思っています。1950年頃から収録のクオリティはそれほど変わってはいないのです。再生する我々の音がようやく時代に追いついてきたのだと思っています。60年代の録音はより詳細な音が収録されています。80年以降の録音より、自然な音が入っている60〜70年代の音の良さに今更のようにおどろくのです。あまりマルチマイクではないシンプルな録音方法が良さをだしているのでしょう。


越路吹雪の日生劇場で録音は、ほとんどCDには復刻されていません。残っているレコードは、もう、何十年も経っているので、きれいな盤に出会うのはまれですが、いまでは、レコード洗浄が出来るので相当きれいになりました。先日の越路吹雪の実況録音盤の紹介後も、何枚か買い集めて大分そろってきました。同じ曲でもその時々で違ったアレンジで工夫しているのがわかりますね。


一方、フランク永井の実況録音盤は12種類出ているようです。最初の頃は、レコードではなくソノシートだったので、今では、ほとんど手に入りません。第一回のリサイタルは1963年10月3日ですから、東京オリンピックの前の年ですね。


・第1回 リサイタル (1963年)


・フランク永井 AT RO-ON第1集 (1964年)


・フランク永井 AT RO-ON第2集 (1967年)


・第2回リサイタル『慕情~歌と共に10年』 (1967年)


・第3回 15周年リサイタル『ある歌手の喜びと悲しみの記録」』 (1971年)


「歌声を永遠に」という題名で出ている3枚組のCDには、このリサイタルから、有楽町で会いましょう・夜霧の第二国道・西銀座駅前・東京午前三時、そして松尾和子とのデュエットで、東京ナイトクラブが収録されています。とてもいい音で、驚かされます。ぜひ、この公演をCDで全曲再発して貰いたいですね。


・フランク永井 at BELAMI (1972年) 4ch 盤


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・魅惑のオン・ステージ (1976年)


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これは楽しい盤です。大阪のホテルでの録音で、とにかくうるさい!黙って歌を聴いてません。でも声も良いし、リラックスしています。歌を歌っているときの声と、トークの時の声が全く違います。


・NHK ビッグショー『酒・女・そして・・・』 (1976年)


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・第4回 歌手生活21周年リサイタル『輝ける21年の軌跡』 (1977年)


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曲数が半端ではありません。これはCD化もされています。


・第5回 歌手生活30周年記念ライヴ (1985年)




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これは少し歳をとった感じがします。これが最後の録音でした。

山梨の家

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Harubaruさんのご案内で、山梨のMcGMさんのお宅にお邪魔させていただきました。McGMさんのお宅の音の事は横浜のMさんからもお聞きしていました。また、Harubaruさんとご一緒に訪問されたK&Kさんも絶賛されていましたので楽しみにしていました。当日は、Harubaruさんは厚木から、Bellwoodさんは、途中でのびーさんを拾ってご一緒に来られました。今一人、足立ナンバーでFさんという方も来られていましたので、総勢で車が四台駐車場に並んでいました。  


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地方のメリットはスペースがあると言うことです。そのメリットを最大限活かして独立したオーディオルームを作られました。平屋ですから高さもたっぷりとれます。表から見ると倉庫かガレージ見たいですが、内部はSYLVANの森です。吸音と反射の繰り返しで、どちらというとデッド気味の響きだと思います。よく見ると木製のSYLVANの裏側は、紙管が並んでいます。入り口のドアの部分も移動するタイプでふさがります。


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表面に見える木製のボードは奥行き40センチほどですが、その後ろに紙管が並んでおり、奥行きの合計は60センチにもなるそうです。そのため元の部屋の大きさは40畳ほどあるそうですが、見た目の大きさは30畳強になっています。それでも大変大きな部屋には間違いありません。
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この写真は脚がオリジナルを使っていますし、内ぶりも少ないのですが、ピアノ用のフローティング装置を使ってからは、内ぶりの角度が深くなっています。横浜のMさんたちが聞かれていたのは、この上の写真の配置のようです。今回は、下の写真のように内ぶりの角度とフローティングの使用で、音が柔らかくなっているようです。
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コーナーに置かれたゴールドムンドの超大型アンプは、デジタル接続でならされていました。内ぶりに置かれたSPから聞こえるおとはステージに近いかぶりつきの音に聞こえました。デジタル接続でしばらく聞かせていただいた後で、のびーさんの要望でアナログ接続を聞かせていただきました。私の好みもアナログ接続の方が一体感が出ると思いました。私の好みから行くと、床は大変しっかりしているので、オリジナルの脚をはいた元のタイプで聞いてみたいと思いました。全体にピントを今少し合わせると、Mさんが驚かれた音になると思いました。一度、平行法でも聞いてみたいと思いましたが、SPの重量は半端なモノではないそうで、簡単に動かす訳にはいきません。入力を私やMさんも使っているCDプレーヤーの音も聞いてみたいと思いました。
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今回は、時間が無かったので、後方には位置されているマッキントッシュのセットは聞けませんでしたが、前方のSPがメインなら試聴位置の側にあるSPは普段は、後ろに動かした方が良いとは思いましたが、これも大変重そうですから、簡単にはいかないのでしょう。
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お昼は、地元のおいしいウナギ屋さんでごちそうになりました。ヘルシーな前菜も凄くおいしかったです。場所もわかりやすいので、今度茅野に行くときによってみようと思いました。

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McGMさんのオーディオに掛ける情熱は素晴らしいです。中央道の永福町から乗れば、一時間半ぐらいでつきますから、次回はMcGMさんに来ていただきたいと思いました。午後は約束もあり、昼食後はおいとまさせていただきましたが、残った方々はアナログレコードも聴かれてとても良かったそうです。茅野に行くときにまたよらせていただきたいと思いました。ご案内をしていただいたHarubaruさんに感謝です。
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後ろに八ヶ岳、前方には見事な富士山が見えています。素晴らしい場所ですね。日本でも一番日照率が良いそうです。







genmiさん邸の訪問

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にらさんが、genmiさんをお連れして来宅されたのは、去年の10月のはじめのことでした。何回か来られているにらさんと違い、初めてのgenmiさんには三次元の音は新鮮だったようです。それでも、ご自宅の音にも安心されていたとのこと、まとまった音がしているのだと思い、訪問できる日を楽しみにしていました。その間、BellwoodさんやHarubaruさんも訪れてその訪問記からもまとまった音を想像させてくれました。genmiさんからご連絡があったのは、2月のはじめの頃です。平日の夕方をご希望だったので、一番可能性があるのは、金曜日の夕方です。最近は、出張が多いので当日の朝に再度確認すると言うこといたしました。

実は、前日には急な出張が入っており、今週は無理かと思っていましたが、先方の都合で来週に伸びました。そこで、予定通り訪問できる事になりました。当初は、電車で行って訪問のあとどこかでという予定だったのですが、予定が変わったので、八王子の仕事の帰りにくるまで寄ることにしました。閑静な住宅街に建築家に設計をお願いしたお宅は、できてからまだ四年目で、オーディオルームだけは、二階建ての母屋の横につくような感じで天井高を確保した専用ルームです。部屋の大きさは六畳ぐらいでしょうか、天井が高いのもにらさんのお宅によく似ています。


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Luxmanの08のCDプレーヤーに、OCTAVEの70でB&Wの805Dをならしています。地震対策用のボード、スタンドとの間は、新しく導入されたバーチ材のフロートを入れているそうです。平行に置かれた適正の感覚のSPからは、しっかりとした低音も出されてきます。昔のDYNAUDIO好きの私から見ると、やはりB&W特有の音はしますが、ほかの大型モデルのように気になる音はしません。最低音は無いので、無理しない高域と同じようにバランス良くなります。狭い部屋ですと、SPの位置の調整はかなりシビアになりますが、よく合っていました。ボードが動きやすいので、調整をこまめにしなければならないのは、オーディオ的には面白いでしょうが、私のように音楽に専念した場合は、なるべく調整ポイントを少なくしないと、オーディオから逃れることは出来ません。


オーディオの楽しみは、ケーブルやSPの設置にもありますが、ときとしてそれが目的になってしまうとなかなか、そこから抜け出せません。一度それらのアクセサリーを外して、最適な音のポイントを探すと、違うアプローチになるかもしれません。私の経験では、アクセサリーがとても効果的なときは、その位置が合っていない事がよくあるからです。私は、SPの設置やプレーヤー類には、フロート系のボードを使っていません。


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ヤルヴィ・シンシナティ響の幻想は、音は大変よくまとまっています。帯域も広く、音の数もよく聞こえます。ただ、私の好みから言うと最低域がフロートで着られているので、バランスは柔らかいのですが、エネルギー感がいま少しほしいと思いました。先日の山梨の音とスケールは違いますが、同じような感じがしました。私が低音フェチだからかもしれませんが(笑)。
二時間ほど、様々な分野の曲を聴かせていただきました。どれもすっきりとした音で、genmiさんの好みの音が出ているのでは無いでしょうか?建物も大変細かなところまで気を配ってあるお宅なので、設計者の感性と建て主のクリーンイメージの音になっていると思いました。
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仕事の帰りに寄ったので、このまま車で一緒に拙宅に来ていただきました。今聞いている、越路吹雪やフランク永井の録音を聞いていただきました。例のイコライザーの18dbと20dbの大きな差を実感していただいたのです。たった、2dbですが、実在感が全く違って聞こえるのです。感想はどうだったでしょう。
その後、阿佐ヶ谷の焼き鳥屋さんに行きました。昔通っていた良き鳥屋さんが、金曜日と土曜日だけ限定で復活したと聞いたからです。二年ぶりに見たおかみさんは元気で、二人の娘さんが手伝いと焼きをやっていました。満足する味を出すために随分と試行錯誤されたようです。先代の親父さんの味を8割ぐらいは復元していたと思います。うれしいですね。その後も、バーで飲んで楽しい時間を過ごしました。次回は、にらさんもBellwoodさんも来ていただくとうれしいです。




レコード音のご感想

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先週、平日にもかかわらず、レコードの音を聞きにのびーさんとgenmiさんが訪れてくれました。私自身、驚いたほどのアナログレコードの再生音を、実際に聞いていただこうと来ていただいたのです。50年前の実況録音盤を聞いていただきましたが、その実在感に驚いていただいたようです。EQカーブの違いだけでは無く、ターンテーブルの静寂性、アームの安定した動き、カートリッジの特性の差もはっきりと音になって出てきました。

EQカーブの低音上昇用カーブを、18dbのカーブと20dbのカーブの違いが、これほどまで最低域の音の違いになって聞こえるとは、聞いてみるまではわかりませんでした。もちろん2dbは最低域ばかりでは無く、低音全体の面積を2dbあげていますから、エネルギーの総量ではやはり違って聞こえるのでしょう。しかし、その差は、奥にある04ではよくわからないことも事実です。最低域まで出ているrubbyの真価が出ているのでしょう。

レコード再生には、ターンテーブル自身の静けさと回転の正確さ、アームの安定さが問われます。それらの総合値を聞いていただいているわけですから、アナログは難しいともいえます。


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GRFさん、こんにちは。

金曜日は拙宅にお越しいただきありがとうございました。

拙宅のサウンドはGRFさんのお宅と比べてかなり幼稚な音ですので、躊躇しておりましたらお誘いするのが非常に遅くなってしまいました。大変失礼いたしました。

急遽GRFさんのお宅へも伺えるという嬉しい機会もいただけて、その後の焼き鳥屋さんやバーも含めて、とても有意義で楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。

GRFさんからアナログの音がよくなったとの前振りがあって聴かせていただいたのでどんな風によくなったのか興味津々だったのですが、音が出てきた瞬間にその言われていた意味が理解できるほど素晴らしい音でした。オーディオの技術的なことは疎いのでよく理解していないのですが、実際比較試聴させていただいて低域カーブの違いでそれほどまでの変化があるとはただただ驚きました。

何が違うというと、音場感というか空気感といいますか、まさにその会場で実際に聴いているかのような雰囲気を肌で感じることができるかできないか、というように私は感じました。越路吹雪やフランク永井の昔のリサイタル盤を聴かしていただいたのですが、40~50年前にタイムトリップしてもう本当にその会場にいるかのようでした。アナログのプチプチノイズはほぼないですし、当時の演奏や録音も本当に素晴らしいのですね。

前回伺わせていただいたときはCDで上記のような印象を持ったのですが、今回はアナログでも同じ感覚を持ちました。いや、今回のアナログの方がより一層感動したかもしれません。ここまで来ると「オーディオ」という域を超えて「タイムマシーン」という言葉が合っているような気がします。普段聴かないジャンルの音楽を初めて聴いてここまで感動するというのは不思議な感覚です。越路吹雪とフランク永井のリサイタルCD盤をポチりましたが、果たして自宅のシステムでどの程度の再現性があるか興味津々な反面恐怖です。

GRFさんもブログで書かれている通り、オーディオの集いではなくて音楽会としてゆっくりフルアルバムを楽しみたい。そんな唯一無二な素晴らしい音でした。

ぜひ今度アナログ盤でしか手に入らない越路吹雪のリサイタル盤を最初から最後までゆっくり聴かせてください。できればお酒と共に。

今回はお仕事が忙しいときに時間を割いていただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

genmi


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GRFさん、


先日は急な訪問にも拘わらず暖かくお迎え頂きました。ありがとうございました。

それにしてもあのアナログには参りました。これをどう表現しようかと思案しているうちにgenmiさんに先を越されてしまいました(笑)。

genmiさんが書かれている通り「音場感、空気感が違う」というのは紛れもない事実です。ただ、あの「低域が深く静かに沈み込んでいく感覚」をもう少し具体的に言葉にしたいと思います。

あの日、何度か話題になった富士山に例えると、富士山の裾野が横に広く、縦に深く視界の外まで続いていく感じですかね。夜明け直後、超快晴で山肌までしっかりと見えるスーパーリアリズムのような富士山ではなく、もっとさり気なく、少し遠くから、でも窓越しではない、そんな富士山を見たような感じです。多くの場合、富士山の裾野が霞で見えなかったり、左右の障害物で切り取られたり、富士山は雲の中で手前の富士宮の製紙工場だけがはっきり見えたりで、理想の富士山を拝むのは中々至難です。

イコライザー・カーブの低域端を2dB、より正確に再生することで全体があれ程変わるのは本当に不思議です。18dB時では、従来の良質のアナログと同様、心地よい質感と比較的リアルな中央音像が印象に残るプレイバックでしたが、20dBでは、上下左右の見えない枠が取れて、グッと沈み込む感覚が現れます。

ソースは確かに昭和でしたが、再生音は最先端です。でも最先端であっても最新とか現代的というものでは無いので、やはりテープに近いのでしょうか?GRF邸のテープ・サウンドは未体験なので判断のしようがないのですが、我が家のテープは安定感、力感、広い音場はありますが、あのような深く沈む感じは無いです。

もしかするとGRFさんは本当に上手く鳴るソフトだけを聴かせてくれたのかも??是非、次はクラシック系のソースとテープを聴かせて下さい。貴重な体験、本当にありがとうございました。

のびー



のびーさん 次回はぜひクラシックの盤も聞いてみてください。テープの方は、また別の次元の音なので、直接の比較は出来ませんが、同じような低域の伸びとスケール感が出ています。

思い出の中華料理

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マイミクのYKさんが、いつもの深圳に出張されて、旅慣れているので、夜一人で町を散策されて、大好物蘭州牛肉麺の良いお店に当たって至福の時を過ごしているという記事を拝見しました。牛肉麺は私も大好物です。台湾でもよく食べましたが、大陸の牛肉麺は薄味の清燉スープと、赤い入りをした醤油ベースの紅焼タイプがあります。台湾はよりスープが薄い清湯と言われるスープもありますが、味噌ラーメンと豚骨ラーメンぐらいの違いがありますね。


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その記事の写真を見ていたら、夜中なのに無性に食べたくなりました。現地から送られてきた写真には、青島ビールの高級品が写っています。高級店の証ですね。もう、深圳あたりは夜でも20度以上あるようです。私も広州や香港にいつも行きますので、夏の蒸し暑さを重い出してしまいました。中国は回教の人も多いので豚を食べずに牛を食べる習慣があります。大阪ではお肉と言えば、牛肉を差しますが、大陸的な習慣が残っているのでしょうか。私自身は、牛肉麺よりは、豚のあばら肉を揚げた排骨麺の方を好みますが、牛肉飯もよく食べたと思い出しました。


突然、昔よく通った戸塚駅のごちゃごちゃした商店街の中にあった中華料理屋さんの風景を思い出しました。去年、大船と戸塚の間のKIKIさんのお宅へお伺いするとき、偶然、再開発されて昔の面影が全くなくなった戸塚駅西口を通りました。思い出の街がすべて無くなっていました。そのお店は、40年前から戸塚に行ったときは必ず通っていましたが、この十年ほどはその前を通ってもいませんでした。全く昔の面影を残していません。お店の名前は、ごく中国的な名前だと覚えていたのですが、最近の老人力のおかげで出てこないのです。


そこで、戸塚駅・中華料理店で検索しましが、やはり、その時廃業したようで何も残っていません。せめて、名前だけでもといろいろ検索してみましたら、再開発される前の商店街の写真を発見しました。戸塚駅西口旭町商店街です。バスターミナルが、離れていてそこまでのアプローチとして栄えていた商店街でした。そして、その商店街の中に目的の中華料理屋さんを見つけたのです。このお店を検索していたら、ハンコックさんが、2006年にこのお店の記事を書いていたのを発見。なんだかうれしかったです。


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再開発の開始は、2007年だったそうです。すると10年間行ってなかったことになります。戦後の闇市がそのまま商店街になったような昭和の町並みだったのを覚えています。そのお店を経営していた娘さんが、トツカーナのモールのなかでアジアンカフェ『バニアンツリー』を開いているそうです。時々、その中で昔、亜細亜楼で出ていた牛肉飯がメニューに載るそうです。食べてみたいですね。調べていくとその店を紹介しているサイトがありました。その記事によると、


・この店長は、再開発前まで戸塚商店街に有った「亜細亜楼」の店主の長女で、・2004年~2007年までは「亜細亜楼」の店長を兄から引き継いでました。
・2010年にかねてからの念願だったカフェである当店をオープン。
・店名は、店長が若い頃に、バヌアツ共和国で暮らしていて、その土地にあった 人々の憩いの場所である大きなバニアンツリー(菩提樹)を理想として付けた。


・お兄さんは現在、青葉台「壺中天」を経営。
・弟さんは現在、平塚「天竜坦坦麺店」を経営。
・戸塚の花木蘭(ファムーラン)は妹のご主人が経営している姉妹店。



だそうです。青葉台のお兄さんのお店は、恩田駅に近いそうですから、青葉台のi さんや横浜のvafanさんの領域ですね。一度訪れてみてください。私も遠征したいです。今ひとつの戸塚の花木蘭もわかりやすいところなので、なかなか戸塚には行くチャンスが無いのですが、通ったとき寄ってみます。

S.Tさんの再訪

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一昨年の11月に来ていただいたS.Tさんが、Oさんとご一緒にこの週末に再訪していただきました。前回は大変丁寧なご感想をいただき、「壷中の天」に例えていただいた頂きました。ありがたいことです。今回は、和室のユニコーンは演奏会場の再現から、通常の二次元の音の方向に振っていますので、そのご感想もお聞きしたいですね。大きな差は、現在GRFのある部屋で使っているemmと工藤プリアンプが、その時は和室で使われていました。演奏会場にワープしたような「壷中の天」の雰囲気を再現していた機器は、GRFのある部屋に移ったのですが、両方の部屋で同じ音を目指しても仕方が無いので、和室は二次元的な音場に戻し、帯域、とくに低域の調整を主に行ってきました。

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電源部を改良して静かになってきたOさんのDAコンバータは、その静かになった分、低域への伸びになり、大変豊かな音を鳴らしてくれています。前回とは違うアプローチですが、6畳の部屋でなっているとはとうてい思えない音です。最近はとなりのへやでレコードばかり聴いていましたので、和室の音の熟成には私も驚きました。バックロードホーンの豊かな低域は、聞いている人を音楽でゆったりと包みます。GRFにも共通した音ですね。部屋を掃除すると音が良くなるのは、いつものことですが、しっかり掃除機を掛けて準備しました。


準備と言えば、実験室化している大きな部屋の整頓もしなければなりません。お二人が来られるのはお昼頃ですから、まだ一時間半ほどあります。久しぶりにTroubadour80+TW3の微妙な位置調整を始めました。ところが、これが大変だったのです。いつものモノラル音源を使っても、音が収束しません。ほんの少しのズレなのですが、時間もあるので、最初からやり直しました。中高域の80の音を止めて、TW3だけでならして、その位置を再検討します。高域と一緒の組み合わせだと、部屋の左右の形状の差、反射の差が出て、左右の絶対位置はずれています。それを元に戻し、再検討を始めたのです。


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これが大変でした。高域が無くなり低域だけですと位置情報がいっぺんに少なくなります。また、前後に同位相で鳴らしている特殊な方法なので、単純な前後の差では無くなり、部屋の形状の影響を受けやすくなっています。いったん、絶対位置を合わせて、前からも後ろからも聞き比べて前後左右の位置を決めていきます。そして今度は逆にTW3のウーファーを外して80だけで中高域の位置を調整していきます。違いを確かめるために、2〜3ミリでは無く、2〜3センチも大幅に動かしてみました。すると、ウーファーだけの位置を打ち消すように中高域の位置はずれます。


気がつくと、一時間も経っていました。触らなければ良かったと後悔しましたが、やはり音のズレが気になったから始めたので、この微調整の検証は避けられません。将棋や碁の手順やその手が正しいかの検証と同じで、新しい位置と前の位置の差、反対側に動かしたときの差を一つ一つ検証して行くのです。順列組み合わせで手を抜けません。この工程をはしょると不安が残るだけです。それでも、少しずつ実験を重ねて、ピントがだんだん合ってきました。ようやくCDで音の出方を再確認して終えました。時間が無いからレコードでの確認はしていませんが、SPの位置調整ですから、CDで音が合えば充分でしょう。


シャワーを浴びて天気の良い表に出ると、ちょうどお二人が到着されるところでした。そのまま、近くの洋食屋さんへ。来月中に長い間の営業を終わるお店は、少し待ってようやく入れるほどお客さんで満員でした。いつものミックスフライです。左からかにコロッケ・魚フライ・そしてわたしのはエビをチキンに代えてあります。ボリュームたっぷりでしょう!


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戻ってきてからは、和室の音から順番に聞いていただきました。ご感想を楽しみにしています。







和室の音も三次元に

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土曜日に、S.TさんとOさんが来られたとき、最初は和室の音を聴いていただきました。一年半前に来ていただいたときは、和室の方にemmと工藤さんプリアンプがなっていましたので、「壷中の天」と言う望外なお褒めを頂きました。去年の夏前には、追求していた三次元の音がTroubadour80+TW3で出て来ましたので、和室の方は奥行きもないので二次元の音の追求に戻していました。OさんのDACの特徴を活かして、左右上下の壁一面が鳴り響く音の路線です。特に低域の厚みを第一目標にしてきました。それが功を奏し、分厚い音が成るようになりました。

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和室の音をじっくり聴くのは久し振りでした。しかし、一緒に聴いていると低域は迫力有るのですが、やはり音が平面的だと思いました。特に「壷中の天」と評されたときの音に比べると、音場感が無いと感じました。二次元的な展開だけでは、やはり物足りなく感じました。横置きのSP配置だけではなく、より立体的にするには考えました。以前の縦配置にすると、畳み一枚分ぐらい前に出て来ます。六畳間の短辺を使っている配置方法だと、聴取範囲が狭くなるようです。

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そこで、横と縦の中間と言う事で、45度の交差法的な配置にしてみました。この位置は和室にユニコーンを持って来た時にいろいろとは位置を変えて聴いたとき以来でした。交差法的な配置ですから、音は前に出て来ます。そして低域はコーナーに放射されますから、GRF的な響きも出て来て、なかなかいい感じです。ユニコーンをお持ちの椀方さんや、Oさんにも追実験をして貰いましょう。この音も正面で聴くより斜めの位置で聴いた方が部屋を広く使えて良いですね。いつも上の写真を取った位置あたりから聴いています。

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このセッティングで聴いているのは、キタエンコとケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団とのコンビで、ショスタコヴィッチとプロコイエフの交響曲全集を片っ端から聴いています。音質的には、いろいろな録音が収録されていますが、演奏が厚くスケールの大きな音楽が展開されます。45度配置になるとSPの向こう側がコンサートホールになりますね。とくにコントラバスの音が素敵です。このオーケストラは、ケルンの歌劇場のオーケストラですね。ギュンター・ヴァンドが鍛えたとあります。非常に重厚な響きです。それに、ショスタコヴィッチは、12枚組のSACD盤ですが、SACDと思えないほどの安さです。本来は、こうあるべきですね。





S.Tさんの「壺中の天」再訪記

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一昨年の11月にお邪魔した「GRFのある部屋」に今回再訪する機会を得ました。前回の訪問記のタイトルを「壺中の天」としたのは、六畳の和室に入ったら原寸大のイメージで音楽が響くホールが現れた事をこう例えたのですが、2度目の訪問でも、特に大きい部屋の方のシステムで、想像もしなかった音の進化と発展があり今回もまた度肝を抜かれるような経験をしました。最初の訪問記と比較しながら再訪記をまとめてみました。

前回と同様に最初は和室のユニコーンのシステムを聞かせていただきました。今回は一聴してその低音の豊かさに驚きます。前回私が「壷中の天」を強く感じたのはこの和室のシステムでの再生でした。今回はDACが変更されているというご説明がありましたが、「六畳の部屋に原寸大のイメージでコンサートホールが存在するのがありありと実感できる」と言う前回の感想に比較すると、どちらかというと、とても豊かな低域に支えられた左右上下に大きく広がって色彩感豊かな音楽が鳴る、という印象が先ず強くします。その音場は演奏者の少し上から、例えばステージ横の2階席の前列で聞くという感じです。


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GRFさんのご説明では、DACのエージングの進行につれどんどん低音が豊かに伸びるようになったから、そのDACの能力を十分に発揮させるべく、和室の方は少し以前と別のチューニングをしているという事でした。


しかしその音はほんとに気持ちのいい音で、聞いていて自然に顔がほころびそうになります。低域は極めてマッシブでリスナーを押し包むように力強く部屋に充満するのですが、切れとスピード感があり重くないのです。巧妙に設計コントロールされたバックロードホーンの魅力全開というところでしょうか。JBLハークネスもタンノイ・コーネッタと共に永年愛用している私には全く抗しがたく魅力的な音で、GRFさんも思わず「これでオーディオとしては十分じゃないですか」と仰っていましたが、私も全く同感でした。


もちろん低域の魅力や音のバランスの良さだけではなくて、前回感じたユニコーンシステムの魅力である、


・シングルコーン1個の長所がフルに発揮されて、位相の乱れがなく定位が良いこと



・音の立ち上がりの切れというか鮮度の良さ、音が止まってその余韻がフッと空間に 立ち上って漂う感じの表現の見事さ 


・軽く自然に、スピーカーが自ら歌っているような伸びやかさがあり、それでいて力 を出すところは悠然と強力に押し出してくること


など特徴はもちろんそのまま維持されています。


ただ客観的に見ると当日のこのシステムの音は低域が過剰気味でしたから、GRFさんも少し調整が必要かと書いておられますが、このDACの低音の魅力を生かした当日のチューニングは私としてはそのままで聴きたいと思うだけの十分な魅力感じました。


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いろいろなCDを聞かせていただいた中でも、クラウディオ・アラウ/コーリン・デイヴィスのベートーヴェンピアノ協奏曲第5番は、ドレスデン・シュターツカペレの重厚な音がユニコーンの豊かな低音によって見事に再現され、それにアラウのピアノの透明感のあるクリアな大人の音が乗って、全く申し分なく、素晴らしかったと思います。


その後大きい部屋に移ってトロバドール80を独立したウーファーに乗せた2ウエイのシステムを聞かせていただきました。この2ウエイのシステムは、前回お邪魔した時にはまだ試作段階だったのですが、それでもユニコーンとはバックロードの低音の制約から解放されることで次元の違う音の片鱗を見せていました。今回は一年以上の様々な試行錯誤の結果ようやく完成したシステムを聞かせていただいたのですが、その音はただ驚いたと言うしかない変貌ぶりでした。



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何人かの方々が既にこの音をお聞きになっていらっしゃいますが、皆さんその感想を言葉で表現するのに苦労されているようです。私も何とか説明しようと、ここ数日考え込んでいるのですがやはり難しいです。



今はこんな風に考えています。堅苦しく言えば、人間は概念(言葉)という道具を使って物事を考察しますが、その概念を超えるような事象に出会ったときには、その事象は考察の対象外だとして無視するか、新しい概念を作るしか対応方法はありません。思うに、このオーディオシステムが、誤解を恐れずに言えば、今までのオーディオの概念を超えてしまったからではないかと思います。その結果として、表現する言葉が無くて、今まで聞いたことが無い音とか、聞いてみないと分からない音というような表現になるんでしょう。


この部屋で聞かせていただいたCDはどれもこれも、眼前の演奏を聴いているような、息を吞むような生々しさ、目をつぶったら手の届きそうな実在感、三次元的な音場感、でリスナーを圧倒します。結局、このような使い古された言葉でどう書いてみても空しいような気がしますけれど。 一つだけ例を挙げると、クレーメルとアルゲリッチのプロコフィエフ・ヴァイオリンソナタでは、目の前で二人の手が絡み合っているんじゃないかと思うほどで、肉感的ともいえるほどの目もくらむばかりの演奏が再生されました。全く驚きました。言葉の綾ではなく実際この音は「生より生々しい」という気もするし、「どこか違う」という気もするのですが、この謎については今一つの仮説を持っていまして検討中です。


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夕方からの感想戦で焼き鳥をかじりながらGRFさんに「大きい部屋のシステムでは弁証法的に言って、量の変化が質の変化に転化したんでしょうか」と聞きましたら力強く「そうです」という答えが返ってきました。まさにそうですね。


最後は新しいフォノアンプで聞くLPについてですが、これについては以前にこの部屋を訪問された方々が詳しく報告されていますのでここでは簡単に書きます。


フォノアンプの性能は音を拾うプレーヤーの性能、スピーカーの高度な再生能力があって初めて十分に発揮されるものだから、単純にフォノイコの事だけを論じてもいけないのですが、環境がここまでチューンアップされたGRFの部屋では、このフォノイコは素晴らしい性能を発揮しています。その機能の一つを使ってEQの低音上昇カーブを18dbから20dbに上げた時、LPの音は一変します。これまでテープでしか聞けなかった厚い低音域に支えられた豊かなアナログサウンドがLPから聞こえます。全く素晴らしいというしか、アナログ好きの私としては言う言葉がありません。


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どういうわけかこのシステムで聞くLPの音はCDより記憶を呼び覚ます力が強いようです。カラヤン/ベルリンフィルの63年盤LPの第九のリハーサルで4楽章のコントラバスが例のメロディーを弾き出した瞬間に、66年に上野の文化会館で20歳を過ぎたばかりの私が聞いたカラヤンの第九で地底から響くような雄大で重厚な低音弦の音に仰天した記憶が一気に甦りました。


また越路吹雪のベラミにおける67年実況盤の「チャンスが欲しいの」を聞いた途端、ちょっと狭いベラミのホールの音響とダンスフロアの混雑がまざまざと思い出されて、正直なところちょっと涙が出そうになりました。Genmiさんが「オーディオ」を超えて「タイムマシーン」だとお書きになっている通りで、「紅茶に浸したマドレーヌ」にも劣らないほど、GRFの部屋のアナログは昔の記憶を瞬時に呼び覚ます力があるようです。 全く驚きの連続した充実した再訪でした。再再訪では「壺中の天」がどのような変化を遂げているのか、今から楽しみです。おもてなし有難うございました。


早々不一 S.T.


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STさん 早々不一などと、とんでもございません。ご丁寧な感想をありがとうございました。ご指摘のクレーメル・アルゲリッチのプロコイエフのヴァイオリンソナタは、グラモフォンのピアノ録音に特有な、少しだけ望遠レンズで聞いている感じが、あの濃密な音を出しているのでは無いかと思っています。少しだけクローズアップして聞こえるので、音が濃くなって聞こえてきます。従来のクラシックの録音は、あるていど距離を置いているのですが、そこが親密な感じがするぐらい近寄っているのです。ピリシュのモーツァルトのピアノ曲を聴いても同じ感覚に出会えます。


また、最後におかけしたカラヤンのリハーサル盤、そこから聞こえる第四楽章冒頭のコントラバスとチェロの練習風景は、普段聞こえない低弦楽器だけの旋律が聞こえてきます。イエスキリスト教会に鳴り響き音が、66年に文化会館でお聞きになられたカラヤンの第九を呼び起こした事、そして京都三条大橋の側にあった「ベラミ」の音響が、50年も前の光景を一瞬に呼び起こす事など『タイムマシン」が出現したようです。人間の記憶、時間の不思議、音楽の時間芸術性、同じ時間を共有出来る奇跡を感じることが出来ました。


その意味では、実況録音盤は、音楽再生の原点です。ご指摘の同じソースをきいてアナログ再生とデジタル再生のどこが違うのか、その点を今少し追求していきたいと思いました。デジタルとアナログの距離感が違うのもあるのですが。


またお越しください。次回の再再訪ではどのように感じられるかも楽しみです。





「45度の音」

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先週の土曜日は、大先輩のS.Tさんをお連れしてGRF邸の音を聴きに伺い、とても楽しいひと時を過ごすことが出来ました。GRFさん、そしてS.Tさんに改めて御礼申し上げます。

感想については既にS.Tさんがきっちりとお書きになられているので、和室のユニコーンについて少々書きたいと思います。私的には拙作のDACがどう仕上がっているか、半分楽しみに、半分ヒヤヒヤしながら聴いていました。手前味噌ではありますが、和室のユニコーンで驚くほどの低音が出ていました。ふわっと軽く、しかし低音が音の余韻までしっかりと伝えています。人によっては出過ぎといわれるかもしれませんが、この最低音が音場を支え、実在感をアップしていると思います。


音の良い、キタエンコ・ケルンのSACD盤ショスタコーヴィッチ交響曲集で何曲か聴くと、音に包まれて本当に気持ちよくなりました。拙作のDACもやっとここまでやっと来たなー、という感じで感無量でした。


デジタル機器では、特にDAコンバーターが顕著ですが、実は最低音をしっかりと出すことはとても難しいと感じています。アナログ的なS/Nを図ることは当然ですが、その上でデジタルジッターを落とすことで、その揺らぎよる弊害で埋もれている、本来記録されている最低音を引き出すことが可能なのだと思っています。


このGRF邸のDACはもう少し微調整は必要なのですが、今後もGRF邸のオーディオ機器の一員として今後も活躍してもらいたいと思っています。


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そしてその後翌水曜日の遅い時間でしたが、そのDACの微調整のための引き取りで再びGRF邸を再訪しました。「少し聴いていく?」とのGRFさんのお誘いに、是非とのことで和室にお邪魔すると、その時には、いつもの横置きのユニコーンは既に45度セッティングに変更されていました。


以前の横置きのやや平面的ではあるものの、圧倒的な低域で音に包まれる感覚から、奥行き感が出てきてます。低域は少し後退したものの、実在感は変わりません。3次元とは申しませんが、2.5次元位の立体感が出ています。オーケストラでは、各楽器の微妙な時間差による立体感が増してます。


でも本当に懐の深いスピーカーで、上流の再生機器、そしてドライブするパワーアンプの質にどんどん追従しますね。どんな再生機器・アンプでもそれなりになるとは思いますが、改良すればしただけ、ちゃんとスピーカーが応えてくれますから、自作をしていても本当に楽しいですね(笑)


またいつもながら思うのですが、このDDDユニットは通常のスピーカーユニットと違い、指向性が360度なので、一方向から音を浴び続けるということがないので、長く聴いていても聴き疲れが無いと思います。とにもかくにも不思議で貴重なシングルコーンスピーカーですね!早速、拙宅のユニコーンもテストしてみたいと思います。ただし横置きよりも更にシビアなセッティングが要求されそうです。それと見た目も慣れが必要かも(爆)


O


先週の土曜日に、S.TさんとOさんをお招きして、和室のユニコーンの音を聞いていただいたとき、DAコンバーターのエージングが進み、低域の再現性が良くなったので、横位置のままだと、幅・高さは良く出ていますが、その低域が少し膨らみすぎていると感じました。そこでユニコーンの向きを45度は位置にして、縦置きと横置きの中間を狙ってみました。ユニコーンは置く位置や向きによって特性が変わります。1ミリ違えば全くといって良いほど印象が変わります。そこで和室では試したことの無かった45度は位置にしてみました。椀方さんにもお伝えしたら、早速実験の違いが出たようです。


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やってみました!
DDDユニット中心間隔が185センチです。
音場が左右に拡大して聴こえます。


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横から聴くとやや左側に音場が有ります。
今までの縦型並行置きだと部屋の中ほどに音場が有りました

80+TW3の完成以降に

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去年の夏に、一年以上掛けて制作していたGerman Physiks-Troubadour 80 + PSD-TW3のシステムが完成しました。実験中も沢山の方々のご意見を頂戴して開発していきましたが、完成したシステムを聞いていただいた方々の感想記をまとめてみました。ご感想をお寄せいただいた方は24名でした。もちろん、一緒に開発してきた大山さんやHさんは何回も訪れていますし、ご近所のOさんも定点観測で何回も来ていただき感想をお聞きして開発の参考にしてきました。


1. H.Yさんが来られた晩に 本番品が




2. 日曜の朝は椀方さんが 


3. 完成!Troubadour80+TW3/Hさん 


4. Troubadour80+WFの感想/ベルウッドさん 


5. T80+TW3の音/Oさん 


6. Aionさんのご感想


7. Studer B-62/K.Oさん 


8. トロバドールがある部屋/夜香さん 


9. 思いの力 横浜のMさんのご感想 


10. GRF邸訪問記 不思議な音響空間/K&Kさん 


11. BOさんからも 


12. チューバホーンさんのご感想 革命 


13.「スピーカーの存在が消える音場感」/エビネンコさん 


14. ニラさんとgenmiさん 


15. kikiさんのご感想


16. 京都人さんのご感想 


17. ロンドンからのびーさんが


18. 金曜日の夜は京都のKさんが 


19. 土曜日はHenryさんが 


20. 正月早々に レコードの音を/Hさん


21. 横浜のvafanさんのご感想 


22. pat_mthny7205(shigy65)さんのご感想 


23. 大山さんがよられて 


24. レコード音のご感想 genmiさん 


25. S.Tさんの「壺中の天」再訪記 






皆さん、大変丁寧なご感想を書いていただきありがたく思っています。ユニコーンを導入してDDDユニットを使い始めてから、9年経ちましたが、Troubadourでの実験を始めたのは、二年半前に横浜のMさんのところで鳴った80の音に驚いてからです。ユニコーンの様にホーンロードが掛からないので中低域の音がより自在に感じられました。その80の音は、40を上下に二つ重ねての80では無く、深さや迫力が二乗した80に聞こえました。音のダイナミックレンジが80の方があります。リアリティが違いますね。


そして今回のTW3のウーファーの特徴としては、300Hz以下の低域を前後に放射していることです。TW2は46センチの口径を前向きに取り付け、その後ろに今ひとつ同じユニットを取り付けて、同相で駆動していますが、今回のTW3は前と後ろを同じ使用で仕上げて、SPの振動を呼吸球のように同相でならしています。すなわち前に動いたときは膨らみ、後ろに振動するときは知人でいる動きなのです。池に石を落としたときに360度の方向に波紋が広がるようにならしているのです。前後の二方向なのでその境目では逆相になりますが、150Hz以上の全音域は、上のDDDユニットが出していますので、ウーファーの境目はそれほど気になりません。それよりも、前にしかユニットが向いていないSPとの差は決定的で、前ばかりでは無くどの方向から聞いても自然な定位が出てきます。


去年の暮れに、Mola Molaのプリアンプ Makuaが導入されました。当初は、CDやSACDの音で調整していましたが、年末の古希・熟成の会ではじめてアナログレコードの音を披露しました。その前日に初めて聞いた音にはとても驚いたからです。年末から正月の間は、めずらしくブログも更新しないで、レコードの音の調整をしていました。今まで聴いた事の無い音でした。三日の日には連絡を受けたHさんがすぐに来てくれました。ようやくこの素晴らしい音のことを書けたのは、正月も4日の日でした。

そして、7日の日にはpar_mathnyさんと横浜のvafanが来られて聞いていただきました。そして、大山さんがよられて、二人で音の良さについて分析していました。S/N比の良さ、ダイナミックレンジの大きさ、低域の定位感、そして今まで聴いたことのない領域まで再現された低域です。そして、いつも聞いていた越路吹雪の実況録音盤に驚いたのです。オーディオでは無く音楽会の会場にワープするからです。そのような音場は、トロバドールの3次元の音場のemmのCDでは再現していました。でも、レコードが同じように30Hz以下の最低域をあのように再現するとは、思ってもいなかったのです。二人で驚きました。


その後、大阪のHartleyや茅野のESL57、そして和室のユニコーンを聞いて、普段聴いているステレオは二次元の音だと言うことを再認識しました。奥行きが出ていると言われるSPでも、前面だけに放射されているSPでは、奥行き感は出るのですが、2.5次元とでも言うのでしょうか、3次元の音とは違うのです。勿論、充分音楽は楽しめます。右左だけに展開している音では無く、高さも、低域も豊かになるのです。部屋が音に満ちあふれます。中央にいなくても音の定位は動かなくなります。でも、今実験しているような3次元の音場は出ません。3次元の音場では、位相の切り替えスイッチがついているアンプでは、音を瞬時に切り替えると音場が向こう側とこちら側へと瞬時に移ります。これは中央の一点に座って聞いている2.5次元では、その差は音の強弱だけで切り替わったのはわかるのですが、音場が移動するわけではありません。


いま、GRFのある部屋のアナログレコードで再現されている音は、3次元なのです。このトロバドールのSPが有るからレコードのライブ感が聴いたことの無い音場で再現されているのでしょう。2月に入ってきていただいた方々は、のびーさんとgenmiさんでした。都合、6名の方々が、皆さん一様に驚き、今まで聴いたことの無い音だと言っていただきました。誰が聴いてもその差は明らかに出るからです。予断を持たない方が楽しめると思います。オーディオを聴くのはなく、音楽会に行くつもりで来てください。懐疑心を捨てて、身をゆだねることです。ただ、今なっている音に満足されている方は、聴かない方が良いと思います。せっかくの心の安定を壊すことはないからです(爆)。この週末は、2015年に「壷中の天」と評していただいたS.Tさんにも来ていただきました。

五月の連休の時には、レコードによる音楽会を開いてご常連の皆様をお呼びしましょう。オーディオの会ではありません。演奏会を再現する形式でLPを二枚+α掛けます。夕方の開演ですね。その時までに、部屋の整理と整頓を進めなくてはなりません。機器の整理です。今年中には、すっきりさせるつもりです。








渋谷 白寿ホールにて

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二年前に五反田のカルチャーセンターでロシア・ピアニズムの贈り物と言うレクチャーを聴講した原田英代さんの演奏会に行ってきました。会場の白寿ホールは、井の頭通りから渋谷のオーチャードホールに入る一方通行の入り口にあります。小田急線の富ヶ谷駅が最寄りです。何時もオペラシティに行くときに乗る渋谷行きのバスがその富ヶ谷まで連れて行ってくれます。家からバス停まではワンブロックですから、バスが最短の交通手段です。初台のオペラシティまでは30分程ですから、その先の富ヶ谷も40分では着くと思ってゆっくりと家を出て、バスの小旅行を楽しみました。

甲州街道の曲がり角や、中野通りへの曲がり角などは、信号2、3回待ちでしたが、その他は順調で時間通り白寿ホールの反対側でバスを降りました。開場の6時半までまだ10分もあったので、一階で時間をつぶしていたら見慣れたお顔が。長身のAionさんがマフラーだけで来られました。お宅は神泉の駅のそばなので、近いのですが、帰りは寒いのでは思うほど軽装でした。五階の会場までのエレベーターの混雑を避けるため、10分ほど待ってから上がると、ワイングラスを片手にBellwoodさんが待っておられました。私も負けじと、量は多いいけれど、値段は800円もするワインを飲んでいると、エビネンコさんもご到着。連絡は取り合ってはいないのですが、いつものメンツが揃ったようです。



エビネンコさんは、原田さんの「ロシア・ピアニズムの贈り物」の本を熟読されています。わたしは来る前にその二年前のレクチャーの記事を再読して思い出していました。原田さんはどうしたら、会場全体に音を響かせるかの実演をしてくれたのです。その時はカルチャーセンターの教室でした。今日は、音に定評がある白寿ホールの会場です。どのような音を響かせるのか楽しみにしてきました。


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今日は、前半が「シャコンヌ」と「さすらい人幻想曲」です。いずれも迫力のある曲です。どのように音を響かせるのでしょうか?レクチャーでは、ピアノはキーをたたいたときに音が出るのでは無く、ハンマーがアクションして弦をたたくまで意識を持って弾くと音が伸びてよく響くと言っていたのを思い出しました。


ところが、演奏は小ホールを圧倒するような大きな音で始まりました。ペダルを踏みっぱなしのような、開放弦の様な大きな響きです。家だったら、慌ててヴォリュームを絞るほどの大きな音に驚きました。音が響く白寿ホールの特性に合わないような大きな音に驚きました。2000人はいるホールでの音量のようです。響かない池袋や渋谷のホールならちょうど良いのかもしれませんが。そんな中、ブゾーニの編曲のバッハは、どこかオルガンの音が鳴っているような和音が聞こえてきました。ハーモニーの力ですね。


「さすらい人幻想曲」も、最初のテーマが壮大になりました。シューベルトなのに、シューマンのような響きも聞こえてきます。この曲は、河村さんでも聴きました。やはりダイナミック演奏だったのを思い出しました。彼女もロシア・ピアニズムの手法なのでしょうか?第一部の前半は、ボリュームの位置が、一時間半ぐらい大きいまま終わりました。



休憩時間集まった皆さんも同じ感想で、後半はどうなるのだろうかと心配したほどです。


ところが、後半が始まると、ボリュームの位置は適正な音量になっていました。それどころか、弱音の透明さ、響きの奥深さが出てきました。リスト特有の音の切れも出てきて、響きが研ぎ澄まされていきます。ラフマニノフは元々手の大きなピアニスト用の曲です。それがご自分も言われるように小さな手でどんどん進んでいきます。ただ、三連符のリズムの最後の拍子が大きく聞こえるのが、少しだけ気になりました。


すぐ続けて、アンコール曲に入りました。一曲目もラフマニノフでしたが、よりよくなってきました。二曲目のシューマンは言うことありません。そして最後は、お得意のチャイコフスキーの舟歌がすてきでした。繊細さが出てきました。最初にこの曲から入れば、すてきな演奏会になったのにと思いました。来週は、メジュエーワのシューベルト演奏会です。ロシア・ピアニズムを今一度聞いてみようと思っています。


原田さんの演奏会は、これから五年間掛けて、テーマを変えて定期で演奏されるそうです。今回のテーマは「さすらい」です。その後「葛藤」「変容」「統一」「光」というように変化していくそうです。原田さんは、毎年二月から三月、そして真夏に日本に戻ってきます。ドイツでの先生の仕事の空いたときなのでしょうね。これからまだ4回演奏会はあるので、どのようにこの白寿ホールに合わせて音響を合わせてくるのか、来年も今一度おつきあいしてみようかと思っています。





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■原田英代ピアノリサイタル 第1回 <さすらい> J.S.バッハ=ブゾーニ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004より “シャコンヌ” シューベルト:幻想曲「さすらい人幻想曲」 ハ長調 D.760
【休 憩】
リスト:巡礼の年 第1年「スイス」 S.160 より “オーベルマンの谷”
ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲 op.42
【アンコール】
①ラフマニノフ:プレリュード ト長調op.32-5 ②シューマン:「ウィーンの謝肉祭の道化」より 間奏曲 op.26-4  ③チャイコフスキー:「四季」より6月「舟歌 」


■2017年3月3日金曜19:00〜 @白寿ホール





タブレット交換風景

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私の好きな鉄道番組・六角精児さんの『呑み鉄本線・日本旅」で、冬の青森をやっていました。津軽鉄道を乗ったとき、途中駅でタブレット交換のために停車している風景をみました。懐かしい風景です。むかし単線区間を走る列車は、閉塞区間ごとにタブレット交換をしていました。各駅停車は、先について通過する急行列車用にタブレットセットして待っています。それを運転席の横に飛び出したフックで拾っている風景を思い出しました。今まで走ってきた区間のタブレットは、らせん状になったタブレット回収装置に引っかけて通過しながら、止まらずに交換する風景なども60年ぶりに思い出しました。昔の風景です。

弘前から弘南線にのって六角さんは、黒石の街まで雪の中を旅します。八甲田山の麓の街は、昔の儘で残っていました。雁木の様な「こみせ」と呼ばれる雪国独特の通路が江戸時代から残っています。その中の造り酒屋の仕込みを見学していたので、私元、通信販売で取り寄せたのですが、運賃と代引きにとられて随分と高いものになりました。そして、新酒はすっきりと言うことでしたが、取り寄せたお酒は、糖度も0度で甘口でした。しかし、番組を見ている最中に申し込んだので、NHKによる通信販売に乗せられた感じですね(爆)。


五所川原に戻って、冬の夜の街に繰り出したお店は、北国特有で地元の方々が話されている津軽弁は、やはりほとんどわからなかったですね。お店のかたが同時通訳をしているのも面白かったです。言葉が全然わからないのは、津軽と薩摩ですね。


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昨日から、新しいテレビで見始めました。出たばっかりの有機LEです。奮発して65インチを購入しましたので、今までのKUROは50インチでしたから、15インチも大きくなりました。対角線で38センチも大きくなったので、最初の半日はニュースのアナウンサーの大きさにびっくりしましたが、近くに寄っても全く粒子感がありませんから、目の前で見ると、視界が全部画面になり、映された世界に入ることが出来ます。二次元の画面なのですが、立体感があり、実在感が半端ではありません。この旅番組ではおいしい料理が沢山出てきますが、色も自然でおいしそうです。



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部屋を暗くすると、何も写っていないところは真っ黒になります。上の写真は画面を写真で撮ったモノです。オーディオも同じですが、背景が真っ黒になることが大切です。プラズマの画面は自然発光ですから、KUROは真っ暗でしたが、今回のOLEの4Kの画面はとても自然に表現するし、液晶のような角度によって明るさが異なることもありません。待った甲斐がありましたね。自然を映した描写の美しいこと。今回の車窓から写る風景も、夕方から夜の闇に包まれるときの美しさは今までテレビから見ることの出来ない新しい次元の描写力でした。

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タブレット交換は遠い記憶の中の風景にあります。房総半島や小海線や八高線などの単線運転の記憶の象徴なのです。大人からはまだ省線と呼ばれていた時代の鉄道に関わる風景は、その時代の記憶とともに私たちの心の中に静かに寝ているのでしょう。














ヤマハホールのメジューエワ

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ヤマハホールに行くには新橋駅の方が近いだろうと赤坂見附で銀座線に乗ったのが大間違い、溜池山王のホームの人多さに仰天して、なおかつ、虎ノ門と新橋のあいだは、久しぶりに超満員でつぶされました。全く身動きとれぬまま乗ったのはどのくらいぶりでしょう。新橋駅で排水溝にあふれる水のようにはき出されるまで、呼吸も困難な混み具合でした。夕方六時過ぎの官庁のかえりのラッシュアワーなのでしょうか。杉並の家から来る場合、銀座は時間は掛かりますが、地下鉄一本でこれますから便利なところなのですが、赤坂見附で乗り換えてすこしだけでも近い方と選んだのが間違いだったようです。気を取り直して地上に出ると、暗くなった街には冷たい東の風が吹いていました。幸いにも花粉はあまり飛んでいないようです。この時期の演奏会では花粉症が最大の懸念事項ですから。

銀座のヤマハホールは、定員333名の小さなホールです。幅も比較的狭く、先日の白寿ホールよりも小さく、やはりピアノを専門に聞くホールですね。エレベータしかないホールへのアクセスが悪く、また下ろされる七階から、ホールの入り口である八階と称される二階分は優にある階段を歩かされるのが大変です。脚の悪い方は、右側の汎用エレベーターで八階まで行けるのでしょうが、チケットはどうなるのでしょう。そしてお手洗いはその七階にしかありません。このアクセスの悪さは、四人に一人は高齢者の日本のホールとは思えない配慮のなさです。前回の河村さんの時も、ホールの構造に驚きましたが、今回はますます嫌いなホールになりました。いざというときの避難誘導は出来るのでしょうか?


前置きが長くなりましたが、地下鉄の混雑やホールの使いにくさもちろん、演奏には関係ないのですが、次回の文化会館の方に期待しましょう。ヤマハホールですから、今日のピアノはヤマハです。前回、名古屋で聞いたときはスタインウェイでしたが、どこかヤマハ的な響きがしたのを覚えてきます。最も彼女が尊敬するリヒテルは、ヤマハのピアノを弾いていたのですから、ロシアン・ピアニズムには合っているのかもしれません。二年ほど前のレオンスカヤもヤマハを使っていました。


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今日の席も、名古屋の時と同じようにまえから4番目、右側の席です。ピアノの響きが良く、演奏者の表情がよく見られます。演奏中譜面をみつめる彼女の端正なお顔を見ていられる特等席です。前回のショパンの時の表情は忘れられません。


「ところが、その柔らかでしとやかな印象とはうらはらに椅子に座った瞬間、目つきがまったく違い、真剣勝負の気迫がみなぎります。そして、打ち落ろされた音には、度肝を抜かれました。ショパンのボロネーズ第一番です。嬰ハ短調のショパン特有の響きが、予想を上回る音量できこえてきたからです。久しぶりに、調音がしっかり出来て、コンサートグランドピアノ特有の腰がしっかりした音を聴いたような気がします。スタインウェイの楽器ですが、中音の厚みはヤマハのピアノの響きさえ感じます。通常の硬質で、高音がきれいなスタインウェイではありません。ペダルワークの的確さから来るのか、音の重なりと余韻のコントロールが見事で、和音がとても解りやすく聞こえます。
驚いたまま、疾風のようにボロネーズが駆け抜けていきます。二曲目のノクターンは、一転して、柔らかな響きの中に、粒立ちの良い高音の鍵がきらめいていました。そして、ワルツから、バラードの第四番です。この曲ほど、彼女の二面性を良く表している曲は無いと感じました。静かにはじまる導入部。悲しみに満ちたショパン特有の旋律を一音一音響きを確かめながら静かに弾いていくゆったりとした時間。段々盛り上がっていくにつけ徐々に見えてくるショパンの狂気。一瞬の全休止。雪崩打つようにすべてが崩壊していく最後のコーダ。両手が交差しても、目だけは眼光鋭く譜面の中に没頭していく彼女の顔は、すさまじい力で、狂乱のコーダを進行してきます。驚きました。全力で弾いている彼女の背中は首から肩に掛けて、アスリートのように盛り上がり、尋常ではない力がみなぎり、格闘技のように音を切り開き、重ね合わせていきます。眼光背紙を徹するという言葉を思い出させる気迫に溢れた鋭い、真剣で立ち向かう剣士のような殺気さえ感じる演奏でした。驚き、感動しました。」 
と、前回書いたとおりです。ところが、今回のシューベルトは表情が違います。真剣ですが、穏やかな表情で楽譜を見ているのです。もちろん、全音譜面を見ながら弾いていますから、視線は楽譜を追って左上から右下へ移っていきます。結果として音楽の設計図が正確に再現されていきます。空白の時間が過不足無く表現されるのです。それが安心感となって誠実に音楽が進んでいきます。



何よりも音が穏やかで柔らかい。シューベルトは音階が穏やかに繋がります。そして、時々輝いていた景色に雲がかかるように音階が微妙に動き、日が陰り悲しみが姿を現します。D.946の二曲目に現れていました。シューベルトの悲しみは、水車小屋のほとりを流れるきらきら日を浴びて輝く水の流れにも現れます。透徹した空の青さのようなモーツァルトの悲しみとは違い、幸せが移ろいで行くのです。


休憩時間は、先日の白寿ホールに引き続いてエビネンコさんと、感想を延べ合いました。彼は初めて聞くメジューエワの誠実さとエレガンスさに感銘を受けたようです。実際に彼女の真摯な演奏を聴けば誰もがそう思うことでしょう。


後半は最後のピアノソナタD.960です。若い頃リヒテルの演奏を聴き驚き感銘しました。それから、どれだけこの演奏を聴いたことでしょう。リヒテル特有の沈潜した響きでは無く、メジューエワは、むしろ大きめな音で淡々と進んでいきますが、次第に情熱が燃えてきて、裂帛の気合いに満ちてきます。一方、譜面の空間を感じているのでしょうか、音の無い時が止まり、再び動き出す休止符がとても的確だし、大空間を感じさせてくれました。長い第一楽章だけで、感情があふれてきて胸が一杯になりました。


長いソナタを、充実した時間として過ごすことが出来ました。アンコールは、アレグレットと前半の三つのピアノ曲D946の第一番の省略された部分から冒頭の繰り返しを演奏してくれました。アンコールまで統一感のとれた演奏だったと思います。メジューエワさんの礼をする姿が優雅ですね。心に残る演奏会になりました。


2017年3月17日(金) 19:00開演ヤマハホール(東京 銀座)


シューベルト:


2つのスケルツォ D593
3つのピアノ曲(即興曲)D946
ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960
アンコール

アレグレット ハ短調 D915 
3つのピアノ曲 D946 第一番から

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