普段は仕事帰りなど、遅い時間にお邪魔することが多いのですが、この日は久しぶりに早い時間からGRF邸にお邪魔しました。
GRFさんからメールで「お願いがあります」とのこと。大体想像はついていました。それは足かけ3年になるDECCAのDECOLAレストアプロジェクトです。このプロジェクト完結のために、実は最後の1ピースが残っていました。その残された最後の1ピースをはめるのだと。
いつもの和室のユニコーンで少し涼み、巨大な広さを持つ8畳和室の音を聴きました。EMMがとても柔らかい音になっていると感じました。ですが今日はここで長居する訳にはいきません。すぐにGRF(DECOLA)の部屋に移動です。
最初にいつものT4で耳を慣らし、レコードの音をGRFで確認し、取りあえず現状のまま、DECOLAを鳴らします。くだんのフランク永井の実況録音盤から始まり、ウィーンフィルのカラヤン・ベートーヴェン第7番、イッセルシュテットのベートーヴェン第4番、ケルテスなど、往年のDECCAオリジナルレコードを聴きまくりました。
ここで最後の1ピースに手を付けました。そうです。いままでずっとプリアンプ初段管が、互換球であるEF86だったのです。これを本来の球であるブライマーの8D8に差し替えます。慎重にプリアンプを取り出し、ムラードのEF86をそっと引き抜き、ブライマーの8D8にします。
そしてレコードに針を置いた瞬間、世界が変わりました。
かなりの変化に戸惑いつつ、今まで聴いたレコードを再聴し、新しい球を温めていきます。GRFさんも驚きを隠せない様で、更に慎重にレコードを選ばれます。そしてショルティのワーグナー「ライトモティーフ集」オリジナル盤を取り出されました。圧巻の音です。オーディオの醍醐味が此処にあります。DECCAの最盛期に、同社が全力を傾けて開発したFFSS、そしてその優位性を世に問うために作られた「STREO DECOLA」という希有な機器がここに完成しました。
これまで、「DECOLAの低音はそれほど出ない」と呟いていたGRFさんですが、8D8に差し替えた途端、雄大な低域と緻密な音場が出現し、あの広いオーディオルームに音が満ち溢れます。球一つでこれほどまでに変わるのか!!と二人で大笑いしてしまいました。今までの経験では、DECOLAはちょうど真ん中の天板あたりでホログラムの様に小劇場が展開される様な感じで鳴ると理解していましたが、まるで違います。その左右に鎮座坐すGRFが鳴っているかの様に雄大な音場が聴こえてきます。音の堀も深く、実在感を伴って音楽が迫ってきます。
GRFさんが嬉しそうにささやきます。
「どの機器も結局同じ音がして、何かつまらないなあ〜」
僭越ながら突っ込ませて頂きます。GRFさん、あまりにも贅沢すぎます(笑)
思い出せば、2011年の新緑の頃でしたでしょうか?あのDECOLAと初めて対面したのは。それ以降、レストアプロジェクトと題して長い旅路を歩いてきた様に思います。コンセプトは完璧なレストアです。プリアンプ部、モノパワーアンプ2台、電源部、そしてこのDECOLAで最重要機器であるコラーロのプレーヤーとDECCAアーム、すべてを完調にするべく手を入れました。またスポンジフローティングされているスピーカー等も、そのスポンジを新調しました。配線も当時のままを出来るだけ使い、製造された50年以上前にほぼ戻すということです。このレストアプロジェクトはいわば、50年前に遡る旅路であったのだと思います。でも遂に終着点です。これほど徹底的にレストアされたDECOLAを聴かれた事がある人がどれだけいるのでしょうか?得難い体験を共有して下さったGRFさんに心からの御礼を申し上げたいと思います。
Oさん、本当にありがとうございました。足掛け三年掛けて、Decolaの復活を行ってきました。そして、最後のパズルがはまったとき、魔方陣の鍵が解けたように、今までとは全く違う世界が開けたのです。そのあまりの世界の違いには、二人で笑うしかありません。GRFの間で、こじんまりと小宇宙を形成していた貴婦人が、突如そしてパーティーの主役に躍り出た瞬間でした。
今まで、家でDecolaを聴いていただいた方には、やはりこの差を聴いていただかなくてはなりません。恐らく、今まで何をしていたのだと叱責されるのを覚悟で聴いていただくことになることでしょう。辛いけど、楽しい会になると思われます。
GRFさんからメールで「お願いがあります」とのこと。大体想像はついていました。それは足かけ3年になるDECCAのDECOLAレストアプロジェクトです。このプロジェクト完結のために、実は最後の1ピースが残っていました。その残された最後の1ピースをはめるのだと。
いつもの和室のユニコーンで少し涼み、巨大な広さを持つ8畳和室の音を聴きました。EMMがとても柔らかい音になっていると感じました。ですが今日はここで長居する訳にはいきません。すぐにGRF(DECOLA)の部屋に移動です。
最初にいつものT4で耳を慣らし、レコードの音をGRFで確認し、取りあえず現状のまま、DECOLAを鳴らします。くだんのフランク永井の実況録音盤から始まり、ウィーンフィルのカラヤン・ベートーヴェン第7番、イッセルシュテットのベートーヴェン第4番、ケルテスなど、往年のDECCAオリジナルレコードを聴きまくりました。
ここで最後の1ピースに手を付けました。そうです。いままでずっとプリアンプ初段管が、互換球であるEF86だったのです。これを本来の球であるブライマーの8D8に差し替えます。慎重にプリアンプを取り出し、ムラードのEF86をそっと引き抜き、ブライマーの8D8にします。
そしてレコードに針を置いた瞬間、世界が変わりました。
かなりの変化に戸惑いつつ、今まで聴いたレコードを再聴し、新しい球を温めていきます。GRFさんも驚きを隠せない様で、更に慎重にレコードを選ばれます。そしてショルティのワーグナー「ライトモティーフ集」オリジナル盤を取り出されました。圧巻の音です。オーディオの醍醐味が此処にあります。DECCAの最盛期に、同社が全力を傾けて開発したFFSS、そしてその優位性を世に問うために作られた「STREO DECOLA」という希有な機器がここに完成しました。
これまで、「DECOLAの低音はそれほど出ない」と呟いていたGRFさんですが、8D8に差し替えた途端、雄大な低域と緻密な音場が出現し、あの広いオーディオルームに音が満ち溢れます。球一つでこれほどまでに変わるのか!!と二人で大笑いしてしまいました。今までの経験では、DECOLAはちょうど真ん中の天板あたりでホログラムの様に小劇場が展開される様な感じで鳴ると理解していましたが、まるで違います。その左右に鎮座坐すGRFが鳴っているかの様に雄大な音場が聴こえてきます。音の堀も深く、実在感を伴って音楽が迫ってきます。
GRFさんが嬉しそうにささやきます。
「どの機器も結局同じ音がして、何かつまらないなあ〜」
僭越ながら突っ込ませて頂きます。GRFさん、あまりにも贅沢すぎます(笑)
思い出せば、2011年の新緑の頃でしたでしょうか?あのDECOLAと初めて対面したのは。それ以降、レストアプロジェクトと題して長い旅路を歩いてきた様に思います。コンセプトは完璧なレストアです。プリアンプ部、モノパワーアンプ2台、電源部、そしてこのDECOLAで最重要機器であるコラーロのプレーヤーとDECCAアーム、すべてを完調にするべく手を入れました。またスポンジフローティングされているスピーカー等も、そのスポンジを新調しました。配線も当時のままを出来るだけ使い、製造された50年以上前にほぼ戻すということです。このレストアプロジェクトはいわば、50年前に遡る旅路であったのだと思います。でも遂に終着点です。これほど徹底的にレストアされたDECOLAを聴かれた事がある人がどれだけいるのでしょうか?得難い体験を共有して下さったGRFさんに心からの御礼を申し上げたいと思います。
Oさん、本当にありがとうございました。足掛け三年掛けて、Decolaの復活を行ってきました。そして、最後のパズルがはまったとき、魔方陣の鍵が解けたように、今までとは全く違う世界が開けたのです。そのあまりの世界の違いには、二人で笑うしかありません。GRFの間で、こじんまりと小宇宙を形成していた貴婦人が、突如そしてパーティーの主役に躍り出た瞬間でした。
今まで、家でDecolaを聴いていただいた方には、やはりこの差を聴いていただかなくてはなりません。恐らく、今まで何をしていたのだと叱責されるのを覚悟で聴いていただくことになることでしょう。辛いけど、楽しい会になると思われます。