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横浜のMさん邸 再訪

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六月に大山さんの力作、German Physiks Troubadour 80用ウーハー「TW2」を横浜のMさんのお宅に持ち込んでから、もう二ヶ月が経ちました。入念に打ち合わせをしながら、作成されたTW2は、最初から思った以上の性能を発揮して、我々を驚かせました。その音に啓発・発奮されたのが、当人のMさんです。さっそく、愛機のParagonの一段の向上にとり取りかかりました。その結果、さまざまなアンプが持ち込まれ、選択されていったのです。この二ヶ月間は、ある意味完成されたTroubadour80+TW2の音の探求ではなく、如何にしてParagonを、この高みにまで持って行くかという、前代未聞のチャレンジでもあったのです。

360度に音が放射されるDDDユニットと、特異なフォルムを持ってるとは言え、基本的にはオーソドックスなホーン型システムのJBLサウンドとの対決なのです。JBLの音では、恐らく日本中の誰よりも詳しいMさんのお眼鏡にかなったアンプは、何と、かのネルソン・パスの作ったJ-FETの無帰還アンプFirst WattのモノラルアンプSIT-1です。フッターマンのOTLアンプを思わせる、質素なフォルムのシャーシーが、中音用・高音用に4台並んでいました。それに、プリアンプも常用のマランツから、テスト中とは言われながらOCTAVEのプリに変わっています。早速聴かせていただきました。

曲は、いつものグレース・マヤのDUGでのライブ盤から五曲目のモナリザです。

むっ!?

どちらのSPから聞こえているのか、分かりません。たしかにParagonのあたりから聞こえはするのですが、音は広がり、後ろに置かれた柱状音響反射体Sylvanに沿って音が上がっていきます。柔らかく、暖かく、それでいて見通しの良い音は、良い意味でパラゴンのイメージを裏切ります。G1があったころは、もっと、存在感のあった鳴り方をしていたのですが。DDDユニット+TW2のウーハーの歪みの無い音と比べても、全く音に偏ったところはありません。通常のパラゴンからは想像も付かない伸びのある、歪み感が全くない音です。

この音には、驚きました。Troubadour の音の影響がこれほどまで大きいとは、感じませんでしたし、Mさんの努力の深さにはビックリです。ここまで、まったく違うシステムでも同じ音がするのですね。あらためてMさんの耳の確かさに感銘を受けました。JBLのホーンの高効率を活かす、ネルソン・パスの10Wの無帰還アンプが及ぼす音の効果には驚かされます。マルチアンプにすることで、時として感じる、それを個性だと勘違いしているネットワークでの歪み感を廃して、音を文字通りブラッシュアップすると、ここまで上品で、暖かい実在感が出てくるのには驚かせられました。

そのままで、クラシックも聴かせて貰い、パラゴンの音の傾向を確かめました。そして、今日、大山さんと来た目的である、TW2の位置決めです。パラゴンを活かす配置だと、どうしても、部屋の中央には置けず、必然的にパラゴンの外側になってしまいます。その位置だと、真ん中に入る、パラゴンの直接の影響も受けるし、三次元的な展開を見せる360度に拡がる、DDDユニットの良さが出ません。でも、とりあえず、このままでどの様な音がするか聴いてみました。

やはり音が平面的になり、左右のバランスが揃いません。それでもと、オーケストラの迫力を聴くために、ギュンター・ヴァンドの展覧会の絵を掛けたら、大太鼓の音で、真空管のパワーアンプのプロテクターが効いて、音がミュートされてしまいます。モノラル形式の片側100W以上の大出力アンプですが、何回か復帰作業を試みたのですが、高度の保護回路が働き、リセットできません。それで、しまってあったクレルのKSA100を引っ張り出してきて、Troubadour用に繋ぎました。暖まるまでは、少し時間が掛かるタイプのアンプですが、最初から実力をいかんなく発揮しました。

しかし、音色的にはこれで合っているのですが、音の立体感が物足りません。折角の360度放射が活きてこないのです。それで、とりあえず、両方の音が聴ける範囲で、TW2とTroubadourを前の空間に出してみようと言うことになりました。といっても簡単には動きません。力持ちの大山君とMさんが力を合わせて移動させました。そして、聴きながらの位置決めです。大体のSPの間隔を決めてから微調整です。最初は、5センチ単位、それが、2センチ、1センチと時間を掛け、曲を変えて、徐々に追い込んでいき、そして最後は、1mmまで調整したころにはクレルも暖まっていき、プリも本来のマランツ7に変わっていました。

調整用に、持って来たクラシックの盤ばかりではなく、カウントベーシーのビッグバンドジャズや、いつもの家での定番のマーラーの三番も聴いて、スケール感、大太鼓の会場での響きをきいて、最後の調整が終わったのは、11時近くになっていました。

最後の微調整を終えた後は、音が三次元に展開して、上下方向の伸びも言うことはありません。オーケストラが、立体的に展開して、どこで聴いても、片側だけしか聞こえない現象はなくなります。こうなれば、何でも聴けますね。

それにしても、いま聴いているこの音とほとんど変わら無い音をパラゴンの音は驚きました。音量や音質はほとんど変わりません。違うのは、立体的に展開する三次元の音であるか、無いかと言うことです。それでも、パラゴンの音は、普通のホーン型とは違います。音が前に出てくる感じは、Decolaと同じ感覚ですね。素晴らしい音です。

明日、来られるベルウッドさん達がどの様な感想を持ってくれるか楽しみです。



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