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オルガンの響き

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ホテルにチェックインしてからすこし休憩して、会場には六時少し前に向かいました。会場で入場券を引き替えてから、喉が乾いているので一杯やれるところを探しました。この大きなホールは、レストランも併設はされているのですが、大きなコンサートのあるときにしか営業しないのでしょう。ようやく、見つけて喉の渇きだけを癒しました。あとは演奏会後の楽しみに取っておきました。
演奏前にこの写真を撮ったら、シャッター音が会場に響き渡り、係りのお姉さんがすぐ飛んで来て館内は撮影禁止だといわれました。演奏30分も前でも怒られました。演奏最中なら解りますが、会場の写真を撮ってはいけない理由は何でしょうか?肝心なオルガンの写真が無いと始まらないのですが。この写真の真ん中に黒い線が見えるのが、ワンポイントのマイクです。マイクのコードは恐らくステージ上に置かれた録音機に繋がっているのだと思われます。演奏会を録音して出したのが、例のCDですから。
ベルウッドさんは、その様子を見に近くまで寄ってみていました。好奇心が旺盛なのはご友人のhijiyanさんばかりでは無いようです(笑)。ステージ近くの椅子が取り払われているのが解りますね。オルガンのすぐ下もそうです。

オルガンの響きは聴くところで大分異なるそうです。休憩時間に場所を変えてみていろいろためして下さいとパンフレットに書かれていました。休憩中しか動けませんから、二回の挑戦です。後常連の方々は、皆さん二階席と三階席の後ろの方に座られています。ステージに近い椅子は取り払われていて、余り前の方には座られていません。一般のステージ上の楽器ではないので、高い方の方が良さそうなのですが、我々は、まだその音を聴いていませんから、どれほどの音量で鳴るのかが解りません。とりあえず、近い方が良いだろうという単純な発想です。でも、皆さんは、後方のそれも高い位置に座られているのです。

不安と期待の中で、演奏は始まりました。曲目はプログラムによると、

リサイタルシリーズによせて/山本真希

リサイタル第15回は、フランツ・リストのオルガン作品と、彼自身の編曲によるオペラ作品や、同時代に生きたオペラの巨匠たちの名高い作品をお贈りいたします。

オルガン音楽は古くからヨーロッパの教会において、キリスト教の典礼と結びついて発展し、ドイツではJ.S.バッハの時代にその黄金期が到来しました。18世紀後半になると、対位法的で荘重な音楽より、優美なメロディーと澄んだ和声の楽曲が好まれるようになり、また新しく出現したハンマークラヴィーアが人気を集めたこともあって、オルガンは次第に作曲の対象から外れてしまいました。この風潮は、19世紀前半まで約100年近く続きましたが、ドイツではやがてバッハのオルガン全集の出版やメンデルスゾーン、シューマン、ブラームスによって、典礼の枠をこえた演奏会用の美しいオルガン作品が創作されるようになりました。楽器も巨大化して、オーケストラのような多彩な音色をそなえ、表現力の幅も大きくなりました。こうした中で、フランツ・リストの存在はオルガン界においても大きく、その功績は後の世に多大な影響をもたらしました。

偉大なピアニストとして有名なリストですが、オルガン作品でもピアノ作品にみられるヴィルトゥオーゾ的技巧を駆使し、色彩感豊かなオーケストレーションの音色を求めました。大胆でスケールの大きい彼のオルガン曲には、豊かな響きのロマンティック・オルガンの特色がおしみなく発揮されています。

リストの活躍した19世紀中頃、イタリア発祥のオペラも最盛期を迎えました。音楽とドラマ、豪華な舞台美術が融合したオペラは瞬く間に世界に広がり、貴族だけでなく庶民にも愛されるエンターテイメントとして定着しました。ワーグナーは音楽だけでなく、台本や演出も自ら手がけオペラの上演に情熱を注ぎ、同年にイタリアで生まれたヴェルディ、その後継者として活躍したプッチーニも華麗で壮大な名作を数多く世に残しました。

リストは、多くのオペラ作品をオルガン用に編曲しています。編曲を通して、楽器の表現能力を拡大し、また、他の作曲家の作品を広く世に伝えました。

ロマン派時代を駆けぬけた巨匠たちの豪華で壮大な世界と、一台でオーケストラとも称されるオルガンの多彩な響きでお楽しみいただければと思います。

リヒャルト・ワーグナー
♪《ニュルンベルクのマイスタージンガー》より、第1幕への前奏曲
♪《タンホイザー》より、巡礼の合唱

ジャコモ・プッチーニ
♪《トゥーランドット》より、誰も寝てはならぬ

ジュゼッペ・ヴェルディ
♪《椿姫》より、前奏曲
♪《アイーダ》より、凱旋行進曲
 
********* 休憩 ************

フランツ・リスト
♪コラール
♪「アド・ノス、アド・サルタレム・ウンダム」 による幻想曲とフーガ

音量は、思ったほど大きな音ではありませんでした。こじんまりという表現がピッタリです。音色は多彩で、ドイツ製のオルガンのような、茫洋とした感じはなく、はっきりと聞こえます。コンサートホール用のオルガンだからでしょうか?しかし音ははっきり聞こえるのですが奥行きと深みが感じられません。やはりこの場所の問題のようです。

休憩を待って、席を換えてみることにしました。最初は後常連の皆さんが座られている高い位置の二階席に行ってみました。今鳴った響きを思い出して、いろいろなところに座ってみました。一旦は、三階席の中頃にしたのです。しかし、ここだとオルガンから一番遠い位置になります。ベルウッドさんは、三階席の右側ホールの中頃で音圧的には、オルガンに近い位置に移動しました。そこで、私も、ちょうど反対側の左側三階席に移動してみました。その席からは、大体この様に見えます。
これは昨日の写真ではありませんから、オルガンの前に座席があります。昨日はそれは外してありました。そしてこの写真は二階席のようですから、聴いたところは、今一段上がった三階席です。そこは、ホールの中央付近で、先ほど座っていた所より前です。しかし、高さが天井近くですから、違う音がするはずです。

リストの演奏が始まりました。難しい曲ですが、響いてくる音量もバランスも全く先ほどとは違います。やはり高い位置のほうが響きが豊かで会場に響いていく音がはっきりと聞こえます。左側オルガンから放射されて音が、右の後方までとどき残響が聞こえてくるのです。明らかに三階席の方が良いですね。音の厚みや立体感も断然よくなりました。反対側の座席まで音が届いて、反対に反射してくる音も聞こえてきます。このリストの曲は、勿論初めて聴くのですが、大変技巧的にも難しく、足も使って全身で弾きこなす山本さんの演奏にも驚かされました。素晴らしい演奏だと思います。

圧倒的な響きに大変満足した私達は、この演奏会を主催している方に感想を述べて、この演奏会の為に今日、雪の中を車を飛ばしてきたといいますと、ファンの皆さんに感謝のために、昨年末のコンサートでお配りしたCDをいただくことになりました。その頂いたCDに山本さんがサインして頂き、たいへん良い記念になりました。ベルウッドさんも私も大満足です。

小雪がちらつくをすっかり満足した私達は、ホテルで教わった田舎料理のお店に向かい、熱燗で身体を暖めてから、美味しい肴をつまみながら、地元の酒を中心に杯を重ねました。思い立ったら吉日といいますが、新潟まで遠征してきてとても良かったです。皆さんも実際に迫力有る音を楽しんでください。肴もお酒も美味しいですよ。えっ、またオルガンを肴にお酒を飲みに行っただけだって?わはは!良いではありませんか。



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