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Channel: GRFのある部屋
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5月はピアノ演奏会に

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先日は紀尾井ホールのペーター・レーゼルのピアノ演奏会に行ってきました。四谷駅の橋の上に立つと、美しい5月の陽が西の空に輝きを増して沈んでいきます。西向きの車のフロントガラスが輝いていました。
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まだ時間があるので、久し振りに土手の上に上がってみました。陽が当たらなくなった地下鉄の四谷駅には宵の暗さに沈んでいくようです。
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一方、最後の陽を浴びている高層ビルは、そこだけスポットライトを浴びたように輝いているのです。前日までは、爽やかな空気に覆われていたのですが、今日の午後は蒸し暑くなり、初夏に切り替わったみたいです。
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一昨年の11月に7年間続いてきた最後の演奏会が終わったのですが、まだまだお元気で、今回はバッハとモーツァルトの演奏会が開かれました。CD用の収録も行われていましたから、演奏会と録音会を兼ねた公演だったのでしょう。久しぶりに拝見するお顔は、輪郭が膨らみ、すこしお歳を取られた感じはしましたが、70歳を越したぐらいですから、演奏が始まると軽快な指さばきでバッハを奏でていきます。

前半は、バッハのイタリア協奏曲ヘ長調 BWV971から始まりました。明るい曲なのですが最初は、少し重めでしたが、二楽章は情緒溢れる演奏です。音色は三楽章のプレストから明るくなり、三楽章のフーガは、重厚な音色も出て来ました。二曲目のパルティータニ長調BWV828では、歯切れの良い音に変わっていました。精緻で、安定した演奏です。聴いていて安心感がありますね。今日の席は二階席右側です。もともとの席は、ステージ上でしたが、空いていたので、ステージか五列ぐらい離れた、斜め右側からピアノを俯瞰する様な席に変わりました。指さばきは見えませんが、演奏中の顔はしっかりと見えます。

もっとも、河村さんなどと違って、レーゼルさんはほとんど表情を変えませんから、演奏を見ていても仕方ありません。目をつぶるとピアノの音が下から湧き上がり、ホールに響いていく様が聞こえるのです。ただ演奏は、端麗なので、目をつぶりすぎると、睡魔に襲われます。その境界線を彷徨っている内に、前半は終わりました。

右側の二階席なので、ホールを出ると、すぐ売店です。二階席ステージ上にいるエビネンコさんの為に、白ワインを注文しておきました。彼は反対から来るので、時間が掛かるからです。久し振りにおあいしたエビネンコさんは、はじめて聴かれるレーゼルの響きに感嘆したように、感想を述べられます。果樹園のような爽やかな匂いがするとおしゃっていました。

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後半は、モーツァルトのソナタニ長調KV576から始まりました。以前は17番と呼ばれていた18番のこの曲はあまり演奏されない様な気もします。バロック風の対位法で作られており、バッハの曲との共通点も感じられます。複雑で、モーツァルトらしからぬ曲です。三楽章は、ベートーヴェンの感じもしました。

続いて、今日のメインのモーツァルトのハ短調の幻想曲KV475とソナタKV457が続けて演奏されました。何時もこの組み合わせで演奏されることが多いですね。幻想曲が気合いが入っていました。モーツァルトが、その後のピアノ曲に与えた影響の大きさを実感することが出来ました。アンコールは、またバッハに戻り、フランス組曲第5番からガボット、最後は「主よ人の望みと喜び」で締められました。

終わってから、高速バスでひたちまで帰られるエビネンコさんと、いつものピザ屋で軽く感想戦。はじめてのレーゼルをとても気に入ってくれたようで、何だか私も嬉しくなりました。これから夏までは、ピアノの演奏会が続きます。歳と共にますますピアノがす気になるのは、どうしてでしょう?





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