二年前に五反田のカルチャーセンターでロシア・ピアニズムの贈り物と言うレクチャーを聴講した原田英代さんの演奏会に行ってきました。会場の白寿ホールは、井の頭通りから渋谷のオーチャードホールに入る一方通行の入り口にあります。小田急線の富ヶ谷駅が最寄りです。何時もオペラシティに行くときに乗る渋谷行きのバスがその富ヶ谷まで連れて行ってくれます。家からバス停まではワンブロックですから、バスが最短の交通手段です。初台のオペラシティまでは30分程ですから、その先の富ヶ谷も40分では着くと思ってゆっくりと家を出て、バスの小旅行を楽しみました。
甲州街道の曲がり角や、中野通りへの曲がり角などは、信号2、3回待ちでしたが、その他は順調で時間通り白寿ホールの反対側でバスを降りました。開場の6時半までまだ10分もあったので、一階で時間をつぶしていたら見慣れたお顔が。長身のAionさんがマフラーだけで来られました。お宅は神泉の駅のそばなので、近いのですが、帰りは寒いのでは思うほど軽装でした。五階の会場までのエレベーターの混雑を避けるため、10分ほど待ってから上がると、ワイングラスを片手にBellwoodさんが待っておられました。私も負けじと、量は多いいけれど、値段は800円もするワインを飲んでいると、エビネンコさんもご到着。連絡は取り合ってはいないのですが、いつものメンツが揃ったようです。
エビネンコさんは、原田さんの「ロシア・ピアニズムの贈り物」の本を熟読されています。わたしは来る前にその二年前のレクチャーの記事を再読して思い出していました。原田さんはどうしたら、会場全体に音を響かせるかの実演をしてくれたのです。その時はカルチャーセンターの教室でした。今日は、音に定評がある白寿ホールの会場です。どのような音を響かせるのか楽しみにしてきました。
今日は、前半が「シャコンヌ」と「さすらい人幻想曲」です。いずれも迫力のある曲です。どのように音を響かせるのでしょうか?レクチャーでは、ピアノはキーをたたいたときに音が出るのでは無く、ハンマーがアクションして弦をたたくまで意識を持って弾くと音が伸びてよく響くと言っていたのを思い出しました。
ところが、演奏は小ホールを圧倒するような大きな音で始まりました。ペダルを踏みっぱなしのような、開放弦の様な大きな響きです。家だったら、慌ててヴォリュームを絞るほどの大きな音に驚きました。音が響く白寿ホールの特性に合わないような大きな音に驚きました。2000人はいるホールでの音量のようです。響かない池袋や渋谷のホールならちょうど良いのかもしれませんが。そんな中、ブゾーニの編曲のバッハは、どこかオルガンの音が鳴っているような和音が聞こえてきました。ハーモニーの力ですね。
「さすらい人幻想曲」も、最初のテーマが壮大になりました。シューベルトなのに、シューマンのような響きも聞こえてきます。この曲は、河村さんでも聴きました。やはりダイナミック演奏だったのを思い出しました。彼女もロシア・ピアニズムの手法なのでしょうか?第一部の前半は、ボリュームの位置が、一時間半ぐらい大きいまま終わりました。休憩時間集まった皆さんも同じ感想で、後半はどうなるのだろうかと心配したほどです。
ところが、後半が始まると、ボリュームの位置は適正な音量になっていました。それどころか、弱音の透明さ、響きの奥深さが出てきました。リスト特有の音の切れも出てきて、響きが研ぎ澄まされていきます。ラフマニノフは元々手の大きなピアニスト用の曲です。それがご自分も言われるように小さな手でどんどん進んでいきます。ただ、三連符のリズムの最後の拍子が大きく聞こえるのが、少しだけ気になりました。
すぐ続けて、アンコール曲に入りました。一曲目もラフマニノフでしたが、よりよくなってきました。二曲目のシューマンは言うことありません。そして最後は、お得意のチャイコフスキーの舟歌がすてきでした。繊細さが出てきました。最初にこの曲から入れば、すてきな演奏会になったのにと思いました。来週は、メジュエーワのシューベルト演奏会です。ロシア・ピアニズムを今一度聞いてみようと思っています。
原田さんの演奏会は、これから五年間掛けて、テーマを変えて定期で演奏されるそうです。今回のテーマは「さすらい」です。その後「葛藤」「変容」「統一」「光」というように変化していくそうです。原田さんは、毎年二月から三月、そして真夏に日本に戻ってきます。ドイツでの先生の仕事の空いたときなのでしょうね。これからまだ4回演奏会はあるので、どのようにこの白寿ホールに合わせて音響を合わせてくるのか、来年も今一度おつきあいしてみようかと思っています。
■原田英代ピアノリサイタル 第1回 <さすらい>
■2017年3月3日金曜19:00〜 @白寿ホール
J.S.バッハ=ブゾーニ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004より “シャコンヌ”
シューベルト:幻想曲「さすらい人幻想曲」 ハ長調 D.760
リスト:巡礼の年 第1年「スイス」 S.160 より “オーベルマンの谷”
ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲 op.42
【アンコール】
①ラフマニノフ:プレリュード ト長調op.32-5
②シューマン:「ウィーンの謝肉祭の道化」より 間奏曲 op.26-4
③チャイコフスキー:「四季」より6月「舟歌 」
甲州街道の曲がり角や、中野通りへの曲がり角などは、信号2、3回待ちでしたが、その他は順調で時間通り白寿ホールの反対側でバスを降りました。開場の6時半までまだ10分もあったので、一階で時間をつぶしていたら見慣れたお顔が。長身のAionさんがマフラーだけで来られました。お宅は神泉の駅のそばなので、近いのですが、帰りは寒いのでは思うほど軽装でした。五階の会場までのエレベーターの混雑を避けるため、10分ほど待ってから上がると、ワイングラスを片手にBellwoodさんが待っておられました。私も負けじと、量は多いいけれど、値段は800円もするワインを飲んでいると、エビネンコさんもご到着。連絡は取り合ってはいないのですが、いつものメンツが揃ったようです。
エビネンコさんは、原田さんの「ロシア・ピアニズムの贈り物」の本を熟読されています。わたしは来る前にその二年前のレクチャーの記事を再読して思い出していました。原田さんはどうしたら、会場全体に音を響かせるかの実演をしてくれたのです。その時はカルチャーセンターの教室でした。今日は、音に定評がある白寿ホールの会場です。どのような音を響かせるのか楽しみにしてきました。
今日は、前半が「シャコンヌ」と「さすらい人幻想曲」です。いずれも迫力のある曲です。どのように音を響かせるのでしょうか?レクチャーでは、ピアノはキーをたたいたときに音が出るのでは無く、ハンマーがアクションして弦をたたくまで意識を持って弾くと音が伸びてよく響くと言っていたのを思い出しました。
ところが、演奏は小ホールを圧倒するような大きな音で始まりました。ペダルを踏みっぱなしのような、開放弦の様な大きな響きです。家だったら、慌ててヴォリュームを絞るほどの大きな音に驚きました。音が響く白寿ホールの特性に合わないような大きな音に驚きました。2000人はいるホールでの音量のようです。響かない池袋や渋谷のホールならちょうど良いのかもしれませんが。そんな中、ブゾーニの編曲のバッハは、どこかオルガンの音が鳴っているような和音が聞こえてきました。ハーモニーの力ですね。
「さすらい人幻想曲」も、最初のテーマが壮大になりました。シューベルトなのに、シューマンのような響きも聞こえてきます。この曲は、河村さんでも聴きました。やはりダイナミック演奏だったのを思い出しました。彼女もロシア・ピアニズムの手法なのでしょうか?第一部の前半は、ボリュームの位置が、一時間半ぐらい大きいまま終わりました。休憩時間集まった皆さんも同じ感想で、後半はどうなるのだろうかと心配したほどです。
ところが、後半が始まると、ボリュームの位置は適正な音量になっていました。それどころか、弱音の透明さ、響きの奥深さが出てきました。リスト特有の音の切れも出てきて、響きが研ぎ澄まされていきます。ラフマニノフは元々手の大きなピアニスト用の曲です。それがご自分も言われるように小さな手でどんどん進んでいきます。ただ、三連符のリズムの最後の拍子が大きく聞こえるのが、少しだけ気になりました。
すぐ続けて、アンコール曲に入りました。一曲目もラフマニノフでしたが、よりよくなってきました。二曲目のシューマンは言うことありません。そして最後は、お得意のチャイコフスキーの舟歌がすてきでした。繊細さが出てきました。最初にこの曲から入れば、すてきな演奏会になったのにと思いました。来週は、メジュエーワのシューベルト演奏会です。ロシア・ピアニズムを今一度聞いてみようと思っています。
原田さんの演奏会は、これから五年間掛けて、テーマを変えて定期で演奏されるそうです。今回のテーマは「さすらい」です。その後「葛藤」「変容」「統一」「光」というように変化していくそうです。原田さんは、毎年二月から三月、そして真夏に日本に戻ってきます。ドイツでの先生の仕事の空いたときなのでしょうね。これからまだ4回演奏会はあるので、どのようにこの白寿ホールに合わせて音響を合わせてくるのか、来年も今一度おつきあいしてみようかと思っています。
■原田英代ピアノリサイタル 第1回 <さすらい>
■2017年3月3日金曜19:00〜 @白寿ホール
J.S.バッハ=ブゾーニ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004より “シャコンヌ”
シューベルト:幻想曲「さすらい人幻想曲」 ハ長調 D.760
リスト:巡礼の年 第1年「スイス」 S.160 より “オーベルマンの谷”
ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲 op.42
【アンコール】
①ラフマニノフ:プレリュード ト長調op.32-5
②シューマン:「ウィーンの謝肉祭の道化」より 間奏曲 op.26-4
③チャイコフスキー:「四季」より6月「舟歌 」