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Channel: GRFのある部屋
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Decca Mark I SP用

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実に健康的で良いですね(笑)。正しいアナログ遊びですよね。今度はSP盤を持って行かねば! やっぱりプレスリーでしょうか。あと、とっておきのドリス・ディ&ハリー・ジェイムズがありますよ。そうそう、SPと言えば江利チエミと本家パティ・ペイジの「テネシーワルツ」聴き比べとか(笑) (Y)

そうか!このメールを送られてようやくSPを鳴らしてみようと思いました。問題はSPレコードをどこに仕舞ったか?です。十五年以上見ていません。どこかにしまってあるのですが、思い出せないのです。ひょっとしたら、茅野の家に持って行っている気もします。明日や探しですね。どういうわけか、玄関の押し入れにしまってあった、三組のSPを見付け出しました。ワインガルトナーの第九もあったはずなのですが。

とりあえず、見付けたアイザックスターンのSPを掛けてみました。いつかアメリカの友人が持ってきてくれたレコードです。初めて掛かります。針圧はとりあえず5gにして見ました。

ビックリ!良い音ですよ。まるで電蓄のような音がします。ん?これは電蓄ですね。そう意味ではなくSPの蓄音機の音です。音の勢いが違います。

人の声が聴きたくて、レコード棚の一番下を探ったら、出てきました。Fritz Bushのドンジョバンニ1936年の録音です。史上最初のドンジョバンニの商業用録音ですね。この音が凄い!声を聴いていたら、ステレオの様に聞こえるのです。

続けて、ストコフスキー・フィラデルフィアの演奏で、ドヴォルザークの第5番、新世界です。この頃は第5番だったのですね。出版順で番号が振られていたからです。いまは作曲順です。

クラシックでこれですから、江利チエミと本家パティ・ペイジの「テネシーワルツ」の聴き比べ、やりたいですね〜 (Y)さん。


「Quad 愛好会」のお二人が

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今週の連休には、いろいろな予定を入れてあったのですが、葬儀で変更になりました。振替休日の今日の午後だけは千葉からお客さんが来られました。「Quad 愛好会(聴く会)」の会長さんと副会長さんです。「Quad 愛好会」の会則27条には会の内容をみだりに公開しない罰則がありますが、今日はQUADの会ではないので、お二方の暗黙の了解をいただいて、会の内容を少しだけ漏らすことにいたします。少しだけと限定するのは、内容が5時間にも及び、余りにも内容が濃いために、そのすべては到底書ききれないからでもあります(笑)。

副会長のK社長は、レコード愛好家です。本日も私の前回の記事を読まれていて、秘蔵のSP(78回転)レコードをご持参になりました。デニス・ブレインのモーツアルトとヴァンダ・ランドフスカのチェンバロ、そしてリパティのショパンです。盤質も良いSPで最初のデニス・ブレインのホルンが鳴ったとき、三人とも声を上げました。会長のキャンベルさんは、のけぞり笑いはじめたぐらいです。ご自分のレコードなのにK社長も、余りにも蓄音機と違う音に驚かれたご様子。私は、ブレインの特有のホルンが実在感を伴って鳴り響いたので、我ながら驚きました。素晴らしい音です。K社長はやはり電気吹き込みの時のSPは、電蓄で鳴らさないといけないと独り言のように言われました。

ランドフスカのチェンバロは、プレイエル社に特注されたというチェンバロの特有の音がゆったりと再現されました。演奏がゆっくりと聞こえる素晴らしい音です。リパティのピアノは、LP用の録音とSP用の録音が別にされたと言われているそうです。こちらも素晴らしい粒立ちで、SP再生時のDecolaの優位性を再認識しました。

次に、K社長が持ち込まれたレコードは、ミルシュテインのバッハのパルティータでした。見覚えがあるレコードです。でも、その音を聴いて今度は私がのけ反りました。まったく記憶にない音だからです。LP再生には、赤いマークの付いたマーク1のLP用をK社長はご持参になりました。家のLP用よりこなれた良い音がしました。やはりカートリッジは聴きこなさなければなりません。その音は、今まで聞いたことの無い素晴らしい音でした。ミルシュテインが好きで、キャピトルの原盤を私も持っていますが、すべて聴き直さなければと思いました。

キャンベルさんの驚かれる姿も印象的でした。QuadやHartleyなどいろいろと聴いてこられた長いオーディオ人生の方向性を変えるかもしれない出来事でもあるからです。それも180度違う方向へ。足し算のオーディオから引き算のオーディオへの大きな変換点になるやもしれません。

デコラの音は、オーディオ的には大したスペックではないのです。周波数的にはSPレコードの帯域と変わらないほどです。マーク3以外のカートリッジでは、特にその傾向が強まります。帯域の広さより密度の方向です。その密度も濃い方向ではなく、軽い音と言うべきなのでしょうか?実在感のある軽さ、すなわち極めて楽器的な音なのです。

今日は、SPからLPへ。モノラルからステレオへと時代の流れ通りに聴いてみました。ステレオレコードになったのは、二時間以上経った頃でしょうか?気がつけば、GRFの音がなっているような広さに拡がっています。参考までに、GRFの音を聴かれていないK社長の為にGRFもならしてみました。久しぶりのGRFでした。デコラにも負けない良い音でしたが、音場の構成が反対です。45度配置で中央に密度を作ろうとする特有の音場感と中央から拡がっていくデコラの音場はデッカのカートリッジの特有の響きと相まって実在感があります。

実況録音盤の拍手や会場の雰囲気が見事に再生されていきます。定番の越路吹雪・金子由香利・アズナブールが掛かり出しました。運転手のK社長さんには申し訳ありませんが、キャンベルさんご持参の白ワインを開けて日生劇場や厚生年金会館にワープしに行きました。文字通り、記録(レコード)が蘇るのです。不思議なのは最内周に行っても音が悪くならないのです。レコードを聴いている感覚よりテープを聴いているような気が何時もすることです。
 
お二方の感想をお待ちしていますね。

78回転の不思議

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考えてみれば、団塊の世代である私達の世代は、オーディオの機器一つ取っても、激変を経験した世代なのでしょう。小学生の高学年になるまでは、真空管ラジオと78回転のSPレコードしかなかった世代です。最初に回転数が半分ぐらいになった33回転レコードを聴いたとき、なんて柔らかな音がするんだと驚いた覚えがあります。プレスリーでもコロンビア・ローズ(旧い!)でも家にあったレコードはみなSP盤でした。浪曲や民謡もそうです。それがいつの間にやら、ドーナツ盤と言われる45回転シングルレコードに替わり、街角のジュークボックスが普及していきました。今の人はジュークボックスと言われても形も想像が付かないかもしれませんが、私達の世代は、ガッシャンというボタンの感触まだ鮮明に覚えています。

そのLPの時代は、長くは続きませんでした。すぐにステレオの登場です。1959年に録音されたハリー・ベラフォンテのカーネギーホールコンサートを電気屋さんで聴いたのは、1961年頃のことだったと思います。中学二年生でした。その音の素晴らしさに、当時荻窪駅の前にあったメーカーのステレオのデモをやっていたお店に足繁く通ったものです。そん体験が現在まで続いているのですから、思えば50年以上の長い趣味です。

今回、家にやってきたステレオ・デコラは1963年製です。100台の内の80番台ですから、後期の方でしょう。時代はステレオ時代になったところですが、当然、モノラルのLPレコード用のカートリッジ、その頃はまだ主流で、数十年分のSPレコード用の三種類の針を装備していたわけです。ステレオ用のイコライザーはRIAAでしょうが、モノラル用はffrrのカーブだと思われますし、SPはデッカのSP用なのでしょう。モノ用より幾分Highが上がります。その三種類に加えて改良版のマーク2と軽量・ハイコンプライアンスのマーク3との違いも楽しめる、デコラはその頃の最高級システムと言えましょう。

その、三種類の内、78回転のSP用を今回聴いて、驚いたわけです。我々のイメージでは、SPレコードは、元気だけど、シャーシャーという音がする、いかにも旧い音がすると思っていました。勿論盤質や、重量級の鉄針で溝が傷ついていなければの前提ですが、本当に柔らで、暖かく、また力強い音がしました。

レコードは溝に刻まれた波形をそのまま再生すると音になるという、素晴らしい発明です。線速度が速いほうがより忠実だし、情報も多いのです。19センチより38センチの方が音が良いのと同じです。故に33回転より45回転の方が、そして45回転より78回転の方が音が良いのは当たり前の事なのです。しかし、SPレコードは、サウンドボックスからホーンをつかって再生されるという蓄音機の音のイメージが大きかったからです。ハイコンプライアンスのカートリッジで、軽針圧(5g)で、かけたときの音は大変甘く、また力強い音です。デッカのダイレクト発電の優位性がはっきりと音になって聞こえます。


Dolonさんをお招きして

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Avalon Eidolonを素晴らしい音でならされているDolonさんが今年最後のお客として来られました。じっくり聴いていただくために仕事納めの日でしたが、午後から来ていただきました。夜になると、デコラを聴きに夜香さんや先日おいでになったTaoさんも新しいカートリッジの音を聞きに来られる予定です。ただ聞かれる目的が違うのと、はじめて来られるDolonさんとデコラを聴きに来られる方々とではお聞きいただく曲や順番も違うので、ダブったときは別々の部屋で聴いていただくことにしていました。

Dolonさんは、折角阿佐ヶ谷まで来るならと、家に来る前にチューバホーンさんのところへ寄られていました。ただ、今日は定員オーバーと言ってあったので、先日来られたばかりのチューバホーンさんは来られないと思っていたのです。しかし、タクシーで近所でおりて来られたのは、Dolonさんとチューバホーンさんお二人でした。7畳の和室の定員は三人なので、夜香さんが来られたら先にGRFをお聞きいただこうかとも思っていました。

ピンポーンとチャイムがなったのは、Dolonさんが来られてから、15分も経っていない頃でしょうか?時間早く来ちゃいましたと夜香さんが、にこにこして玄関に現れました。こうなったら定員三人の和室に四人入っていただきました。Dolonさん以外は、皆、吸音材のような面々ですから音が吸われて細かい音が聞こえにくくなります(笑)。仕方がなくいつもより二目盛りほど大きい音で聴いていただきました。Dolonさんいつもはあんなには大きな音ではないのですよ(笑)。
   夜香さんが罰ゲームのようだと言われたのはこの状態です(爆)。

仕事納めの日なので、夕方はいろいろと出入りも有ったので、少し長目のマーラーの曲を中心に聴いていただきました。戻ってきては、トニー・ベネットやジョニー・ハートマン、ロイ・オービソン、オッターにアメリンクと声ものを中心になりました。あっという間に二時間が過ぎもう六時過ぎです。次のチャイムはTaoさんでした。Taoさんも入られて初めての五人も狭い部屋に入っていただきました。一番背の高いTaoさんが小さくなっていますね(笑)。ユニコーンの素晴らしさは、狭い部屋をまったく感じさせない広大な音場と最低域まで伸びきった深い音、ダイナミックレンジです。初めて聞かれたDolonさんのご感想が楽しみです。

聞いている間に、近くのA氏さんからも、きょうは仕事納めで早く終わったの寄りたいと!もうこうなったらどんどん来てくれと、雨も降っているし、飲んでしまうからつまみになる物をと頼みました(笑)。。

GRFの部屋に移ってからは忘年会となりました。狭い部屋からようやく開放されたので、まずは乾杯と、Dolonさんがお持ちになったシャンパンで乾杯しました。人数が増えるので、シャンパングラスはあえて出さず、ワイングラスで対応しました。そしてすぐに、白ワインとなりました。そこへ、ローストビーフのサンドイッチと美味しいチーズを持って、A氏さんのご登場。この段階で6人です。

夜香さんのリクエストの渡辺真知子から入りました。それを聴きながら、Dolonさんには、針圧の違いによる音の差を聞いていただきました。SMEの精密な針圧負荷で、0.1gの間隔の間を線一本分の違い、0.1の十分の一で0.01gの違いでどの様に変わるか聞いていただきました。同じようにインサイドフォースキャンセラーも目盛りの白い線一本分動かすと、20センチぐらい寄るのを確認していただきました。アナログレコードの音質はこの細かい調整をどこまで詰めるかによって決まってきます。

酔っ払ってきたので、その辺で講釈は止めて、しばらくGRFの音を聞いていただきました。久しぶりにじっくり聞くGRFはやはりいいですね。大人の音がします。デコラほどではありませんが、時間がゆっくりと流れていきます。何時も、感じていた1968年と1979年の越路吹雪の音の差が縮まっていました。ホールの中に包まれていました。GRFも万かで聞く必要はありません。SPの調整があってくると、どこで聴いても良い音がしてきます。

合わないと右や左に寄ってしまうのです。そして、力感が出て奥行きなる音が鳴り始めるのです。三管の投射管の調整を思い起こしていただければイメージがつかめると思います。その調整をしないできかれて音が悪いと機器を買い換えているのをみるのは忍びません。

白ワインが二本目になる頃、ようやくデコラに移りました。デコラを楽しみに来られている方と、それほど感じない人がいるのは当たり前ですが、音楽感が解って面白いですね。オーディオを楽しまれている方々には、デコラはある種の踏み石になるようです。この音が面白いと感じる人と、ただ帯域が狭い昔の音と感じるかです。

楽しい夜でしたが、あとは良く憶えていません(笑)


これはOさんが、アンセルメの三角帽子を持ってきて、オリジナル盤と復刻版の音の差を聴いているときです。その余りの差が「ファリア〜・・?」ということになったのです。
 

翌朝になると・・・これに日本酒もあったのですが(笑)。

ファイブ・カード?

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一昨日、デコラを聴きに来られたかたがたは、みなベテランで五十代だと思っていました。宴たけなわのころ、皆さんのお年をお聞きすると、1960年から1964年まで、一つ違いで並んでいることが判明しました。Taoさんがストレートフラッシュだと言われたのが印象的でした。最後にジョイントされたOさんが来られる前の事です。

一昨日来られた、チューバホーンさん、Dolonさん、Taoさん、夜香さん、A氏さんは皆さん一つ違いの年子のように並んでいたのです。48歳から52歳までですね。あと二日で、49歳から53歳になりますが(笑)。それより一回りも上の私達団塊の世代もそろそろ世代交代の時期だな〜と、この光景を見てて思いました。

翌日の昨日の夕方は、同じ歳同士があつまる年末恒例の忘年会でした。いつものようにワーグナーが大好きなN君、工藤システムを使っている高円寺のM君、そして、吾輩は猫であるで登場したO君です。いつもはこれに、S君が仕事を終えて加わるのですが、今年は体調を壊して電話参加でした。全員が揃えば一国一城の主ばかりが揃う最強のファイブ・カードだったのに残念でした。誰がジョーカーなのかは問いませんが(笑)。夢中で走ってきた我々も、そろそろギアを入れ替える頃なのかもしれません。

N君とS君は音楽好きだけど、それほどオーディオ好きではないので、SD05とT4のシステムを奨めました。何時も少し早めにきてワーグナーを楽しむN君のために、ユニコーンでニルソンとホッターのワルキューレを聴いて貰いました。大音量できくニルソンはとても人間の声とは思えない音の伸びとコントロールです。また、深々としたホッターの声は、神々の王ヴォータンを歌うにはもってこいの声です。フィルハーモニアの演奏もとても良いです。何よりもこの演奏が録音された1957〜1958年のシーズンはコヴェントガーデンで、上演されていてホッターのもっとも脂ののったときの声です。二人で感心しまくっていました。

そこへ、高円寺のM君が女性陣向けのケーキを持って登場です。昔はカントリーや歌謡曲大好き人間だったのですが、最近はバッハ以前の曲や古典系の演奏家の優秀録音をオール工藤さんシステムで聴かれているので、リクエストされるCDは家では聴かない曲ばかりです。この暮れなのに、一人まだ仕事をしています。忙しいことはいいことです。息子さんも二人手伝いはじめたので、将来は明るいですね。

N君は、寒いこの頃は車で来て飲まないで帰るようになりました。今回も最初は遠慮していたのですが、私とM君に説得されて代行で帰ることにしました。それからは安心して赤ワインを!結局3本あけました。寝ているのに、ワインがないと催促していたM君の今朝は大丈夫だったのでしょうか?

デコラもお聴かせしたのですが、前日Dolonさんのためにしっかりと調整してあったGRFの世界が気持ちよいと言うことで、GRFがメインになりました。赤ワインとGRFはよく似合いますから。久しぶりのO君は、ファインメットに改良した6550は初めて聴くので、その差の大きさに驚いていました。音が前に飛びだしてくると喜んでいました。そうそう、真空管アンプマニアの彼は、ユニコーン用のプリとメインアンプにも興味津々。いろいろと質問されました。私は、何を使っているから良い音ではなく、どのように使いこなすかだと思っていますので、アンプは良い音がするか、しないかの単純点で決めています。もちろん、部品の精査や吟味は必要ですし、それは方法です。問題はどの方法に進んでいくかの決定ですね。

デコラが入ったおかげで、私のレコード熱も再燃しそうです。日本有数なレコードコレクターのO君に自慢するのも何ですが、SAX盤のSzellがあと4枚、ASDも含めたClyetensがあと2枚とちょっぴり自慢したら、彼はすでに全部持っていました。少しガッカリです(笑)。しかし、レコードを聴きながら皆が異口同音に言ったのは、デコラはテープの音がすると言うことです。レコードの不安定さがないのですね。堂々と押し出してきます。安定感と信頼がやはりオーディオの決め手ではないでしょうか?

冷たい雨が降る中、皆さんが帰られていきました。来年も同じメンバーで再会したいものです。この家が出来てからはじめた15回目の忘年会が終わってそう心の中で願いました。





足かけ七年目に

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2006年の4月にブログなる物を初めて、明日で足かけ七年目を迎えます。三日坊主のじぶんが好きなことだけしか書かないとはいえ、よく続いてきた物だと感心します。いつの間にか、記事の数も1100を越えました。毎日訪れてくれる方も500名を越えています。毎日、のぞきに来てくれるのは嬉しくもあり、恐ろしくもあります。断捨離が出来ず、いまだに収拾集に走っている身なので、端から見ればゴミがどんどん増大し、足の踏み場も無いくらいです。何とか掃除はしているので、人が来られても呆れられるだけで、実害はないはずですが・・・。

あれもこれも、出会った物は一旦使ってみなくては解らないという、よく言えば探求心の旺盛な、悪く言えばただ好奇心だけで、いろいろな物と出会ってきました。忘れっぽい性格でなければ次から次へとは始まらないのですが、反面、一旦はじめた物はかなりしつこく続けているようです。その一番の例が、このオーディオですね。ラジオから通算すると55年以上になるかもしれません。ステレオに目覚めてからだって50年以上は続けています。

長年やってくると、だんだん解ってくることがあります。もちろん、失敗も山ほど有るのですが、一旦使い始めた製品はとことん探求してみることが大事ですね。そうすると使いこなしのキモが解ってきて、だんだん素直に扱えるようになります。時間のフィルターに生き残った物だけを使っていることになるからです。

一昨日のユニコーン・GRF・デコラが良い例ですが、どれが一番良いと言うものではないのです。時代も目的も違いますから。先日来られた方々は、その三つの中でピッタリ来るところがあるのですね。そして、50年前にオーディオはもっと楽しかったと言うことも実感して貰えたのではないかと思います。

Dolonさんは掛かった昭和歌謡について、テレビの音しか知らないから、レコードから掛かった音とテレビのイメージの一致が出来ないと言われたのが象徴的でした。生まれる前の経験は皆無いのです。私たちのいわゆる団塊の世代が生まれたのは、戦争が終わって二三年後です。まだバラックばかりだったはずです。つい二、三年前の記録も姿を変えると知らない世代は知らないのです。

昭和歌謡もそういわれて、そうなんだと、その世代の差を実感しました。世代が変われば聴く音楽もまったく変わると言うこともです。クラシックを聴いておらられば、クラシックですから、演奏は変わっても曲そのものは同じです。jazzも同じでしょう。しかし、POPSやロックをお聴きになられている方の世代差は大変大きいですから、知らない物は知らないという状態になるからです。

それでもよい音楽は、時代を超えて楽しめます。私が弱いのは、耳が壊れそうな大音量で聴かれているオーディオです。実際、二、三日耳が難聴になったこともあります。昔のディスコのような大音量の低音も駄目です。そんなところには、、とてもいられません。往々にそれらの大音量派は歪みもそれなりに発生していて、その三次歪みに弱いのかもしれません。クラシックでは、電気的な持続音はありませんから、大音量がでても、すぐに減衰していきます。PAの大音量は私のオーディオの範疇には無いのかもしれません。

横浜のMさんもライブの雰囲気を大事にされていますし、部屋が大きく音響的なボリュームも大きいので、通常の音よりは大きいのですが、それでも心地よく感じる音量感です。CONEQで音響的なバランスも取ってあるし、飽和する所が無いように入念に調整されているからだと思います。それ以上大きな爆音を出されている方もありますが、私のオーディオの範疇ではないようです。心地よさは大事な要素ですね。

7年目を迎えて、老人力も大分付いてきましたから、少しペースを落としながらゆったりと進んでいきたいと願っています。今年のリストには、まだ38/2トラの挑戦も含まれています。来年こそ、Telefunkenのマスターテープが動き出します。なんと言ってもソースはテープですから。





年の瀬に

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先日来、待望のデコラが稼働して、長い間お待たせしていたお客様をお迎えしておりますが、その折りも、はじめて来られるDolonさんには、ユニコーン、GRF,デコラと三種類の違う音を聴いていただきました。現代の最新鋭の音から、時代を遡り、50年代のLPやSPの音まで聴いていただき、皆さんには楽しんでいただけたようです。オーディオのベテランばかり7人も集まると、当然好みの音や聴く音楽が違い、好きな音が分かれていくようです。

私自身はどの音が良いのですかと言われましたが、子供に優劣が付けられないのと同じに、それぞれの長所を愛してあげれば、思いも掛けぬ感動が戻ってくることもあるようです。

オーディオ的に言えば、
DYNAUDIO "Consequence"→German Physiks "Unicorn"→Hartley "Concertmaster VI"→TANNOY "GRF/Monitor-Gold"→QUAD "ESL57"→DECCA "Decola"の順番でしょう。

レコードファンは、ちょうど、この順番の反対かな?

私の中では、音場型のSPと音質型のSPの二種類に分かれて存在しています。音場を出す筆頭は、やはりGRFです。45度配置から音が前に飛びだしてきます。初めて聴かれた方は相当驚かれるようです。デコラも逆オルソン型の変形で、音が拡がり独的の音場感が漂います。後ろにしっかりした壁があるところに設置したら驚くほどの広がりを見せるでしょう。音場型では、上には書かなかったPSDのT4も平行法にしたとき見事な奥行きを出してくれます。

音質型のSPは、位相差や形状の関係からそれ自体は、音場を再現しないのですが、SP自身が音源となって、会場に窓が開いたようにステージが見えます。その窓の大きさが大きくなれば、会場にいるのと同じ様な響きの中にいることになります。音場型は、ホールを二階席から見下ろしている感じになるのに比べ、一階席の前の方で直接オーケストラに対峙しているような感じになります。音楽と一体感が生まれ音に包まれる感じになるのです。一般的にオーディオファンが目指しているのはこちらの方向だと思います。

帯域の広さと音の実在感で他を圧しているのは、やはり"Consequence"です。二年前の11月に久しぶりにベストコンディションで鳴ったときは、神様が降臨なされたと言われたぐらいの奇跡の音がしました。そして実在感で驚くのは、横配置にしてステージを目一杯拡げたときのHartleyの音です。帯域の広さは比べようもありません。後面開放の61センチウーハーの大太鼓の音は皆さんに一度聴いていただきたいほどです。

不思議なのは、ユニコーンとESL57の音です。ユニコーンは大変ユニークな360度放射型のSPで、うつぶせになっている後面(普通の感覚で言えば前面)からしっかりとロードのかかったバックロードホーンの音が前後(または左右)に放射されるフレーム感のない音です。壁から20センチほどしか離れていない設置にもかかわらず、後ろの壁が消える音は、狭いリスニングルームしか取れないお父さんが泣いて喜ぶと思います。何しろ、その低音の実在感が凄いのです。

一度、チューバホーンさんを部屋を真っ暗にして聴いていたただいたら、本当にコンサートホールにワープしたようだと驚かれました。先日来られたDolonさんも、「そのステージの高さ、雄大な低音の再現は圧倒的で、私は唖然として、かつうきうきとして聴いておりました。輪郭感が全くなく、しかししっかりとウェイトのある充実した個々の音像がそこに確かにあるのですが、どこからそれがやって来ているのかわからない、という不思議さ。・・・とにかく、このユニコーンの和室は、異次元な空間でした。素晴らしい体験で、大いにインスパイアされました。オーディオは和室6畳でなんの問題もない、とは・・・脱帽です。」書いていただきました。

そして、私にとって、もっとも不思議なのは、茅野の家に置いてあるESL57の音です。ピッタリと左右の間隔を合わせ、完全に平行法に置くと左右のパネルが大きな1枚のパネルになり、それがコンサートホールに開いた窓になる不思議な感覚。その低域のリアリティのすごさ。どなたかがQUADの平面SPは低音が鳴らず、ヴァロック音楽には最適だと書かれているのを見て、可哀想になりました。マーラーやブルックナー、そしてリヒャルト・シュトラウスの 大編成のオーケストラをCDから聴いてみて欲しいと思っています。

もし一つだけ手元に残すとしたらどれを選ぶと聴かれたことがあります。その場合は、私はESL57をそのコンパクト性も加味して選ぶと言いました。より狭い部屋ならユニコーンですが。

言い換えると、GRFやデコラ、HArtleyや"Consequence"は大きな空間がないと鳴らないSPなのです。断捨離に反対しているコレクターの森永さんにならて、田舎に大きなスペースを確保しなければなりませんね。丹波の山奥に居を構えた白いお髭のウサギさんを見習わなくてはと思っています。地方では過疎化でどんどん人が減っていきます。そのまま朽ちていく素晴らしい民家が沢山あるのです。それらを活かして、オーディオ博物館でも作りたいと本気で願っています。4トラックテープだけでも2,000巻になりました。とても手元には置けません。問題は保存していくのに最適な環境です。もちろん若い管理人も必要ですね。

オーディオの喜びを次世代の人に伝えていく義務が、先輩の経験を引き継いだ我々の責務です。いま思えば、ゴローさんも、その意味で積極的に若い人をご指導されていました。九州や北海道まで足をのばされて、実際に指導されていたのです。幸運にもゴローさんから直に薫陶を受けられた方々が、これからも一層オーディオに邁進されることを願っています。受け継ぐべきは、その前向きな姿勢です。音楽に対する愛情です。

年の瀬に、この様なことを考えています。

年末の忘年会で風邪を・・・

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ここのところ、高齢の母が、病院に通っている関係上、なかなか、家でのデコラのお披露目会が出来ず、皆さんにご迷惑をお掛けしています。ただ、今年の冬は特に寒く、電車通勤をなさっている方も、マスクなどして風邪の予防に努めて居られると思います。ノロウィルスもはやっており、あれは胃腸に来る風邪ですから、掛かると塩素系の消毒をしないとまた伝染するようになります。娘夫婦もノロウイルスに掛かり、孫を気遣い看病に行った実家の母も感染して往生したようです。私も、母に移さないように風邪の予防に努めていました。子供の頃に扁桃腺を切られてから、予防線がないのですぐに風邪がうつります。仕事の打ち合わせの時も、風邪を引かれている方との面会はなるべく避けているぐらいです。

年末のデコラのお披露目では、狭いところに数人の人が集まるので、内心風邪の人がいないことを願っていました。しかし、そういうときに限って、風邪を引いている人がいるのです。もちろん確率的にも今の時期は必ずいるのですが、現状の事情を話しておけばよかったと後悔しています。というのも、48時間経って当方のリンパ腺も腫れてきて熱も出てきました。明日の新年会も母に移さぬようにマスクをしなければなりません。睡眠をしっかり取って、体力の維持に努めてきたのですが、残念です。

この季節、長い間狭い部屋に一緒にいるオーディオ訪問は、風邪を引いているときには自発的に遠慮しないと、その訪問先の家族全員にも移す可能性があります。幼い子供や高齢者が居られる家には、気を使わなければなりません。もちろん、ノロウィルスも同じですね。また病院内では、抗生物質に対抗性のつよいMRSAなどもはやっていて、治療のために病院に行ったのに、致命的なウイルスを移されることも少なくないのです。空気が乾燥するこれからの季節、ますます気をつけなければなりません。

風邪の菌ばかりではなく、SARSの再流行も懸念されています。香港で発生すれば、48時間以内に日本にも感染して発症します。入国管理は感染症は予防できないわけですから。そのいみで、沢山の人が行き交う駅の構内や地下鉄のホームはその懸念が強まります。一時間以上同じ人達に囲まれる遠距離通勤も同じ様なリスクがあります。マスクの着用は大切です。でも予防より掛かっている人がして欲しいマスクです。

最近の若い人や、外国の方はむかしのような気を使い合いません。傍若無人なくしゃみを方々にまき散らしているマナーの無い人も増えてきました。高円寺や阿佐ヶ谷も外国の風習の違う若い人がとても増えています。日本的なマナーも学んで欲しいですね。つばをむやみに吐かないのもその一つですが。もっとも、前面歩行禁煙になった杉並区でも裏通りに入るとたばこを吸い始める人も多いのですから、マナーに頼るだけでは難しいのかもしれませんね。

大晦日の晩は、風邪を引いてしまったこともあり、家人とは離れて、撮り溜めたヴィデオの整理と観賞にあてていました。1080pの最新型プロジェクターも考慮中ではありますが、再生プレーヤーにoppoが入ってからは、720pの旧型の解像度でも、十分楽しめます。14ビットの旧型のCDプレーヤーでも、勘所を押さえてあれば十分楽しめるのと同じでしょうか?このプレーヤーも購入したときは数十万円しました。ところがスペック的にはまったく時代遅れですが、実際見てみると結構楽しめるのです。スピーカーはGRFですから、音が自然です。



あけましておめでとうございます。

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2013年の夜が明けてきました。穏やかの風景ですが、今年は大変な年になる気がします。
雲に隠れていた朝日が顔を出します。
朝日が富士山を照らしはじめました。
屋上のアンテナには、めずらしくカラスではなく、二羽の鳩が。そういえばこのところ、カラスの姿を見かけないような・・・。



お便りありがとうございます

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先日来、何かご質問があったらご遠慮なくメールでご連絡くださいと書きましたら、数名の方からご連絡をいただきました。直に反応があるのは嬉しい物ですね。定番のSPの置き方の方法や、細かい調整の仕方、タンノイをご愛用の方、ユニコーンが気になるけど手に入らないけどどうしたら言いかとうのご質問です。

調整は、実際にその方のお部屋にお邪魔しないと細かいところまでは、解りにくいとは思いますが、現在の写真をお送りいただき、その写真から気になったところをお伝えしたりしました。写真を拝見すると、大体どの様な音がしているか、想像が付くからです。ほとんどの場合は、オーディオ雑誌のレイアウトに準じて配置されています。その配置が、本当は音に枠をはめていることが多いのが、オーディオの常識の罠ではないかと思います。

いつもお話ししていますが、SPの向きを内向きから正面に向ける、すなわち平行に置いてみると、いろいろなことが解ってきます。そのままで後ろの壁から引き出して前に持ってくるとおなじSPとは思えないほど楽々と音がなるポイントがあります。長方形の部屋を縦型に使っている時は、大体部屋の四分の一付近まで引き出してみると、音が自然に歌い始めます。その段階で、平行にして間隔をすこし狭めてみます。左右のSPの中心からヴォーカルが聞こえるポイントがあります。波の様に距離によって交互に現れます。そこが見つかれば、ほとんど完成なのです。

その位置を、写真からアドヴァイスして見ました。ご自分が納得して、そのポイントを探してみるのが一番です。コツが分かれば、再現できるようになります。何時も言いますが、双眼鏡の左右のピントのようにあった瞬間に立体像が、大きく表れるのです。その瞬間は、大きな驚きと感激ですよ。

とりあえず、平行法で後方に広く拡がる音場を味わってみてください。もちろん、音場がでるタイプと出にくいタイプのSPに分かれます。一言で言うと3ウェイ以上のSP構成では、なかなかSPが消えるような音場感は出にくいでしょう。また、正面から見て面積が大きな昔のタイプ、例えば4343などは、やはり音場が出にくい代表格でしょうね。反対にヴァーチカルツインタイプの9500などはもとのままの2ウェイで使えば聞こえてきます。しかし、3ウェイ・4ウェイとSPの位相管理が難しくなってくると音場感は減り、音質で勝負するタイプになってきます。家では、Hartleyの4ウェイや"Consequence"の5ウェイなどがそうです。

位相特性がよく揃ったSPで後ろへ上手く音が回折するタイプのSP、筆頭例はノーチラスでしょうが、45度の交差法配置がよく音がなります。QuadのESL63以降も45度が良いようです。反対の逆オルソンや思い切った対面配置でも音は自然になります。

ユニコーンはユニークな構造です。バックロードホーンの出口が、ユニットを前に持ってきた縦方向の配置では左右に、UNICORNさんや私の様に横配置で置いた場合は、前後にロードの掛かった低音が出てきます。そして中音以上は上部の一角獣の角のようなSPから360度に音が放射されるのです。その為、ふつうのSPのような前とか後ろに展開するような音場は出てきません。その代わり、SPを中心にした空間が異次元に紛れ込んだように音で埋まるのです。そのさまはまるで魔法のように空気が変わるのです。ですから部屋の大きさには余り左右されません。

狭い部屋でも壁が無くなり、壁の反射を聴いているような持ち上がった音はしないのです。六畳で十分な音がする得難いSPですね。もちろん実際に聴いてみなければこの音は想像が付かないとは思いますが。

年末からブルーレイに録り貯めていた数十巻のヴィデオを見ています。いまだに720Pの時代のプロジェクターを使用しているといましたが、やはり近寄ってみるとパネルのマスが見えてきます。黒の沈みも薄く、いろいろ気にはなってきましたが、部屋の遮光や壁の白さを考えると、中々新規のプロジェクターには投資する勇気が得られません。そうはいっても相変わらずSP方面には投資を行ってしまっています。明日、去年取り損なったドラゴンタトゥーの女の三部作目を見たら、またしまい込むつもりです。





リスクを負うと言うこと

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考えてみると、50年以上も趣味は音楽とオーディオ一筋でやってきていますが、あまりオーディオ店とは縁がなかったようにも思えます。強いて言えば、パーツ屋さんと中古屋さんぐらいかしら。貿易関係の仕事をするようになってからは、海外格差が余りにも大きいと知って、ほとんど新品の装置を日本のお店から購入することは無くなりました。それも無理ないことで、私も輸入販売業も行っていますので、その海外から取り寄せるリスクの大きさを実感しています。

私達の年代は、自分でアンプを作るしか方法がなかった世代でした。日本には数えるほどのメーカーしかなかったし、海外格差は絶望的なほど大きかったからです。それは、40年前の外国製品がいまだに中古市場で取引されている現状を考えれば解ります。特に、オークションが普及してからは、ますますその傾向になってきました。

海外から直接輸入する切っ掛けは中古のレコードでした。二十五年ぐらい前、初期盤のブームが始まった頃、仕事の関係で、イギリスにでかけることが多く、ロンドンやその郊外の中古レコード屋を訪れることが旅の終わりの日の唯一の楽しみでした。そこで、50ペンスや1ポンドの、いわば古本屋さんで言えば、店頭の100円本見たく並んでいたモノラル盤を沢山購入しました。帰りのスーツケースは、重量オーバーぎりぎりまで膨らんでいました。50枚ぐらい買っても、お店に行くまでの電車賃やタクシー代の方が高く付くほどでした。

CDに切り替わっていくときで、中古業者達は二束三文で旧いレコードをイギリス中から買い漁って、価格がつきそうな盤だけ残しておく方法でした。それは初版と二版しかありません。あとは廃棄して価格の上昇を計っていたのです。店の中にも高価な盤は、まとまっては置かず分散されていました。盗難等を恐れてのことでしょう。取引は現金のみでした。余りの態度の悪い店主はまるで麻薬の密売人のような倫理観のない、まるど山椒大夫のような悪人でした。少なくともレコード棚におかれた貴婦人達が奴隷市場に連れてこられたように思えたのです。考えてみれば、自分もその奴隷を買いにきた醜い客の一人なのですが。日本に持って帰ってきてから、一枚一枚アルコール消毒したのを憶えています。

そうした折りに、円が80円になったとき、この間までそうでしたが、思い切って海外から"Consequence"を取り寄せたのです。MITのケーブルも、半値以下で買えた香港まで行ってきました。最近のDecolaもイギリス国内向けのオークションでした。落札してからもイギリスの友人にいろいろと引き取りとか梱包のアレンジをして貰いました。その他のタンノイ関係の旧いスピーカーもそうですね。Nagra関係はそれこそいろいろなところから購入しました。そうやって世界中から素晴らしい機器が来るようになりました。もっとも、日本の専門家にメンテナンスをお願いしなければ、十分な性能はでません。

しかし、大事なのは、自分の決断に責任を持つと言うことです。何かあれば、販売店がどうにかしてくれると、自分達は王様だと思っている人達がどんなに多い事か?裸の王様ですね。自分の音を販売店のサービスに頼っているのです。専門誌の美辞麗句を信じて買っているのです。缶ビールの原価はいくらだという事を知ると、流通経費とパッケージ、そして宣伝費に多大な費用が掛かっている実態が解ります。それらを日本の代理店はすべて自腹でやっているのですからリスクの多い商売ですね。

そのリスクを自分で負えれば、その分は楽になります。中身の音だけで勝負する真剣勝負ですから、技量はたちまち上達するでしょう。ただ、オーディオを音ではなくお金で判断する傾向があるのは、仕方がないことで、着ている物や車で人間は判断されるのですから。しかし、自分の耳と経験を活かして、思い切ってリスクを取ってみることです。その瞬間、世の中の見方が変わることでしょう。






今年最初の訪問者は

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昨日は、お正月も四日目。仕事始めもあり、半分動き出しました。午後からは、定点観測にベルウッドさんがデコラで聴かれるレコードを抱えてこられました。来られる時間になって表に迎えに出ると、本当に身を切るような寒さです。しかし、ユニコーンの部屋で6時間も滞在されて、デコラを聴かれた時間は二時間ほどでした。どうして、そんなにユニコーンに時間が掛かったと言えば、簡単です。過去、装置の調子がいまいちだったり、他のお客さんと同行されていたりで、なかなか聴きたい音が聴けなかったので、今日はそこを重点的に聴いていただきました。

ベルウッドさんが来られるときに不思議に何かが起こっていたのです。プリアンプが急に具合が悪くなったり、ユニコーンの交換の前にこられて音の漏れで低音が出なかったりで、何時かしっかりとした、調子のよいユニコーンを聴いていただきたいと思っていました。しかし、どうしたことでしょう、今回も音が甘くなっていました。高域の分解力がいまいちなのです。前日、CD34改とemmの音の差を少しでも少なくしようとケーブルを換えたり努力していたのですが、その差が縮まったのは良いのですが、ホールに響く音細やかな残響音が吸音されているような感じがします。ベルウッドさんはマイナスの強いオーラを出されるのでしょうか(笑)。

emm側に使っていたケーブルは、友人から借りているMITのこぶが二つも付いている高級品でした。繊細な高域と深い最低域が信条です。問題はその為に失われる中音域のエネルギー感でした。それをこぶ(CVT)のないタイプのケーブルに前日の夜に換えたのです。音のバランスが一気にCD34改に近づき、これならA-B比較してもどちらが鳴っているか解りにくいぞ、今日の余興になるぞ、と内心喜んでいたのです。しかし、ベルウッドさんは聴き始めるとすぐに以前より高域が眠くなっていると指摘されたのです。

そうか!と思い当たりました。そのお借りしている高級品のターミネーター付きのケーブルはSPケーブルの方にも使っていたのです。それを以前から使っているタイプに戻しました。このケーブルも、外したタイプとは大分価格が違いますが、復帰前の香港に行って豪遊して戻ってきても、そのすべての経費をだしてまだ余っていたほどの差があったのです。当時、ケーブルなどに浪費しないで、金のコインでも買っていれば今頃小金持ちでしたのに。もっとも金のコインでは、インシュレーターには使えるでしょうが、音はよくなりません。

ケーブルを換えると、ユニットを換える前の繊細な高域の音が戻ってきました。そしてユニコーン特有の雄大な低域と共に蘇りました。これはとてもシングルのSPから出ているとは到底信じられないほどの深さです、これにはベルウッドさんもビックリ。私も内心、やっぱりなと一安心。四ヶ月間灯を入れっぱなしのemmもようやく聞いていただけるレベルになってきました。現在はメインがCD34改ですから、そちらの方に良いケーブルを充てていますが、同じケーブルが手に入ったら、その差はもっと縮まるでしょう。

その良い音になったところで、マーラーの第三番の一楽章を全部、第六番の一楽章も、第四番の一楽章と四楽章も。楽しいです。同じコンセルへボーでもヤンソンスの出す響きと、ハイティンクの響きでは、同じオーケストラがこんなに違う音が出せるのかと言うほど差があります。そこで、30年前のCDが出たときのハイティンクの四番も参考に聴きました。これだけで、二時間は聴いていました。午後の眩しい日が西に面している障子の窓を輝かせだんだん沈んでいくと、隣家の屋根の影がだんだん大きくなってそしてフェードアウトしていきました。音は太陽が沈み大気を動かしている太陽の膨大なエネルギーが静まると、静になり一層の細かい音が聞こえてきて、この7畳の部屋は、コンサートホールへとワープしていきます。

その空間に、ベルウッドさんはこれが音場がでると言うことではないのでしょうか?と聴かれました。ユニコーンの出す音場は、普通のスピーカーが出している音場とは意味が違ってきます。確かに会場にワープして入り込めるのは、確かにこのユニコーンと音に包まれるGRFだけかもしれません。あとの音場は、音場を遠くから眺めている聴き方ですから。ユニコーンとQuad ESL57が醸し出す臨場感は、球面波と平面波というまったく異なる形式なのに、その音のリアリティから同じ様な感動が得られるのです。夏になったらESL57を聴きに茅野まできて温泉に入る約束もしました。

音はますます磨きが掛かっていきます。長年使っていなかったケーブルが目覚めてきたのでしょうか?先日掛けたキャプラン・ウイーンフィルのマーラーの二番のCD盤とSACD盤を同時に掛けて、切り替えスイッチでどちらが鳴っているかを当てるゲームもしました。SACD盤は繊細な音場も広大な音がすると思われていたので、私自身音量が違うので、それの調整で今どちらが鳴っているかは解るのですが、その調整したあとの音はほとんど変わりません。音源が同じだから当たり前なのですが、SACDの絶対優位を信じておられたベルウッドさんには、いや、ベルウッドさんばかりではなくほとんどすべての人が驚く結果になったのです。すなわち、どちらが鳴っているか解らないという結果です。最終的に、ベルウッドさんはCD34改の方がとが深くアジがあると言われました。私も、そう思います。音の数はemmの方がでているのですが、メロディーラインやそれを支える裏方の楽器へのスポットの当たり方が良いのです。スコアがあればもっと解るのにといわれたのはさすがにベルウッドさんだなと思いました。

部屋を真っ暗にすると、途端にコンセルトヘボウの会場にワープするのです。本当に目をつぶってこの部屋に入ってこられたら、自分が和室の7畳間にいるとは誰も思わないでしょう。だれもがコンサートホールの大空間にいると感じるはずです。昨日の音は久しぶりに味あうワープ感でした。ケーブル一つでこれほど変わるのですから、恐ろしいはないです。でも、勘違いしないで下さいね。ケーブルを換えたらこの様な音になるのではないのです。入力から念入りにチューンアップして行って、最後の階段がこの差を生むのです。999段上って来ても、最後の一段を上りきらなければ、山門にはたどり着けないのです。それを勘違いして最初の一段にお金を掛けすぎる人もいます。家族の経費を奪っても、とてつもない金額、外車が換えるぐらいです、を購入する人生の順番を間違えたような人には、呆れるのを通り越して腹が立つこともありました。

ケーブルは、最後の一段です。先に999段順番に上がってきて下さい。私がケーブルの事を余り書かないのはその意味があるからです。ついでに書きますが、ケーブルで一番音が変わるのはやはり電源ケーブルです。でも、現用の是枝さんのアンプは普通のケーブルです。あえて交換できないようになっています。水谷さんのプリも付属の普通のケーブルで十分良い音がするのです。CD34改も0.75sqの普通の平行線です。電源を換えなければ音が良くならいとしたら、本当はその内部の方に問題があるのではないでしょうか?今一度いいますが、電源ケーブルが一番音が変わります。しかし、変わることと、よくなることは同一語ではないのです。オーディオマニアのほとんどの方が、かわったからそちらの方が良い音だと信じているのにすぎないのかもしれません。

16Bitより24Bit、44.1KHzより192KHzと数字の大きさに惑わされてるのです。現在鳴っている最新式のemmは5.6MHzのワンビットに変換されています。外部クロックは端子さえありません。そして、その音よりも良いと思う、少なくともA-B比較しても解らないCD34改は14Bitなのです。そしてベルウッドさんが最後に選んだのは、やはり、CD34改の方だったのです。

福袋で買われたというワインの中身はBaroloでした。これはお得な福袋です。あっという間に一本空けて、負けじと出したワインも当たりでした。隣のデコラにたどり着いたのは、なんと六時間後の事でした(爆)。


五日の日は

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昨日のベルウッドさんに引き続き、新年会のお二人目はデコラの組み立てでお世話になったOさんです。年末はお忙しく28日の晩も、最後の方でようやく間に合いアンセルメの三角帽子の初版を持ってきてくれました。彼自身もその音に驚き、今日も、DECCA関係のレコードを何枚か持って、自転車で三時半頃来られました。そろそろお見えになる頃に表に迎えに出てみました。今日も大変寒く、風が昨日より無い分、日なたでは暖かく感じたのですが、実際は、3.5度という寒さです。寒さが当たり前になって、からだが慣れてきたのでしょうか。同じユニホームにきてヘルメットを被った4人組の自転車がゆっくり通り過ぎていきます。裏道ツアーなのでしょうか?のんびりとした走りです。あの格好で寒くないのでしょうか?最近の素材を使っているのだろうなと思いました。

さて今日も、昨日の続きで、音が変わったユニコーンの確認からはじめました。EMMとCD34改との音比べです。Oさんは、何回も聴かれていますが、今日の音の変化には驚かれたようです。OさんはSACDの音が好きで、ワンビットのDAコンバータを自作している方ですから、SACD盤とCD盤の同時進行はすぐお解りになりましたが、同じCDでの聞き比べでは、どちらが鳴っているか判然としないところまで酷似してきたようです。CD34改はもう手に入りませんが、EMMの方は、その気になれば何とかなります。これで、ケーブルを同じ物に換えればほとんどの方は差が解らなくなるでしょう。市販車がレーシングカーと同じレースが出来るようになったのです。排気量も価格もまったく異なりますが、とにかく、試合になるレベルまで拮抗してきたと言えましょう。

クラシックばかりではなく、Tony BenetのPlaying with my friendsも聴いていただきました。このガッツリ系の音がEMMが弱かったのです。しかし、もう大丈夫。相当似てきました。

そのOさんから、感想が送られてきました。私が説明するより解りやすいかと思いますので、転記致します。


GRFさま

まずは、ユニコーンですが、驚くほどの進化ですね。MITのケーブルを変更だけとのことですが、笑ってしまうほど違います(笑)最初のジャズものを聴いただけで分かるほどです。

今までもパースペクティブの表現に大変優れていたユニコーンでしたが、それが倍増した感じで、全くスピーカーの存在が感じられません。広大な空間が涌現されます。決して前が悪かったわけではありませんが、現状と比較すると、映画館で見る3D映像と、裸眼でそのものを見る、位の違いに感じれました。変な喩えですみません。

次に入力部のSACDとCDの各プレーヤーですが、GRFさんがいつもおっしゃっている通り、結局は入力の質が問われるということで、いつものハイティンクのショスタコ15番をSACD部とCD部で、それぞれEMM+SACDとCD34改+CDで聴き比べましたが、特にCD、SACDの両方をお持ちのマーラー6番リアルタイム再生の切替えは、両プレーヤーの出音の違いが分かり、聴き応え満点です。

差は確かにありますが、その情報量と空間再現はどちらもほとんど見分けがつきません。音量によって特徴に変化はありますが、足し算の美学であるEMM+SACD、引き算の美学であるCD34改+CDといった感じでしょうか?

いつもの如く、GRFさんからの「SACDは本当に必要か?」との疑問符が投げられますが、DSDフォーマットの優位は揺るがないので、このSACDという規格に問題があることは明白です。デジタル再生という点で考えさせられる点がまだまだ多くありますので、もう少し調べたいと思います。是非次回は、実験の機器を持ち込みますので、その調査にご協力下さい(爆)

しかしながら、このCD34改の音の良さはどうでしょう。もちろんフルチューンされたものなので音の良いことは当然かもしれませんが、だからといってどのCDプレーヤーでもフルチューンして同じになるかといえば、まったくの「NO」です。ポイントは、まずフィリップスのスイングアームユニットであること、もう一つはたった14bitの(現在は32bitというDACチップがあるにもかかわらず!)DACチップであるフィリップスのTDA1540(あとはデジフィルチップのSAA7030)DACチップをDUALMONOで使用していること、この2点が重要だと思います。

もちろんその他色々と、この機種でなければならない理由がありますが、ともかくありとあらゆるところに手を入れられているので、CD34の中古を手に入れて、素人が適当に内部をいじくり倒してもあの音は出ないでしょう。でもツボがあるはずで、当方も目下研究中です(爆)

そして本日のメインであるデコラに移りましたが、やっぱりこのスーパー電蓄の威力を確認するにはデコラと同年代のDECCA盤が必要だと思い、手持ちのDECCA盤を数枚持ち込んでの試聴です。まずはベンジャミン・ブリテンもの、ブリテン指揮の「弦楽合奏によるイギリス音楽」、そして同じくブリテン指揮のピーター・ピアーズ「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード、イリュミナシオン、夜想曲」の2枚をかけ、ノーブルな雰囲気とデコラならではの柔らかさを楽しめました。やはり「DECCA録音は凄い」これが感想です(すみません、つまらなくて)

GRFさんがおもむろにレコード棚から出してきた、先程の「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード、イリュミナシオン、夜想曲」のMONO盤がまた凄い。30年位前にイギリスで買ったとかで、針を落とすのも30年ぶり位とおっしゃっ
ておりました(笑)が、これは文句なく素晴らしい!!

特にB面はマトリックス1Aで、オリジナルDECCA盤のみが持つ音味が部屋全体を満たします。デコラではMONO盤も立体的で素晴らしいのです。特に小編成ものなどはMONO盤の方が良いかもしれません。スレレオ盤と聴き比べても全く不満無い再生音です。次のGRFさん所蔵ブリテン「青少年のための管弦楽入門」なども恐ろしく良く鳴りました。

問題は、本当のステレオDECCAの音は、通常のオーディオ機器+普通のカートリッジ&フォノイコで鳴るのか、ということでしょう。DECCA盤をDECCAらしく鳴らせている方がどれほどいるのかと、疑いたくなってしまう程です。ちなみに私のアナログ環境は、デコラと同じDECCAのアームと同キャラメル型カートリッジ+DECCA用にあつらえたフォノイコですが、それでも希に気になるDECCA独特のきつさと独特のあざとさがごく僅かですが残ります。でもそれはデコラで聴くと全く消え失せ、自然で柔らかい音場が拡がります。これが本当のDECCAオリジナルの音なのでしょう。

DECCAの音が苦手な人も、是非デコラで再生した音を一度聴いてみて頂きたいと思います。特に60年前後の2000番台、6000番台などの盤は、デコラの独壇場でしょう。GRFさんはかなり大変なことになりますが(笑)お金を取ってでも聴くべきです(あっ、余計なこと言いました?)

その後は懐かしの歌謡曲シングルを聴きましたが、どのジャンルでも本当によく鳴ります。ただ、そんなデコラもどこかで中古を入手してポンと再生しても多分ダメでしょう。結局これもツボがあって、それこそ整備からセッティング、球やカートリッジの選別、と多岐に渡っていますね。1点だけネタばらしをするとすれば、やっぱり「真空管」ということになりますね、GRFさん!!

その後は、またユニコーンに戻って、素晴らしい音をバックミュージックに仕事のことなど、種々懇談。そういえば、最初のユニコーン試聴から飲み始めていたので、最後は酔っ払いでしたね(笑)

やはりオーディオは、外さない機器選択と、追い込み方法が重要ですね。どちらがかけてもムダになりますが、それとて数々の失敗を経験して初めて分かることでしょうから。あとは「明確な出音イメージ」と「ぶれない方向性」でしょうか?結局は時間が必要で、突然オーディオに目覚めて、同じ機器を入手しても、同じ音は出ないということだと思います。

それで本日の結論ですが、経験豊富な大先輩とオーディオ趣味を共遊することは、心を豊かにする、です!!

オーディオ歴50年のGRFさんと、まだ弱輩者の私ではあらゆる 意味で差があり過ぎるわけですが、「1日に万里を駆ける駿馬の尾に付く」蠅は、駿馬と同じ距離を移動できるわけですから、得難き大先輩に出会い、共に万里を移動できることが僥倖であると感謝しております。今後とも見捨てずにお付き合い頂ければ幸いです。

O 拝


Naruさんの素晴らしい音

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いつもは筆無精?の横浜のMさんが、初めて日記を、それも熱い日記を書かれたのが、Naruさん邸を訪ねてからでした。その後、電話も掛かってきて、何しろ凄いから聴きに行こうと、夜香さんも誘ってくださり、いろいろとアレンジをしていただき、お正月最後の6日の日、お伺いすることが出来ました。

私とは聴く音楽の分野も違うし世代も違うからと言われていましたが、お伺いして本当に良かったです。ロック、Jpops、フォーク、ワールドミュージック、すべて完璧でした。何よりもよかったのは、決して爆音にはならず、それでも大迫力で、音楽自身が鳴っている事です。これが簡単のようで、中々難しいのです。迫力がでるからと装置をむやみに大きくされる方も居られますが、Naruさんの音は、細心にコントロールされて、常に音楽がベストに鳴っていました。再生のコツと難しさは、どの様な音量でその音楽を提供できるかに依ると思います。それが完璧でした。

何よりもよかったのは、音楽をベストで聴くための、必然としてのオーディオだと割り切っているところです。決してオーディオのためのオーディオではないのです。そして、CDがオリジナルの場合はCDで、レコードがオリジナルの場合は、レコードでのベストを聴く姿勢に感動しました。当たり前の事ですが、それを徹底して突き進めている人はそう多くありません。

レコードのプレスで音が変わることは百も承知で、気に入ったレコードは一番い音に巡り会う為に、プレスを換えてベストの音を探して聞き比べをされているのです。当然、レコードプレーヤーの調整は、0.01g単位での調整をされています。針先の汚れが、どれほど音楽を汚すか、正しいトレーシングが出来なくなるかを、認識されているので、レコードを掛ける前の針先の掃除は、儀式のように、入念に行われます。

嬉しくなりました。針先の清掃や0.01g単位での調整を自分もしているからです。ようやく同じ思想で、同じ事をされている人に巡り会いました。Naruさんとは今日初めてお会いするのだし、世代も一回り近く違います。しかし、お話しをしていくと共通点が沢山あり、それも嬉しく感じた要因です。この音を出すにに費やしてきた時間、自らへの妥協を許さないこだわり、何よりも音楽への愛情が深いのでしょう。人間の声がすべて素晴らしかったです。声は、誤魔化しようがありません。一切の手抜きをせず、なおも高みを目指している音を聴けて、大変よかったし、久しぶりにネジを巻かれました。

最初はCDでカサンドラ・クロスが静に鳴り始めました。何という深く、そして熱く、厚い音でしょう。JBLのモニタースピーカーのM9500にあえてGemのツイーターを乗せているのですが、それが決して被らず、中音ホーンの音を支えているのです。一聴してこのバランスはどこかで聴いたことがあると思いました。しばらくして、それがモニターシルバーのGRFをお使いのA氏の音だと気がつきました。お二人は親友同士で、アプローチも装置もまったく違うのだけど、同じ音がすると思いました。そしてようやく気がついたのです。私は、近所のA氏とはクラシック音楽や歌謡曲を楽しんでいるのだけど、Naruさんは、A氏のルーツであるロックミュージシャン側で共通点があるのだと。その瞬間に、モニターシルバーの音にこだわるA氏の音に納得できたのです。

Naruさんは、声にとことんこだわります。かかる曲は、すべてヴォーカルでした。SACDやCDの演奏が一段落されると、休憩と称して、素晴らしいワインを開けました。その銘柄にも趣味の良さが出ます。久しぶりに飲む本格的なブルゴーニュワインでした。4人ですから、あっという間に空けて、二本目は私の持参したイタリアワインです。中でも自分の好きなタイプを持ってきてよかったです。美味しい休憩を挟んで、いよいよ、アナログレコードに移行しました。ステレオはLP12、モノ用にはロクサンのTMS3を使用されています。モノ用にはトランスでステレオはダイレクトにオラクルのphonoEQに繋がっています。

レコードは圧倒的でした。こちらを聴くとなぜ GEMのツイーターを二段重ねで使われているのが解りました。重要な役割をしているのでしょうが、音はM9500のホーンからしか聞こえません。低音の支配力が圧倒的で、昨年末聴いたS9500とはまったく違う種類の音でした。部屋の大きさやバランスを考えて、あえてフロントポートのM9500にされたそうです。厳密に位置調整されたSPはどの曲を掛けても、音像は微動だにしません。それは気持ちいい物です。

Beatlesのオリジナル盤も素晴らしいバランスでした。ユーミンやさだまさしも掛かりました。でも、装置がこの音に合わしているのではないかと思ったのは、ブラジルのレコードがかかったときです。余りブラジルの音楽には馴染みがありませんでしたが、しっとりとしたボサノヴァが掛かると、別の装置が鳴り始めたのかと思うほど嵌っています。それは音楽の力なのでしょうね。
ブラジルの音楽は数枚掛かりました。すべて心に浸みる曲ばかりです。シンプルな録音こそ、装置の素性が出ます。その点、シンプルになればなるほど、音に深みが出てきます。驚きました。

ブラジルからアメリカに戻り、ロックがかかりはじめました。レッド・ツェッペリンのアルバム IIが掛かりました。ツエップという風に発音するのだそうです。音が回り始めます。凄い迫力ですが、決してうるさくないのです。ただ、音量が大きすぎて耳が壊れるようなお宅もありますが、Naruさん邸の音はまったく違います。この迫力が必然なのですね。気持ちよくなってきました。そんな我々をみてラストスパートに掛かります。Mさんのリクエストで、カルメン・マキとOZのライブアルバムです。
これには痺れました。帰って来て早速、オークションを探し手に入れたぐらいです。もっとも、そのレコードが来てもしばらくは掛けられないでしょう。Naruさん邸の音の記憶が消えていくまで待たなければ。

そして、最後に同じくMさんのリクエストで掛かった、PPM ピーター・ポール アンド マリーのレモン・ツリーには、感動しました。想い出も駆け抜けていくし、何しろポールの声の実在感を越えた素晴らしい声に痺れました。感動でまぶたがじーんとしてきたぐらいです。参りましたね。いや〜聴かせていただいて本当に良かったです。

お昼のお蕎麦屋さんから始まって、夜のイタリアンまで、10時間に及ぶ「Naruさんワールド」を堪能致しました。演奏会場から戻ってくるときのような感動に包まれて、帰りは寒さを忘れていました。お膳立てをしていただいたMさん、そして夜香さん、楽しかったですね。Naruさん、事前のご準備や進行にお気を使っていただき本当にありがとうございました。最高でした。また寄せさせてください。





ベルウッドさんのご感想

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新年早々、GRF邸を訪問させていただきました。GRF邸はこれまで何度か訪問させていただきましたが、なぜかUNICORNとは相性が悪くてその実力を体感させていただくことができていませんでした。そのUNICORNの調整が整い、真価を発揮してきたとのことで、これを見聞させていただくことが訪問の目的。もうひとつは、あのデコラがご開帳とのことで、これを拝聴させていただくということ。

まずは、例によって和室のUNICORNとご対面、さっそく聴かせていただきました。このUNICORNにはいきさつがあります。初対面は、帯域の外縁があいまいで小さく、ボトムエンドがすっぽりとカットされていました。これは、その後、ユニットにクラックがあったということが判明し、新しいユニットに交換。その満を持しての再会時は、プリアンプが不調で真価が発揮できない。あの頃、私は「負のオーラ」が出まくっていて(苦笑)、自分のシステムは大つぶれ、他の方をお伺いしてもなぜか不具合が発生してしまい散々だったのです。今回は、いよいよ初詣のお祓いで厄払い、清い身体でのご拝聴となりました。

これはもう「なるほど!」という納得のUNICORNサウンドでした。

すっかり納得して拝聴していると、GRFさんはやおらCDプレーヤを切り換えられました。愛用のフルチューンのマランツCD34から、EMMでのSACDとの比較試聴。実は、前回訪問時も聴かせていただいたのですが、まだEMMはエージング途上で、CD34と較べると粗さや堅さとともにぼやけた感じがあってはっきりとした差があったのです。今回、試聴するともうほとんど差はなくなっています。

ところが、注意深く聴いていると、EMMにはまだ高域が甘くすっきりしないところが残っています。率直にそのことを申し上げると、GRFさんは、やおら、信号ケーブルを交換してしまいました。オーディオ練達の士は、もう、こうなると職人のようなところがおありで、あっという間にピンポイントで勘所を突いてしまいます。これで気になったところが解消。

これで、マーラーを中心に、カプラン/VPOやハイティンク/コンセルトヘボー、ヤンソンス/RCOなど次々とソフトを聴いていきます。EMMはSACD、CD34はCDでの聴き較べ。

すると…

ハイティンク/CSOの3番はCDのみですが、冒頭のホルンのトゥッティの音色に微かな違和感。聴き慣れたソフトなので強く反応してしまいました。その後の曲の流れのなかで注意深く探っていると、やはり、中高域が違います。ここでも率直に「ちょっと音味が違うのですが…」と申し上げると、またまた、GRFさんは「やっぱりそうか」と独り言をいいながら今度はスピーカーケーブルを交換。外見は同じですが、ご友人から借りていた後期のモデルからご自分のオリジナルへ戻すのだそうです。ケーブルの太さと両端のでっかいコブにこちらは目を白黒。

後期のモデルはブランドは同じでもオリジナルとは生産工場が違ってしまったとのこと。いわば、シェフがやめたとたんにレストランの味が変わってしまったというようなもの。私も、かつて、無断で工程を変更し、スウェーデンのお客さんにこっぴどく叱られたことがあります。工場監査でばれてしまい、品質管理規定違反だったので平謝り。幸い品質トラブルはなかったのですが、工程変更は予期せぬ不具合を発生させることがあって、事前の了解や連絡が必要。例えスペックは同じでも、品質とはそういうものなのです。

これで、いよいよ真正のUNICORNの本領が発揮されました。聴き込むほどにケーブルも目覚めていくのか、惚れ惚れするようなサウンドに。途中、休憩をはさんで、さらに聴き込んでいきます。日が暮れてあたりが暗くなると、空間ごと音楽会場へとワープしてしまうような感覚に忽然としてきます。

ここで改めてEMM/SACDとCD34/CDでブラインドテストをさせられると、どちらがどちらかわからなくなっていきます。SACD独特のものと思っていた高域の滑らかさがCD34のほうがかえって上回っていたりして、そういう優劣の思い込みを払拭して、それぞれの音の特色を聴き分けるまでに時間がかかってしまいます。ここまでハイレベルになると、SACDとかCDとかのフォーマットの違いよりも、もっと別の要素のほうが相対的に大きくなっているということでしょうか。

ワインをなめながら聴いたギレリスの「悲愴ソナタ」「月光ソナタ」にはすっかり聴き惚れてしまいました。ギレリスの晩年は、かなり芸風が変遷したと言われていて、その評価は当時かなり毀誉褒貶していました。そのせいで、私は晩年のギレリスには少しバイアスがあったのですが、このCDを拝聴して自分の過ちをすっかり悔いることになりました。

ディスクは、オリジナル盤でCD最初期の稀少なもの。

デジタル初期のCDディスクは、「音が堅い」「コントラストが過剰」と散々に言われ、いまだにそういう偏見が尾を引いています。けれども、むしろ、初期は各レーベルが技術と時間をかけて取り組んだだけに素晴らしい仕上がりになっています。再生音が悪かったのは、むしろ再生側の機器が技術的に未成熟で劣っていたから。さらには、再発時のマスターの管理がずさんだったり、リマスタリングのまずさが、こうした神話を拡大したように思います。これにアナログ懐古のドグマも荷担して、すっかり定説になってしまいました。

こうして極上のシステムで聴く最初期オリジナルCDの音は、そんな教条主義を吹き飛ばしてしまうような至高のサウンドでした。


ベルウッドさんのご感想2 デコラを聴く

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さて…

ジャーマン・フィジックスの「一角獣」に引き込まれて、すっかりのめり込んで聴いてしまい、気がつけばすでに6時間。あわててGRFさんの袖をひいて「デコラを…」と催促してしまいました(笑)。

いよいよデコラをご拝聴。

まずは、持参したLP盤をかたっぱしからかけていただきました。モノばかりですべてが米国盤です。GRFさんの日記では米国盤との相性がよいとのお話があったので張り切って持参。RCA、コロンビア、キャピトル、VOXとレーベルにバラエティを持たせて持参。比較の意味で、唯一、持参したステレオ盤がドイツプレスのデッカ。

聴かせていただくと、独特の音場の拡がりに「ほうっ」というため息ともつかぬ安らかな驚きが胸をついて込み上がってきます。決して帯域やDレンジの広いハイファイではないのですが、実に繊細で上品なたたずまい。上品といっても華美な貴族趣味ではなく、どちらかと言えば落ち着いた知的な品格。絶頂期のオイストラフの美音と技巧がとても冷静で端正なアーティキュレーションで再現。これを聴いてふとハイフェッツはパス。続けてはノバエスのショパン。意外にも肩の力を抜いたような落ち着きを聴かせてくれました。デコラのサウンドは、あえて言えば、多少《スノビッシュ》なサウンド。

感心したのは、キャピトル盤。

アンドレ・ナヴァラのサンサーンスの協奏曲も素晴らしかったのですが、抜群の相性を感じたのはハリウッドSQのチャイコフスキー。そもそも、GRFさんの日記でミルステインの無伴奏が素晴らしかったとのことで、あえて、当該ディスクではなく同じレーベルの別のディスクをそれも2枚持参したのですが、本当に素晴らしい。

ハリウッドSQは、先日の日記でご紹介したLPの指揮者スラットキンのご両親が参画した弦楽四重奏団。まさに、アメリカの豊穣の50年代を思わせるハイファイ録音。そういうと「金ぴか」のハリウッドを連想されてしまいがちですが、この時代のアメリカのもの作りは実に質実剛健で正攻法だったことをいまの日本人は忘れてしまっています。このディスクも、でかける直前に復調なった我がシステムで聴いてそのハイファイ音にびっくりしました。ちなみに、キャピトルの『FULL DIMENSIONAL SOUND』にはこういう謳い文句が書かれています。

“...natural balanced fidelity as in the ORIGINAL, LIVE PERFORMANCE without attenuated high frequencies or booming bass.”

デコラの再生は、その帯域レンジのナチュラルさに巧妙に応えます。実に爽やかで輝かしい、チャイコフスキーの哀感あふれる「アンダンテ・カンタービレ」。私のシステムでは感じさせてしまう「力み」「エキゾチックさ」が上品に抑制され、見事なバランス。デコラ自身は、それほど帯域は広くないはずなのにディスクそのものの帯域の広さはきちんと感じさせて、不思議な得も言われぬ妙なるバランスなのです。

唯一のステレオ盤を聴いてまたびっくり。

音場が部屋の左右いっぱいに拡がり、まるで、コーナーに置かれたタンノイGRFが鳴っているかのような錯覚にさえ陥ります。音場の見事な再現。ただし、直前に聴いたUNICORNのように、部屋いっぱいに音のエネルギーを充溢させてコンセルトヘボウといったリアルな会場へワープしてしまうという感覚とはちょっと違う。何か《テアトル・ド・デコラ》という独自のバーチャルな会場があって、何もかもがそこへ持って行かれるような感じ。究極の電蓄という気がします。

ターンテーブルのフタや、アンプ部のフタを上や左右に拡げていますが、これを閉じてしまうと拡がりが縮んでしまいます。こういうキャビネット職人の巧の技にも喫驚します。デコラの中央内部には宝石のようなカートリッジが並べられています。GRFさんは、ここでも職人技を発揮してモノからステレオへ、適切な音色をさぐりながらカートリッジを選択して、針圧を調整していきます。

持参のLPをひと通り聴いたところで、GRFさん定番の越路吹雪を聴かせていただく。

いつもの日生劇場のライブなのですが、まず、昭和40年代半ばの録音。比較ということで昭和50年代の収録のものにかけ換えていただいた瞬間、「あっ」という思いが…。

「コーちゃん、歳をとったな。」

こんな思いを、レコードを聴いた瞬間にこみ上げてきたのは初めての体験。もちろん声質の変化もあるのでしょうが、何かその芸風に重ねてきた10年ほどの年輪、人生の深まりが醸す芳香のようなものを感じてしまったのです。低音とか高音とか音量の迫力とか、音場とか音像定位、口の大きさがどうとかいう話…、そんなものからふっと浮揚した、芸とか表現とかの高み。あるいは生々しい芸人の肉体や心のあり方とかいった高いステージ。そういう感性の世界まで何気なく踏み込んでくるデコラ。オーディオのひとつの極致と言えるのではないでしょうか。

そのことに思い至って、ふっと背筋を走る熱いものを感じました。

GRFさん、ありがとうございました。

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ベルウッドさん 長文のご感想を書いていただき、本当にありがとうございました。

ユニコーンもデコラもまとものな音が出るまで二年近くが掛かりました。特にユニコーンのあの空間が移動する体験をしていただけたのが、嬉しいです。また、レコードプレーヤーとしての、ほとんど何でもかかるデコラの能力には、ますます驚いています。特にデコラは、まだまだよくなります。プレーヤーの調整や真空管の交換(EF86/6267→8D8)などの調整を行っていきさらなる高みへと期待も高まります。次回、3月予定の椀方さん上京の折りにも是非遊びに来てください。

雪国への冬の旅

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国境の長いトンネルをくぐるとそこはやはり雪国でした。恐らく世界中を回ってもトンネル一つで、これだけ世界が変わるところはそうはないでしょう。西高東低の気圧配置がシベリアからの乾いた冷たい空気を引き寄せ、比較的暖かな日本海から水分を蒸発させ、それが、国境の山々にぶつかり大量の雪を降らせる。そのメカニズムを学んではいても、いつもの事ながら、太平洋側と日本海側の気候の違いにはビックリさせられます。気温はマイナス2.5度。そんなには寒くないけれど、土樽のPAでスノータイヤの確認をしている係員の顔を見たら気の毒なほど寒そうな顔をしていました。
ここから長岡までは日本でも有数な豪雪地帯。運転にも気が引き締まります。
それでも、以前来たときに比べれば雪の降り方も穏やかで道もよく除雪されています。下るに付けて雪はひどくなり、真っ白な世界に入っていきます。夕方のような暗い世界になっていくのです。追い越し車線もよく除雪されているのですが、そちらを走行するときはおそいトラックを抜くときだけです。慎重に車線を変更し、ゆっくりと時間を掛けながら追い越ししていきます。急なハンドルは切れません。
土樽から長岡まではほぼ百キロ、大きな声では言えませんが、雪の無いときは一時間かかった事はありませんが、今日は一時間半以上掛かりました。
それでも、長岡をすぎると雪は小降りになり、新潟を通過する頃には、雪は止んできました。新潟空港まで飛んで来た連中を拾いに空港のロータリーを回り始めたら、雪が溶けたのが凍っていて、車が半分ほど横をむきかけました。アクセルを踏んで体制を整えました。ドリフトしたのは久しぶりのことです。ここまで家を出てから四時間半・普段よりはやはり一時間余分に掛かっていました。今日はこれから庄内平野まで行かなくてはなりません。

雪国を運転したことが無い連中にハンドルは任せられませんので、そのまま運転をしました。村上をすぎるところまで、日本海東北道は延伸していました。途中から無料区間になります。山の中で高速を下ろさせられて、しばらく走ると、あつみ温泉の手前で日本海に出ます。海はすさまじいまでに荒れていました。数メートルの高さの浪が押し寄せてきます。運転しながらでも浪に引き込まれそうになる迫力です。横なぐりの雪も強風で車に打ち付けられます。暗い空とその下で荒れ狂う日本海は、冬の嵐のすさまじさを見せつけてきます。

あつみ温泉まで延伸してきた高速に乗って、10キロにも及ぶ長い連続したトンネルを抜けると、穏やかな庄内平野に到着していました。新潟空港から二時間半です。食べるところが一軒もなかったので、ようやく酒田ラーメンのお店に着いたときは、皆ホットしたのです。一番ホットしたのは、七時間半通しで運転してきた私でした。こういう悪天候でも、16万キロ走っているPassatは全く疲れないから不思議です。椅子が良いのでしょうね。

酒田は風の街です。冬場は常に北西の風が海から吹き付けてきます。この日は、夜になってもブリザードは止まず、ホテルの窓が強風でオルガンのパッサカリアのような音を立ていました。窓に打ち付けられるびしびしとした雪のつぶては、一晩中続いていました。雪雲は断続的に押し寄せてきて窓の外の風景を変えていきます。明け方少しだけ風が収まったとき、遠くまで見渡せたのです。

うっすらと夜が明けてくると、いつもの風景が拡がってきました。雪は強風に飛ばされて屋根の上にはそれほど積もってはいませんが、吹きだまりはその雪が寄せられて積もっています。
朝早く目が覚めるので、いつものようにブログを書いていると、窓を叩く音がしてきて、びしびしと氷が窓に打ち付けられていました。窓の外は一変していて視界が見えなくなっていました。


雪国への冬の旅 2

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お昼に今一度、同じラーメン屋さんで名物のワンタン麺を食べてから、昨日来た道を引き返しました。今日はだんだん冬型配置も収まり、雪も少なくなるはずです。昨夜の強風も収まってきました。あつみ温泉インターまで行くと、少し戻らなくてはいけませんし、海岸線までも大分あります。そこで一つ手前のインターで降りて、国道7号線出でました。
浪は昨日ほどではありませんが、まだまだ凄い荒天です。同行の仕事仲間が、このような荒れた海の沖合をフェリーで通った凄い経験を話してくれました。起き上がることも出来ず、食堂も閉まっていたそうです。この海を見れば解ります。
道の駅がありました。昨日は吹き荒れる吹雪に恐れをなして通過したところです。
波はこの様に押し寄せてきますが、これでも大分収まった来たのです。
向こうに青空さえ見えてきました。でも、海はまだこの様に押し寄せてくるのです。
そこから、また道は山の方に入っていきます。海岸線を通る道もあるのですが、高速が山側に出来たため、とお下を越える感じで登っていくと、たちまち、吹雪になります。海岸線では上を越している雪雲が山にぶつかるとこの様になるのです。


それでも、前方に陽の光が見えてきました。村上に入ると日も差してきて穏やかな天気です。新潟空港で仕事仲間を下ろして、私は磐越道に入りました。三時半になっていました。高速から新潟空港を往復するだけでも、40分ぐらいかかりました。それから交互通行の道を我慢して走り、インター付近の二車線で先行車を抜いて六時には白河のホテルに入りました。

その続きは、明日にでも・・・。

冬の白河の熱い音

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郡山方面から白河に向かうと、街の手前に新しいインターが出来ました。ETC専用の出入り口ですが、従来のインターは、一旦街を通り越して二キロぐらい戻らなくてはなりません。それならばと初めて降りる出口で降りてみると、夕方のラッシュアワーで国道は渋滞していて動きません。新幹線の駅の傍のホテルですから、やはり従来のインターを降りた方が早かったかもしれませんね。新潟を出るときから、お待ちいただいているHMさんは、私がホテルにチェックインするのにあわせてお迎えに来てくれました。

BMW愛好家のHMさんの今度の車は、1シリーズの流麗なクーペに3リッターツインターボ・306馬力40.2kgmの六気筒エンジンを押し込んだモンスターです。乗り込んだ瞬間に引き締まったボディーと乗り心地が解ります。おまけにマニュアルの六速モデルです。東京では買いたくても躊躇する選択ですが、この白河の地では最適な組み合わせでしょう。HMさんの好みを文字通り反映している車ですね。町中でもその性能はいかんなく発揮されすさまじい加速と減速は、スポーツマンのHMさんその物を具体化していると思いました。

HMさんは知る人ぞ知る自転車の第一人者です。ご自身も日本チャンピオンでしたが、オリンピック自転車競技日本代表選手で、シドニーオリンピック日本代表監督をつとめたあとも、コーチングスタッフとして常に後進の指導に当たってこられました。北京パラリンピックでも日本代表監督をつとめられた、熱い方です。現在でもご自宅近くにトレーニングセンターをお持ちで、3.11で壊れた泉崎村の国際サイクリングスタジアムでも指導をされていました。












白河は歴史がある街です。在来線の駅も昔ながらの駅舎のママ残っています。旧市街に入ると、道は狭く旧い土蔵や家も残っています。その中の素敵なお宅がHMさんのお宅でした。奥さまの為のセダンのBMWも入っているガレージにピッタリと入れる技はまるで1mm単位で調整しているSPと同じです。到着次第、ウェルカムドリンクにビールをいただきました。渇いた喉に気持ちよかったです。

HMさんのお宅は、太い柱がふんだんに使われた本格的な木造住宅です。その二階に、アバンギャルドが設置されていました。入力は Playback DesignsのCD専用機MPS-3、プリアンプはOCTAVEのHP 500 SEを相当手を入れて使用しています。SPはアヴァンギャルドのDuoをMark Levinsonの20.5を4台使用されています。

早速聴かせていただきました。聴く前はHMさんの言動やお聞きに行かれる装置での反応から相当熱く、ハードな音がするのではと思っていました。

掛かったのは女性ヴォーカルの柔らかくソフトな音にはビックリ。優しい音です。CDプレーヤーとSPには、CECのフロートを使われています。どうやらそれがこの音の秘密なのかもしれません。少し前、雑誌の企画で部屋の調整をしていただいたそうです。その時は、完全な平行法でしたが、HMさんはその後も調整を続け、今のような少し内向けにされたそうです。音像はほとんどあっていましたが、後ろの柱の中心ではなく、柱の左側付近でしたので、SPを触る前に、CDプレーヤーの台を5mmほど右にずらしていただきました。それで、音像は右に寄ります。幾分上下のバランスがずれてきたので、やはりSPを少しだけ内向きにしていただきました。そして最後は、20.5の位置調整です。最初は平行に、後ろの壁からも幾分離して貰い、その音を確認してから、また元の方句に戻していきました。結果、音が前に出てきたのと、バランスか安定して、以前よりも一層どこで聴かれても良い音になったようです。

良い音が出てきたので、隣の部屋に用意されていた赤ワインで乾杯!。HMさんの印象と、今日の音がどうしても合わないので、本当にこの小さな音量で聴かれているのですかと、一杯入ったあとにお聞きすると、実は、このプリは増幅度が変わるのですと、スイッチを入れたら8db大きな迫力有る音に変わりました。やっぱりと!納得したのですが、それでも、聴きやすい音量でした。いろいろなところで爆音を聞かれても涼しい顔をされているHMさんですが、音量の機微を解っておられるのです。

出されたブルゴーニュは美味しいワインでした。それから音楽談義をして、奥さまもご一緒に一押しのイタリアレストランに向かいました。息子さんの同級生のお店で、家族同様なお付き合いをされているそうです。そこでは白ワインで乾杯。
本場の生ハムとキノコです。美味しくて写真を撮るのを忘れ半分しか写っていません(笑)。気さくな奥さんとも話が弾み、良い気持ちで奥さまの運転のBMWでホテルまで送って頂きました。午後の予定がなければ本場の白河ラーメンにご案内くださるのですが、10時頃には白河を発ちました。HMさんまた来ます。その時はよろしくお願いします。まずは、東京の家の音も聴いてください。ユニコーンのユニットが変わってからは初めてですから。




エム5さんサウンドの奥深さ

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先週のNaruさん邸に引き続いて、今週は夜香さんのご案内で、横浜のMさんとオーディオの第一人者のエム5さん邸を訪れる事になりました。二週続けての強行軍は、海外出張の合間に今日しかないという夜香さんの日程に会わしているからです。年末から、このメンバーでアレキサンドライト邸、Naru邸を撃破(実は沈没させられました)してきた、最後の予定がエム5さん邸だったのです。考えてみれば、恐れおおいことです。横浜のMさんのお宅を訪れたエム5さんが、2チャンネルの音であそこまで出されたのではというのが事の切っ掛けでした。その横浜のMさんにマルチシステムの神髄をお聞かせするというのが、今回の趣旨だったのです。

白河を出るとき、車を見ると、昨日磐越高速を通っていたときに、凍結防止剤噴霧車のあとを走らされたので、真っ白な不凍液が車に噴霧されていました。塩分ですから車に悪いので、白河インターに入る前にガソリンスタンドに入り洗車を頼みました。その時、室内はどうされますかといわれたので、お願いしますと軽く頼んだのが、裏目に出て、洗車に10分、前の車の作業待ちで20分。室内清掃に20分でほとんど一時間かかりました。九時過ぎに来て、出られたのは10時になろうとしていました。家に一旦帰ってから出直すと、東京の正反対に位置しているエム5さんのお宅に着けません。迷ったあげく、車でこのまま向かうことにしました。

エム5さんのお宅は、以前に一度だけお邪魔させて頂くことがありました。その広い専用のお部屋を訪ねられたのが切っ掛けで「GRFのある部屋」を作る事が出来ました。部屋の寸法をほぼ踏襲させて頂きました。その時以来ですから、少なくとも18年は経っていると思います。懐かしいお部屋は、SPが変更されているだけで、前方の風景は同じようにすっきりとされています。

  
先に着いていたので、音は皆さんが来られてからと、雑談をしていると夜香さんがお見えになりました。ところが一人だけで、待ち合わせしているはずのMさんが来られません。どうしても外せないようが入り来られないとのこと。エム5さんの落胆は私も感じました。私も、三連ちゃんが無くなったわけですから、ガッカリしました。それではと言うことに気を取り直し、エムさんのショーが始まりました。

Mさんのところで衝撃を受けられたエム5さんは、従来使っていた絨毯を薄めの物に換えられてから音のバランスが変わり、まだ調整中とのこと。そこで、様々なソースを聴いて音を調整されているところで、山の様にCDが積まれていました。その中からお薦めのCDが次から次へと掛かる願ってもない状況です。


最初は、ポルトガルのファドノアルバムから。ファドというとどうしても年増の歌手を思い浮かべますが、このCRISTINA BRANCOは若手の美人歌手です。先週我々がNaruさんのところで、ブラジル音楽、とくにボサノヴァ系に痺れていたのをご存じなエム5さんの心憎い配慮からでしょう。伴奏も雰囲気も大変よく、もうすぐに注文していました(笑)。

スウェーデンのヴォーカルグループのThe real Groupです。このアンサンブルには驚きました。凄いリズム感とアンサンブルです。ゴローさんのお薦めだそうです。そして、エム5さんはますます加速します。


マライヤ・キャリーの1998年のアルバムです。そこから連想したのでしょうか、これまた初期のToni Braxtonのアルバムも出ました。こちらも負けていません。でも、同じ歌手の今のジャケット見せて貰いましたが、見なかったことにしました(笑)。女性ヴォーカルより男性ヴォーカルの方が良いといいながらかかる曲は女性ばっかりです。その夜香さんの好きな分野・Jpopの曲も掛かりはじめました。


これは手嶌葵のアルバムです。宮崎アニメの主題歌を歌っているのですね。聴いたことがあります。次にギターの伴奏だけのアルバムを聴きました。FAKiEとかいてフェンキーと呼ぶそうです。いまはk&naoという名前に変わったそうです。ギターソロが上手いですね。良い音で録れています。歌もいろいろな分野を歌っていて面白いですね。

昨年の夏の暑い日、夜香さんのお宅へお伺いした時最初に掛かったのは今井美樹の「宝物」でした。あれで引き込まれましたね。その時、夜香さんが今ひとつ考えていた曲が、このアルバム「I Love a Piano」から小曽根真さんとのコラボで「年下の水夫」だったそうです。これは良い曲ですね。ピアノが上手い!

ここまで、息をつかせぬ怒濤の演奏です。エム5さん選りすぐりの名盤ばかりですから、聴かされている方は悦楽の時を迎えているだけです。夜香さんがわざわざ上野で寄って来られたうさぎ屋のどら焼きも美味しいし、言うことありません。そうそうエム5さんはお酒を飲まれないので、安心して今日は車で来ました。これが夜香さんのお宅や、先週のNaruさん、はたまた、アレキサンドライトさんのお宅でしたら、シャンパンに続いて白ワインも空いている頃でしょう(笑)。それにつけても、よりによって、この素晴らしい選曲とサウンドを聴かない横浜のMさんは、気の毒と言うべきか、どんな用だったとしても、準備されていたエム5さんに、とんでもない事だと、思っていました。もっとも口を出たのは、これを聴けないなんて勿体ないなあと少し優しげないい方ではありましたが。

どら焼きと薄皮饅頭のパーティーはまだまだ 続きます・・・次々と繰り出してくる直球に夜香さんもご機嫌です。音もどんどんよくなってい来ます。どこが調整中なのでしょうか(笑)?

肝心の音の話をしていないではないかと思われますが、音楽がしっかりとなっているときは、当然音もしっかりとなっているのです。音の話をしなくてもすむ状態が、一番良い音がしているときであるのは、当然ですね。良い演奏会に行って、今日の音はよかったとか、音質の話はしません。するのは演奏の印象です。音楽を聴いて、どのくらい感激したか、どれほど驚いたかが大事なのです。

現在の段階でも十枚以上のCDが掛かっています。すべて良い演奏で、当然の事だけど素晴らしい音でなっています。エム5さんの装置で聴くと、録音の様子や、編集の様子も、エコーの付け方も合成の仕方も解ってしまうある意味恐ろしい装置です。ゴローさんが、ブルーレイのアルバムや番組を編集されていたとき、最終チェックに持ち込み、エム5さんからクレームが付かなければ完成だと一緒に聴かれていたそうです。でも、空気の変化や、位相の変化が風向きや気圧が変わるように違いが分かると言うと、ゴローさんはやはり、解っちゃうかとため息をつかれ、でも内心違いが分かるのは、エム5さんのところだけだろうと、安心もしていたそうです。いい話です。

ゴローさんのことを語るエム5さんは、とても嬉しそうで、細部まで憶えていて、詳しく語ってくれました。その人はもういないのだという事が、いまだに信じたくない様に話をしてくれました。私は、ゴローさんチームの録音スタッフはどのくらいあるのですかと聞くと、3チーム育っていると嬉しそうに答えられました。各々が、ゴローさんの薫陶をうけて育ち独り立ちして、良い音楽を作っているそうです。

NHKホールとサントリーホールの音の差もお聞きしました。2チャンネルのステレオでもその差は解りますが、マルチチャンネルだと、会場の空気感まで再現すると、ゴローさんがおつくりになったブルーレイのソフトを聴かせていただきました。テレビ番組の収録も5チャンネルでされていて、ホールの差や演奏家の差が、大変良くわかるのには驚きました。センターチャンネルの実在感が、バーチャルではなく、実際に聞こえると音のリアリティが格段に向上します。問題はその調整方法や使用する機器が限られていることです。エム5さんのところで聞くと、会場に漂うアンビエンスだとか、地を這う低音の豊かな響きが再現され、会場の一隅で聞いているようでとても素敵です。

演奏中にトイレに立って、部屋に戻ってきたとき、ドアを開けた瞬間に、コンサートホールの重いドアーを開けて会場に入るあのときめきを感じることが出来ました。特に後方のSPの後ろ側で聞く会場の実在感は本当に素晴らしいです。この様な音でなっているマルチサウンドを聞くのは、エム5さんだけです。ゴローさんがこの音を求めて通われた理由だと思いました。

DATに残されたマルチチャネルの音は、38/2トラのマスターテープの音の明らかに延長上にあり、テープを媒体にした最高峰の音が収録されているのです。紐派の私も大変嬉しい経験になりました。この音は、次回、ぜひMさんにも、また、私の紐派の友人にも聞かせてあげてください。

さて、女性ボーカルの演奏はまだ続きます。今度はタンゴです。 silvana deluigiという歌手でした。これは、本当に素晴らしい。男の歌だったタンゴの歴史を女性に置き換えて歌った歌手だそうです。こういうCDに遇えるだけでも、今日通ってきた甲斐があります。

その次は、ラテン・パーカッションを中心に音楽をプロデュースしているKip Hanrahanのアルバムから「all roads are made of the flesh」を聞きました。これはディープな世界です。

パーカションと言えば、といわれて出てきた次なアルバムには度肝を抜かれました。
Martin Grubingerという打楽器奏者のアルバムです。エム5さんがゴローさんとベルリンに行ったとき聞かれたスタジオで作られたアルバムです。これはすさまじい音がしました。いままで掛かっていた音は、やはり、普通のアルバムだったのです。これは、どうしてエム5さんが38センチのウーハーを使用している901を使用しているかが如実に解るアルバムです。CD時代の音は、今の時代のオーディオ再生は?という常に根源的な命題に明確な答えを出しているのです。最先端のオーディオ再生でしょう。

ゴローさんは、現在の作り手として、アナログレコードには目も向けなかった。昔のコンテンツはテープだと公言されていました。ご縁があってそのテープを引き継ぎ、次の世代に橋渡しをする役割を仰せつかまりました。その意味では、エム5さんも同じ責任をゴローさんから受け継いでいるのです。その使命感が、この最先端の音を支えているのだと思いました。

そして、SACDのとの凄さを聞かされたのは、私も好きなエッシェンバッハがフィラデルフィア・フィルを振って製作された、ONDINEシリーズの作品です。サン-サーンスの交響曲第三番オルガン付きの大好きな二楽章が掛かりました。夢にでて来るような美しい曲です。そして地を這うようなオルガンがオーケストラの向こう側に起立していくさまは、さすがのエム5さんサウンドの奥深さがなせる技です。脱帽しました。

そして、前半最後に掛かったのが、先週Naruさんのところでも聴いた、Grace MahyaのDUGでのライブ録音でした。今回は、SACDのマルチチャンネルです。センタースピーカーからヴォーカルの声が聞こえます。バーチャルではないので、音像は動きません。この演奏と音像には痺れましたね。


次々と掛けられていくご推薦盤を聴きながら、曲の素晴らしさは勿論の事ですが、一枚一枚のアルバムの音楽の作り方や演奏者の背景、つくられた季節さえ感じられるのには驚きました。でも、一番驚いたのは、過去の記録を再生するだけではなく、現在進行形の音楽を目の当たりに聴けたことです。音の質だけで言えば、1990年代のデジタル録音が確立して、広大なダイナミックレンジを収容できる入れ物が出来てから、あとはコンテンツの勝負だと思ってもいました。CDの16ビット/44.1KHzの音でさえまともに再生できない状況では、マルチチャンネルは、テレビに付属した家庭用の装置だと思っていたのです。数年前にゴローさんのお宅で聴かせていただいた5チャンネルの音も、素晴らしいけど、部屋の狭さを克服するのには面白いけど、いろいろと可能性を追求するオーディオマニアには、制約を作る物だと思っていました。

バンドルネームのエムはマルチチャンネルのMで、数字の5は、5チャンネルを現しているそうですが、何時もマルチでならしているわけではないのです。前半に掛けられたCDはすべて普通のCDで、前方左右の2チャンネルだけがなっていたのです。視覚効果は大変強い物で、センターにSPがあるとそこからなっているような気がしてきます。近づいていっても直前1メーターではまだ鳴っています。鳴っているように聞こえます。50センチまで近づいて、ようやくなにも鳴っていないのだと気がつくのです。それほど、左右のSPの位置出しも合っているし、後ろに置かれたパワーアンプの位置調整も当然のように行われています。

エム5さんの基本コンセプトは、左右上下が平行で、たとえ定在波が出ても、吸音をするとエネルギー感が失われるので、壁の反射を使いつつ、そのエネルギーをコントロールするという物です。これは経験がなければ出来ません。その為にSPの間や左右の壁には部分的に吸音素材が張ってあります。右のSPの後ろに見えるピアノの椅子も偶然あそこに置いているわけではありません。今回の音の再調整も、SP前方に見えるカーペットを厚手の物から薄手の密度が高い物に換えたからだそうです。それで音全体のバランスが狂い、普段は聴かない女性ボーカルを聞きながら再調整されている最中でした。

エム5さんは、恐らくステージのなるべく前方で、オーケストラの出すエネルギーを受け止めたいと思われているのでしょう。演奏のディテールを聞き分けたいと、しかし、それでいて演奏会場の大空間に昇華して拡がっていくホールトーンも再現したい。この様に思われているのではと音を聴きながら思いました。サントリーホールのFMやテレビからの音源を聴かせて貰うと、正しい5チャンネルはこれだけの情報を伝えているのだとはっきり解りました。皮肉なことに、5チャンネルを再現するにはやはりそれだけの空間を必要とするのです。

スペースと床の強度、天井の高さ、何よりも機器の選定、使いこなし、自らの部屋の中での位置の設定と調整、それらを積み重ね、試行錯誤し、苦しみ、もがき、自分だけで探していく、孤独な、でも楽しい作業が必要なんだと、当たり前の事を再確認させたいただきました。エム5さんの膨大な経験と自らに課した高い目標、時代の最先端を行く冒険者の自負と苦しみ、それらが音となって伝わり、感動しました。

お聞きしたことも沢山あります。一番大事な入力の質をどうして高めるか?マルチの時のプリアンプの役割、ケーブルの選定と使いこなし、音が本来の持っているエネルギーを失わない方法、部屋の中でのSP位置の調整とその周りの調整方法、聴きやすい音ではなく、より高みを目指す思いなど沢山のことをお聞きしました。それらに自分の経験則と同じ方向の答えが帰って来たときの喜びも感じることが出来ました。そう、そうなんだよ〜という共感です。何十年も掛けてきた人達しか解らない喜びですが・・・。その様な会話が出来たことも、今回の訪問の大きな喜びでした。

暗くなってきました。頃合いを見計らって、スクリーンが降りてきます。140インチの大型です。やはりこのくらいの大きさになると、迫力があります。プロジェクターは最新の4Kでは無いけれど、私には充分すぎる画質でした。スクリーンに寄ってドットを見てみましたが、1メートル以内までこないと全く解りませんでした。光量もコントラストもこれぐらいで充分です。今なら中古で、10万円台前半で買えるそうです。ぐらっと来ました。

部屋一杯に拡がる大画面があり、マルチで掛かった「レ・ミゼラブル」の記念コンサートは凄い迫力でした。実際の生のオーケストラの音とは違うけれど、マイクとSPで作られた音だけど、素晴らしい迫力で迫ってきます。特に低音の迫力有る音には痺れます。38センチウーハーの面目躍如です。私の部屋には、大型ウーハーだけでも6本もいるのです。一瞬の内に頭の中は妄想で一杯になりました。遊んでいる資源の有効活用などと言う、お役所のような台詞も浮かぶ始末です。しかし、実現させるには大変な時間と調整が必要ですね。

高速を移動すると、しばらくの間は耳が落ち着かないようです。エム5さんも、東北から直行してきた私の耳を気遣ってしばらくは、雑談で部屋の音に慣らしてくださりました。しかし、私達にとって、エム5さんのお宅から戻って自分の音を聴いたときの方が、耳がおかしかったです。一緒に行かれた夜香さんも、同じ様な感慨を持たれて、ご自分の装置の総点検をされているそうです。私も、インターコネクトとSPケーブルも交換しました。エム5邸の影響は、高速道路の比ではなかったのです(笑)。

夜香さん、お忙しいスケジュールを調整していただき、本当にありがとうございました。





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