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Channel: GRFのある部屋
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久しぶりの本格的な雪

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東京に雪が降る条件は、太平洋側を低気圧が通るときです。通るコースが沿岸に近いとおおむね雨になりますが、沖合を発達しながら通り、北からの寒気を引き寄せると太平洋側にもまとまった雪を降らせます。今日がこのパターンでした。明け方までは、雨だったのですが、気温が下がり、九時頃からは雪に変わりました。そしてどんどん降り続き、大雪になったのです。

重い雪は公園の木の枝を折るぐらいになりました。

またたく間に積もっていった雪は、屋根の上に降り積もっていきます。シェルブールの雨傘のような暗いシーンですね。気温は0度でした。
朝の凍結が心配です。
夜が明けると

マキOZのレコード

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Commented by (Y) at 2013-01-08 18:15 x

まさかこのblogにマキOZが出てくるとは思いませんでした(笑)。実は私、マキOZのトリビュートバンドもやっています。いろんなライブハウスのオーナーに気にいられて、頼まれて去年は5回ライブをやりました。みんなそういう年代なんですね。もちろんこのライブアルバムも持っています。というか、これのコピーバンドみたいなものです。だからオーディオ的に鑑賞したことないんですよ。あくまでもカバーする素材なんです。聴く耳と演る耳ではスイッチが切り替わってしまうので、仕方ないですね(笑)。

さすがの(Y)さんです。、マキ/OZのトリビュートバンドもやられているなんて。(Y)さんとは長いお付き合いですが、まだまだ彼の活動の半分も知りませんでした。面白いのは「聴く耳と演る耳ではスイッチが切り替わってしまう」というところです。何でもそうですが、仕事と趣味ではスイッチが切り替わるのと同じですね。でも一度その爆音?を聞きに行きたい物です。

出張に行く前の晩、このマキ/OZのレコードが来ました。新品未使用盤見たく、全く触られた痕跡がありません。ビニールもレコードも昨日作られた様です。夜遅かったのですが、寒い部屋のまま、少しだけ聴いてみました。遅い時間だから、爆音系では掛けられません。もっとも家の爆音系は普通の倍ぐらいですから大したことはありません。本当の爆音のお宅の十分の一もないでしょう。最初は恐る恐るGRF系で。
レコードは新品でした。プチ音一つしません。舐めるように掛かっていきます。しかし、何だかもの足りません。気になるのは、このレーベルの色です。真っ白です。Naruさん邸で聴かせて貰ったときは、少し黄色掛かったレーベルだったように思いました。でも、デコラではどんな音がするのだろうかと聴いてみると、こちらは小さな音でも迫力満点。寒い中、四面目を最後まで聞きとおしました。カルメン・マキは凄いですね。そして、このバンドの神がかりな演奏。

厳寒の北海道、ちなみに、午後三時の札幌駅でもマイナス8度でした、の出張から戻ると荷物が沢山着いていました。暖房が切れている部屋で、開封すると、マキ/OZの今一枚のレコードも到着しています。右側の本はベルウッドさんのお薦め本。ちらりと見ると、「運命・・」はとても解りやすい。図解付きで説明もマニュアルみたい。一方、「絶対音感」の方は、ノンフィクションで難解で暗い。でもこれらの本は週末の楽しみに。ちなみに、下のCDは、左がブラジル、右がポルトガルのファド。さて家ではどの様になるか?でもそれも後回し。

早速、今一枚のレコードを開封してみました。こちらは、使われていますが、ジャケットはまだまだきれい。中のレコードのレーベルの色が違う。黄色いでしょう。よく見ると、プレスされた年が違います。こちらの黄色の方がオリジナルでした。1978年のプレスです。白い方は再発なのでしょうね、1988年でした。

よく見ればレコード番号も違うではありませんか。何よりも違うのは、溝の長さです。黄色い1978年盤の方が、目一杯切ってあります。ですから、音が違うのは当たり前。これから、こちらの黄色のプレスの程度の良いのを今一度探す必要があります。

しかし、マキさんは気合い入っていますね。デコラで聴いている人はさすがにいないでしょうが、良いものです。


のんびりできた土曜日

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北海道へ行くと、屋外はマイナス十何度なのに、室内は28度ぐらいあり、セーターを着れないぐらいの暑さが普通なのです。先日も余りに暑いので、ワイシャツ一枚でいました。
東京に戻ってくると、先日の雪の影響で、最高気温もまだ5度以下で、朝晩は氷点下に下がることもあります。でも、暑いとあたまがぼーっとして働かないので、和室は20度以下にしています。夜は、ストーブを入れないと15度以下に下がるようです。廊下はもっと寒いので、もっぱらドテラを今でも愛用しているのです。着るのに楽だし、暖かいですね。でも、SPの音を調整するときには、脱がなければなりません。ドテラに吸音されて音のバランスが狂うからです。

土曜日、白河からHMさんが上京されました。先週、素敵なお宅にお伺いして、バランスの整った柔らかく、でも熱い音を聴かせていただいたばかりです。今回は東京に新しいアンプの音を聴きに来られた様です。その前に、ユニコーンとデコラを聴きに来られました。先週は展示会出品中に北海道を往復するようなスケジュールだったので、部屋が相変わらず片付きません。すっきりとしたHMさんのお部屋を知ってしまった私には散らかした部屋は荷が重いのですが。

GRFさま

昨日はご無理を言って、GRFさんが手塩のかけて作り上げてシステムをお聞かせいただき、その上に旨いお酒とおそばをご馳走になり、耳もお腹も大満足をさせて頂きました。

早速聞かせていただいたユニコーン・・・あの狭いスペースでも目を瞑って聴くと大きなホールにいて聴いているような感覚で、リスニングポジションの真後ろが壁にもかかわらず・・・ユニコーンが奏でる音がやさしく体を包み込んで・・・スーと抜けてゆきました!!信州と岡山のアンプの組み合わせも絶妙で、CDPは聴く音楽でEMMの良さ、34改の良さが出ていました・・・彼女が2人もいて楽しいですね。

GRFは信州のアンプが味わいを確りと出して、やさしく春のそよ風のような、体に心地良い音がしていました。

デッカには驚きました・・・単なる電蓄ではありませんでした!!

GRFさんの愛情と情熱であそこまで仕上げた、その心意気が音に乗って、上も下も関係ない・・・モノラル盤、ステレオ盤とカートリッジを使い分けて聴かせて頂きましたが、夫々に相応の音がしました。モノ盤をモノカートリッジで聴いて・・・奥行きや楽器の配置が判る感じがしました。ステレオ盤での越路吹雪のステージの大きさが・・・ヘレン・シャピロの歌・・・嬉しくなってしまいました。

愛情を持って器機をいつくしみ接する・・・それがいい音を出す秘訣だと。学ばせて頂きました。

ありがとうございました。

こちらこそ、わざわざお寄りいただき、ありがとうございました。また、遊びに行きます。じっくり日本酒でやりましょう。入り口は2人ですが、出口は7人もいるので、お渡りが大変です(苦笑)。

ユニコーンは、先日SPケーブルを換えたまま、結論が出ないままでしたが、聞きながらやはり元のケーブルに戻したりして、その差を聴いていただきました。HMさんも、従来の方が音楽がなると、コンサートホールの空間が再現できると言われました。同感です。先日は、部屋も暖まらずに寒いとき、ドテラを着込んだまま聞き比べていました。そうすると、高域が吸われ元気の良いケーブルの方がバランスが良かったのですが、普通の格好だとやはり従来からのケーブルのバランスが良いようです。このぐらいでもバランスは大きく変わります。怖いしまた面白いですね。

幸せな日曜日 マーラー第5番 

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今日の午前中は、先日来た「絶対音感」という本を読んでいました。ノンフィクションで面白く、どんどん進みます。絶対音感の教育や、日本のドレミの特殊事情。絶対音感と相対音感の違い。五嶋みどりと龍の違い。龍君と日本のオーケストラのピッチの問題。実は私はテレビのドキュメンタリーで、五嶋龍君の日本デビューを聞き、ピッチが高すぎて狂っていると感じていました。日本的にみるとその通りなのですが。問題はピッチではなく日本の平均律教育による音律の問題で、これは大変です。

夢中で読んでいたら、もうでかける時間です。そのまま、地下鉄の中でも読んでいました。地下鉄副都心線に新宿三丁目で乗り換えて急行に乗ると、あっという間に池袋駅の西口。芸術劇場の下にでます。新装なった芸術劇場。例の恐怖のエスカレーターは無くなりましたが、それでも、まだ三階分は登らなくてはなりません。行きは、エスカレーターを乗りましたが、帰りはエレベーターで降りてきました。

今日は、昨年末の第三番に引き継ぎ、マーラーの第5番をエリアフ・インバルの指揮で都響の公演です。昨年聴いた三番の弦セクションの素晴らしさから、第四楽章を楽しみにしてきました。最初の曲は、小編成でモーツァルトのフルート協奏曲第二番、前日の横浜公演では、同じマーラーのリュッケルトのしによる歌曲だったのですが、どういうわけか、今日はモーツァルト。独奏は上野由恵さんです。初めて聴きましたが、清楚で良い演奏でした。でも、なぜマーラーの前にモーツァルトなのでしょうか?

休憩後は、一気にメンバーが増えて、打楽器も多いマーラー特有の編成です。冒頭のトランペット、幾分ピッチが低く感じたのは、今まで読んでいた本の所為ばっかりではないでしょう。第一楽章と第二楽章は休みなしで良い展開です。第三楽章は好きな楽章でホルン協奏曲みたくホルンが活躍します。冒頭のところも素晴らしいですね。繰り返しで、少し裏返りましたが、気にせずどんどん進みます。弦楽器が良くなってきました。第四楽章の前で、指揮者は一旦中座して、チューニングのやり直しです。音を合わせてから、アダージョへ。期待通り弦が良いですね。在京のオケでも都響が一番でしょう。特に低弦が良いです。チェロの美しい響きは、滅多にしませんし、コントラバスの柔らかな弾き方は、○響とは大違いです。勿論、ヴィオラも第一、第二のヴァイオリンも言うことありません。最終楽章の弦の響きの良さは、本当に素晴らしい。木管も、金管も完璧です。

唯一気になったのは、今回も打楽器でした。トライアングルの音色がくすんでいるのと、ティンパニーの響きが薄いです。大太鼓が弱く、シンバルの音が潰れます。これは鳴らし方もあるでしょうが、ステージ奥のオルガン下のくぼんだところに音が入り、飽和するような気もします。オルガンのステージが打楽器の天井を塞ぎ、音が上に登らない所為かもしれません。もっとも横浜でも、気になったので楽器や鳴らし方の問題かもしれません。もしかすると、打楽器のピッチが少しだけ低いのかもしれません。いずれにしても打楽器がもう一段迫力があれば言うこと無しです。インバルの演奏は、何時も変わりません。今日の最終章の盛り上がりも見事ですが、まだ狂うばかりという音が出ていないのだけが少し不満でした。

終わったら、エレベーターに乗り、地下鉄ですぐに帰って来ました。新宿三丁目で久しぶりに伊勢丹により、変わった売り場に戸惑いながら、おつまみを買ってきました。家に着いたら白ワインを開けて、マーラーの余韻を少し冷ましました。幸せな日曜日でした。

ABBADOのBeethoven

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最初にABBADOを聴いたのは、かれのウィーンフィルのデビュー盤のベートーヴェンの交響曲第7番でした。1967年頃だったと思います。実にはつらつとした演奏で、時代が変わったと思える彼にとっても記念碑的なデビュー盤になりました。ウィーンフィル特有の切れ味のよい音で、小気味良いテンポで進んでいきます。オーボエやフルートの鳴らし方が斬新でした。その手法は今も変わりません。彼の音楽の特徴はかれの棒の降り方一つでもはっきりと解ります。開放的で、ジャケットのバッカスが踊っているのがピッタリな演奏でした。
このレコードは、昔西銀座デパートの中に有った輸入盤専門店でカラヤンの「惑星」と一緒に買ったような覚えがあります。同じ頃ショルティの「バルトークの管弦楽のための協奏曲」も買ったように思うのです。英デッカの輸入盤は国産とはまったく違った良い音がしました。赤坂にあったFRの試聴室で、SONYのTA-1120でも聴いた覚えがあります。その頃デビューしたソリッドステートアンプは、数寄屋橋のSONYのショールームでは、カンカンの音がしていましたが、FRではしっかりとした良い音で鳴っていました。

Abbadoの演奏はとても特徴的です。はつらつとして音が透明で、常に前向きな音がします。イタリア的というのがピッタリと来る演奏ですね。その彼が、2001年にベルリンの常任を辞めるときに出したのBeethoven交響曲全集を昨晩は出してきて聴いてみました。以前掛けたときは、演奏が早いのと、音が軽くて敬遠していた盤です。少し後にでた、同じベルリンフィルでの全集とはまったく違う演奏なので、おもしろいのです。
Abbadoが指揮するベルリンもウィーンもピッチが高いように感じます。その音の高さも活き活きと聞こえる原因の一つかもしれません。

2001年の録音は、良い音がします。ケーブルも整えた、ユニコーンのシステムで聴くと、本当に低い音がしっかりと入っていて、ベルリンフィルの躍動感を感じることが出来ます。この頃は、24Bit/96KHzの仕様が確立した頃です。問題はそれをしっかりと再生できるかに掛かってきます。その意味で、このベートーヴェンが、しっかりと聞こえてこない内は、まだまだ調整の余地があると言えましょう。Abbadoの録音は、ほとんどが優秀録音です。指揮者の意志がはっきりと出ているからでしょう。いつでも若々しい音がしますが、今年で彼も80歳です。

Rectangular GRFもある部屋

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昨年の暮れは、いつもにも増して年末まで飛び回っていました。ようやく落ち着いてきたのは、年賀状も送り終えて、大掃除も行った28日の夕方になってからです。夜になって、久しぶりにebayのTANNOYのコーナーを眺めていました。といって、もう購入するものはないのですが、数年来片割れとなっている、コーナーランカスターを探しています。この数年の間にシングルのコーナーランカスターが二度ほど出品されたのですが、一度は、競り負け、一度は、海外出張中で回線が繋がらず見送ったことがあったからです。自分で使うつもりはないのですが、シングルのまま、玄関のオブジェになっているだけでは、可哀想ですから。

仕事が終わった開放感から、夕方にはお正月用に取り寄せたワインの味見?をはじめていました。少し気持ちよくなった目に飛び込んできたのが、Tannoy rectangular GRF Loudspeakers fitted with mint 15" goldsという出品でした。少し前に比べて対ポンドは10円近く値下がりしています。Buy it Nowですから、クリックすれば即落札です。それを見たとき、もうワインを半分以上開けていました。年末の開放感もあり、気がつけばクリックして、数分後には、決済もしていました。ランカスターのペアーが3900ポンドもする時代に、信じられない価格なのですが、やはりコーナー型と違ってレクタンギュラーは人気がないのかもしれません。

翌日の忘年会が終了するとき、こらえきれずに昨日購入したと興味のある人に告げました。どこに置くの、という至極まっとうな問いにも、4本目のワインに手が着いてハッピーな私には、人生何とかなるさという気落ちでした。正月明けてからは、仕事もオーディオ訪問も一段と忙しくなり、文字通り忙殺されていてGRFのことは忘れていました。年末の話だから早くても一月末だろうと思っていたからです。輸送会社から連絡があったのは、今週の月曜日、通関したのが火曜日で、水曜日の朝には配達されていました。元払いで運ばれてきた荷物は、輸入諸費用と輸入消費税を支払ったら、車庫の中に黒のビニールパックされた現物がありました。慎重にその梱包をほどいて行くと、中から表れたのは、昨日つくられたようなレクタンギュラーGRFです。
一つ一つ、慎重に運び入れて、何はともあれ置くところがあるか、並べてみました。
何とかDecolaとGRFの間に収まることは収まりました。しかし、こうして並べてみると、我ながら壮観ですね。

しかし、肝心なのは音です。Monitor-Gold がつくられていたのは、1967年から1974年の7年間でした。少なくとも40年以上は経っていることになります。まして、長い間使われなかったのであろうし、この寒さの中、運ばれてきたのです。しばらくは、馴染まさなければいけません。小さな音で音楽を掛けて置きました。

夕方、仕事が終わってから、今度は少しボリュームを上げて聴いてみると、少しずつ目覚めてきたようです。柔らかな音です。内部を見てみると、Monitor-RedのようにSPは偏芯しては居らず。中央に配置されています。なぜ、Redの時代は左に偏芯して着いていたのか解りません。ネットワークは、ホーンの中に取り付けられています。

このGRFの構造は、キャビネット中に今ひとつホーンが入っているという二重の構造で、一見薄く見えるキャビネットの厚さは、合計では35mmも有ることになります。見かけより遥かにしっかりしているのです。

夜になって、知らせをうけたA氏さんが、お祝いの白ワインを持って駆けつけてくれました。二人でちびちびやりながら、早速試聴です。Monitor-SilverのGRFをお持ちのA氏も満足そうな顔になりました。盛んに頷いています。Tannoyはこうでなくては、とつぶやいています。非常にきれいで柔らか響きです。最初は、ただ置いただけで慣らしていたのですが、音がほぐれてくるとやはりピントを合わせようと言うことになり、簡単ですが合わせてみると、奥行きが出て音が立体的になります。

気がつけば、ワインは空き、夜も10時をすぎていました。調整をしながら、下にカーボンを敷いたり敷かなかったりの実験もしていたので、ドタン・バタンと家中に音を響かせていたらしく、家族からクレームが入りました。もっともなので、移動は止めて音楽に専念しました。レコードとテープが中心です。最初の日としては、上々です。A氏もご機嫌にかえられました。

明けて今日の夕方には、psdの大山君が早くも駆けつけてくれました。別のプロジェクトの打ち合わせに来てくれたのですが、そっちのけで、新しいGRFと少しだけDecolaも聴いていただきました。昨日は、レコードとテープだったので、今日は、HD1からのデジタル入力で、タンノイにはめっぽう強いSD05で鳴らしてみました。途端に凄い音場が出現。そこで位置も"Consequence"の位置に移動すると、後ろに広大な音場が展開します。それには大山君もビックリ。散々長岡式バックロードホーンを作ってきた彼も聞いたことの無い音に驚いていました。私も同じです。この位置はこの部屋のベストポジションですから、良い音がして当たり前なのですが、音色もHartleyの見通しのよい音になり、実在感が今までのTANNOYとは違うコンシーケンスやハートレーの音色が出てきたのです。
久しぶりに聴く、HD1とSD05の組み合わせもこの音場構成には一役も二役も担っていますが、しっかりとしたバックロードホーンの凄さを改めて認識しました。二人で話し合ったのは、DecolaもこのGRFの50年間も前の製品です。音楽を聴くのには、何の過不足もありません。どうして今のような方向に走ったのか。何故、音楽観賞用ではなく、モニターSPの方向に向かっていったのか?その大きな疑問を投げかけてきます。日本のオーディオシーン、そしてそれを世界に輸出していった方向が、どうやら間違っていたようにこの音を聴くと思うのです。

私は、その道にいく前の音を追い求めているのかもしれません。そして、その方向に今でも向かっているのが、和室で愛用しているUNICORNなのでしょう。部屋を選ばないという大きな利点があるのですが、通常のオーディオ店ではその真価が見いだせないのかもしれません。

大山君が帰られたあとも、次々といろいろな音楽を掛けて見ました。とはどんどん繊細に柔らかく展開していきます。HD1のハードディスクに入っている様々な分野の音楽を掛けましたが、すべてが聴いたことの無いような音であるのです。分野を選ばないのが凄いです。ケーブルもこの時代の線に変えて、位置も微調整すれば、もっともっとよくなっていくでしょう。当分、実験は続きます。

いやいよ、英国スピーカー博物館見たくなってきましたね。しかし、コーナー型を聴くときには、どこに片付ければ良いのでしょうか(笑)。

中央高速を走ってみました。

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今日は茅野の家を往復しました。12月の初めに笹子トンネルの事故があって、中央道がしばらく通れませんでした。12月の二回の関西出張は、東名経由でトラックに挟まれて難儀しました。12月末から下り線を使った片側通行になっています。週末の混雑を避けて金曜日に日帰りをしてきました。笹子トンエルの手前の初狩パーキングは、上下線とも何時も使うところです。顔なじみになっているお店の人に訊くと、事故で通行止めになっても道路会社からは何の保証も得られないそうです。上り線側は、ほぼ一月止まっていたのですから、従業員の保証等も大変なのでしょうが、道路会社の親方日の丸意識はこの辺にも表れています。
峠にさしかかると、あと三百メーターで交互通行の看板が出てきました。

片側通行になると、トラックが覆い被さってくるようでやはり怖いですね。向こうは下りですから、自然と速度が上がっていきます。
トンネルに近づくと、上り車線の上に仮説の住宅が並んでいました。高速道路上に住宅が並んでいるのも異様な風景です。休憩施設になっているのでしょう。このあたりには、何も無いですから、工事をしている人達の休憩や宿泊施設が必要ですね。
トンネルに入るとすれ違う車の騒音も大きく、緊張します。天井が取り払われていて今までとは違う風景です。急遽取り付けた換気用のファンが目新しい風景です。広々として良いですね。上り線が開通したら、走りやすくなるでしょう。

笹子をすぎるとすぐに勝沼の出口。正面に南アルプスが堂々と並んでいます。今日は雪雲が山頂付近を覆い、北岳など主峰は見えません。甲府もまだ暖かな気候でした。今晩から寒波が来るそうです。その予兆はこの皆アルプスの高峰を覆っている雪雲なのでしょう。

諏訪南インターを降りるといつもの静謐な世界が拡がっていました。気温はマイナス2度です。さらさらとした雪が流れていました。
このあたりまでは来ないのですが、北の方から雪雲が来ているのが解ります。原村当たりは、太平洋側の気候で、この雪は東京に雨や雪が降るときに積もったのです。でも、今回のような大寒波が来たときは、八ヶ岳も南アルプスも押し寄せてくる雪雲に覆われるのです。
地元のニュースでは今朝おみ渡りがあったそうです。二年連続です。通ったのは三時頃だったので、川のところは氷が溶けていましたが、明日からはしばらく全面結氷でしょう。この寒さも、今年かぎりかもしれません。原発が動き出したら、また膨大な熱を海に放出するからです。

富士見まで戻ってくると、くっきりと富士山が浮かんでいます。高度が高いこのあたりからは裾野まで見えていますが、だんだん下がってくると前方の山が裾野を見えなくさせます。それでも、今日はとてもよく見えますね。




まるで美術館のような

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この写真に写っているコーナーに有るタンノイはGRFではありません。一回り以上大きなAutograph millenniumです。とても小さく見えませんか?そしてその内側に並んでいるのは、タンノイ史上最強とも言える18インチのウーハーを搭載したKingdomです。小さく見えるわけは二階まで吹き抜けになっている5m以上もの天井高にあります。部屋はほぼ正方形で、一辺が8メートル近くあります。畳換算だと40畳ぐらいでしょうか?天井高が二階までの吹き抜けですから、20畳の部屋のボリュームの4倍はあるわけで、大音量を出すためにはアンプには相当頑張って貰わなければなりません。
反対側のガラス戸の上は、文字どおりの美術館です。素晴らしい空間です。個人のお宅というより小型の美術館ですね。部屋の構造も壁構造で、この高さを保っているのですから、いろいろ技術的に工夫があるのでしょう。柱が内空間は気持ちの良いものです。八ヶ岳の康耀堂美術館の感じです。通りに面したお宅なのですが、外回りをコンクリートの壁で覆い、外側に向けては窓は全くありません。防音にも防犯にも最適です。その壁の内側には京都の中庭見たく緑が配置されています。大きな窓は真空の二重窓で、しっかりとした防音と気密を保っています。都会の中に作る最適な方法でしょう。建ぺい率はその中庭で補えます。

Kingdomの48センチウーハーには専用でマッキントッシュの1200Wが充てられています。上の3ウェイは300Bでドライブしている845です。ドライバーと出力段は別々のトランスから供給されているのだそうです。文字通り超弩級でした。この部屋の主のTさんが、 Kingdomの中を開けて見せてくれました。重量級のSPで170キロもあるそうです。バッフル厚さが半端ではありません。どうやって搬入されたのかといぶかる程の重さです。もっとも、この部屋は一階で真空ガラスのおおきなガラス戸がありますから、問題は無いのですが。
詳しい器機の説明を受けてから、そのKingdomから聴かせていただきました。マルチアンプ方式ですから、低音の力強さは驚くほどです。幾分内向きですから音像が中央に集中してきます。そのエネルギーを受けた止められるのが、Tさんはお好きなのでしょう。タンノイの旧い、すこしすきま風が吹いているような音が好きな私には、少し重かったです。チェロソナタが時としてコントラバスソナタにも聞こえてきます。どの曲も力が入っていて、極めてオーディオ的な音がすると思いました。お聞きすれば、調整のアドヴァイスをされているのが、ベテランのレコーディングエンジニアとのこと。スタジオで再現される音を目指されているのだと解りましたが、私には大音量で、そこし刺激が強いと感じました。大排気量車の圧倒的なパワーは解るのですが、サーキットで最高速を出す為に作られていて、オーディオ的には、快感ですが、これで一般道は走れないと思いました。


Tさんは、出版関係の仕事で功績があった方です。現在も、クラシック専門誌のMostly Classic誌の発行人をされています。クラシック音楽、オーディオ、お仕事の出版のすべてに造詣が深い方です。そして美術にも深いのは、この私的な美術館のようなお宅を拝見すれば解ります。極めて趣味のよいのは、無駄を排したお宅の作り方を拝見すれば解ります。また、これと信じると信念を持って真っ直ぐ進まれるのでは思いました。器機の選び方でも解りますね。SPはタンノイですが、アンプはフェーズテックとViolaです。その他、アクセサリーにも凝られています。適材に配置されていて効果を上げていました。


さて、いよいよ、オートグラフです。Kingdomに比べれば、オートグラフは音量も小さいので、室内楽や小編成に使われているとのこと。そんな事は無いはずと思っていました。しかし、7メートルも離れているので、音量を上げないと中抜けするかとも思いましたが、そんな懸念も聴いた瞬間無くなりました。しっかりと中央の定位もなされていて、さすがにAutographです。言うことはありません。Kingdomとは正反対の音と言ってもいいぐらいです。入力の質をよくすれば一変によくなると感じました。掛かったCDは国産のCD特有の音がしているのです。少し厚かましいあの音です。それでも、必要かつ充分な帯域でゆったりと鳴るのは、オートグラフ特有の音ですが、小さな部屋で聴くような飽和感は全くありませんから、どちらかというとGRF的な音で鳴っています。この部屋の音がそうさせるのでしょう。これだけの大きな部屋で平行面もありますから、所々残響が聞こえることもあるのですが、床の絨毯(恐らくニュージーランド製)の吸音が聴いているのでしょう。

Tさんが以前家に来られた時、家の音よりもレコード棚の方に興味を持たれたのを覚えています。それはそうでしょう。音の大きさがまったく違いますから。それで、今回も何かオリジナルレコードを持って来るようにと、仲介していただいたUNICORNの先輩のAさんから言われていました。そこで、私のの好きなカラヤンのシベリウスとハイティンクのブラームスを持ってきました。それと、コントラバスのシュトライヒャーのコントラバス協奏曲。そのシュトラヒャーが加わったシューベルの鱒。最後に定番の越路吹雪の1979年盤です。

カラヤンが静に掛かりはじめました。イエスキリスト教会の高い天井に音が吸い込まれていきます。素晴らしい弦の合奏です。さすがにオートグラフは弦楽器になると素晴らしい音を奏ではじめます。大編成のオーケストラが悠然と鳴っていきます。私のこれだけの間隔のコーナースピーカーでは聴いたことはありません。私の部屋でも長辺方向に置けばこの間隔が得られるのですが、奥行きが足りませんから、三角形の内側で聴くように鳴ってしまいます。でも、何時か実験はしてみようと思いました。


ハイティンクのコンセルトヘボウも素晴らしい弦合奏です。木管楽器の融合されていく様も素晴らしい音で鳴りました。シュトラヒャーのコントラバス協奏曲は、太いコントラバスがゆったりと鳴っていきます。私ならこのAutographだけで良いのにと思っていました。Kingdomは反対側の棚の方におかれて、ソファーを今一台入れて座ればまったく違うシステムが聴けて面白いです。しかし、今ならこのKingdomを使った5チャンネルも凄い音がしそうです。前面の壁を使った大スクリーンも可能ですね。

最後は、いつもの越路吹雪です。左右のオートグラフから離れた中央にコーちゃんが立って歌っています。凄い実在感です。日生劇場のステージが出現しました。これだけの距離と高さがが必要なんだと思い知らされました。どこか、田舎の古民家を手に入れて改造するしか有りませんね。何だか急にやる気が出てきました。


短い時間の訪問でしたが、大変参考になりました。Tさんもレコードの良さが解っていただいたように思えます。そのうちRoksanにされるそうです。Aさんと盛んにアームの話をされていました。次回が楽しみです。




今年の一月は盛り沢山

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この一月は、三件の新しいお宅に伺うことが出来ました。こちらから訪問して、感動出来るのは大変素晴らしい経験です。オーディオを50年以上もやっていると、どうしても自分の考えが固まりがちなのですが、素晴らしい情熱でオーディオ道に邁進している方々の装置からはオーラが出ているのが解ります。その情熱が音に、音楽に表れるのでしょう。お三方とも装置の調整は完璧で、皆さん個性的な音をきけて嬉しかったです。問題は帰って来てしばらくは、その強烈な印象からいろいろ影響されて、自らの装置に足りない部門を探して見たりします。

しかし、結局は聴いている音楽の分野も違うし、求めている音も違いますから、同じ音は決してしないのです。もし、同じ様な部屋に、同じ装置を持ち込んだとしても、決して同じ音はしないでしょう。それは、聴いている人の経験が皆さん違うからです。同じ演奏会に行っても、座る位置が一つ違っても同じ音がしないのは、皆さんも経験されているでしょう。でも、どこの席に座ってもその場の空気を共有したわけですが、同じ様な感動が得られるかは、いろいろな要素が絡み、難しいのかもしれません。そしてそれぞれの席で聴いている音楽は、1000人いれば千通りの音楽を聴いているわけです。ロックバンドのコンサートと違い全員がスタンディングで踊りまくっているのとは違うからです。

私の場合は、自らの経験からきたコンサートの理想型を思い描いているのでしょう。不思議なのは、ロックコンサートなどPAを使っている演奏会の音の基準は、そのPAの音なのでしょうか?アンプラグの音しか聴かない私には、調整の基準が難しいのです。その意味で、PAを実際に扱っておられた横浜のMさんのお宅の音は、私の経験を拡げてくれるのです。一言で言えば気持ちよい音の範囲ならどこまでも追求すべきなのでしょう。私は余り経験はありませんが、むかし連れて行かれたディスコなどの強烈な低音には、耳が堪えられないのです。オーディオをされているお宅で、限界をこえた音量で聴かれている方も居られますが、私には無理です。そんな暴力的な音を聴かされてに三日程耳が遠くなったこともありますので。

そこに行くと、正月に訪れたNaruさんのお宅の音はとても気持ちよかったです。その証拠にマキ/OZのレコードを買い求めたぐらいですから。もっとも、家の装置ではあの素晴らしい音は出ませんが。またエム5さんのお宅で聴いた禁断のソースには痺れました。あの音源は手に入らないので、高望みはせず、その点は安心ですね(笑)。そして、今週の田園調布のお宅の天井高とオートグラフの距離感。ステージが出来ていました。いろいろな目標が出来て有意義な訪問でした。

私は、二種類の音を追い求めているのでしょう。一つは広い部屋でゆったりと聴く装置です。今ひとつは、狭い環境でも、その狭さを忘れる音場の再生です。ユニコーンが入ってから、その方向もどうやら解決しはじめたようです。六畳の大きさで、真っ暗にするとコンサートホールが拡がっているという、異空間を体現できます。それも、マルチでは無く普通のステレオで出てくるのがすごいです。人間の脳の動きが、経験がそのイメージを見させているのでしょう。その意味では、経験のない人にはまったく違う音に聞こえているのだろうと思いますが。

今回のレキュタンギュラーGRFの音は、いろいろな意味で、常識を覆してくれました。ホーン型では、音場の再生は難しいと言われてきたのですが、平行法で配置すると、後方に音が拡がり、奥から音が来る独特の音場が出てきます。非常にしっかりとしたつくりで、通常のタンノイとはまったく違うアプローチが取られていました。レキュタンギュラーGRFは数も少なく、その音を聴かれた方も少ないと思われます。i さんのレッドともまったく違う音には驚きました。





二つのGRFのある部屋

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二つのGRFのある部屋 様

「もうひとつGRFを購入したんですよ」と伺ったのが昨年末、それからちょうど1ヵ月後の昨晩「もうひとつのGRF」に対面しました。GRFさんのお宅に初めておじゃましたのがもう6年前になりますが、その時の「初代GRF」から放たれる音の世界に驚いたことは、今でもハッキリと覚えています。

その後、縁あって様々なお宅で「GRF」を聴かせて頂く機械に恵まれましたが、そのどれもが全て違うバージョンの物でした。そして、今回の「もうひとつのGRF」もまたや別バージョン、モニターゴールドを搭載したレクタンギュラー型です。

箱の形は違えども、同じユニットを搭載しているGRF同士の対決、いや競演になりますから、どうしても興味はその違いの一点に集中してしまいますね。

レクタンギュラーGRFは、このお部屋にある大型のコンシーケンスやハートレイの定位置となる、後ろや横の壁から十分に開放された所に平行に置かれていました。近くに寄って見せていただくと、本当に素晴らしいコンディションであることがわかりました。45年間という時間、一体どのように保管されていたのでしょうか?サランネットを外すと、とても大きなバックロードホーンの開口部が表れます、同時にエンクロージャーとホーンの強靭な造りも確認出来ました。

そして、いつもの大きなソファーに添わらせていただいた瞬間、ゆっくりと音楽が流れ始めました。

最初は、初代のコーナーGRFで聴くときより、音量が控えめなのかなあと思ったのですが、それは音量の違いではなく、音場の違いによる錯覚と気がつきました。コーナーGRFの包み込まれるような音場ではなく、レクタンギュラーGRFのそれは、広大で奥行きの深いものでした。

深々とした低域は、決して直線的なものではなく、ステージの奥から押し寄せるように鳴り響いて来ます。正面に広大なホーンの開口部があることを考えると不思議ですね。

音質的な違いで言えば、コーナーGRFがクールでさわやかな秋風のような感じとすると、レクタンギュラーGRFはやや熱気と湿度を感じる春風のような印象を受けました。日本酒で言えば、辛口とやや甘口くらいの違いですかね(笑)

同じ「GRF」という名称を与えられたこの2つのスピーカーですが、形状や構造、そして何より使い勝手がかなり異なるので、同じ部屋においても、かなり相反したキャラクターであることがわかりました。ただ、「バックロード」という共通の方式がもたらす、3次元的な音の広がりは、「GRF」という名称を持つスピーカーのみに与えられた特権なのでしょうね。

さて、今後はどちらの「GRFのある部屋」になるのでしょうか?

チューバホーン

早速、新しい「?」GRFを聴きに、ランカスターをお使いのチューバホーンさんが来てくれました。この音を聴かれたのは、近所のAさんと、大山君についで三人目です。コーナーGRFの音場に包み込まれる音と違い、SP後方に奥行きを感じる平行法で置かれたGRFは同じユニットが出している音とは思えないほど、違った響きがします。

バックロードホーンの構造体が中にそのまま入っている形のエンクロージャーは、後方のバッフル板以外はすべて二重の構造になっています。側面を叩いてもコツコツという音しかしません。下方に空いた開口部は大きくバックロードによる迫力のある低音がストレートに前に出てきます。その迫力有る音は大音量にするとPA的な響きさえします。静にならしているときは、甘く柔らかな響きです。

タンノイの他のどれとも似た音はしません。考えてみれば、IIILZやLancasterは密閉箱で、箱の響きを利用していますし、Yorkは低いところまで延ばしたチューニングのバスレフです。各々、レクタンギュラー型とコーナー型がありますが、まったく違う音がします。箱の響きが違うからでしょう。レキュタンギュラー型の方が、箱の響きに影響されます。コーナー型の方が強度が出るのか、辛口です。このGRFでもその特徴は変わらず、コーナー型の方が広がりはありますが、すこし辛口ですね。

チューバホーンさんが言われるように、幾分甘口で柔らかい音がするのがRectanglarGRFの特徴です。さまざまなバックロードホーン型を作られてきた大山さんはバックロードホーンの形式で、初めて後方定位するSPを聴かれたと言われました。木管や金管はステージ後方からの響きと共に聞こえてきます。極めて奥行きの深い立体的な響きです。その前方に弦楽器群が拡がります。その響きの美しいこと。それはレコードもCDも同じです。コーナーGRFは左右に音が拡がり、ヴォーカルはしっかりと中央に定位します。そして音は前方に出てくるのです。しかし、平行法に置かれたレクタンギュラーは、オペラのホールみたく間口より奥行きが深いのです。

現在は、今までコンシーケンスやハートレーが良いとで鳴ったベストポジションに置かれています。そのままで左右の幅を少し拡げるとステージの間口が大きく変わります。一度、部屋を横に使った実験もしたいですね。いずれにしても、今一部屋も、二部屋も必要になってきました。田舎の古民家でも借りないと収納できなくなってきました。昔からの蔵が一番良いのですが。夢ですね・・・。

チューバホーンさん ご感想をありがとうございました。次は今週末に来られるTaoさんのコメントを待ちましょう。Chatsworthを使用されていたTaoさんの好みな音だとは思います。でも、それまでに部屋を片付けなくては!




Hut ab, Ihr Herren, ein Genie

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「諸君!脱帽し給え、天才が現れた!」シューマンがライプッィッヒでショパンに会ったときに表した言葉です。昨日のコンサートを聴きながら思ったのは、この言葉でした。マイミクのベイさんが、絶賛されていたデニス・コジュヒンのショパン・リサイタルに昨晩行ってきました。ベイさんの余りの絶賛と二日間でプロコイエフのピアンノ曲を全曲弾いて、尚かつ3500円という破格な価格にもビックリ。昨晩のオペラシティでのコンサートも、S席で4000円、エコノミー券と称したA席では2000円という信じられない価格。主催者の先見の明のある演奏会予約に大感謝です。

ベイさんをご紹介してくれたベルウッドさんもお誘いして聴きに行きました。急遽、購入した券なので会場でのピックアップです。チケット売り場は、エコノミー券の引き替えで満員。当日券の方に並ぶと、示しているのは二階や三階席。予約したのにと少し不安になりました。でも名前を言うと封筒に取ってあった券は、一階の真ん中のとても良い席でした。券を貰ったので安心して、一階のカフェで、早くも白ワインを注文してベルウッドさんの到着を待ちました。

舞台に金髪を束ねたコジュヒンが颯爽と現れると、深々と一例。早速、ピアノに座り入念に椅子を調整していたかと思うと、ピアノソナタ第二番の劇的な冒頭が始まりました。少しテンポが速過ぎるのではと危惧するぐらい早いパッセージで進んでいきます。Grave-Doppio=極めて荘重にというような意味なのですが、深刻な危機的な状況だけど、テンポも遅いわけではないのです。それどころか、風雲急を告げる感じでもあります。コジュヒン君はどんどん飛ばします。追い立てられた自分の思いに指がついて行けず、三回ほどミスタッチはありましたが、お構いなく変ロ長調に替わるのところまで飛ばし、ちょっと一息です。

とてもScherzoとは思えない二楽章に入りました。四連符の勢いのあるまま飛ばしていきます。しかし半音階が駆け上がるところが、普通の演奏家と違い羽が生えたように軽やかに上がるのです。まるで指が鍵盤を押していないように。グリザンドのように押しているより、流れているかの響きには驚きました。テンポが穏やかになり春の日差しのようなトリオ部分に入ると、演奏が落ち着いてきたのが解ります。何よりの驚きは左手が別人のように優しくなったことです。軽やかなタッチの美しいこと。女性のピアニストのように細かく揺れ動きます。しかし、嵐はまた訪れ、しかし以前ほどの荒々しさはなく、先ほどの半音づつ上昇する部分も緩やかな響きになっています。最後ところのピアニシモのエレガントさにはやられました。

葬送行進曲は、ゆっくりと、柔らかく始まりました。しかし、大伽藍の大きな鐘が鳴るような決然とした響きは、大理石で出来た昔の神殿を彷彿させます。そして、身もとろけるようなピアニシモで演奏される美しい旋律の繰り返し。繰り返す度に同じ旋律なのに色合いが変わっていく様は、シューベルトソナタのような美しさが感じられます。聴いているのは、明らかにショパンなのに、シューマンやブラームスの様な気もしてくるのです。テンポの選定が言うことがありません。むかしロンドンで聴いたポリーニの演奏を思い出しました。でも音色や奏法は、ツィンマーマンが近いのかもしれません。いずれにしても、その域の演奏者であることは間違いないのです。終楽章も美しく、陶然としてきました。先の二楽章とは別人のような落ち着いた演奏です。何よりも響きが美しいからです。気がついていたら、終わっていました。

演奏後、深く一礼して、拍手に応えるて戻ると、二回目には、もう、次の曲の24のプレリュードが始まっていました。そしてプレリュードは、深く沈降していく曲です。第三曲はドビッシーのような響きもあり、4曲目はブラームスの憂鬱さといろいろな色合いが弾き分けられていきます。しずかに曲はすすみおなじみの胃腸薬のコマーシャルに使われている第七曲まで進んできました。曲の印象はまったく違ったものです。そこから第八曲へ行くところは、バッハの平均律と同じ感じです。そう、ショパンも意識したようにこの曲は、バッハへのオマージュなのですね。その意味が良くわかる演奏です。10曲目のパッセージの美しさは例えようもありません。羽のようになでているだけにも見えます。テンポの速い12曲目を弾き終わると曲は止まりました。ここで休憩のようです。少し驚きました。前半はこれを弾ききると思っていたからです。あとでプログラムを見たら、ここで休憩と書かれていました。

急に終わっても、こころはまだ曲の中です。ベルウッドさんに促されて、二階の飲み物カウンターにあがりました。そこで待っていたベイさんをベルウッドさんからご紹介していただきました。去年は154回も演奏会にでかけられたそうです。週に2.5回のハイペースですね。その都度、的確な演奏評を残されています。今回の演奏会も、先日のプロコイエフの記事がなければ来ていません。そして、私がお誘いしていなければベルウッドさんも来られていないわけです。なにか、運命のようなものを感じますね。この演奏会は、私の経験の中でも特筆すべき会になるのは、この休憩時でも確信していました。この演奏の感想や最近の演奏会のお話しをしている内にあっという間に休憩時間は終わりました。

13曲目から再開です。静かな曲がますます深くなっていきます。やはりシューベルト的な味わいがする演奏です。スケールのおきな門を通るような14曲目がすぐ終わると、小雨が降る花園の中の道のように始まったのが、雨だれの前奏曲です。だんだんスケールが大きくなっていきます。そしてまた小雨になり、道が煙るように終わると寸前の高音域の美しいこと。16曲目のプレスト・コン・フォーコに入ります。難しい曲です。凄く早いパッセージで進み、右手は羽のように動き、音が飛んでいきます。18番のユニゾンと19番目のピアノの音域をすべて使うような曲想も楽しいです。

20番目の曲は、ラフマニノフ風で後に彼自身が変奏曲を書いている事で知られています。コジュヒンのラフマニノフも聴いてみたいですね。この曲にかかわらず、ショパンの曲はいろいろな作曲家の影響も受け、多方面に展開します。彼のようなそれをイメージさせてくれる演奏には、じつは中々出会わないのです。様々な色の絵の具が並べられている様な曲ですが、その色を使うには相当の覚悟が必要になるからです。22曲目の暗い色調から23曲目の美しいモデラートをあっという間にすぎて、24曲目の劇的な旋律に入ります。

この最終曲は、何かの曲を思い出させます。幻想曲が雪の降る町のモチーフに使われていますが、この曲は、城ヶ島の雨の旋律を思い起こさせます。利休ねずみの雨が降るというところです。でも遥かにスケールが大きく、その劇的なモチーフが大きく展開すると、最後に大きな鐘が終止符を告げるのです。この最後の三つの音を、右手を大きく上げて、ピアノの最低音を叩くのです。まるで斧を大きく振りかざすように曲が終わりました。その音の揺れ動く様は、直に心に響きました。

そして、第三番のソナタです。24のプレリュードを聴いた後には、凄くまとまった曲に聞こえます。二番のように葬送行進曲が出来ていて、あとから前の楽章を作ったわけではなく、ソナタ形式でまとまった構造美も感じます。コジュヒンも弾きやすそうに旋律を歌っていきます。ショパンらしい響きに満ちあふれています。何時しか分析的な聴き方を止めて、椅子に座り直して、彼の紡ぎ出す音に聞き惚れている自分がいました。完成された3番の曲は、長調であることも幸いにして、身を任せて聴けるからでもあります。するとあっという間に幸せな時間が過ぎていきました。会場の皆さんも真剣に聞き惚れているのが解ります。いつもは気になる余分な音が聞こえません。皆さん、息をのんで聴いておられるのです。

感動に包まれた暖かい拍手に応えて、アンコールで演奏されたのは、バッハ=シロティ のプレリュードとシューベルトの即興曲op.90の第三曲目のアンダンテでした。ベルウッドさんとも演奏後に話したのですが、今日の演奏を解く鍵が、自らのアンコールで示されていたのです。極めて知的なパズルの鍵が提示されていたのです。優しい本当に心に浸みる演奏会でした。

ホールの下の簡易レストランで、おつまみとワインのボトルを取って、感想戦を行いました。ベルウッドさんは、彼のリストが聴きたいと言われました。私は、メンデルスゾーンかシューベルトです。でも、二人とも満ち足りていて、めずらしくコメントは少なく、感動の余韻を楽しんでいました。生涯の忘れられない演奏会の一つになりました。


4月の音?

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私は土曜日の午後が大好きです。日曜の午後だと、はや明日のことを考えはじめるからです。土曜日の朝、目覚めたときの開放感も大好きですが、ゆっくりと時間が流れる土曜日の午後が良いですね。昨日の土曜日は、北海道を通過中の発達した低気圧に向けて南風が吹き、気温が上昇しました。家の中の方がはるかに寒く、ドアチャイムが鳴って玄関を開けると、外は驚くほどの暖かさでした。Taoさんが、その暖かさを家の中に運んでくれました。外と内の中は10度以上も温度差がある感じです。家の中が冷蔵庫のように感じましたから。春の暖かさは良いのですが、花粉症の私には、春のありがたさが何時も半減させられているようです。案の定、これを書いている日曜日の朝では、眼がゴロゴロしてきました。もっとも今日は冷たい北風ですが。

定期的に来ていただいているTaoさんは、昨年末にもDecolaを聴きに来られました。その時、前日に落札した今回のRectanglar GRFの話を皆さんにしたのです。それから一月後、到着した貴婦人を早速見ていただきました。

 今日は異様に暖かかった。最高気温は18度を超え、まさに春の陽気であった。この異様なまでに暖かい日の午後、私はGRFさんのお宅にお邪魔した。

 すぐ傍の広い公園では子供連れの家族がこの貴重な柔らかい空気を満喫していた。本当の「春」はもう少し待たないといけないであろうが、この「春」を先取りした一日は、私にとっても貴重な一日となった。

 TANNOYのスピーカーの主要モデルには二つのキャビネットが用意されている。コーナー型とレキュタングラー型の2種類である。

 同じユニットを使用していても、キャビネット形状が変わると当然のこととしてその放つ音の色合いは変わってくる。

 今日は最近GRF邸に新たに上陸した「Rectangular GRF」を聴くことができた。ユニットは15インチ・ゴールド。同じユニットを搭載する「Corner GRF」と比べてその音の特徴はどうなのであろうか・・・興味は尽きないところである。

 そのキャビネットの色合いは深いブラウン、サランネットは淡い薄茶・・・天板と底板に微妙なラウンドを持たせているその形状は優雅である。製造されてから45年を経過していることを全く忘れさせるほどに素晴らしいコンディションである。

 さて、その音であるが・・・平行法設置によりスピーカー後方に雄大に展開する音場にまず驚く。奥行きが深く、左右にも目いっぱい広がる。その広々としたサウンド空間は実に吸い込み効果が高い。

 さらに惹き込まれるのがその音色である。深みのあるそのキャビネットの色合いのように深く、滋味あふれる色合いなのである。

 弦楽器や木管楽器の柔らかく、暖かみのある音色は絶妙・・・「Corner GRF」がどちらかというと「辛口」の音色であるのに対して「Rectangular GRF」は甘口の音色である。

 TANNOYであるから、当然イギリスの製品であり、音の基盤はあくまでブリティッシュなのであるが、どことなくイタリア的な要素が入ってくる。その音の色合いには、明るい陽光が斜めに差し込み、春のような柔らかい風がかすかに吹きこんでくる。「4月の音」・・・そんな言葉が思い浮かぶ。

 私が以前使っていたTANNOY CHATSWORTHも似た音色を持っていた。それをより深くより雄大にしたという印象であろうか・・・個人的な音色の好みからするとど真ん中のストライクである。

 TANNOYの本流はあくまで「辛口系」であるかもしれないが、この「甘口系」のTANNOYの方が個人的には好きなのである。


どうやら、Taoさんのお気に召したようです。柔らかな午後の日がゆっくりくれていく中で、眼を閉じて幸せそうなお顔をして聴いていました。私自身も、Taoさんのお宅にあったChatsworthの音に似ていると思っていました。奥行きやスケール感は違うのですが、その柔らかく甘い響きには共通性があるように思いました。「個人的な音色の好みからするとど真ん中のストライク」と言われたのが解ります。

音が奥から聞こえてくるのは、平行法の配置の特徴ですが、Rectangular GRFは音色の柔らかさ、ダイナミックレンジの大きさや、クレッシェンドとディミヌエンドの動きがより解りやすく聞こえるのです。より音楽的と言えば、解りやすいでしょうか? Corner GRFは、広い音場の中にくるまれて、よりオーケストラに近づいた感じで細部まで聞こえます。それが幾分辛口という風に聞こえるのかもしれません。私自身は、両方とも好きなので、困っています。Rectangular の方が、奥行きを取る分、部屋の大きさを必要としますね。その制限から鳴らし方が本当は難しいかもしれません。このSPに限らず、壁にSPを押しつけているような配置だと、そのSPの能力のほんの一部の可能性しか見せていない気がします。

Taoさんのお持ちになったレコードは、メゾソプラノのアリアとコレルリの柔らかな室内楽でした。いずれもよく清掃が行き届いたレコードで、CD音源と同じ様に静かな音がしました。レコード時代に作られたGRFは、いずれもレコードの音をよりきれいに聴かせるすべを知っているようです。



大雪の予想で

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気象庁も先の大雪に驚いたのか、明日も大雪の予想が出ています。寒波が下がってきて、太平洋側を低気圧が発達しながら通ると、北風を呼び込み雪の頻度が高くなります。陸地に近ければ、南からの暖かい空気も呼び込んで温度は上がりますから雨になります。陸地から離れると左回りで回る流れが北風を呼び込んでくるのです。本当に明日大雪になるかは寒波による温度低下が鍵です。

名古屋に用があって、いつもなら朝から出ても間に合うのですが、大雪が降ってしまうと道路が通れなくなることがあります。仕方が無く夜の九時過ぎに東京を出て、静岡中部のホテルまで来ました。道中は何も無く、着いた頃に雨が降ってきました。静岡でははっきり解りませんが、寒いはずの御殿場でも気温は余り下がりませんでした。この分だと明日は降らないでしょう。関西に早い時間に用がある場合はいつもは茅野まで来るのですが、中央道は確実に雪になるので、避けました。

今晩は雨なので、さほどではありませんが、ビジネスホテルの暖房は空調が多いので、喉をやられます。今回も夜中に何回か起こされました。朝起きて東京に連絡するとミゾレ交じりの雪は降っているけど、雨と同じとのこと。気象庁の予報はすこし大袈裟すぎると思うし、早朝の電車を間引かれると交通への影響も大きく出ます。これぐらいの雪なら、無理して走った私も寝不足にまでなる必要は無かったのですが。

利点は一つ、日本坂トンネルを越えていると、名古屋までの道中の半分は来ています。朝は楽勝で名古屋の街には10時前に入っていました。暖かな朝です。少しだけのお湿りで空気も柔らかくなったようです。

名古屋からの帰り道、浜松のプー博士のお宅に寄ってきました。先日来、コメント欄でやり取りをしていたのですが、IIILZが上手く設置が出来たとのこと。その音を聴きにお寄りしました。長辺方向から短辺方向に変えられて、平行配置に置かれたSPの後方にもスペースを取られたんで、たっぷりとした音場が出来ていました。位置もほとんどあっています。フローリングの床の上に置かれた畳に乗っていましたので、フローリングの上に直に置けば、響きもより深くなるとお話しをして、急ぎ東京に戻りました。

帰りは、新東名まで上がりましたから、40分以上高速に乗るまで掛かりましたが、道が広く三車線の部分も多いので、走りやすさや安全面で、窮屈な東名とは雲泥の差です。120キロ走行を前提に作られた道路ですから、走りやすいのです。

東京に戻ったら、早速プー博士よりメールが来ていました。暖炉を中心にシンメトリカルに配置され、音のバランスだけではなく視覚のバランスもよくなったようです。壁際に固定しないで、この様に部屋の前に出てくると、オーケストラのホールの余韻がよくでてくるのです。

プー博士、今日は時間が無く慌ただしかったのですが、次回はゆっくり致しましょう。またお時間が出来たら東京にも、遊びに来てください。


村山かてうどん

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寒さも緩んだ土曜日は、チューバホーンさんとご一緒にTaoさんのお宅を訪問しました。Taoさんは、この一年間に6回も拙宅に来ていただいたのに、私の方からはとんとご無沙汰でした。家でDECOLAを聴いた時にひらめいたと言われる、QUAD ESL989をピアノを挟んで逆オルソン配置にされた音を聴きに来ました。杉並からTaoさんのお宅のある東大和市までは、20キロしか有りませんが、慢性的な新青梅街道の渋滞で、何と、一時間程も掛かります。他に抜け道が無いのでいつも我慢比べです。実は前日にも青梅まで行く用があり、おなじ道を往復していたので、より渋滞がひどく感じました。二月に入ると予算を使い切る恒例の街路樹の植木工事も行われているのも一因です。

ようやく、Taoさんのお宅に着いた頃は、お昼を回っていました。同行のチューバホーンさんの要望で、お隣の武蔵村山の名物である、「かてうどん」を食べに行くのです。かてうどんとは「糧うどん」と書くそうで、うどんの他にお野菜が乗っている郷土料理です。うどんはいわゆる武蔵野うどんで、つるつると飲み込むようなさぬきや関西風のうどんと違って、堅くて噛みきらないと食べれないうどんです。武蔵野ばかりではなく、関東平野全般に見られるタイプですね。皮も含んでいるので、栄養分も色もお蕎麦に近い感覚です。
私はお店お薦めのうどんセット、チューバホーンさんは、事前にインターネットで調べてこられたという、カレーうどんの大盛りを、ご常連のTaoさんは、いつも「寧々ちゃん」と食べている肉汁うどんの大盛りを頼まれました。

固くゆでられたうどんは噛み応えがあり、少し甘めに仕上げられた肉汁に付けて食べる付け麺のうどんです。サツマイモの天ぷらやゆでたキャベツも添えられて、栄養にバランスも良いですね。かやくご飯付きだったので、普通盛りにしましたが、おうどんだけだったら、大盛りがちょうど良いでしょう。調理をされているのは、地元のおかあさん達でお袋の味ですね。

さて、すっかり満足した私達は、早速、Taoさんのお宅に戻り、その新しい配置のESL989を聴かせて貰うことにしました。従来とは反対のピアノ側に設置された大型のコンデンサーSPはアップライトの高さと同じですから、本当に大型のSPです。通常の大きさでも必要充分の音量ですから、989は、普通に置いても迫力有る音が出てきます。それを外向きに遇えておかれたのが今回の配置の特徴ですね。
なるほど、まとまった音がしています。ステージから音楽が放射されているような感じです。正面を向くと少しきついとおっしゃっていましたが、それを避けるためにこの様な配置にされたのでしょう。デコラがヒントになったのは良くわかります。ステージの近くではなく、20列目以上の後方の席で聴かれるイメージだそうです。少し、小さめの音量でホールの向こうから聞こえてくるようなサウンドは心地よく、満腹になって眠たくなった我々を睡魔に誘い込むような心地よい音です。隣のチューバホーンさんも同じです。

何曲か聴かせて貰っているうちに、気がついたのは、コーナーに置かれているので外側に向かって出てきた音は、壁にすぐ反射します。その部分が、反射と吸音が交互に来る吸音部分にあたり音が吸い込まれてしまい、バランスが崩れているように思いました。そこで、反射用に用意されていた棒をその吸音部分に立てかけて、反射を試みました。その差は、皆さん納得の違いで、実際のホールでのバランスになりました。一時反射の影響がこれほど大きいとは、思っていた以上の差が出たのです。一度、長辺方向にピアノごと動かし、左右に余裕がある配置で試されると面白いのかもしれません。

今ひとつ、気がついたのは、今回だけではなく何時もこの部屋に来たときに感じる、部屋の密閉度の高さです。気密室のドアーの様な扉を閉めると、全く換気がないこの部屋の空気は密度が高まります。その中で、おおきな振動板が動いても、重たい空気の壁を無理矢理動かしている感じがして、耳が圧迫されます。後ろの二重窓を少し開けて空気を逃がして聴くと、一気に風通しが良い音になります。スタジオ仕様のモニタールームで、感じる音の重さを逃がすことが必要なのではないでしょうか?そして、反射と吸音の交互に来る壁は、場所によって音が変わり、シマウマの模様を感じるのは私だけでしょうか?検聴用のモニタールームではないので、自然な風通しの良い部屋で音楽は楽しみたいと思います。

武蔵野うどんは、若い人好みの濃い味にはなっていません。自然の食材を素朴に楽しむ、懐かしく飽きの来ない味でした。素朴で味わい深いのには感心しました。また、あの辺りに行った時、じっくり味わって見ましょう。









冬景色

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二月に入って何だか三寒四温的になってきましたが、今週は寒い週のようです。今日は新潟から日本海沿いに山形県の酒田まで来ましたが、昨日は大吹雪だったようです。また明日も相当あれそうです。まだまだ冬ですね。
六日町の辺りの豪雪です。
この辺りの道を歩くには、かんじきが必要です。
明け方の酒田です。
だんだん夜が明けてきても
やはり雪は降り続いています。
駐車していた車のあともあっという間に白くなります。

グレンツイングオルガンの魅力

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寒いホテルで、明け方寒さに震えて目が覚めました。7階建ての七階の部屋だったので、上に階がないので入ったときから寒く暖房を強めにしたのですが、喉が渇くだけで、一向に暖かくなりません。明け方、セーターを着込んで寒さを我慢していました。最近のホテルは経費削減で、使用している部屋しか暖めないので、廊下も寒いのです。そんなわけで、暗いうちから起きて写真を撮っていました。写真が寒いのは、撮っていた人間が寒いからです。

そのまま、布団の中で寝ればいいものを、本もないので、ベルウッドさんの記事を読み返していました。去年の5月5日にオルガンのCDの紹介がありました。とても、よい音で入っているそうです。新潟の市民芸術劇場・りゅーとぴあのオルガンを使った演奏だそうです。現金書留で苦労して取り寄せたと書いてありました。

オリジナルCD「りゅーとぴあ 山本真希 グレンツィングオルガンの魅力」

りゅーとぴあ 山本真希 グレンツィングオルガンの魅力就任6年目となる山本真希が満を侍してCDを発売。今回の録音では、オルガンに最適の音響を得るため、コンサートホールの座席数百席を撤去。さらに最先端の録音機材で細心の調整を行い、スペイン製グレンツィング・オルガンの艶やかな音色を余すところなく収録することができました。 収録曲は華やかな中にも哀愁が漂い、なぜか日本人の心に響くスペインの曲と、オルガンの定番バッハの有名曲。キレの良さと深い音楽表現で、新潟の音楽ファンを唸らせ続ける山本真希の演奏を、普段とは一味違う音色でお楽しみください。

《曲目》

アントニオ・コレア・ブラ―ガ
  1.第6旋法によるバッターリャ
パブロ・ブルーナ
  2.第2旋法の過ったティエント
  3.第6旋法によるティエント“ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラ” 
バスチャン・アギュイレーラ・デ・エレディア
  4.エンサラーダ 
ヨハン・セバスチャン・バッハ
  5.前奏曲とフーガ ト短調 BWV541
  6. フーガ ト短調
  7.コラール“最愛なるイエスよ、我らここに集いて”BWV731
  8.コラール“目覚めよと呼ぶ声がして”BWV645
  9.幻想曲 ト長調 BWV572  (※)

2,500円(税込) ※りゅーとぴあ2Fインフォメーションで発売中
 
【通信販売 申し込み方法】
現金書留にて料金を送金ください。
*差出人欄の郵便番号、おところ、お名前、電話欄は必ずご記入下さい。
*現金書留封筒の中に希望本数を書いたものを必ず同封して下さい。
*当館へ到着後1週間以内にメール便にて発送いたします。
・送付先
〒951-8132 新潟市中央区一番堀通町3-2 りゅーとぴあ事業課 山本真希CD 係
・CD 1枚2,500/送料+手数料 300円(1回の購入で4枚まで)

ベルウッドさんによると、現金書留も一週間以内の発送も面倒です。そこで、今日の午後、また新潟を経由して戻ります。時間が許せば寄ろうかと思いましたが、ホールの2Fのインフォメーションがやっているかも解らないので、一応様子見に寄れたら寄ると言うことにしました。そんなわけで帰り道は、昼食も取らずに引き返しました。酒田からは、高速や自動車専用道もだいぶできているのですが、温海温泉から村上までは、従来の国道を通ります。時間は天候次第です。それでも、今日は順調に来て、三時前にはホールのある白山公園に着きました。
誰もいない筈の公園は、元気なお年寄り達の絶好な運動場になっていました。この通路で、お二人の運動されている方とすれ違いました。でも、公園はがらがらですが。売店もこんな感じ、
このカウンターで、CDをといったらすぐ出てきました。それしかないようです。
すぐにとって返し、高速に乗ってから、ようやく食事にありつきました。ラーメンやうどんばかりでは、先週のように太ります。バーガーだけにしました。それから、すぐに運転を再開しましたが、胃が膨らむと急に眠くなります。普段は寄らない土樽のパーキングで少しぼーっとしていました。
外の気温はちょうど零度。眠たくなった頬にはちょうど心地よい、細かい霧が降ってきました。風に飛ばされた地吹雪も気持ちがよかったです。気を取り直してトンネルを越え、一気に渋川まで下がると太平洋側は相変わらずの晴天です。こちらも気温は一度。カラカラです。
車の中では、バッハのオルガン曲が振動して心地が良いですね。さてこのCDユニコーンではどの様な音がするのでしょうか?それが楽しみに帰って来ました。



ユニット交換の証明を・・・

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何故、オーディオを50年間も続けて来られたのかという問いの答えにもなるのですが、それは簡単です。コンサートホールで鳴るオーケストラの響きを再現したいからです。勿論、被り付きで聴くような大音量をオーディオ装置からは出せないので、幾分縮小したイメージにはなるのですが、コンサートホールの後方の席で聴く音量感なら再現できるようにはなってきました。ようやくですね。GRFのある部屋では、大分実現できていたのですが、ユニコーンでも、ユニットを交換してからは、低音のスピードが、中高域と揃ってきて音の動きや響きが自然になってきたのです。低音のスピードが速くなってきたといいましたが、オーディオをされてきた人の一番の関心事は、その低音のスピードにあると思います。

低音をしっかりと出すには、高域の再現性、いわゆるスーパーツイーターの重要性が大事になります。20KHz以上の音を出すという目的ではなく、中音域の豊かさ、そして低音楽器の動きをはっきりするために大事なのは、マルチスピーカーの調整をされた方は、皆さん解っている筈です。そして、この早い低音が出てきたのは、昨年、ユニット交換したからだと書きました。その時の衝撃が大きく、いまだに出てくる音に感心しています。

交換前の音は、ユニットのエッジが劣化して、バックロードホーンにロードが掛からず音が漏れていたからでした。それと進化したユニットの磁気とエッジの形状が低音の質と量を大きく変えたのです。今日は、送り返されてきた以前のユニットに一旦交換してみて、どれほどの音の差があるか試して見ることになりました。現在の音に問題があるわけではなく、以前のユニットとの音の差を検証するだけの目的です。しかし、一旦交換したら、しばらくは聴かないと比較にはなりません。その音が気に入らなくともしばらくは聴かなければならないのです。

まずは、送り返されてきたユニットの開封です。前回新しいユニットが送られてきたときと同じ梱包でしっかりと入っていました。
この次の工程は、現在付いているユニットのネジを緩めて交換するのですが、その時、ネジを触って驚きました。ネジが緩んでいたのです。それも、少しではなくネジが半回転するほど緩んでいたのです。それも、すべてのネジが同じように緩んでいたのです。正月終わった辺りから、音が甘くなったなあと感じていたのですが、それも経年変化の内かと思ったりしていました。そこで、以前のユニットに一旦交換してその差を検証しようと思ったのです。しかし、ここまで緩んでいたとは思いもしませんでした。昨年末には一度検証したのですが、その時は何ともありませんでした。しかし、この冬の寒さと乾燥でキャビネットの収縮があったのかもしれません。それより考えられるのは、垂直方向に動いているユニットが、微振動で少しづつネジを緩めていくのでしょう。だからといって、ロック剤を塗ったりすると音が変わるような気もします。

すべて締め直したら、最初は少し音が堅くなりました。構わず二時間ほど鳴らしたら、音が馴染んできました。去年換えたときに聴いていたCDを出してもう一度聴いてもいました。同じ様な驚きを感じました。やはりバックロードホーンとの繋ぎが微妙です。少しでも空気が漏れると音が甘くなるようです。低音の量感が増しました。

ユニット交換の検証はしばらく延期です。この状態で今日はいろいろと聴いてみましょう。昨日来られた横浜のvafanさんには、ご面倒でもまた聴いていただかなければなりませんね(苦笑)。

その後も今日は久しぶりにのんびりと終日ユニコーンを聴いていました。ネジの締め付けだけで、これほど変わるとは、油断していました。入力の差が、縮まった気もします。CD34改が幾分渋い感じでしたが、低域がしっかり出てくると、印象が変わりました。EMMの方もますます調子を上げてきたようです。こちらは、本当にエージングが必要です。しかし、5.6MHzまでアップコンバートしていても、14BitのCD34改とさほどの差は出ません。仕様や方式ではなくツボを押さえているかですね。

夜になって小さな音でも、しっかりと低音が聞こえオーケストラが瘠せません。気持ちいいものです。ORFEOレーベルのCDを聴いています。デービス・バイエルンのメンデルスゾーンで、1984年のMade in West GermanyのCDです。良い音がします。

下野竜也読響最終公演・ブルックナー交響曲第5番

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読響の正指揮者を卒業する下野竜也さんの最終公演を池袋の東京芸術劇場に見に行きました。月曜日の公演が評判よく、水曜日の公演の切符がまだ手に入ると聞いたので、WEBページを開いて空席を確認しながら、ベルウッドさんに連絡をして席を確保しました。先日、同じように席を確保してデニス・コジュヒンを一緒に聞いてからそんなには経っていないのですが。その前は、横浜での都響のインバル3番をご一緒しました。インバルといえば、この東京芸術劇場で、マーラーの第5番を聞いたばかりです。その時のマーラーではステージに溢れんばかりの大編成でしたが、今日のブルックナーは、16型(16・14・12・10・8人)の弦に対して、ホルン5、トランペット4の他は二管編成なので、ステージはがらがらの感じです。

先日のインバルと違って、オルガンを隠しているステージなので、オーケストラの響きに専念出来る感じで好感が持てました。都響のマーラーでは打楽器群が、オルガンの下に入る感じで、大太鼓やシンバルの響きがいまいちでしたが、今回の読響の打楽器、もっともティンパニーだけでしたが、のびのびと鳴らしていました。読響のティンパニストは上手いです。

下野竜也の指揮と演奏は見事でした。演奏前、十秒ほど会場の音が静まるのを待ってから、弱音のコントラバスのピチカートがスタートしました。ブルックナーは、オーケストラの全奏のあとの、休止符の美しさが際立ちます。左手を大きく横に振ってオーケストラを制御する指揮振りには感心ました。オーケストラも気合いが入っていて気持ちが良いです。私は出だしの第一楽章に一番感銘しました。二楽章も緊張感があり素敵でした。とても爽やかな、荘厳できれいな山の空気を感じます。よく練習された見事な演奏ですね。オーケストラの一体感が気持ちいいです。弦楽器は音は揃って清浄感はあるのだけれど、時としてシベリウス的に音が薄くなるのが気になりました。

緊張感を持続した名演で、終楽章のクライマックスのところがすこし、混濁しただけで一気に80分演奏しきりました。最後の音が消えない前にブラボーおばさんの声が響いたのは残念でしたが、名演でした。下野の棒は、常にオケをリードして、大変解りやすい指揮です。キャンバスの大きさも大きく、それを目一杯使って音楽を描いていく構成力にも驚きました。昨年聞いた、田部京子さんとのモーツァルトのピアノ協奏曲でも感じましたが、完璧な演奏です。弱音の部分の低音の支えが、コントラバスやトロンボーンでは無く、ティンパニーだったのも印象的でした。音量的には、チェロ、とコントラバスがあと二人づつ多ければバランスが合ったようにも思います。木管のソリスト達は、音色も演奏も見事でした。特に終楽章のフルートの安定感と素晴らしい音質。オーボエの柔らかさ、気合いの入ったクラリネットは素晴らしかったです。ホルンも完璧でした。下野氏の演奏は、読響だけではなくいろいろなオケとの組み合わせも聴けるので、これからも目が離せませんね。

苦言を少しいうと、トランペットソロの音色と弱音の演奏に緊張感が無く、リズムが崩れます。それと気になったのは、トロンボーンの1番の音の遅れです。音程が少し低く出るような感じで最後まで気になりました。それと、都響に比べると弦楽器の音に覇気がない、音程は合って破綻はないのだけれど、優等生的な弦楽器には少し残念です。オーディオ的にいうと、スーパーツイターが無い様な曇りがちな音色です。音量感が薄いのは、ひょっとしたら、このホールの音なのかも知れませんね。私的には、ブルックナーは東京文化会館で聞きたい感じもするのですが。

例によって、終了後は、近くの寿司屋で熱燗を重ねながら遅くまで感想戦を拡げました。ベルウッドさんは、生のブルックナーは初めてだそうです。中々演奏会でやらないし、曲目も地味ですからね。ベルウッドさんとの観賞はこの感想戦が楽しいですね。ん! お酒が沢山飲めるからだろうって・・・(爆)





アントン・ナヌート 紀尾井シンフォニエッタ東京  

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四谷駅からホールまでのアプローチは、紀尾井ホールに行くときの楽しみの一つです。風もなく穏やかに晴れた土曜日の午後、上智大学のグラウンド沿いに植えられた老木の桜の木のつぼみも膨らんできたのではと思わせました。あと一月もすると、この土手はお花見の人達で賑わうのことでしょう。

前日には厳寒の北海道にいたのが信じられないほどの暖かさです。二月も下旬に入るというのに、北海道の寒波は、500本もの鉄道を止めるほどの嵐になりました。鉄道の代わりに借りだした四駆のレンタカーがなければ、一晩立ち往生したことでしょう。高速も除雪作業のため、頻繁に通行止めになっていました。

金曜日の朝の窓から見た風景です。気温はマイナス10度。一晩中吹雪は吹き荒れていました。
雪が降っているときは、マイナス10度ですが、晴れ渡ると放射冷却でマイナス20度まで行くときもあります。人間の感覚は面白いもので、その地方の寒さに対応するのですね。戻ってきたときが二、三時間対応しきれず凄く暑く感じますが、寒さに対してはすぐに反応するようです。よい音はなかなか分からないのですが、悪い音はすぐに分かりますね(笑)。問題はその悪い音にも人は順応するということです。

その意味からでも、定期的に生の演奏会に行って耳のリセットを計らなくてはいけません。しかし、そのリセットした演奏や聞く場所によってもバイアスが掛かることがあるのがややこしくなる原因の一つです。

今日は、紀尾井ホールの会員で購入した演奏会の一つで、スロバキア出身の指揮者のアントン・ナヌートを聴きに行きます。三年ほど前にも振って、オールベートーヴェンプログラムで評判を呼んだそうです。その時のヴァイオリン協奏曲も大変評判よかったそうです。私は全く知りませんでしたが、ナヌートさんは80歳を越えています。世界中のオーケストラを振り歩いていて、200以上のオーケストラを振っているそうです。凄いですね。

プログラムもよく、エグモントに始まり、ジークフリート牧歌、そしてブラームスの交響曲第4番という、職人技が発揮できるプログラムです。当日は指揮者の希望で、スロヴァキアの作曲家のコゴイ(アヴセネク編):弦楽のためのアンダンテ が追加されていました。コンサートマスターは、昨年、ヤンソンスとやってきたバイエルン放送交響楽団のコンマス、アントン・バラホスキーです。これが上手かった。

編成は紀尾井シンフォニエッタとしては最大限の、10型(10・8・6・4・3人)で、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ファゴット2、コントラファゴット1、クラリネット2、オーボエ2、フルート2、打楽器2の構成です。弦楽器は先日の読響の半分ですが、全員がしっかり弾いているので、それほどの差を感じません。これぐらいの規模がブラームスが想定した本来の編成なのでしょう。普段は大編成に埋もれてしまう音の変化がよく聞こえます。

毅然としたベートーベンのエグモンドが立ち上がりました。最近ではめずらしいトスカニーニ型の演奏です。私の記録では、ウィーンで聞いたホルスト・シュタインに近いと感じました。アッチェランドの仕方も似ています。ジョージ・セルの演奏にも通じるスタイルで、私は一気に目が覚めました。紀尾井シンフォニエッタの木管群の名手達もようやく名人ばかりだと解りました。クラリネットも別人のように乗って演奏しています。フルートとオーボエも全くいうことはありません。コンサートマスターの引っ張りが凄いです。コンサートマスターの違いでこうもオケの印象が変わるかと驚きました。

二曲目のスロヴァキアの作曲家の曲は、初めて聞く曲で、正直良くわかりません。丁寧に愛情込めて弾かれているのは解るのですが、しかし、次のジークフリート牧歌の弦楽器の柔らかさに驚きました。こんなに柔らかな音を聞かされるといちころですね。

休憩では、久しぶりのNEXTNEXTさんご夫妻にお会いしました。いつものご常連は昨日来たのでしょうか。一杯赤い気付け薬をいただいてから、待望のブラームスの4番です。昔ムラヴィンスキーで聞いて感銘してから、他にも聞いている筈なのですが、演奏者が思い出せません。それほどムラヴィンスキーが強烈だったのでしょう。しかし、今日の演奏は良いですね〜。オーケストラも全力で応えます。フルートがホールに響き、ホルンも破綻無く空間を満たしていきます。名人ばかりのコントラバスがぐんぐんと鳴っています。低音病患者のわたしには今一人名人が加わり4人体制ならいうことありません。どうしてこの様な演奏が、他のオーケストラも出来ないのでしょうか。

これで曲が終わるのだというぐらい完成された第一楽章が終わっても、すぐにホルンとフルートが早めの主題を奏でます。牧歌的なテーマもインテンポで進んで小気味が良いですね。三楽章は弦楽器のリードがオケを引っ張ります。弦楽器群はそれぞれのパートの音を弾ききっています。第二番的な牧歌的な部分も楽しめました。

でも、圧巻は、三楽章の終わりから参加したトロンボーン群が活躍する第四楽章です。弦楽器の美しい変奏曲が進んでいくと出てくる特徴的なフルートのソロがとてもきれいですね。音色は先日聞いた読響のソリストと同じです。もっとも、今日のフルートは読響の首席ですから当然なのですが。しかし、ここまでまとめ上げているナヌートの技は凄いですね。室内楽団からこれだけの響きが出るのですから。レニングラードやドレスデンでの演奏も聞いてみたかったです。この演奏もCDで出そうです。楽しみですね。

初めての聞いたナヌートの演奏は、私にはとても新鮮でした。二階席のまえでご主人に熱烈な拍手を送っていた奥さんの姿をうしろから見て、幸せなカップルだなと思いました。

暖かな春の日は演奏会が終わった4時頃には、一段と暖かさを増していました。花粉症が襲来する直前の堤防の上をゆっくりと歩いて帰りました。





演奏会通いの理由

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「最近コンサート通いが続いているみたいですね!東京にすんでいるとその点便利ですね。東京はクラシックでもJAZZでも毎日どこかでコンサートをやっているという世界で唯一のすごい街です。」

Seiboさんからお便りが来ました。本当にそうですね。このところ演奏会が続いているのは、偶然といえば偶然なのですが、初めて一週間に二回コンサートに通いました。直近の八日間で見れば三回も行っています。でも、今回のナヌート以外は飛び入りで、皆さんの演奏会の評をみて飛び込みで行ったものばかりです。先日のコジュヒンで味を占めたのかもしれません。今ひとつ行きやすくなった背景には新宿三丁目乗り換えの副都心線の利用があります。先週の青葉台でのエマニュエル・パユも当日雪が降ってしまったので、スノータイヤをはいている車で行きましたが、本来は副都心線から澁谷で田園都市線に乗り換えていくつもりでした。池袋の芸術劇場は新宿三丁目から急行に乗れば次が池袋です。地下道を歩いてそのまま劇場には入れるのです。

昨日の紀尾井ホールは、地下鉄丸ノ内線の四谷駅から歩いても10分は掛かりません。これで、副都心線が横浜まで直接乗り入れたら、みなとみらいホールへも一時間かからなくなるのです。相当、流れが変わるでしょう。上野の文化会館と時間的には余り変わらなくなります。サントリーホールは、大江戸線のホームから地上に這い上がるだけで、10分近くも掛かります。大江戸線が出来たのは良いのですが、いぜんとして時間は変わりません。第一、サントリーホールの演奏会は高いので余りいけません。しかし、自分でも解っているのですが、花粉症の季節になったり、暑くなったらなかなか億劫になって行かないでしょう。私は、寒い中を歩く方が好きだからです。

その演奏会場では、音楽を聞いている自分と、音を聞いている二人の自分がいます。演奏が良い場合は、音のことは忘れているのですが、オーケストラがミスったりすると、モニター的に検聴している自分に気づきます。最近はこれにうぬぼれも重なり、この演奏でこのくらいの音なら自分の部屋で気に入った演奏の録音を聞いている方がましだと、思ったりします。それは現在ユニコーンで聞いている音が相当良いからです。その理由の一つが去年の夏から使っているemmです。今年になってから当たりがでるまで4ヶ月も慣らし運転期間が必要でした。それからは、CD、SACDを問わずに1ビットの5.6MHzまでアップコンバートして聞かせてくれるemmは、盤によっては、CD34改の音を超え始めたようです。ユニコーンも乾燥しているせいか、二月に入ってからの音の向上は素晴らしいです。

それが、生の演奏会に行っても驚かない理由の一つかもしれません。オーケストラ全体のバランスがとれる位置は、空中のマイクロフォンの場所しかないのと、楽器のそばに設置された補助マイクが、普通は聞こえない音やハーモニーを聞かせてくれるので、聞いていて楽しいのです。それに現在のユニコーンが出している低音部の実在感は、なまのオーケストラに行っても驚かないのが自分でも驚きです。

シングルコーンのSP一本でどうしてこの様な音が出るのか、聴いた方しか解らないでしょう。 昨年のユニット交換から気づかされた新しいユニットの音の凄さをほとんどの方々が聴かれていないのが残念ですが、最近はUnicornが復刻されて出回ってきたので、徐々にその音の良さが広まっていくでしょう。

CDが出現したときには、聴けなかった音がいまは聞こえてきます。1982年の発売当時のCDでも、今は本当にいい音で掛かるのです。発売当初のカチカチだったり、反対にぼーとしていた音とは雲泥の差ですね。CDその物は同じですから、クロックやアルゴリズム、アナログ回路の電源等をしっかりと作り込めば、30年経っても通用する音がでるのです。そしてこのところ買い溜めていた全集ものも楽しめます。

でも、音の差は新しい録音ではその効果が大きく、1990年代以降の録音はその真価をようやく見せてきたと言えましょう。アバド・ベルリンフィルのベートーヴェン全集などは、優秀なスポーツカーにのってスイスの山河を駆け抜けているような快感さえ感じます。特にアバドのブレーキングが見事です。この音は皆さんに聞いて頂きたいと思います。しかし、アバドとラトルのベルリンフィルではどうしてこんなに音が違うのでしょうか?ところで、次期のベルリンフィルは誰が常任指揮者になるのでしょう。

アナログレコードの音と比べて、CDはいまいちだといわれるベテランのオーディオファンも居られますが、現在のCDプレーヤーの音を虚心にお聞きになられれば、どれだけ音が進歩したかが、解ると思います。しかしこのところのアナログプレーヤーの異常な価格高騰を考えると、足下を見る商売も大概にしろよ!といいたくなります。海外との価格差も以前として大きいし、インターネット時代になって、元々の価格も大幅に上がってしまったのです。

それに伴い、CDプレーヤーの価格も、信じられない価格帯まで上がっています。ベンツやBMWの高級車と同じ価格というのも、価値観の問題ではありますが、工業製品として考えると納得できません。個人が出来うる範囲で購入する価格でなければ、普及はしませんね。

富士山がかすんでいる原因は花粉でしょうか? それとも、黄砂? それとも、PM2.5・・今日は一気に目がかゆくなってきました。




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