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Channel: GRFのある部屋
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少しだけのUNICORN邸で

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そうだ、どうせならと急に思い立ったのは、新宿の区役所通りを通っていて、明治通りの信号に引っかかったときでした。おもいたったが吉日。道ばたに車を止めて、電話をしてみました。UNICORNさんが家事見習いをはじめていると書かれていたのを思いだしたからです。連絡すると、やはり在宅とのこと。それではと、大久保通りの神楽坂の一つ前の牛込北町の交差点を左に折れて、神楽坂の坂を下り、UNICORNさんのデザイナーズマンションに向かいました。

近くのパーキングに車を入れて向かうと、一階の店舗が新しいお店の工事中で、大工さんが入っていました。11歳になる愛犬に迎えられて、いつもの部屋に入ると、少しだけ様子が違いました。SPの間隔と、高さが気持ち変わったようです。西日が当たるこの時間は、カーテンが閉められています。家と同じ6畳強の部屋ですが、20センチぐらい家の和室よりSPとの距離が近いようです。石の台に乗っている分だけ、高さも5センチぐらい高くなっています。

UNICORNさんのお宅を訪ねるときは、何時も夏の暑い日だったように思います。前回も去年の六月中旬でした。そのときはレコード針の清掃で盛り上がりました。何時も針の清掃をされているそうです。加えて、SPU-GTEの調整や、メインアンプのKT-88の球をオリジナルにされるために、気合いを入れて探されたそうです。シングルですから、一球ずつで済んでいるから楽ですね。

一時は、クラシックに傾倒されていましたが、オーディオでは最近は、やはりジャズに回帰されて、オリジナル盤の膨大なストックを聴いておられるそうです。そのなかから早速、聴かせていただきました。ブラタモリの中で掛かるセロニアス・モンクのダイナです。確かに良く聴く演奏ですね。

次はJake Hannaのドラムスで、Kansas City Expressも、UNICORNさんのお宅ではよくかかるアルバムです。シンバルの音が軽快で、チタンのドライバーから音がビンビン出て来ます。ピアノは、キャビネットの上部から、ベースは、ホーンロードから聞こえ、あたかもJBLの3ウェイが鳴っているように、分離良く聞こえます。同じアルバムからヴォーカルも聴きました。歯切れの良いシンバルとドラムで、ユニコーンでジャズをならしたときのの面目躍如たるモノがあります。

クラシック中心の家の音とは、まさに対極に有る音ですが、とても楽しめます。レコードの調子も悪くないようです。前回とは違ってとても楽しめる音になりました。さいごに、クラシックをと、クレンペラーのブランデンブルグ協奏曲を掛けていただきました。日本盤の初版だそうですが、こちらは、やはりオリジナル盤とはまったく違う音でした。クラシックもオリジナル盤を揃えなければならないのが大変です。クラシックのときは、アクリルのボードを外されると良いのではと思いました。

丁寧にメンテナンスされているレコードの音は、ユニコーンから極めて実在感の有る音を出していて、魅力的です。Jazzの音は迫力と臨場感あふれ素晴らしい音像を展開します。家の音作りとまったく違うので、その差がとても楽しいですね。短い時間でしたが、寄って良かったです。

Hさんの隠れ家を再訪

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神楽坂のUNICORN邸をでた私は、江戸川橋から飯田橋に戻り、お茶の水から秋葉原に下りていきました。この道は、何十年通ったことでしょう。二十代から三十代の終わりまで、ほとんど毎週の様に通っていました。今は、もう幻になってしまった、オーディオ専門店やパーツ屋さんを巡っては、一種の精神安定剤にしていたように思います。仕事柄、出張が多い生活でしたので、東京に戻った時、秋葉原巡りをすることで、心のバランスを取っていたのでしょう。人手溢れていた狭い通り、小さな部品屋さんの小宇宙。それは小学生の時父親に連れられてきた思い出とともに、何十年も楽しみを与えてくれていました。

それがいつの間にやら、ゲームセンターやお宅の集まる喫茶店だとかになり、私の知っている旧い秋葉原が消えてからは、自然と足が遠のきました。青果市場跡に駐車場があった頃までです。その空き地に巨大なビルが建ち、秋葉原のイメージが変わってから、その地域に足を踏み入れたのは、Hさんの隠れ家にお伺いしてからです。その変貌に驚きました。こうして、時代が変わっていくのだと実感しました。

今日は、Hさんの4トラックテープを拝見して、私とNagraのお師匠さんが持っているテープのだぶっていない分をファイル化するために選別にきました。秋葉原に置かれているのは、一部だそうですが、それでも、何箱もあります。ファイル化してあるものはお預かりする必要はありませんから、それを見極めなくてはなりません。

最初は、リストを作ったのですが、いちいち番号を照合したり、名前を探すのは大変です。それで、今までファイル化してあるジャケットを印刷して持っていきました。これはさすがに効率的で、選別が楽にはかどりました。それでも、4箱分もお預かりしました。ほとんどのテープは、50年近く前のものです。長い年月を置いても、ほとんど劣化していないのも驚異的ですね。

4トラックテープは、50年代から60年代の最高級の音質のソフトでした。レコード化のように、極端なイコライザーはなく、大振幅の溝もありませんから、最低域の音がそのまま収録されています。ただし、その頃普及していた市販のテープレコーダーでは、テープ特有のヒスが盛大にしていて、レコード派のひんしゅくを買っていました。しかし、そのレコードも、マスターテープから作成されているのですから、ヒスノイズがするはずですが、ほとんど気になりませんね。

Nagraのお師匠のCさんがT-Audioを改装して、プロ用の4トラックヘッドを換装した音は、次元を異にしていました。安定した音と、広い周波数特性。金田アンプによるヘッドから直接入力による、低域の再現性は、ほとんどマスターテープの音を再現しています。昔の4トラックテープの音しか聞かれていない方に、ぜひ聞いていただきたいですね。

その仕分けも終わり、近くの和食屋さんで、食事をとってから、今日の後半のイベントに移りました。それは、ユニコーンとトラバドール80の位置調整です。ここから、先は、Hさんが、いつも一緒に拙宅にこられるSさんに宛てたメールが転送されてきました。それを引用させていただきます。


S様

本日、テープの件で、GRFさんに、秋葉原に来てもらいました。その際、また、UNICORNとトロバトール80のセッティングを見てもらいました。

実は、この日に間に合うように、アンプの入れ替えをしました。トロバトールの方は、今までは、Krell1台でウーファーもトロバトールも全て、バイワイヤーでやっていたものを、トロバトールをMacintoshの3500で、ウーファーをスペクトラル200でならせるように、夜中まで、頑張って用意しました。

GRFさんから、いい音ですねの、一言を引き出したいために頑張ったんですが、GRFさんは、入って来ても、何の反応もないので、まだまだ、GRFさんを振り向かせるには、程遠い音だっただなと後から思い知りました。

一息ついた後、まずは、UNICORNの調整に入ってくれました。少し、動かすだけで、パッと音像が広がります。何度も、同じ経験をしていますかが、まだまだ、GRFさんのあの技は、盗めません。今回は、UNICORNの位置関係を変えるのみならず、何だか、瞬間的に、音像が、縦に伸びて、音像に芯が出来たかのように、なったので、一体今は、何をしましたかと尋ねたところ、プリアンプの位置を少し整えた、とのこと。「何で、そんなことまで、わかるんや」 と関西弁になってしまうほどでした。それでも、GRFさんのUNICORNのような深い音には、まだまだです。先は長い。人生は長くないのに、間に合うか心配です。

そして、いよいよ、トロバトール80です。アポジーのDIVAをウーファーとして、使っています。DIVAの前に、トロバトールをおいてあります。GRFさんはトロバトールの間で、真ん中にたったり、スピーカーを背にして、立って聞いています。

GRFさんが、トロバトールを少し、広げました。瞬間に音が、変わります。縦に伸び、横にひろがります。さらに広げたとこるで、すでに、スピーカーの存在が、消えていました。まるで、オーケストラが、ジャズトリオが、そこで、演奏しているかのような、状態になっておりました。

それをまた、可能にしているのが、先週納入されましたCDプレーヤーのEMMです。以前から、GRFさんの家でも、横浜のMさんのお宅でもきかせてもらっており、あくまで、自然な音です。DSのクライマックスが、人工的に聞こえてしまい、上には上があるんだと、思い知るのです。そのEMMで、音を作り、トロバトールで、音を出す。至福の一時を過ごすことがでしました。

Sさん、出来るだけ早めに来ていただき、音と音楽を聴きに来て下さい。よろしくお願い致します。

H

その晩、ご友人のSさんに送られたメールです。気合いを入れて調整した甲斐がありました。ユニコーンは、左右の間隔とアンプ類の位置調整です。特に微小な信号を扱うプリアンプは、SPからの音のフィードバックに敏感です。これで、メインアンプをかえ、SPコードも微調整すれば、相当なところまでいきます。あとはEMMから信号をもらい両方につなぐといいですね。やはり入力の質の向上が、音が良くなる最短距離です。

トラバドールの調整は、メインアンプをマッキントッシュの3500を使用されて、微妙なボリュームの調整も可能なりました。DIVAの平行度、振動板からの距離、Troubadourの左右の間隔、それらをすこしずつあわせていきました。こちらは、相当な集中度がいりました。一時間以上時間をかけたでしょうか?いろいろなCDをかけ、音のバランスを追い込んでいきます。先週の写真と比べてみると、広がりの差がわかりますね。

先週も鳴らしたパトリシア・バーバーの伴奏のベースの音のリアリティがあがりピアノの低弦の響きも出てきました。もはや先週と同じ曲を聴いている感じがしません。DIVAの平面SPですから、横浜のMさん宅のような大迫力ではないですが、実物大のぞくっとくるような音がたまりません。ここまでくれば、大満足です。後は、アンプを反対にする組み合わせですね。その場合は、SPコードもかわるでしょう。

いい音が出始めると、いろいろなCDを取り替え聞き始めます。自然に収録されたアルバムがいい音で鳴りますが、スタジオで、音を作られたCDはあらがすぐ見えてしまいます。今回もトラバドールのすごさを実感した夜に鳴りました。

気がつくと、もう11時になろうとしています。雨はだいぶ弱くなり、この時間帯だと道も空いていて、秋葉原から30分ぐらいで帰ってくることができました。いい音がすると疲れも心地よい疲れになりますね。まだまだ音は良くなるHさんの音をご友人のSさんはどう聞かれるでしょうか?








Harubaruさんご来宅

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Phile-webで活躍されているHarubaruさんが、土曜日に厚木から拙宅まで来られました。五月の連休時に横浜のvafanさんの所を訪ねたおり、4日、5日と連チャンで青葉台を訪れることになったのは、vafanさんが先約でHarubaruさんのお宅を訪問されていたからでした。

まずは、6日間に渡るオフ会マラソンという前代未聞とも思われる企画に賛同下さり、盛り上げて下さった皆様に感謝したします。こんなおバカな企画を立てたのも、家で執筆業をしている家内を旅行に追いやったこの機会を逃したら次はいつオフ会を開けるかわからないという、拙宅の事情によるものでした。3月1日に待望の真空管アンプが届いて、計画実行を家内に話した際に、航空券とホテル代も小生持ちの条件で家を空けてくれました。オフ会でも多少出費がありましたが、当然これが一番でかかったですね。(爆)

オーディオマニアとしては、優しい心遣いに感心いたしました。もっとも、ご常連のBellwoodさんも、お宅にお邪魔するときは、いつも奥さんがいないので、いつか聞いたら、費用持ちで観劇とか、美術館巡りをしていただいているとお聞きして驚いたことを思い出します。そうしてまでも、日程を組み、六日間連続のスケジュールで、総勢22名も呼ばれたとのこと、そのエネルギーにも感心いたしました。

ご連絡を取ったら、来月からは、長期計画で、世界一周の大旅行に出かけるので、その前ならと日程を決めたのでした。Phile-webでは新参者の私でも、知っているなうての猛者達が退去して訪れるのには、やはり理由があるのでしょう。

幸いにも、Harubaruさんも、私のブログを読んでいただいておられるので、話がスムーズに進みました。一昨年の暮れに、オーディオ関係の方の「行ったり来たり」は、閉めさせていただいたのですが、その意味では、Phile-web関係の方々だけが、年間2人ぐらい訪れるだけになりました。もっとも、常連の方々とはいつも会っている訳ですから、あまり事情は変わらないのですが、それでも、其の分、演奏会に行けるようになりました。 

土曜日のお昼過ぎ、時間通りで家までこられました。それも、表通りではなく近道の方から通られているので、表通りに出迎えにいった私とすれ違ったようです。早速、近くのおそば屋さんで近づきの日本酒で一杯!つい心地よくなって、最初の音が大きかったかもしれません(爆)。

初めての人がこられるときは、私の方も少しだけメリットがあります。それは散らかり放題散らかっているCDやケーブルの片付けができることです(笑)。今回も、午前中かけて、どうやら見られるところまでは来ました。写真を撮っておかなければ!

最初は、和室のユニコーンから始まり、定番のマーラーの第三番を、次に、同じハイティンクのショスタコビッチの15番を聴いていただきました。酔っ払ってたので、大きな方の曲から聴いていただきましたが、本来は、静かな方を掛けるべきでした。二時間ぐらい楽しんで頂いたあと、隣の部屋に。

こちらでは、まずT4の音場の出方を聴いていただきました。SPが小さい分、こちらを先に聴かれた方が良かったかなと、ここでも思いました。すべては、お昼のお酒の飲み過ぎですね(爆)。

decolaでは、何時ものフランク永井のレコードと指輪のモチーフ集を、聴いていただきました。ここまでお聴き頂いたらと、GRFもアンプを繋いで、レコードを聴いていただきました。繋いだアンプは、先日松本に行った時に直して頂いた、6550のアンプです。アモルファスとファインメットのトランスの違う二つのアンプを聞き比べして頂きました。やはりファインメットの方が切れ味が良いですね。そういえば、GRFでCDをお掛けするのを忘れましたね。

最後に、また、和室に戻っていただき、4トラックのテープのDSDファイルを聞いていただきました。最後のコーナーにかかってから、白ワインで乾杯。これから始まる旅行の詳しいお話をお聞きしました。内容は素晴らしく、計画の建て方も旅慣れておられるし、考え方がとても合理的で感心いたしました。まだ体力があるうちでのリタイアはすることが多く、気力が充実していて、行動力がうらやましいです。時間と若さは、お金では買えませんから、できるうちですね。旅のご無事をお祈りしています。


上下の音も

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本当のステレオ録音の素晴らしさは、録音した会場のアンビアンスが、そのまま、我が家で再生出来ることです。時代や場所をも越えて、あなたの部屋に会場を再現します。ドラえもんのどこでもドアが、出現するのです。人間の耳は二つなのに、何故、左右だけではなく、前後、高さの三次元の情報を、時間の経過という音楽特有の次元を通じて、四次元空間を出現させます。収録されたときの空間が再生された空間に現れます。ホログラムの様に三次元の空間が出現するのです。

この驚きと感動を伝えたくて、9年間も同じ話をブログでしてきました。そして、なお新たな発見に胸をときめかせています。三次元の音といわれて、聴いたことが無い方は想像付かないかも知れません。録音された場所の位置情報が、そのまま空間に再現され、聴く位置を変えても、その音源の位置は変わらないのです。それを今更の様に実感したのが、先日来の横浜のMさん邸やHさんの隠れ家の素晴らしい存在感です。家のT4でもその様子は聞こえますが、Troubadour 80の立体感は聴かれた人は、みな驚く程の実在感を表します。

2チャンネルのステレオ情報だけで、ここまでの立体音響を出現させられるのなら、もっと、もっと、オーディオ装置の需要が高まるはずなのですが、残念ながらほとんどの方は、この素晴らしい音を聴いたことが無いのが、事実なのです。問題は、左右のSPの位置の調整に尽きます。その部屋の中で、お互いの音を打ち消さない地点を探し出せばいいのです。ただ、その位置が、最後の瞬間では、コーン紙一枚の厚さでも、差が解るようになります。ツイーターの薄い、膜の差一枚分です。ピッタリあったときの音の驚きは、一度経験されると忘れられないでしょう。

和室でユニコーンを聴かれた方々は経験されているのですが、6畳強の狭い和室にもオーケストラが入っているし、二階席から覗き込むようにオーケストラが展開します。一方スタジオ録音は、部屋の中がスタジオになり、音が目一杯空間を充たします。その音の違いは、ソースの音の違いを、忠実に再現しているHiFi装置だから、この様な多様な音を出せるのだと思います。録音するときのマイクは、指揮者の後ろ上方から、俯瞰する様に見下ろしています。オーケストラは下の方に聞こえるのです。そこから、音が湧き上がってくる様が感じられます。トライアングルや鉄琴の音が、上方に舞い上がっていきます。

コンセルトヘボウのコントラバスは、階段状のステージの上の方から聞こえるので、通常のオーケストラの配置より音のバランスがさがり迫力有る低弦が迫ってきます。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートのように、ステージ最後方に他の楽器より高い位置に有る場合も、すごい迫力です。その高さ関係の差が、聞こえてくるのも、高さの情報が入っているからでしょう。

もっとも、その元の音を経験しないと、そういう位置関係は、見えてこないかもしれませんが、経験が有れば、はっきりと感じる事が出来ます。その意味では、実際にその会場に行って聴くことが、自分の部屋にオーケストラを招き入れるときの、大きな指針になります。


上の美しいユニコーンは、椀方さんのお宅です。去年の暮れから慣らし込んできましたが、いよいよ音のバランスが整ってきたようです。やはり、良い音で慣らし込む必要があります。左右に広い部屋の置かれていますので、幾分左右の間隔が広く感じました。各々、7~8mmほど中に寄せ、右側のSPを2mm程内向きにしました。途端に音のバランスが良くなって、力感が増し、オーケストラの低弦部が充実しました。

現在のところ、60Hzで1db持ち上がるポジションで使用しています。完全にエージングが終わると、Flatの位置で、バランスが整います。あと少しの鳴らし込みが必要だと言う事ですね。そして、エージングが終了する頃、音が上に立ち上り、高さ関係が聞こえてくるようになります。この夏を越えて、また冬が来る前には、今とはまったく違う、どこでもドアが出現していることでしょう。楽しみです。

良い音楽を聴きながら、音を整え、自分の音に育てていく、良い機器と長く付き合うには大切なことです。ますます美しくなってきた椀方家の貴婦人です。





Pooh博士のお宅に とうとう・・・

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浜松のプー博士は、地元でご活躍されている奇術師で、趣味で?お医者さんもされている、真の趣味人です。カントリー&ブルーグラスのバンドの活動もされているし、自転車とカメラのコレクターでもあります。
このカメラをご覧になられれば、カメラもすごいですが、撮影されている腕も、並大抵では無いということがおわかりになるでしょう。また自転車のコレクションも玄関を開けると14台の自転車が、お客様をお待ちしています。
お気に入りは、「ペダーセン・総銅メッキ20インチ仕様」だそうです。ユニークなフォルムですね。

そんな、プー博士が、オーディオに再度目覚めたのが、私のNagraのT-Audioを見初めてからですから、責任を感じています。(誰に?)最初は、タンノイのIIILZをお使いになって、オーディオ心を燃やし始めました。次には、私の家で聴いたT4を床置き平行法で、導入されました。そうこうしているうちに、家のユニコーンを何回か聴かれて、とうとう、決断されたようです。ますます、責任を感じます。

拙宅でタンノイⅢLZが満足する音で鳴るようになったので,ユニコーンではどうなのかを比較体験するためにお伺いしました。

まずユニコーンについてですが

 (1)アンプの性能がかなりあるとは思いますが音像の輪郭だけ ではなくその奥行き感、というか立体感がかなり感じられる。

 (2)音の広がりから言えばT4のほうがもっと広くなることもあ るが、音の実在感が違う。例えばピアノの位置とかボーカルの背の高さなど。

 (3)じっくり見てあの「バーズアイ」は貴重ですね。むかしパイプタバコやっていたのでその貴重さはじゅうぶんわかります。よくこんな大きな板で、それも素晴らしいピアノ塗装で仕上げたと感動しました。

(4)楽器ひとつひとつのリアリティが際立っていますね。あまりオーディオに詳しくないわたしでもそう感じました。

その後デコラも聴かせていただきました。当時にこれが存在したことのほうが驚きですね。これを置く部屋があるという人だけの幸せ感でしょう。ボーカルがなんとも言えない温かみを持っているように思いました。

あまりゆっくりもできず失礼いたしましたがユニコーンの世界を目指そうぜ、と悪魔が囁いています(大汗)

ユニコーンを導入されるために整理された空間です。

そこに、きれいに入りました。部屋が大きいので、German Physiks 推奨の縦型配置で置いてみました。

部屋の雰囲気とマッチするバーズアイの木目です。プー博士は、むかし、パイプをされていたので、バーズアイの価値がわかっていただけました。これなら、旅行中の奥様も納得されるでしょう。

肝心な音ですが、鳴らした当初は、少し眠い音がしましたが、30分もすると俄然目覚めてきました。当初は広域もフラットの位置で鳴らしていたのですが、エージングが終わるまでは、キャビネットの慣らしも必要なので、高域を2dbあげたら、さっと視界が開け、家の音になりました。入力は、SONYのハードディスクプレーヤーのHD-1をクロックアプしてあります。それからオラソニックのデジタルアンプです。電源は、外付けで大型のトランスを使用してあります。SD05もびっくりの音場が出てきます。
白い小さなボックスが、デジタルアンプです。たったこれだけ!というほど、シンプルな装置から、私が驚くほどの音が出てきました。縦型では、音が部屋の中央に飛び出してきます。前のT4の置いてあるあたりまで、音が前に飛び出してきます。Troubadour80の音を彷彿させますね。低音も充分です。裾野の広い、音が出てきます。私自身、縦型の配置で初めて納得した音が出てきました。

Pooh博士からの挑戦状

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追伸1 6/24 お昼

お昼食べて気合い入れてスピーカー位置に挑戦しました。結果的にはこの位置が今のところお気に入りです。これ元あったⅢLZの位置です。ここに置くと音はストーブ後ろの壁から出てきます。そして広がりがT4に近くなります。

違うのは上への音の厚みが大きいことです。この音だとT4は完全にいらなくなってしまいます(涙)しばらくこれで鳴らしてみますね。いやあ、動かすとこれ音が激変します、おもしろ〜い!


追伸2 6/24 夕方

さきほどは失礼いたしました。ふふふ、あの音場が気になるようなので書きます。最初セッティングしていただいた位置から1mほど前進しました、縦位置のままです。

音はストーブの後ろの煉瓦壁あたりから出てきます。T4とくらべると左右はT4のほうがもう少し広がっていたと思いますが、上にはかなり厚く音が存在して天井近くまであるのがT4との差でしょうか。左右はきっと調整すれば埋まる感じがします。前に出すと部屋が狭くなって邪魔くさいのですが音には替えられません。テーブルをやめて低いコーヒーテーブルにし、椅子も小さなソファにすれば視界が開けるかもしれません。

ユニコーンの音は普通のスピーカーが前方に音を放出しているのに対し、360度全周に出すからか上への音が豊かになるのでしょうね。今夜は自炊しながら聴こうかな \(^o^)/


追伸3 6/24 夕食後

知人が生きたシラスをお裾分けと持ってきたので、今夜はシラスのアヒージョと海老サラダ(これは購入)でした。オリーブオイルに刻みニンニク入れて香りがうつったところでシラスを投入、塩、こしょうをかけて終わり。上にタマゴの黄身をのせフランスパンを浸していただきました。

カミさんは本場もの食べているんだろうな〜

さてユニコーンですがいろいろ前後左右に移動させてみましたがやはりⅢLZのあった位置あたりが最適のようです。反射波などがその付近で実音とうまく融合するポイントなんでしょうね。

セッティングのときは音がストーブより少し前にあったのですが、今は後ろの壁付近から聴こえます。不思議です。これだけ広い音場が出るのが確認されたので、そちらの和室のユニコーンも広い部屋で伸び伸びさせてあげるのはいかがでしょうか? ヘ(^^ヘ)(ヘ^^)ヘ

和室で何回か聴かせていただいて、音質はどんどんよくなっていくのはわかりましたが、いつも音場がどうなっているのかよく理解できませんでした。スピーカーの間に美しい音場があるのはわかりますがオーケストラなどはどう展開しているのかがあまりわからなかったのです。

T4で広い音場の経験をいたしましたので、今回のユニコーンで広い音場形成を聴いた時には驚きました。正面の壁全体が音で埋まるのです。上に音場が広がるのがこのスピーカーの特徴のような気がします。初心者のわたしでもこれを体験できるというのが凄いですね。毎日鳴らして聴いておりますので冬にはエージングも終わるでしょうね、楽しみです。

縦型配置での後方音場出現をぜひご確認にお寄り下さいませ。



追伸4 6/24 深夜

今日の午後〜夜までいろいろやってわかったことの報告です。

(1)スピーカーケーブルをタンノイでつかっていた(おそらく銀線撚り)のにしたら音が痩せた感じになったので今の銅線撚りのに戻しました。

(2)後ろ壁からスピーカーセンターまでの距離は180cm、横の壁までは70cm。この位置だと後方左右上下に音場拡大があって気持ちよいです。

いくつか写真載せます。底板の斜め部分が床の板目に平行になるようやや内振りにするのが効果あったようです。いつでもご確認いただけると安心です。



これまで和室で聴かせていただいて音場は目の前だけなのが特徴なのかと思っていたので、T4のような後方に広大な音場が出たことに驚きました。

ふぉっふぉっふぉ(バルタン星人風に)和室のUNICORNもGRFの部屋で遊んであげたら?\(^o^)/ 



むむむ〜、「そちらの和室のユニコーンも広い部屋で伸び伸びさせてあげるのはいかがでしょうか?ヘ(^^ヘ)(ヘ^^)ヘ 」と、たった一日聴いただけで、師匠に挑戦状を頂きました。何と大胆な!これは再度聴きに行かずにはいられませんね。でも、いい音していると想像できます・・・。

ふぉっふぉっふぉ(バルタン星人風に)

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バルタン星人のあのはさみを散らかせて、ふぉっふぉっふぉと言う声で、目が醒めました。まだ、五時を少し回ったところです。汗をかいていました。赤いランプが点滅していてウルトラマンの危機です。そもそも、私がGRFの部屋で実験しようと思っていたポジションを先に取られて、一昨日は行ったばかりのプー博士からのこの始末です。危機は、この間の秋葉原でも感じていました。DIVAの低域を使ったトラバドール80のときも、後方遥か向こうまで音場が拡がっていたのです。その時は、DIVAの平面SPがそうさせているのだと思っていました。

六時を回って、近くの公園に体操のために集まってきた老人達の大きな話し声に寝ていられ無くなり、和室でバルタン星人からの挑戦状を見ていたら、少しづつ充電が出来てきて、赤いランプの点滅は消えました。

シュワッチ−!です。

思い立ったら、即実行!それだけが取り柄でやってきましたが、今回は、Pooh博士の飽くなき好奇心に後れをとってしまいました。



SPは簡単に動きます。この部屋に持って来たときは、当然縦位置も実験していました。でも、それはまだ低域が充実する前の事でした。ユニットが変わり、アンプも変わってからはまだ実験していなかったのです。迂闊でした。

7畳の部屋では、いくら前に出そうとしても限度があります。しかし、360度放射のこのSPは目の前で聴いても、音場がでているときは、うるさくありませんから、部屋の中央付近まで持って来ました。それ以上だと、聴取位置との正三角形が構築できなくなります。

低域は、壁から離しても全く問題有りません。音は浮き上がります。今まで二階席の遠い所から俯瞰して聴いていたのが、空中に飛び出し、演奏者の上方に浮遊します。セッティングは微妙で、やはり1mm単位で音の構造が変わります。しばらく、実験を重ねないとデッドな和室では、微妙な変化です。しかし、そうして詰めていくと、ドンドン音の密度も純度も上がってきます。後方の展開はまだしませんが、部屋の真ん中に、オーケストラが来ています。横浜のMさんのところのようなSPを横切っても音場は変わりません。

問題は、狭い部屋がますます狭くなることですね。バルカン星人がいうように、いちど隣の部屋に持って行ってならさないとなりませんね。それで、和室に戻ってこなかったどうしましょう?

シュワッチ!

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バルタン星人におそわれた和室のユニコーンの運命は如何に!!!

お昼休みを待ちわびて、よっこらしょ!とユニコーンを隣の部屋に運び入れました。









場所を変えて、試しましたが、まだ後方の音場はでませんね。QUAD のESLと同じで、ユニコーンから音は伝わってきますが、T4で出るような音場はでません。音の定位は、Troubadourと同じ様に微動だもしませんが、本格的な調整は、夕方以降に!

こういう気が焦るときほど
、野暮用が終わりません。ようやく、七時半に部屋に戻り、聴いていました。この位置で、横はどの様な音がするのでしょうか?


さっそっくやってみました。これが良いのです!聴き慣れているというか、随分と音の出方が違います。これはしばらく掛かりそうですね。

アンプも持って来て、ケーブルも換えて、微調整もしてならしています。丁度良い位置ですと、おとは後ろにも前にも行かずに拡がっていきますね。立体感は恐ろしいほどです。


京都人さんのお薦めで、早速130cm前後にしてみました。驚きの音場ですね。そのあたりの1mmの違いはとても大きく変わります。家では、風通しを良くするために137〜8cmぐらいで落ち着きました。ふと後ろを見ると、デコラのSP間隔と同じなのには、二度ビックリです。人の耳の構造から来る値なのでしょうね。



驚きのイリーナ・メジューエワ 前半

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事の始まりは、Bellwoodさんがお持ちになったドビュッシーのCDでした。ご本人の美しさにも驚きでしたが、響きが純化した演奏には、魅せられました。早速、CDを購入。順番に聴いていきましたが、実況録音盤の聴衆のうるささにはビックリ。演奏中に雑音を出しすぎで、演奏に集中できなほどです。録音の仕方にも問題が有るのかもしれませんが、富山の人には申し分けないけれど、演奏に集中していない聴衆のように思えました。しかし、その音から伝わってくる演奏者の集中度と気迫には驚き、是非、実演を聴いてみたいと思いました。

しかし、なかなか演奏会が開かれません。関東での演奏会は、終わっていて、今年はありそうにもないのです。出るレコード、出すレコードが、さまざまな賞を取っているのに、数えるほどの公演数なのです。カルチャーセンターでの講演と仙台の音楽祭を除くと、ホールでの本格的なリサイタルは、名古屋の電気文化会館だけなのです。

名古屋の電気会館は、厳選された演奏家だけが、公演を行っている400人ぐらいしか入らない会場です。金曜日の夜だったので、スケージュールは何とか出来ると思い、4月の中旬に申し込みました。CDを貸してくれたBellwoodさんにもお声を掛けたら、今年の四月からは、比較的自由にスケジュールを管理できるお立場になられたようで、もちろん行かれるとの二つ返事でした(笑)。

日が近づくにつれ、スケジュールが段々立て混んでいきます。ついには、同じ週に二回も名古屋方面に行くはめになりました。当日は、だんだん西に進むほど、雨がひどくなる梅雨の嵐の日で、夕方、会場近くのホテルにチェックインする頃には、ズボンの裾が濡れるほどの大雨になって来ました。しかし、電気会館の地下二階に設けられたホールは、内部は大理石で作られた明るい環境の素晴らしい響きのホールでした。大きさは、ヤマハホールぐらいですが、内装材が、やわらかな石造りで、地下にもぐっている感じがしません。

指定された席は前から四列目の右側の席で、指の動きは見えませんが、きれいな表情は目の前に見れるし、音は一番良い絶好の位置でした。メジューエワさんは、すらりとした体格で、CDのジャケットから抜けてきたような憂いを帯びたような美しい瞳で、はにかんだような、しとやかな礼の仕方に、ロシアの女性というより、日本海側のしとやかな女性のようにも思えました。

ところが、その柔らかでしとやかな印象とはうらはらに椅子に座った瞬間、目つきがまったく違い、真剣勝負の気迫がみなぎります。そして、打ち落とされた音は、度肝を抜きました。ショパンのボロネーズ第一番です。嬰ハ短調のショパン特有の響きが、予想を上回る音量できこえてきたからです。久しぶりに、調音がしっかり出来て、コンサートグランドピアノ特有の腰がしっかりした音を聴いたような気がします。スタインウェイの楽器ですが、中音の厚みはヤマハのピアノの響きさえ感じます。通常の硬質で、高音がきれいなスタインウェイではありません。ペダルワークの的確さから来るのか、音の重なりと余韻のコントロールが見事で、和音がとても解りやすく聞こえます。

驚いたまま、疾風のようにボロネーズが駆け抜けていきます。二曲目のノクターンは、一転して、柔らかな響きの中に、粒立ちの良い高音の鍵がきらめいていました。そして、ワルツから、バラードの第四番です。この曲ほど、彼女の二面性を良く表している曲は無いと感じました。静かにはじまる導入部。悲しみに満ちたショパン特有の旋律を一音一音響きを確かめながら静かに弾いていくゆったりとした時間。段々盛り上がっていくにつけ徐々に見えてくるショパンの狂気。

一瞬の全休止。

雪崩打つようにすべてが崩壊していく最後のコーダ。両手が交差しても、目だけは眼光鋭く譜面の中に没頭していく彼女の顔は、すさまじい力で、狂乱のコーダを進行してきます。驚きました。全力で弾いている彼女の背中は首から肩に掛けて、アスリートのように盛り上がり、尋常ではない力がみなぎり、格闘技のように音を切り開き、重ね合わせていきます。

眼光背紙を徹するという言葉を思い出させる気迫に溢れた鋭い、真剣で立ち向かう剣士のような殺気さえ感じる演奏でした。

驚き、感動しました。

演奏を終えて、しとやかに挨拶をする、はにかんだような彼女の顔と今、かいまみた彼女の心の中の暗闘が、どうしても一致しません。



前半の二人目のラベルは、予想していたようなオーケストラのような静けさを表現した演奏ではなく、ピアノ曲として、どう響いているかという演奏でした。そういえば、クリュイタンスの亡き王女のためのパヴァーヌを愛聴していたころ、サンソン・フランソワのピアノ演奏を聴いたとき、これは全く別な曲なのだと思った事を思い出しました。しかし、幾分大きな音に前から4列目の席がこの曲に関しては、前過ぎたのではとさえ思いました。

次のソナチネは、なかなかこの曲を演奏しているCDにはお目にかかれない曲です。私は、フランソワのラベル集を持っているので、聴いていましたが、三曲目がたいへん難しい曲だと思いました。

前半が終わり休憩時間に入って、ワインを手にして、Bellwoodさんと顔を見合わせても、二人とも驚きで、声が出て来ません。超一流のアスリートの金メダルの競技を見たような感じもします。それでも徐々にその驚きを声にし始めました。語りはじめたら、バラードの様にそのおもいは次から次へと溢れてきます。

前半のプログラム

ショパン:ポロネーズ 第1番 嬰ハ短調 op.26-1  
ショパン:ノクターン 第5番 嬰ヘ長調 op.15-2  
ショパン:ワルツ 第5番 変イ長調 op.42  
ショパン: バラード 第4番 ヘ短調 op.52

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ 
ラヴェル:ソナチネ 
 

イリーナ・メジューエワ(ピアノ)

驚きのイリーナ・メジューエワ 後半

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休憩時間に、話をしたのは先日、三鷹で聴いたトムシッチの演奏スタイルでした。当たり前なのですが、作曲家ごとに演奏スタイル、ピアノの音色が異なるのです。メジューエワの演奏は、そのように音色が変わるのではなく、真摯に演奏していると、曲そのものの本質が見えてきて、まったく違う楽器を聴いているように思えたのです。

後半は、ムソルグスキーの曲です。最初の曲は、瞑想と呼ばれる静かな小曲です。次の展覧会の絵が、スケールの大きな曲ですから、同じ作曲家の晩年の静かな境地の曲を弾いたのかも知れません。

『展覧会の絵』の原曲は、生前演奏されることはなく、ムソルグスキーの死後、友人のリムスキー・コルサコフによって、編曲されて紹介されました。現在では、ムソルグスキーの独創性として高く評価されている複雑な和音構成が、当時は荒削りと捉えられたためです。また、長い間、ラベルによって編曲されたオーケストラ曲による演奏の方が、よく知られていました。

しかし、その原典版を取り上げて、曲の本質を再現したのはリヒテルでした。管弦楽曲とはまったく違った、壮大なスケールで、原曲の持つ本質を再現して見せたのです。今回のメジューエワの演奏も、気迫ある演奏でロシアの大地の音楽として再現されています。

前半の演奏の時もそうでしたが、メジューエワさんは、弾かれる前に天井を見上げています。音楽の神さまが舞い降りてくるの待ってから、演奏をはじめるのです。その祈りの姿にも感銘しました。

展覧会の絵がはじまりました。最初のプロムナードからオクターブの和音をしっかりと出した、スケールの大きな演奏だと解ります。ペダルを踏んだままの部分も、曲の和音構成が、濁らず音を重ねていっても、様々な色が組み合わされる重厚な絵画のように厚みがましていきます。そのペダルワークが見事なこと。たたみかけるようなクレッシェンドも、スフォルザンドの鋭さも,素晴らしい音色です。

メジューエワのCDは音の収録がオフ気味で、エネルギー感が薄いのですが、まえから4列目の音は久しぶりにスタインウェイの凄みがある音が聴けました。まえ、河村尚子さんの演奏でも、同じ曲を聴きましたが、メジューエワさんの音楽への祈りと、一音一音確かめるように譜を読み進めて、確認していく作曲家への尊敬の念が、音楽の違いとなって現れていると思いました。ピアノに奉仕するロシア的な奏法の神髄ですね。

万雷の拍手に応えたアンコールのラフマニノフも感心しました。やはり彼女はロシア人なのですね。

後半のプログラム

ムソルグスキー:瞑想
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」

<アンコール曲>
ラフマニノフ:プレリュード op.32-12
ラヴェル:プレリュード




イリーナ・メジューエワさんの最近のCDはライブ録音が多いようです。恐らく、マイクの位置がピアノから遠い所為もあるでしょうが、会場の雑音を拾いすぎていて、CDで何回も聴くときには、その雑音が大変気になります。演奏の気合いがライブの方が乗るので、ご本人の希望なのかもしれませんが、録音側は、いますこし雑音を無くして欲しいですね。

CDには、断りに会場のノイズのことが書いてありますが、これは、商品化する時には、可能な限り無くして欲しいモノです。演奏に集中すれば雑音は聞こえなくなると、中の解説書に書いてあったのには、驚き呆れました。

ライブの時は、指向性のあるマイクを使用して、そのマイクを無人の時よりはピアノに近づけて、収録すれば、相対的にノイズは減少するはずです。記録としての録音ではなく、何回も聴かれる前提のCDとして録音して欲しいと、製作者にお願いしたいです。

そのCDにときどき、プラスティックが折れるような音が入っていて、とても気になりました。その音と同じ音が、何とすぐ横から聞こえてくるのです。その音の原因を見ると、プラスティックの割れるような音が会場に響きます。本人は、その度に薄笑いをしながら音を出しているのには、驚きました。富山の録音の時にも出かけて、その迷惑な音を出しているのでしょうか。また後ろの方の席で、しわしわとプラスティックのポリ袋を拡げる音がかなりしていました。どれほど、他の人の迷惑になるのか、民度の低さにはガッカリです。

演奏家は、命をを削るような集中力で、音楽に奉仕しているのに、それを妨害する行為は言語道断です。右側三列目の通路に面した席のおじさん!あなたのことですよ!大雨の中、東京から見に来ている人もいるのです。

名古屋からの帰り道に

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昨日までの大雨は、夜明け前に止んだようです。ホテルの窓がうっすらと明るくなってきました。まだ完全に晴れているわけではなく、雲がかかっていて暗い朝です。東向きの部屋なので、まだこの暗さなら寝られるようです。でも、昨日のメジューエワさんの音が頭の中を駆け巡り、忘れない内にと印象記を書き始めました。ブログの文章も、感動や驚きが深まれば、文章の表現も楽に進みます。五時前からはじめても、あっという間に七時に近づきました。今日も、運転しても戻るので、今少し、寝られたらと、ベッドに入り直しました。一瞬後、寝返りを打ったら、八時を回っています。

10時にホテルを出ました。途中、名古屋インター傍の、サウンドピットさんに寄ることが出来ました。茅野のQuad 44が切り替え時に、ポップ音を出すようになってきていました。段間のコンデンサーの寿命でしょう。ついでに、405IIの音が出ない予備機も見て貰いました。トランジスターが飛んでいたようです。これで、当分茅野の家は安心です。サウンドピットさんの、お客さんでユニコーンを使っていた方が、先日来、Troubadour80/CarbonとELACのスーパーウーハーを使って音を出されているそうです。
    SoundPitさんのブログから写真をお借りしました。

最初から誂えたようにピッタリですね。スーパーウーハーなので、125〜300Hzぐらいの繋ぎが問題なのですが、専用のイコライザーソフトで、上手く繋がったそうです。カーボンのタイプなので、上手くいくのでしょうね。後ろの、ユニコーンは、サウンドピットさんに引き取られたそうです。クラシックをお聴きになられる方は、この中古はお買い得ですね。

サウンドピットさんを出た我々は、一路浜松のバルタン星人の秘密のアジトを急襲すべく、車を飛ばしました。最も名古屋から三ヶ日の間が、新東名がまだ開通していないので、一番平均速度が落ちる区間です。来年、春の開通が待たれます。

バルタン星人のアジトに着いたのは、一時を少し回っていました。浜松市内が、渋滞で何時も時間が掛かるのです。今週は、火曜日にもお邪魔しているので、きょうは中華でもと言うことになったのですが、久しくウナギを食べていないBellwoodさんの為に、再度、ウナギやさんい行くことになりました。さすがに、一週間に二度も、『上』の大きなウナギは食べられないので、一回り小さな『中』にしました。ちなみに、満面の笑みでBellwoodさんが頂いていた鰻重の『上』はこんな感じです。

バルタン星人を急襲しに来た我々ですが、美味しいウナギの逆襲にあって、従順な愛犬のように手なずけられました。早速、Pooh博士の調整された音を聴かせて貰いました。早くも、調整を自家薬籠中の物とされているのには、驚きました。そこで帰っては、師匠の名が泣きますので、ウナギで元気になったので、真剣に調整させていただきました。

調整と行っても、見た目には解りません。ほんの1mmぐらいで、大きな差が生まれてきました。また、SP間を138センチぐらいにしたポジションも試して見ました。両側のSPが寄るほうが、音が放射されて、広大な音場が出ます。もちろん録音にも寄るのですが、不思議ですね。





今日は遠路はるばるお越し下さり、時間をかけてユニコーンのセッティングをしていただき感謝しています。あらかじめ「これでOK」という位置にセットし、バルタン星人の雄叫びを上げてお迎えしたものの、あえなくウルトラマンにやられて小さくなっています。

音を聴いていただいてすぐに「よい音が出ていますね~」と仰っていただいたので、やった~と思っていたのですが結果的には床の板目1枚ほどずれておりましたね。ということはちょっとの差でも音は大きく変化するということで、、、(涙)

左右対称にきちんと位置決めしたと思ったのですが最終的な位置は右側がやや内振り、という変則的なものになりました。これは左側がすべて漆喰壁なのに右側はオーディオ機材を置く棚が引っ込んでいるため音の返りに差があるからでしょうか。

あれからじっくりあれこれ聴きましたが、印象的だったのはカラヤン・ウイーンフィルのニューイヤーコンサート・ライブ。あの音の広がりは感動的でした。今回、セッティングするときに左右の楽器展開を求めるか、音の質を求めるかで多少の差がありそうだということでした。

一度、位置がピタッと合ったときの音を記憶しておけば次回からかなり自分で狭められそうです(ってそんな簡単なことではない)最後に足でちょっとスピーカーを触ったかどうか、というぐらいでの音の変化にはちょっとついていけそうにありません、どっちに蹴るかもわからないし、、

楽しい時間をご一緒できてうれしく思いました。

もう、な~んにもいらない、、(かも)

またウナギ食べたくなったらお越しくださいませ。

一時過ぎに、到着したのに、いろいろと実験をしていたら、五時近くになってしまいました。楽しい時間はあっという間です。でもここままだ浜松です。名残を惜しみながら、早く帰えるには、安心して走れる新東名まで、45分も掛けて上がりました。あとはゆっくり走っても速い新東名を流れに乗って順調に走ってきました。御殿場を過ぎた鮎沢のパーキングで、後ろを見たら、空がすごいことになっていました。
もう、七時を回っています。日が長くなってきましたね。それからも道は順調で、楽々と戻って来れました。楽しい休日になりました。

家に戻ってきた私は・・・

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今回のイリーナ・メジューエワさんの音を聴いて感じる事がありました。彼女のCDを聴いているときは、おしとやかで精緻な演奏をする人だと思っていました。CDもそういう彼女の特性を活かした、アンビアンス重視の録音だと思っていたのです。しかし、ショパンのボロネーズ第一番の冒頭を聴いただけで、自分の解釈が間違っているのを知らされました。この写真のように、眼光鋭く譜面の裏まで見ているのです。

彼女のCDの音は、じつはいろいろな音で収録されています。会場の違いや、もちろん録音技術者の感性の違いがそのまま音として収録されています。技術者の音楽への感性、解釈、経験もすべてが問われるのです。会場の差も大きいです。新潟のリュートピアの様な大きなホールでは、相対的に会場ノイズからは、楽になります。その分、ピアノ自身の響きの録り方を問われるのです。  

共通しているのは、彼女の演奏の仕方です。楽譜を必ず見て、確認しながら、間違いなく楽譜に忠実に音として、音楽として変換していくのです。その思いは、聴き手の心にもすぐ繋がり、作曲家の意図した響きの中に入っていけるのです。それはあたかもリヒテルがどんなに知っている曲でも、楽譜を確認しながら演奏していた姿のと重なります。楽譜を読んでいることで、確信を持って音楽のダイナミクスを表現できるのだとおもいます。

彼女の音楽への集中心は、とても、おしとやかな外見からは想像が付かないほど、過激でもあり、天国的でもあります。今回はショパンとラヴェルとムソルグスキーでした。是非、シューベルトとシューマンを聴いてみたいです。なかなか彼女の演奏会は少ないのですが、カルチャーセンターの講演会にも参加して見たいと思います。

それらの演奏会の印象を持って、GRFのある部屋のユニコーンを調整すると、いままでは見えてこなかった音が聞こえてきました。帰り道、Pooh博士のお宅のユニコーンで精密な調整を行ったのが、ヒントにもなりました。今までの思い込みではなく、新たな場所の音も聴いてみました。

各々の場所でも、精密に追い込んでいくと、僅か1mmの差で音がまったく違うほど変わります。内側傾斜や外側への開きも試して見ました。そうして追い込んでいくと,究極はSPの間隔とその部屋の音を聴いていると気づかされるのです。もちろん、音量も大きな要素です。どの音量で、そのCDを聴くのかを判断することが、オーディオ再生の一番難しい点だと思います。演奏会場のどこの位置に座れば、自分の好きな音が出てくるのかと同じ様な難しさです。経験と失敗も必要でしょう。ピアニストが音量を選定しているように、我々も、どうのようにその音楽と向き合うかを問われているからです。

隣の部屋で実験中の和室です。神無月の様にさびしい風景ですね。




再び和室に!

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GRFのある部屋で、様々な位置を試している内に,良い音が出る位置が解ってきました。そして、平行から角度を変えることによって、同心円状に拡がっている位置を前や後ろにもその拡がりを移動させるコツも見えてきたのです。すなわち、袴の部分を外側に拡げる=前の部分が内振りになると音像は後ろに展開します。反対になると前に出てくるのです。中高音は360度に放射されているのですが、バックロードホーンからでる低音がその音場を左右しているのですね。

Pooh博士のお宅で、その内振りを1mm単位で動かすと、モノラルの音像が左右に動くのを確認しました。そして、そのモノラルの音像の定位が中央に決まると、当然、ステレオの音も深みが増して、音が活き活きと鳴り始めます。お互いの音を打ち消す割合が少ないポイントだからでしょう。

また、その調整の過程で、SPの間隔が、音の密度を変えることも確認しました。使用したアンプが、フルデジタルのOlasonicでしたから、クロストークが無く、元の音場が出やすいからでしょう。普通のアナログアンプですと、モノラル構成のアンプにしないと、なかなか音場が再現出来無いのではと思いました。

それらの実験の結果、また、引越をしてユニコーンが和室に戻ってきました。隣の部屋ですが、二個のSP、二つに別れたEMMのトランスポートとDAC、左右のモノラルアンプ、そして電源部と本体に別れたプリアンプもとうとう和室に持って来ました。これは、電源部から完全にモノラル構成なのです。電源部から本体へのケーブルも左右別々に来ています。





ご覧のように、横置きの時と違って、装置全体が前に出て来ます。左右の間隔は,以前とほぼ同じところに置いてみましたが、前後が縦横の差分前に出て来ました。あえて、後方の壁と距離を以前の横置きと同じ距離にしてみました。今見えている前面の厚さ分前に出て来たことになります。前後に出ていたバックロードホーンからの低音が左右に分かれます。これで、相当音の感じが変わります。ユニコーン独自の面白さですね。

以前と変わった点は、SPの向きと位置、そしてモノラル構成になったプリアンプです。もちろん、アンプの音の密度も変わりました。そして、微妙な調整がこれからはじまります。今日のところは、移動して音出ししたところまでです。微妙な音の調整は出張から戻って来てからの楽しみです。

この位置と、元の横位置も含めて、角度を変えるとどの様に音が変わるか、忍耐は要りますが、楽しみでもあります。この、正面を向いた音は音が前に飛び出してきます。30センチの差ですが音が立体的になり、低域の密度や空気感が上がりました。


追伸 7/2

出張から戻り、気持ち内振りにしました。ほんの少しの開きで、後方に音は展開します。部屋が広く感じます。まだまだ、最適ポジション探しは続きますね・・・。




東海道やじきたオーディオ道中(プー博士邸訪問記)

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Bellwoodさんの日記からの転載です。

GRFさんと名古屋まで遠征してのメジューエワの追っかけでした。

その夜は、大変な豪雨に襲われましたが、幸い宿泊先のビジネスホテルの1階になかなかおいしくて値段も手頃なイタリアレストランがあって、そこで感想戦。その後、どうやら私が飲み足りない顔をしていたらしく、どこか近所のバーに行ったような気がしますが憶えていません(爆)。

翌日は、GRFさんの独逸車「大衆号」で東海道をひた走り。



まず立ち寄ったのは、名古屋の名オーディオショップ「サウンド・ピット」さん。おいしい珈琲をいただきながら、しばし、ヴィンテージの銘機で巌本真理の名演に耳を傾けました。

GRFさんは、UNICORNさんのユニコーンを聴いて衝撃を受け、東奔西走してこれを探し求め、ついにこちらで良品のユニコーンで出会ったとのこと。この日も、店頭に805Dやウィーンアコースティックなどと並んでユニコーンが展示してあってマーラーを聴かせていただきました。



なんでも、このユニコーンは新たにTROUBADOUR 80にELACの最新のサブウーファーを組み合わせたシステムを導入された方からの出戻りだそうです。サブウーファーと組み合わせたTROUBADOURというコンセプトは、横浜のMさん宅でも聴いて感銘を受けましたが、ユニコーンにも三行半をつきつけるとは何ともそそられるお話しです。



GRFさんと店主の坂口さんとの何気ない会話のなかにも、オーディオ哲学のようなものが仄聞され興味は尽きません。坂口さんは、修理も受けられていて、いわゆるヴィンテージというのはこうした方の深い経験や知識、レストア技術があってこそ。こういう方が少なくなってしまえば、ネットなどでの右から左への中古取り引きでヴィンテージ市場がどんどん荒れていき銘機の寿命も尽きていくのでしょうか。そんな想いがふと頭をよぎりました。

さて、次の札所は浜松。この道中はいわばユニコーン巡礼のようなもの。お訪ねしたのはユニコーンを導入されたお一人であるプー博士邸です。

先週もGRFさんは博士邸を訪ね、その時もウナギを食べたお二人ですが駄々をこねる私にご配慮いただき、ご近所のウナギ名店へ。私は遠慮無く「上」をいただきました(笑)。昨今の稚魚不足、絶滅危惧騒ぎの値上がりで3年近く食していなかった私ですが、これですっかり満足。もう3年食べなくてもよいくらい(爆)。



さて、博士邸のリスニングルームに参上。

タテ置きのユニコーンが、深い奥行きを伴ってマーラーの第10番を深々と鳴らしていて、そのサウンドにちょっと軽い衝撃というのか動揺のようなものを感じてしまいました。ユニコーン遣いの達人たちのヨコ置きのサウンドこそベストという刷り込みのようなものがあったことに加えて、ユニコーンでは奥行きのある後方定位は苦手なのではないかという思い込みもあったからです。



GRFさんの顔つきがちょっと変わります。プー博士の了解を得ると、真剣な面持ちでセッティングの調整に入ります。動かすのは主に内振りの角度ですが、ミリ単位でちょっと動かしただけで音が変わります。左右のバランスを綿密に合わせていくと、音に深みが増してきます。具体的には、音楽の「内声部」で、3度音程で動いているヴァイオリン二部が焦点が合うと、第二ヴァイオリンの低声部がはっきりと聞こえてきます。内声部が充実すると、音楽の陰影がよく見えてくるのです。マーラーのティンパニが深く沈み込み、一撃、一撃の情感の移ろいが浮き出てくる。プー博士のオリジナルポイントがほぼ正解だったようです。

ところが…



GRFさんが、やおら両スピーカー間の間隔を詰めてしまいました。オリジナルからは板目1枚ぐらいでしょうか。最終的には両ユニット間は138cmだそうで、常識からすればかなり狭めです。ここで大きく変わったのは響きの拡がりで、素晴らしい空間表現力が出現したことに驚きました。カラヤンの「ニューイヤーコンサート」では、キャスリーン・バトルの立ち位置も正確。コロラトゥーラも何の力みも感じさせず、実に軽やかでいかにもカラヤン好みの美声です。最後の拍手は、まさにコンサートホールにワープしたような感覚で思わず自分も拍手してしまいました。



ここまでくると、ユニコーンは、空間の形、コンサートホールの内部構造まで映し出してしまうのです。「ニューイヤー」での響きが左右上下にまわっていき自分が包まれてしまうような感覚は、まさにシューボックスのムジークフェラインの響き。同じウィーン・フィルによるガードナーのシューベルト「グレート」でも見事な奥行きを感じるのですがこの録音はザルツブルクの祝祭大劇場でのもの。むしろ響きの拡がりは左右に大きく水平に展開していきます。これは、横に広い祝祭大劇場の広大なスペースそのもの。両者のタテ型vsヨコ型ともいうべきハコ(=ホール)のカタチをここまで見事に描き分けるサウンド比較は初めての体験。ほんとうに感動しました。



ザルツブルク祝祭大劇場はややドライな響きなので、ガードナーは少し速めのテンポをとっています。残響や余韻がきちんと再現できないシステムで再生すると、これが単に速いだけに聞こえて性急な印象を与えてしまいます。これが、ここでは実に心地よい流麗なシューベルトとなって胸に染み込んでくるのです。再生装置に応分な力量がないと、演奏家の解釈をも真っ当に評価できず、とんでもない的はずれの批評になってしまいかねないと痛感させられました。

この後、ヨコ置きも試しました。やはりここでは断然タテ置きがよいようです。タテとヨコで音の密度と濃度が二律背反的なところがあるようなのですが、博士邸のリスニングルームではタテ置きでも、左右壁との距離が小さいせいか濃度が薄くなりにくいようでタテ置きが圧倒的勝利でした。さらに優位だったのは響きの拡がり感で、加えてヨコ置きはどうも音がぼやけるような気がするのです。このタテ、ヨコは、部屋の形や大きさによって、それぞれのようだと思いました。

もう一度、先ほどのベストポイントに戻して聴いてみて、またまたカラヤンの「ニューイヤー」に大拍手してしまいました。さすがのGRFさんも言葉数が少なめで、ご自宅のユニコーンにもまだまだセッティング追究の余地があると思い至ったかのような様子でした。



帰り道は、新東名(第二東名)をひた走り。浜北ICまではやたら遠いのですが、そこから新東名に入ると、いままでの高速道路とは別次元の風景でした。山側を走るので、いままで見たことのない富士の姿が新鮮に感じます。道路は、カーブがほとんどなく、しかも、決して直線ではなく、ゆるやかな弧を描いているのでストレスもなくスピードが出ます。

いま、新東名での速度制限上限を現行法の100km/hから120km/hへ見直す議論があるそうです。そもそも名神高速開通当時とは車の性能が大きく違っているうえに、新東名では設計基準が違うわけですから、周囲の流れに乗っているとごくふつうに120kmを超えてしまいます。新東名の設計速度は140km/hなのですから無理もありません。それでも警察は事故が増えると最高速度の改正に難色を示し、それに同調する学者も少なくないとか。ばかげた話しです。



夕暮れの空は、梅雨の合間の空気の透明感もあって絶妙の夕暮れ色。

何とも収穫の多い音楽・オーディオ三昧、巡礼の旅でした。

イリーナ・メジューエワ ピアノリサイタル

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またまた、Bellwoodさんの日記から

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メジューエワを聴きに、わざわざ名古屋まで行きました。

その《ナマ》メジューエワ体験はまさに驚き!

この名古屋行脚にはいきさつがあって、まずは2年ほど前のRICHEBURGさんの日記での紹介があって、さらに続いて昨年末にK&Kさんの日記でそれぞれに横浜みなとみらいでのリサイタル公演のことが紹介されていました。

以前から気になっていたピアニストだったので、お二人のコンサート印象記を読んでついに気もそぞろとなってオーディオファンの間で話題になっていた若林工房のCDのひとつを思わずポチリとしてしまいました。



このドビュッシーのCDには、ピアノのオーディオチェックには最適ともいえる「沈める寺」が入っていて、名だたるピアニストの名演・名録音と聴き較べてもなかなかのもの。それでこのCDをGRFさんに紹介したところ、GRFさんが強い興味を持たれてどうしても実演を聴こうということに。ところが、リサイタル公演がとても少ないひとで東京で待っていたら機会はない。名古屋に行こうということになったわけです。

これだけでも、いささか長いお話しなのですが、さらに遡ると、原田英代さんの「ロシア・ピアニズムの贈り物」という本に突き当たります。この本もやはりこのコミュでかもんさんの日記で紹介されていたもの。私の読後感想に触発されたGRFさんは、原田英代さんのレクチャーコンサートに行かれてロシア・ピアニズムの真髄を目の当たりにして驚かれたというのです。

今年は、ロシア・ピアニズムへの覚醒の連続。そもそもが生誕100年というリヒテル・イヤーですし、GRFさんとは上野でのメルニコフ、レオンスカヤにもご一緒しロシアのピアニストに対する驚愕と尊崇の連続だったのです。そういう大きな流れのなかに、今回の名古屋遠征があったのです。

何に驚いたのか。

まず、冒頭のポロネーズの強音に飛び上がるほど驚きました。

メジューエワさんは、CDのジャケット写真でも見ても透き通るような白肌の美貌で、少なからず華奢な印象があります。そういうひ弱なイメージを吹き飛ばすような剛健な打鍵と音量に驚いてしまいました。

GRFさんが、「とにかくオーディオ的な満足感がいっぱい」と評しておられましたがまさに至言。このことは静と動、激情と繊細が交錯するショパンも然り、精緻で美麗なラヴェルも然りですが、やはり大きな頂点はムソルグフスキーの「展覧会の絵」でした。

この演奏を聴くと、横浜みなとみらいの大ホールに押しかけたファンが大喝采し、また、オーディオ志向のインディーが次々とメジューエワさんのリサイタルCDをリリースしてオーディオショーのソフトコーナーで話題になるというのもわかる気がするのです。

でも…

あの演奏への驚きは、CDでは再現が難しい。

そもそもCDから受けるイメージは、その美貌と小柄で華奢な印象も相まって美しく透明度の高い端正な音楽でスペーシャスな響きを伴った佳演というものです。確かに、透明な音色、正確なタッチやフレージング、音楽的構成力などは伝わりますが、あの強靱な打鍵や湧き上がるオルガンのような和声の厚みは、並のオーディオでは無理。それでも、一度、そのナマ演奏に接してからCDを聴き直してみると、強烈なナマ体験で脳細胞が組み替えられてしまうのか、いろいろな気づきがあって脳内補正が働くようになるのがこれまた摩訶不思議です。

こんな凄いロシア人のピアニストが、日本在住でしかも京都にひっそりとメジャーのレコード会社やプロモーターとは無縁のままに暮らしているということも驚きです。しかも、何の秘密めいたこともないし、かつて鉄のカーテンの向こうから登場しておどろおどろしいほどの評判で世間をにぎわしたロシア人たちの胡散臭さなど微塵もないのです。演奏が終わると、とても温和な日常の笑みにもどります。そのはにかむような表情や愛らしい仕草には日本人にとっても東洋的な親しみを感じさせるのです。

メジューエワさんは、暗譜ではなく、ずっと譜面を見て演奏していました。

このことは、リヒテルを始め、ロシア・ピアニズムの伝統で、そこには作曲家への奉仕という哲学が潜んでいるということは以前に触れたことがあります。ところがメジューエワさんは、時々、確認のために譜面を一瞥するとか、単に目で追うとかいうのではなくてとても真剣な目つきで片時も譜面から目を離すことがありません。音符ひとつひとつに潜んだ意味のすべてを確認し細大もらさず音にしようという裂帛の気迫を感じます。その眼光の鋭さは、やはり、「展覧会の絵」に至って凄みの頂点に達します。ムソルグフスキーの譜面づらは、素人からすれば、実に単純で素朴なのですが、メジューエワさんは般若のような形相でその鋭い眼光は紙面を射抜き紙背に徹するかのよう。これにもたじたじになりました。



会場の名古屋・電気文化会館ザ・コンサートホールは、400席足らずで理想的なリサイタルホール。地下ホールというのはユニークです。しかも前の通りには地下鉄が通っているはずですが遮音性はまったく問題がありませんでした。天井高もあってワンスロープのシューボックスの素晴らしく密度の高い響きで、このホールを知ったということも大きな収穫でした。メジューエワの弾いた側面ロゴのないスタインウェイもとてもよい音で、正確な音律も極上でした。おそらくこのホール備え付けの楽器だと思います。その熟成味のある音調はすでにヴィンテージの域に達しているような印象がありましたが、HPで見ると、1986年製のハンブルグ・スタインウェイ(D274 象牙鍵盤)とありましたので、おそらくこの楽器なのだと思います。

この日は、梅雨前線の影響で名古屋も大雨。ホテルの階下にイタリアレストランがあって、とてもおいしくて、値段もリーズナブル。GRFさんとここで大いに感想戦を楽しんだことは言うまでもありません。


イリーナ・メジューエワ ピアノ・リサイタル

2015年6月26日 19:00
愛知県名古屋市 電気文化会館 ザ・コンサートホール

■ショパン:
 ポロネーズ第1番 嬰ハ短調 op.26-1
 ノクターン第5番 嬰ヘ長調 op.15-2
 ワルツ第5番 変イ長調 op.42
 バラード第4番 ヘ短調 op.52
■ラヴェル:
 亡き王女のためのパヴァーヌ
 ソナチネ
 
■ムソルグスキー:
 瞑想
 組曲「展覧会の絵」

(アンコール)
■ラフマニノフ: 前奏曲 嬰ト短調
■ラヴェル: 前奏曲



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前から四列目のほぼ中央席という絶好な場所だったからでしょうか、コンサートでは聴いたことが無いような良い音がしました。昨日、浜離宮のホールまで出かけて小菅優さんのコンサートを聴きに言って来ましたが、開場がはじまっても、ステージではピアンノの調音をしていました。雨が降って狂いやすいのでしょう。低音から高音までさらっての全体域の調音になっていました。時間が足りず、まだ最高音が揃っていないうちに時間切れになった様です。案の定、プロコイエフの精緻な響きを再現するには、音のズレが気になりました。

それよりも、一番気になったのは、暗譜で弾いている演奏は、自分の記憶だけで弾いているからでしょうか、音の正確さや演奏時の確信に、どうしても欠けるとイリーナ・メジューエワのコンサートを聞いた耳には感じました。小菅さんも、譜面を見ながら演奏する、アンサンブルの方が演奏に確信があって好きですね。

メジューエワさんの名古屋の演奏会のピアノの調音は、これ以上ないぐらい合っていたからです。それが彼女の真骨頂だと思いました。素晴らしい経験をしました。また、彼女の演奏会を探して行かなくては!つぎは本拠地の京都か富山でしょうか?

GRF


セッティングの結果

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相変わらずユニコーンの置き方の試行錯誤が続いています。

試している違いは、簡単です。SPの間隔と平行と内振りの違いです。それに、後方の壁との距離もあります。今回は、モノラルのプリになっていますから、密度が高く、ほんの少しの違いが、まったく違う音になるので、そのシビアな調整に時間が掛かっているといえましょう。調整に使っているのは、先日名古屋で聴いたショパンのバラードが入っている,四つのバラードのアルバムです。2006年の録音ですが、音の密度、低音の感じが先日の実演の音に近いと思いました。



実況録音盤は、雑音が多く、私は繰り返し聞くCDでは、何時も同じところで咳がしたり、無神経な雑音が入ったりしていて、ダメです。最近は、その実況録音盤が増えていて残念ですね。ご本人の気合いの入りようが違うのでしょうが、今少し、会場の雑音のS/N比を上げて貰いたいと思います。これだけの録音をする技術があるのですから。

このアルバムは、第一曲の1番と4番を使っています。その他のところも、ショパン特有のきれいな響きで、実演を聴かなくても、このCDだけでも充分なぐらいです。しかし、問題は、どの様にその音を再現するか、出来るかに掛かってきます。録音スタッフからの挑戦状みたいですね。

①縦置き・幾分内向き

②縦置き・平行


こうやって、写真を見てもどこが違うのか解らないくらいです。二枚目と三枚目の違いは、内向きかどうかです。その場合でも、SPの間隔を同じにするか、前を内側に持って来て狭めるかで音は変わります。間隔を狭めて内向きにすると、低音の密度が上がり、すごい迫力で、驚く程の低音が出て来ます。クラシックを聴く場合は、高音のレヴェルを一段落として、私のユニコーンでは、一番左、今のユニコーンでは、-2dbのレヴェルに落とさないと、音の迫力が強すぎます。ジャズはこれで良いでしょうね。

その段階から、あとは、1mm単位の微調整を進めていきます。まったく変わらないようなエリアと、ほんの少しでも、すごく変わるようなポイントがあるから気が抜けません。ピアノの音やオーケストラのスケール感も変わってきます。畢竟どの音が、自分が一番好きかを問われるのです。

③45度

④横向き・平行

⑤縦置き・内側の袴の線が平行 ①よりは内向き



ほぼ半日おきに、いろいろなポジションを試していましたが、最後の位置が一番しっくり来ますね。ここで微調整を行いました。



音はコンセルヘボウの二階席から、一階中央やや前方というところまで来ました。何よりも、メジューエワのバラードが、この間の演奏に近い雰囲気でなっています。嬉しいです!六畳強のこの和室でここまでオーケストラがなれば満足ですね。


紀尾井シンフォニエッタ東京 第100回定期演奏会

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土曜日の昼は、100回目を迎えた紀尾井シンフォニエッタ東京の定期公演に行ってきました。昨日の浜離宮での小菅優さんの演奏会に、少しガッカリした私は幾分足取りが重い感じだったので、四谷駅の上のパン屋さんでホットドックを、隣のスーパーで缶入りのスパークリングワインを求めて、それを流し込み、少し元気を出して向かいました。

今日で2014-2015シリーズが終わる定期演奏会ですが、設立以来20年ものあいだ、高い質を保ちながら来れたのは、ひとえにホールの志の高さだとおもいます。それを支えてきた日本を代表する企業の文化度も表していて、嬉しく感じます。

きょうの100回目の公演は、かなり豪華なメンバーで、指揮者がロシア出身で、世界中の一流オーケストラの迎えられているセミョーン・ビシュコフ。ソリストは、紀尾井を毎年振っているウィーンフィルのコンサートマスターのライナー・ホーネック。先週もウィーンフィルを率いてマーラーの第三番で絶賛を得たばかりです。そして、若手のチェリスト、マキシミリアン・ホルヌング。そして今日のコンサートマスターは、昨年聴いたばかりのバイエルン放送響のコンサートマスターのアントン・バラホフスキーの四人もの一流演奏家を呼んだ豪華な演奏会になりました。

演奏会後の懇親会で、ホーネックさんが説明していましたが、このメンバーを招聘できたのも、紀尾井のコントラバス奏者の川原泰則さんの広い交流関係からだそうです。20年以上もケルン交響楽団の首席を務めていた人脈のおかげですね。

今日のメンバーは、いつもとは相当メンバーが替わっていて、若返りが進んできました。これは他のオーケストラにも言えますが、実力のある若手がようやく台頭してきたと言えます。保守の代表であったN響でさえ、それが進んできているので、これからが楽しみです。今回のメンバーの交代で、演奏スタイルが、桐朋系の柔らかい音から、芸大系の辛口の音に変わって来たようです。しかし、この音の差は、アントン・バラホフスキーのコンサートマスターの所為かもしれません。

演奏後、アントン・バラホフスキーさん自身も、サントリーホールで収録したバイエルンの演奏と重なりあうほどの良い演奏だったといわれていました。私も、コンセルトヘボウやバイエルンの透明感の有る音がしていたと思います。

最初のモーツァルトのフィガロの結婚のテーマが流れたとき、違う響きだなと思いました。いつもよりメリハリがあり、スッキリとしていたのです。二曲目のブラームスのダブルコンチェルトは、若手のチェリスト、マキシミリアン・ホルヌングも頑張っていましたが、曲が進むにつれて、やはりライナー・ホーネックの柔らかなヴァイオリンにながれがいくのは仕方がないところでしょう。しかし、きょうはいつものウィーン風の演奏スタイルではなく、底流に厳しいロシア風の演奏だったのですが、ブラームスではそれも抑え気味でしたので、眠たくなるような良い演奏?でした。私自身がこのダブルコンチェルトが、それとも良いと思っていないのが原因かも知れません。巨匠達の演奏は沢山あるのですが、他の協奏曲や交響曲の様には共感できないのです。



休憩時間は、これから懇親会もあるので、いつものワインは控えて、座り心地の良いウェグナーの「ザ・チェア」に腰掛けて、藤沢周平の本を読んでいました。いつの間にやら外は雨になって来ました。梅雨のまっただ中ですね。

さて、後半は、ベートーヴェンの交響曲第七番です。生命の賛歌と葬送の曲でもあります。セミョーン・ビシュコフの演奏は、生命の息吹に溢れ、躍動感溢れた素晴らしい演奏でした。交響曲の醍醐味とベートーヴェンの音楽の素晴らしさを引き出しています。二楽章も今まで聴いたこと無いような積極的な解釈でしたし、三楽章からのダイナミズム。終楽章の最後への盛り上がり、久しぶりに燃えているオーケストラの音を聴きました。

指揮者の力量を感じた演奏会でしたが、各パートも大変良く、いつもは一抹の不満を持っているティンパニーとトランペットのリズムセクションが良く、終わってからも、指揮者に最初に指名されてたっていたぐらいです。いつもは表面的に聞こえるティンパニーも、きょうは確信をもって深い音を出していました。オーボエ・フルート・クラリネット・ファゴットの木管群も大変良く、確信ある音を出していました。特にフルートとオーボエが明るく積極的な音を出していて、今までの紀尾井の枠を拡げたようです。ホルンも揃っていました。そして、弦楽器のパートも積極的で言う事はありません。先日のマーラーチェンバーオーケストラを聴いたあとなので、懸念していたのですが、久しぶりに満足しました。

終わってからの、懇親会も楽しかったです。何時も笑わせてくれる、吉田氏は、きょうは100の数字のこだわりすぎで、いつもの様な音楽クイズの方が良かったですね。セミョーン・ビシュコフさんのスピーチは、文化的な事業の伝承の難しさや音楽に献げている気持ちなどを真摯に話してくれました。コンサートマスターのアントン・バラホフスキーさんの日本の演奏会場の素晴らしさと、真剣な聴衆のレヴェルの高さを褒めてくれました。そして、今日のベートーヴェンの演奏は、一流の演奏が出来たと喜んでいました。私も同感です。でも、懇親会は知った人がいないとやはり面白くありませんね。異国で、一人で演奏会に行った感じです。


横浜のシウマイ弁当

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最初にシウマイ弁当に出会ったのは、いつ頃だったでしょうか。小学生の時、鎌倉か熱海に行く途中に、横浜駅で買ってもらったのが、最初だと思うのですが、それから50年以上同じ味を食べている事になります。昔は、横浜でしか買い求められませんでした。東京に売店が来て売り出したのは、いつ頃からなのでしょうか。澁谷の名店街とか主要な駅にも進出してきて、どこでもシウマイとシシウマイ弁当が求めることが出来るようになりました。

シウマイ弁当の美味しさは、ご飯そのものと、必ず入っている竹の子でしょう。シウマイそのものは、シウマイだけを求めた方が、美味しい様に感じます。蒸さないで食べるシウマイ弁当の焼売は堅く感じるからでしょう。昔は焼売が四つだった気がします。それでも、鶏の唐揚げ、鮪の照り焼き、かまぼこ、うす味の卵焼き、昆布の佃煮とショウガの漬け物を細く切った物も、欠かせません。そして、青梅が堅いつぼみを乗っけています。デザートの杏も美味しいですね。


少しづつは変わっているのでしょうが、同じ組わせで、何十年も作り続ける苦労は、大変だと思うのですが、定番品として不動の地位を保っています。

最近は、週末の高円寺と阿佐ヶ谷に停まらないとき、新幹線で戻ってきたとき、荻窪駅まで行きます。その折り、地下の売店を楽しみに行くのですが、週末は、良く売り切れていることが多いようです。季節によって変わるお弁当も好評ですね。店舗数も今は大変多く、神奈川県内では100軒東京でも50軒以上あるそうです。一日二万食というのですから大した物です。

今も、羽田空港で求めて、青森上空までに食べ終わりました。機内サービスのスープと一緒に食べると、おなかが一杯になります。人生の楽しみは、このような小さな幸せが続くことではないでしょうか。香港に出かけていって満漢全席を食べる様な食欲も好奇心もなくなってきました。一遍に三食分を食べて平然としている小欲旺盛な人を見ると、うらやましくもあり、煩わしくもあります。

美味しいお酒は飲みたいと思いますが、私は美食家のたぐいではないようです。週末に美味しいレストランを予約して家族で出かけると言う事もありません。一人、二万も三万も払って、美味しい物を食べに行くという意欲も、気持ちもないのです。一番良い例が、お寿司の価格です。東京でも、札幌でも、高級店では、一人二万~三万掛かるようです。同じ物が、お昼には、数千円で食べれるのですが。

長い間、地元の気の置けないお寿司屋さんで、一人3,000~4,000円で、美味しく頂いていた所為でしょうか、一人、一万以上払って食べたいという意欲はありません。今日も夜は、札幌の気の置けない料理やさんで、美味しい料理を頂くつもりです。

機内は観光客で満杯です。学会と催し物で今週から、本当に一杯になりました。中国人が相変わらず押し寄せています。ホテルも満員で最近は外国並みに需要により二倍から三倍に跳ね上がっているのです。


ところで、焼売弁当の包装に二種類あるのをご存じですか?東京の人は、右側の紐のない方を見ているはずですが、地元横浜の工場で作られる方は、いまだに紐掛けをしているそうです。次回は、横浜で紐付きを求めましょう!


横川駅の峠の釜めし

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シウマイ弁当と同じ様な歴史を持っているのは、信越本線横川駅の「峠の釜めし」です。母方の実家が富山県でしたので、信越線経由で向かうときは、必ず、横川駅でこの名物駅弁を買って貰いました。たまに上越線経由で向かうときは、ガッカリしたことを覚えています。中学生から高校生の時は、ひとりで旅にではじめて、度々、横川駅で釜めしを求めた物です。

横川駅は、急坂の碓氷峠を登るために、アプト式と呼ばれる歯車付きの機関車に交換するため、停車時間が長く、ゆっくりと駅弁を求めることが出来たのです。重い駅弁をかついで、ホームを売り歩く販売員のおじさん達の姿を思い出すことが出来ます。車で移動する様になってからは、18号線に出来たドライブインも大変繁盛しました。18号線の通る観光バスや行楽の車は、大きな駐車場で、一休みして、釜めしを買い求めた物です。

峠の釜めしは、益子焼の本物の釜に入ったユニークな形状で、大変重いのですが、それも、持ち帰り旅の思い出にされる方が多いようです。本物の釜ですから、ご自宅で釜飯を炊くことも出来ますし、釜の利用法を思いつく人は、いろいろな料理にも挑戦されているようです。ビビンバとかパエリアは良くありそうです。戦後、プラスティックの容器に押されて、低迷していた益子の街が、横川の釜飯だけで景気が回復したそうです。



現在は、長野県内にドライブインを展開していて、横川の本社工場の他、諏訪インター前の茅野の工場でも生産されて、各地に運ばれているそうです。両工場を合わせると一日の生産数は、5万個で、売り上げ的には、シウマイの崎陽軒と同じか、上回るぐらいの規模だそうです。それだけの数の益子焼を焼いている生産工場を一度見学したいほどです。複数の釜で焼かれているのでしょうか?また、それを工場まで運んでいる輸送トラックや、製造工程にも興味は尽きませんね。

私見では、横川で作られた方が、諏訪の工場の味付けより少し濃い様に思うのですが、ほとんど、茅野から戻るとき、インター手前のドライブインで、買っているのがメインです。横川製の釜飯は、長野道を帰ってくるときぐらいしかありません。

今は、長野新幹線が出来て、横川駅からは、列車で軽井沢には行けなくなりました。盲腸線ですね。それを見越して、ドライブイン政策が功を奏したようです。駅弁としては、実際には、購入するのが難しくなりましたが、全国でも最も有名な駅弁になって、どこでもける様になりました。

その諏訪のインターで、年間4〜5回は、四つずつ釜めしを買っています。一年間に20個以上の釜が余ってくるのです。それを、20年以上続けていますから、400個の釜が家に有るのかもしれません!?。釜めしの製造量は日産5万個ですから、一年で1825万個になります。どれほどの釜が日本中にあるのでしょか(笑)。

 <家で美味しく頂くには、電子レンジで2分、冷蔵庫に入れた場合は3分間です>


横川駅は、山間の静かな駅です。高崎までは暑かった空気も、山の冷気にあたって、何時も涼しい憶えがあります。霧が出ていました。遠い記憶が釜めしを食べる度に蘇ってきます。駅弁の魅力は、旅の思い出と共にあるからではないでしょうか。

カムラッチハンドル

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カムラッチハンドルという言葉をご存じですか?すべり出し窓、押出し窓、回転窓などのサッシに使われている施錠用のハンドルのことです。いずれも、その取っ手を持って、押し出したり、引いたりするため相当な力がその度に掛かっています。原因は、すべり出しをするヒンジの方の油切れや、汚れが原因です。定期的に潤滑剤を噴霧しないと行けないようです。

そのハンドルが、ある日、取っ手のところから外れてしまいました。見たところ、どこかが折れた様にも見えるのです。同じ部品を取り寄せれば、簡単に交換できるだろうと、当初は思っていました。各メーカーデザイン上の問題もあり、沢山の種類があります。早速、メーカーの代理店をネットで探して問い合わせをして見ました。私の家に使われているサッシメーカーは、10年ぐらい前、他のサッシメーカーに統合され、名前こそ残ってはいますが、部品の在庫は新規には行われておらず、在庫限りという状況でした。この部品は壊れる頻度が高いので、在庫切れでした。

いろいろな代理店や、問屋を探してみましたが見つかりません。近くの代理店を探しだし、連絡をしてみました。すると状況を見に来ると言う事でした。専門家ですから、状況を見れば解る筈だし、その場で修理することも可能だと思っていました。来たサービス員は何度か、会社とやり取りして、やはりメーカーに在庫を問い合わせますと言って帰っていきました。

何日かすると、ようやく返事が来て、代替え品に交換するので費用が掛かるといって、カムラッチ錠に16,000円、交換費用に6,000円、送料、諸費税を加えると、25,000円と言ってきました。取っ手を交換するだけで業者さんに頼むとこれだけの費用が発生するのです。カムラッチ錠自体は、ネットでは2,000円ぐらいです。そこで、取り付け寸法の合っている他のメーカーの在庫品を取り寄せて自分で付けてみることにしました。送料込みで2,600円でした。

出張中にそれが届いていました。翌朝、早速取り付けてみました。サッシの内部には、ネジを受けるナット側の役割をする板が入っています。サッシを製造するときには、枠だけの状態ですから、簡単に取り付けられるのですが、窓枠に取り付けてあるときは、そのナット側の板が落ちてしまうと大変です。交換の手順が親切な部品メーカーのサイトに書いてありました。片方ずつ交換して、落ちない様に工夫をしなければならないようです。

取っ手そのものが外れていると、ドライバーでネジを回そうとしても、窓が外に開いてしまします。「やっとこ」で引っ張りながらの作業で、ネジは、堅くなっているし、緩まない様に接着剤までが塗布されていました。堅いネジをようやく外して、片方を取り付けて、壊れた方を取り外しました。すると、なかにネジが落ちていました。よく見ると、そのネジが緩んで、取っ手が外れただけなのです。

新しい、他のメーカーのカムラッチは、受ける方の受け皿の高さが違うので、2mmぐらいグラインダーで削らなければならないと覚悟していたのですが、今までの錠が付くなら何にも問題は有りません。これが原因だと、代理店の人間が来たときには解ったはずです。そうすれば出張費と工賃は取れたはずなのですが、当人達が解らなかったのか、はたまた、交換部品を高く売りつけるチャンスだと思ったのか、解りませんが、30分ぐらいで交換が終わり、元通りになりました。

梅雨の中休みで暑くなってきました。作業は狭いところで、汗をかきましたが、終わってしまえば、30分のことです。使わなかった2600円の取っ手は、そのまま工具棚の中に仕舞われました。


家人に報告すると、そんなに簡単なら、さっさとすれば良かったのにと言われるので、黙っていることにしました(苦笑)。

家も建築後17年も経つと、いろいろなところの修理が必要です。15年目に、外装の塗り直しと、屋上の防水をやり直しました。こちらは、あと20年ぐらいは何とかなるようです。あとは、一台ずつ壊れはじめた空調機の交換ですね。こちらは少しずつやっていくしかありません。そのあとは、次の世代の人達にバトンタッチですが、その前にやれるだけやっておかないといけないのでしょう。

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