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Channel: GRFのある部屋
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すっかり忘れていました

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土曜日の昼間、秋葉原のHさんのお宅に出かけるとき、今日の演奏会はどうするのと、家人に訊かれました。ん?そうか、今日は紀尾井の定期公演なのかと思い出しました。Hさんのお宅から回ることになりますので、最初の曲は間に合わないでしょう。

案の定、第一曲のブリッジの弦楽のための組曲は間に合いませんでした。二曲目のベルトのタブラ・ラサは不思議な曲でした。静かに同じ旋律を繰り返していく中に、弦にネジを挟んだと言われるプリペアドピアノの妙な音色が挟まります。不協和音が響き渡るクライマックスを越えると、同じ旋律がしずかに繰り返されていく曲で、ふ〜んという感じはしましたが、中途半端な気持ちになりました。先日のヒラリー・ハーンの後半みたいな演奏者は面白いのかもしれませんが、保守的な聴衆には、消化不良の感もあります。

休み時間は、久し振りにNextNextさんの奥さまにお会いしました。今日はご自身は洋装で、和装のご友人と来られていました。ご主人のNextNextさんも、一年間の大学院も終わってそろそろ復帰されるそうです。ご主人にお会いしたいですね。また、ご一緒に遊びに来てください。

さて、後半は、ドヴォルザークの弦楽セレナードです。こちらは、よく聴いてきた名曲です。カラヤンの名演がありますが、最近は聴いたことがありません。誰の演奏で聴いたのだろうと考えていました。小澤さんとサイトウキネンかも知れません。それとも、オルフェウスか・・・

こちらは名演でした。先日の水戸の演奏にも劣らない、バランスと柔らかい中にも力強さを秘めた演奏でした。アンコールは、カバレリア・ルスティカーナの間奏曲でした。終わってみると、リーダーのバラホフスキーのやさしさがでた演奏会でした。紀尾井シンフォニエッタ東京という名も今回で終わり、次回からは、紀尾井ホール室内管弦楽団という名前になるそうです。相変わらず長い名前ですね。紀尾井室内管弦楽団で良いと思うのですが、、、

今日は、ベルウッドさんは来られていませんから、恒例の反省会はありません。日がすっかり長くなった真田堀の横の道をすっかりと色づいた紫陽花をたのしみながら帰って来ました。

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大山さんから

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GRFさん

土曜日はお疲れ様でした。昨年の9月頃から試作を重ねてきたウーファーのTW3ですが、ようやくHさんのリスニングルームに収まり、鳴り出しましたね。

振り返ると、最初は音の出方を確かめる為に作成した、ラワン合板製のエンクロージャーでの実験で、ウーファーの個数や搭載位置の検証を重ねました。やはり、この1号機で得た実験結果が、その後の開発に多大な影響を与えてくれたのだと思います。

次に製作したMDF製の2号機では、主にエンクロージャーの形状が音場に与える影響を検証しました。同時にエンクロージャーの材質による影響についても貴重なデータが得られました。
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1、2号機で得たノウハウを活かし、最終的なデザイン案で製作した3号機は、当初の予想を上回る結果をもたらしてくれました。お陰で、完成品が収まるまでHさん宅で活躍してくれました。3号機では主に内部補強の方法とインシュレーターの材質や形状、スピーカーの支持方法についての実験を行いました。

そして、いよいよ今まで得たノウハウを全て投入した4号機、完成品の製作です。シナアピトン製のエンクロージャーに、縮み模様が綺麗なカーリーメイプルの突板で化粧をし、クリアー塗装で仕上げました。特注のファインメットコイルを使ったネットワークパーツは、別体の専用ボックスの中に収め、トラバドールと同様に外付けのネットワークという構成にしました。

半年以上掛けて行って来た実験機は、全てGRF邸に持ち込み、時間を掛け、実験と検証を重ねて来ました。実験を追うごとに新しい発見や改善点が見つかっていく過程は、タイミング良くGRF邸を訪れ、実験機の音を聴かれた方々も共有されたと思います。
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一方で、GRF邸の音の完成度が上がるにつれ、私の中に、ある一つの大きな疑問が湧いて来ました。それは、GRF邸で実験を重ねて積み上げて来たこの音が、果たして他の場所で再現されるのだろうか?という事です。

GRF邸は広さも充分に有り、無垢の花梨材で仕上げられた強固な床と、高い天井に吊るされた吸音材など、凝りに凝った構造からなる、圧倒的なS/Nが得られる、非常に良く考えられたリスニングルームです。

その部屋の主人であるGRFさんは、スピーカーセッティングの達人でも有ります。スピーカーの間隔や位置、角度などを調整していくと、みるみる音に変化が表れます。そのGRFさんが、響きも全て熟知した自分の部屋でセッテングを出したスピーカーから、良い音が出たとしても、ある意味当然な訳です。

だからこその疑問として、他の家でこの音出るのか?という疑問が湧いた訳です。

恐ろしい事に、Hさん宅では入り口から出口までGRF邸と同じ機器が揃っています。違うのは部屋のみという状況です。こんな状況は奇跡みたいなもので、私にとってはこれ以上ない条件が揃っていました。

そして今日、遂にその機会に恵まれました。
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結論から言うと、GRF邸で鳴っていたあの音が、Hさん宅できちんと再現されました。スピーカーのセッテングは、かなりの精度と時間を掛けて慎重に行う必要が有りますが、トラバドール80とTW3の出す独特のテイストが充分に感じられる音が出ていました。三次元的に広がる音場と、ヒタヒタと迫り来るエネルギー感の有る音は、まさしくGRF邸で聴いた、あの音です。

この結果には、Hさんもニッコリ。私も非常に喜んでしまいました。GRF邸でセッテングにセッテングを重ね、ようやく辿り着いたあの音が、今日、Hさん宅でも気持ち良く鳴り響いていました。GRF邸で得たノウハウを、Hさん宅で GRFさんご自身が注入すると、あの音が出現したのです。GRFさんの心中は複雑でしょうが、それでも今日出た音には、重大な意味が有ると感じました。

綿密に積み上げた理論と構造を持つ機材を、同じメソッドでセッテングした結果、目指していた音が見事に再現されました。偶然の産物で奇跡的に出た音ではなく、狙って出した音に再現性が備わっているという事は、実に画期的な事だと思います。

360度に放出されるベンディングウェーブ方式のドライバーは、一般的なピストンモーションのスピーカーとは明らかに違う世界を聴かせてくれます。私もその魅力に取り憑かれた一人ですが、興味のある方は是非この音の世界を実際に体感して貰いたいと思います。

今日、Hさん宅で鳴った音を聴いて、ようやく一安心出来ましたし、ホッとしました。一つのプロジェクトが無事に終了出来たと思います。Hさんにも実験機を通して、開発過程や進化の過程を見て、聴いて頂きました。今回はGRFさんとHさんとの強力なサポートが有っての結果だと思っています。

今後、Hさん宅を訪れた方々が、どんな感想を持つか楽しみですね。皆さんの驚く顔が眼に浮かぶ様です。

次の壮大な計画も、いよいよ現実味を帯びてきました。それはまたの機会に...。

大山

新東名道路をゆっくりと

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新東名高速の三ヶ日と伊勢湾道路の東豊田が繋がったのは、今年の2月頃でした。本来なら、去年開通するはずだったのですが、建築中の切り通しの壁が、集中豪雨で崩落して、工事が一年ほど遅れました。豊橋-名古屋間の東名高速は、道が狭い上に、交通量も多く、何時も渋滞していました。無理矢理作った三車線は、幅も狭く山間部を通る曲がりくねった道なので、速度規制も60キロという、高速道路とは思えない状態でした。
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この効果はめざましく、今までは、雨が降ったり、夜間はトラックに挟まれてとても危険な道路で、遠回りしても中央高速を戻ってきていたのです。今回開通したのは、浜松いなさJCTから豊田東JCTの55キロです。特に、豊田東JCTは、もともと、新東名と繋がることを前提に設計されていますから、新東名からそのまま伊勢湾道路に入っていきます。
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新東名は速度が140キロというドイツのアウトバーン並の速度設計で出来ていますので、走っていてストレスがありません。徐々に制限速度も上げていきこの区間は、日本で初めての120キロ制限まで引き上げられます。御殿場から豊田東までは、約200キロですから、その間を二時間切るスピードで走れることになります。新東名は今まで何も無かった山の中を通りますから、日本の道路にはめずらしく、余計な看板がありません。新緑の山の中を、気持ち良く走れる道路で、長距離ドライバーのストレスも相当改善されることでしょう。
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早速、御殿場から新東名に入ると、駿河湾を見下ろしたPAで休憩です。ここまで、東京から二時間ぐらいですから、気持ち良く休憩が取れます。丁度いい感じですね。
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土曜日はまたまたHさん邸へ

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三週間続けて土曜日の午後は、Hさんのお宅に訪問しました。Hさんは連日聴かれているので、音がどんどん熟成していきます。音が楽々と出て来ました。家の構成とまったく同じ装置ですから、音の違いは、部屋の構造と微妙なセッティングの違いと言う事になります。しかし、この微妙な位置の違いで、まったく音が違うのは、家で散々経験していますから、その部屋の状況に合わせて、音のイメージをきめてから調整に掛からなければなりません。今日は、いつもの大山さんに、はじめて聴かれる方のご意見を訊きたくてBellwoodさんもお呼び致しました。あとから、家の音をいつも聴かれているOさんも、仕事の途中に寄ってくださる予定です。

早速一週間ぶりに音をきかせてもらいました。一週間で音が熟成しましたね。家の部屋より、ライブな分だけ音の出方がスムーズです。部屋のボリュームも、横や後ろ側に拡がっていますので、部屋全体の容量は、家の部屋の倍近くになります。横浜のMさん邸ぐらいのエアーボリュームです。その大きさが音に余裕を生んでいるのかも知れません。絶対的な部屋のS/Nは私の部屋の方が静かなので、微少音の出方は、最弱音が少しだけマスキングされます。これは地下室とは言え、秋葉原の街の騒音と、杉並の家の環境の違いでしょう。秋葉原でも、夜になるとぐっとS/Nはよくなります。しかし、部屋の反響があるため、家出ならしているときより、音のボリュームが楽々と鳴ります。ボリュームの位置で、30分ぐらい位置が違います。

部屋の定在波は、是正しなければ行けませんが、家の音が吸音しすぎだと思います。吸音を少し減らす方向に天井部分の改善をしなければならないようです。当初からの準備してある格子天井の方向に20年振りに移行しようと、Hさんの音を聴きながら感じていました。また、Hさん邸は、左右の反射と床の部分的な吸音を進める必要があるでしょう。アプローチは反対方向ですが、両方を聴き比べると両者の改善が必要だと感じました。
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これも、入力から出力まで全く同じ装置だから、聞き比べが出来るのでしょう。細かな差は、ケーブルの材質ぐらいでしょうか。そのケーブルも、ウーファーのネットワークからのケーブルを、家と同じケーブルに途中でつなぎ替えてみましたから、そのさも随分と縮まりました。しかし、これだけ同じにしても、たった一本のケーブルを換えるだけでも、これだ事が変わるのですから、オーディオは、よほどしっかりと行くべき方向を見定めなくては、行く先を間違えます。

あとは使用後二週間目で、ようやくウーファーの増締めを行いました。当初、大山さんがしっかりとトルクマネージメントしたので、一週間目では、全く動きませんでした。今週は、雨期に入り若干の動きが出来ました。締めすぎないように、均等にトルク配分を行い増締めを行いました。それを聴いていたHさんからは、音が明るくなったと評価頂きました。これがまた二三日して馴染むと、音が若干くすむかもしれませんが、落ち着きのある良い音になると思われます。

ここまで、二時間ぐらいかけて様々な分野の曲を掛けてみました。Jazzやvocalのクラシック以外の演奏では、エネルギーバランスを大幅に変える、Troubadourのネットワークの高域レヴェルを2dbあげてみました。実際には、公式全体のエネルギーが数デシベルあがり音楽の傾向が変わります。Jazzやヴォーカルを中心に聴かれるには、2db上げが標準でしょうね。音のダイナミクスが格段に変わります。しかし、クラシックでは、すこしやり過ぎの感もあります。元に戻しました。今回は、スピーカーの位置調整は、右のスピーカーの左右の間隔を0.5ミリほどずらしただけです。
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三時過ぎに、Oさんも合流。早速、聴いて頂きました。家の音を聴かれているOさんはその違いをすぐにのべてくれました。しかし、鳴らし始めで、これだけの音がするのは、大変な事だと驚かれていました。Oさんは、家と同じ是枝アンプです。違いは、プリアンプですね。DSDの再生は、最新の部品をつかってDAコンバータを作成中で、家のemmを目標に随分と追い上げてきました。私も、和室用にそのDAコンバータをお願いしているぐらいです。お使いのユニコーンとの違いをしっかり認識されたようです。部屋をどう選択するからが、大きな違いですね。私も和室の六畳では、ユニコーンで充分ですから。

Bellwoodさんは、実験機と本番品との音の差に驚かれていました。特にピリッシュのモーツァルトの幻想曲K475の再現には驚かれたようです。ご感想が楽しみです。4時過ぎまで聴いていました。Bellwoodさんと私は、その後、家の音を検証しました。やはり、音の違いは部屋ですね。家の音は、ピアニシモ方向の再現を目指していますから、音は立っているのですが、部屋の影響が少なくなるようにしているのを再確認しました。しかし、少し行きすぎのようです。今少し、色気のある音を出さなければとも思いました。

明日も、訪問が予定されているBellwoodさんは、ワインも控えめ(1本だけ)にして、まだ日がある内に戻られました。本番品の音は、はっきりと認めて頂きました。達成感もあり満足ではあるのですが、私自身は、目標が無くなってきたのはさびしいですね。部屋の整理と、天井のリニューアルが次の目標ですね。




Troubadour80+WFの感想

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GRF様

先日は、H氏邸でのT-80+WF試聴の機会をいただきありがとうございました。私にとってはなかなか実機を聴く機会がないばかりか、実験機から試作、改良という過程も追って聴くことは極めて稀な体験でしたのでほんとうに貴重な機会をいただいたと感謝しております。

まずH氏の隠れ家的リスニングルームに驚きを禁じ得ません。都会の喧噪のただなかでありながらマンションの地下の隔離されたスペースということで心おきなくオーディオを楽しめるというぜいたくで広大な空間にまず驚きました。部屋には38オープンデッキなどテープデッキが十数台、マグネパンやアポジーの平面型大型のスピーカーが置かれ、棚にはぎっしりと38マスターコピーテープやLPレコードがぎっしり詰まっていますが、それらを片隅に追いやってのスペースなのですが、それでもリスニングルームとして十分すぎるほどの空間容量です。それらはH氏の大変なハイエンダーぶりを示すもので、そのことに圧倒される気分でした。

そのベテラン・ハイエンダーのH氏が、この新スピーカーの音に、満面の笑みをたたえて聴き入っておられるのです。CDP+DACはemm、アンプはSD05というGRFさんの名刺代わりのようなラインナップでしたね。部屋の横に重ねられたスペクトラルのアンプを見て、つい、ため息混じりに「こちらのアンプを何故使わないんですか」と聞いてしまいました。

お部屋はもともとは事務室を想定していたスペースなのですね。ユーティリティなどが加えられて居住スペースへと衣替えされてはいますが基本的にはすっぴんで、かなりライブな難しいルームアコースティックだと思いました。最初のマーラーを私が無言で聴いていたら、さっそくGRFさんが動かれましたね。いつものトントンです。するとどうでしょう。たちまち歪んでいた音場定位が整理されました。金管群が右に寄ってダンゴになり左にあるはずのホルン群が聞こえなかったのです。私自身は、その場の雰囲気に呑まれて言い出しかねていたのですがたちまち修正されました。その後、ウーファーの締め増しもされて微妙な低域ボケも解消されました。いつもながらとはいえ感心してしまいます。梅雨どきという季節もあるかもしれませんが、特に新しい機器はいくら正しくセッティングしたつもりでも、数日で動いてしまうのですね。
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聴き始めの印象はもっぱら低音の音質でした。やはりどうしても関心がそちらに行ってしまいます。低域がボトムエンドまでよく伸びていると感じました。最初は暗騒音と思った低域エンドのノイズが後になって建物の外の往来からかすかに混入してくる自動車の走行音だとわかりました。システムの優秀さを示す尺度のひとつが、《本当の現実音と区別がつかなくなる》リアリティだと思っているのですが、これは究極のリアリティでした。

実験機以来の関心は、やはり、DDDユニットと通常コーン型のウーファとのつながりということでしたが、この最終型は飛躍的に完成度が上がりましたね。上下のスピード感の違いとか、クロスオーバー部分の位相合成の違いなどがほぼ解消したということでしょう。フィンランドバーチの実験機では、チリチリというのでしょうかホワイトノイズ的な微小な附帯音が感じられましたが、それはキャビネット材質を本来のシナアピトンにしてさらに突き板や塗装などの仕上げで完全に無くなりました。

クラシックのオーケストラばかりではなく、ジャズも含めていろいろなジャンルをかけていくうちに何となく音の傾向が呑み込めていきます。《オーディオ》を聞かせるという次元をはるかに超えています。何といってもその音楽の実在感が素晴らしいと思いました。まさに実物大のピアノ、あるいは大編成の管弦楽でいっぱいのステージを目の前にする感覚です。時間とともに音もこなれてきてよく鳴るようになったのでしょうか。

ピレシュのモーツァルト/ファンタジーがかかった時には、体中が一瞬で目覚めるような気がしました。K397もこのK475も、「幻想曲」というものはちょっとモーツァルトらしさを超えたところがありますが、この音はいつものピレシュの飾り気のない素直な透明感に、シューベルトを連想させるようなよりシリアスさとか深みのあるどっしりとした音の重みがあって驚いたのです。DGのピアノ録音では聴いた憶えのないピアノの金属フレームが共振するキーンという微かな残音まで聞こえてこれまた驚きでした。Hさんが「実際にピアノを弾く音大生や愛好家に聴かせたら感激していた」と話されていましたが、さもありなんと思いました。

その後、GRFさんのお宅に連れていっていただき、まったく同じ構成で聴かせていただきましたが、これまたとても考え深いものがありました。事前には「装置は同じ機器だから同じ音がする筈なんだけど」と仰っていましたが、「やっぱり違う」と感じました。「うちのほうがちょっと地味なんだよなぁ」と漏らしたお言葉のほうが本当のお気持ちだったのですね。

私の率直な印象は、H氏邸とGRF邸とのちょうど真ん中あたりがいいなぁという感覚です。無責任な言い分ですが、H氏邸は低域の定在波でしょうかやや低域過剰でダブルベースの音域あたりに特定周波数の共鳴があります。フロアを這うような低音と言えば聞こえはいいのですが、低音が全てフロアに澱んでしまうのです。

GRF邸でショスタコーヴィチの15番を聴き直すと、コンセルトヘボウのステージひな壇のとおりコントラバスが上段にあってそこから低音が段伝いに下りてきます。低音は、コントラバスであれオルガンのペダルであれ、ふわりと柔らかくしかも定位が自然で芯がある。でも、その「正しい」ところが、ちょっと地味に映るというのかよそよそしいんですよね。これはやはり部屋のアコースティックの問題なのでしょう。あえて失礼を承知で単純化してしまうとH氏邸はブーミーで、GRF邸は吸音し過ぎということでしょうか。本当にすごいスピーカーというのは、どんなに一級のリスニングルームであってもその部屋の本質までもさらけ出してしまうのですね。このことを体感できたことだけでも大変貴重な体験をさせていただきました。

ワインまでご馳走になってしまいました。本格的なブルゴーニュの赤ワインをいただくのは久しぶりできれいな明るいクラレットとピノのすっとした立ち姿のよい味わいがとても美味しかったです。H氏邸の音が、ボルドー左岸のカベルネなら、やっぱりGRFさんの音はブルゴーニュ中域ボーヌあたりのピノが似合いますね。

Bellwood

先月は、ウィーンに音楽旅行に行かれていたので、しばらく間が開いたBellwoodさんにTW3の本番品を聴いて頂きました。それも初めてのHさんのお部屋と、私の部屋の両方を続けて聴いて頂きました。ご感想にもあるように、私も両方の部屋の中間ぐらいが良いなと思いました。どうやら、家の吸音材が剥き出しになっている天井も、工夫をしてもう少し反射させようと感じました。早速、材料の手配をしています。試行錯誤を重ねて少しづつ調整をしていくつもりです。

それにつけても、Hさんの真っ直ぐ追いかけてこられるエネルギーとぶれない姿勢は、模倣こそ独創の母だという言葉を思い出します。平面スピーカーもお好きだったHさんは一方でパラゴンやMBLのSPを使われていました。家で聴かれたユニコーンやTroubadourの音に可能性を感じられたHさんは、私の実験に付き合ってくれたのです。入力から出力まで同じ機器を揃えた組み合わせは、部屋の違いを浮き彫りさせました。Hさんのところは、防音と定在波の対策、反対に家は、今少し音の潤いが必要なようです。

SPの調整のお礼にとHさんから頂いたワインは、いつもはボルドーだったのですが、ブルゴーニュが好きな私が我が儘を言っていただいた物です。Hさんは、車に乗ることもありますがお酒を嗜まれません。代わりにBellwoodさんとSPの完成を祝って乾杯できました。大山さんも飲まれないので、彼の分も二人で乾杯しました(笑)。

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T80+TW3の音

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土曜日のHさん宅での試聴会に、何時も家の音を聴いていただいているOさんに、お忙しい中来ていただきました。装置も調整も同じですが、部屋の形状と固有の響きの差がどの様に音に出るかを聴いていただいたような物です。定在波対策とコーナーでの吸音を施せばかなりのところまで来ると思いました。これからはカットアンドトライの繰り返しですね。


GRFさんから連絡があり、土曜日にH先生のところに導入されたTroubadour80+TW3の熟成がかなり進んできたからとのお誘いをいただき、訪問させてもらいました。

少し遅れて到着したので、すでに皆様お集まりで、細かいセッティングもほぼ完了していましたので、いきなり視聴させて頂きました。

すでに最初から実在感のある音色が部屋の空間に満ちています。自然でこれ見よがしの音がしないのです。視覚に写る、スピーカーの存在と音が全く一致しませんので、とにかく不思議です。これはジャーマンフィジックスのDDDユニット全般にいえることですね。

ピレシュのモーツアルト・ピアノソナタなど、本当に目の前で演奏されているかのようです。スタンウェイのピアノが見えます!!次々にGRFさんがCDを取り替え、いろいろなジャンルの曲をかけますが、ピアノや弦楽器など、本当に目の前に、等身大で出現します。フルオケのハイティンク・シカゴのマーラーも、そのおどろおどろした雰囲気がすごいです。もうあと少し、部屋固有の低音のかぶりが解消されれば、更に素晴らしくなると思いました。

この機器を経験して思うことは、ともかく最低音の質が音を決め、その下支えの上にTroubadour80が360度全方位に音を放出しているということでしょうか。

まず、前後にユニットを持つ、ウーハーのTW3が秀逸だと思いました。表現が難しいのですが、20Hz以下の最低音まで能率良く、微細な空気感や暗騒音までをこれ見よがしではなく美事に再生しています。このウーハー無くしてこの音は出ないでしょう。

そしてTroubadour80が持つ、DDDユニットの特徴がそのまま生きています。各楽器はその本体から音を発します。管楽器などはホーンの関係で指向性が少しあるものの、基本的には点音源で、そこから360度に音を広げます。このことを考えると、どうしても通常のスピーカーでは大なり小なりそのユニットの指向性に左右されるのに対し、このDDDユニットは指向性が全方位なのです。

そして忘れてはならないのは、これらをつなげるネットワークが素晴らしいのでしょう。このネットワークが陰の功労者かもしれません。

ただ、このスピーカーシステムをポンと、設置すればすぐにこの音が出るかというと、そんな事は無いでしょう。そもそも最上流の入力機器からスピーカーまで、本当の意味で十分なS/Nがとれていないとこと音は出ないと思います。入力装置の質、アンプの能力も必要です。

そして最後にセッティング能力となりますね(涙)

ここまでやって、最後にセッティングを徹底的に追い込むからこそ、この音なのでしょう。CDが持つ音楽の器を十全に引き出しているとつくづく思います。この機器でレコードから同じ音が出せるでしょうか?

是非、デジタルは音が悪い、アナログこそオーディオだ、とおっしゃる方に聴いてもらいたい、と率直に思いました。

O

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現状では、定在波がでない家の音の方が、細かい残響が出て、ホールの奥行きが出ます。ただ、今回確認した、吸音過剰な音は、今少し潤いのある音を目指したいと思っています。


いい日?わるい日?

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最初は、11時発の千歳行きの券を購入していました。時間を見ると、まだ10時20分前。カウンターに行って10時の飛行機は空席がありますかと訊くと、真ん中の席でしたらありますとの事。いつもは晴れた日なら窓側、雨の日なら通路側それもなるべく前方席と決めているのですが、一便早く行けば、仕事の準備が出来ると思い飛行機を変えて貰いました。

ところが、定刻になってもドアが閉まりません。チケットの確認に手間が掛かっていますというアナウンスでしたが、定刻過ぎても乗客の確認は普通はありません。また外国のお客さんに手間を取られているのだと、待っていました。何人かのお客が入ってきました。案の定、中国系の言葉を話していました。さあ、ドアが閉まるかなと思っていると、アナウンスの女性が困っているようです。意を決して、本当の事?を話し始めました。空調設備の制御盤が不調で、現在その交換作業をしていると。

ふ〜ん?

これで30分は出ませんね。次のAirDoの便の方にしておけばよかったと思いましたが、AirDoは一番遠い搭乗口からの出発です。それに引き替え10時の便は、60番入り口の目の前でした。
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二度目のアナウンスがあったのは、定刻を40分ほど回ったところでした。まだ掛かります。そろそろ終わるというアナウンスは、まだ終わってい無いと言う事ですから。最初予約していた11時のほうが早く出るようです。今朝はついていませんね。5分違いぐらいで到着すると電車が混みます。それも困った物です。いろいろ考えているうちに漸く出発のアナウンス。結局、70分遅れでした。千歳に着いたのも、70分遅れのままでした。

飛行機を降りるとき、迷惑料で封筒を渡されました。中には千円の現金!が入っていました。確かにクーポン券貰うより助かりますが。案の定、電車は満員です。一番前の修学旅行生の間の席を見付けました。たっている人も多いです。千歳往復のエアーライナーは、二重扉で換気の悪い電車です。風邪引いている人がいると必ずうつります。今回も傍若無人に咳する人がいて、今も喉が痛いですね!

プンプン!

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ついていない日はこの様な巡り合わせでしょう。それでも、東京の冷たい雨に比べて、6月の北海道は、からっとはれた絶好の観光日和です。昔と比べてやはり暑いですが。午後は順調に仕事をこなし、ゲン直しに薄野のお寿司屋さんに繰り出しました。ANAから貰った千円もあるし、これで、ビールか日本酒を一杯飲めそうです。

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日本酒で洗いながら、おつまみを頂き、握りは貝づくしにして貰いました。ビールのあとにお酒三杯飲んで、丁度、ANAのシルバー料金と同じでした。普通料金で来たとおもえば気持ちが楽になります。美味しい日本酒一杯はANAさんのおごりだし・・・
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ホテルも、中国の団体さんのおかげで、頼んであったシングルの部屋が無くなり、スイートルームにグレードアップされていました。今日は、最初はもたもたしていましたが、トータルで見るといい日だったようです。

省線 阿佐ヶ谷駅

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昭和36年に地下鉄丸ノ内線の南阿佐谷駅までが開通するまで、最寄りの駅は、中央線の阿佐ヶ谷駅でした。丸ノ内線が荻窪まで開通したのは、翌37年でした。オリンピックの二年前です。その開通により翌38年の暮れに都電が廃止されたのです。

その頃までは、国電(JR)の電車のことを『省線』と呼んでいました。戦前の鉄道省の線路という意味なのでしょう。中央線はその省線の駅だったのです。その頃の電車は、昔からの濃い茶色の車体で、戦前からの車両を使ってもいました。昭和32年頃から、101系のオレンジ車両として、快速に使われるようになってきました。それから、50年間も中央線ではオレンジ色の車両が使われてきたのです。大阪でも、環状線に使われていて、親近感と同時に大阪で走るオレンジ車両には、違和感も感じていました。
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中杉通りが出来て、欅の並木がようやく植えられた頃は、阿佐ヶ谷駅の踏切もまだ大きくはなかったのです。
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これは北口側から見た風景です。右側に交番が見えます。
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その反対側から見ると、左に交番があり、踏切の向こうには、三菱銀行が大きな姿を見せています。その向こう側は、第一小学校との間の森が見えています。今でも、このあたりには、鬱蒼とした森が残っています。その森の外れには、低地だったので、池が有ったのを思い出します。集中豪雨があるとこのあたりはよく水が出ていました。
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これらの写真は、阿佐ヶ谷の商店街のサイトからお借りしています。殆どの写真はとらや椿山さんの撮られた写真ですね。
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そのとらやさんも写っている商店街の役員さんの写真です。後ろ側に阿佐ヶ谷駅がはっきりと写っています。これだけ見ただけで、懐かしさで胸がいっぱいになります。
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その後ろの風景は、こんな感じでした。改札口をくぐるとホームへの階段があり、改札口から見ていると、立川の駐留軍行きの白い線が入った一等車が通ったのを、覚えています。ホームの形状は典型的なつくりで、跨線橋で、反対側の北口に出られました。
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朝のラッシュアワーは、いつの世も同じ風景です。父は、その頃は山手線の田町まで通っていました。雨が降ってきた夕方、傘を持って出迎えに行ったことをいま思い出しました。
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その阿佐ヶ谷駅も、高架の工事が始まると、片側づつホームをずらして工事をしていました。その頃は、踏切を渡ってホームが右と左に分かれていたのです。



ピリッシュのモーツァルト

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DGのピアノ録音は定評がありますが、中でも、ポルトガルのピアニスト、マリア・ジョアン・ピレシュの演奏には、長年感心しています。シューベルトもショパンも良いのですが、極めつけはモーツァルトのピアノソナタでしょう。演奏も良いのですが、オーディオファンとしては彼女のDGによるぴあの録音が装置の試金石でもあります。不思議な事に、古いタンノイでも、和室のユニコーンでもみな良い音がするのです。そして装置の試金石でもあるのに、いつの間にか彼女の演奏の深さに引き摺り込まれているのです。どのアルバムを聴いても良いのですが、一番掛かるのは、K475K457のファンタジーが入っているアルバムです。
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先日、彼女の70歳の記念アルバム、ピアノソロの全集を買いました。彼女がDGで録音しているピアノのソロ曲が全て入っている全集です。今一つ、ピアノ協奏曲のアルバムも一緒に買いました。全集は再発盤ですから、おとはやはりオリジナル盤に比べるとあるのですが、一対一で比べない限りは解りません。聴かないより聴く方がはるかに良いのです。その中で演奏の良い盤だけ、オリジナル盤を買い直せば良いと思っています。

モーツァルトはその意味では買い直さなければならない筆頭でしょう。ショパンのノクターンは、オリジナル盤と、111曲のDGの全集版、そして今度の全集と三種類持っています。その順番で音が甘くなってきます。それでも、日本盤よりは良いのです。日本盤は音が痩せます。DGのEU盤は音は痩せず、少しずつピントが甘くなっていくような感じです。聞き込んで行くとやはりその差は大きいのです。
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デジタル録音なのに、なぜ音が違うのだろうかという疑問は、よくあるのですが、CD盤に製版するときも、その信号を送っているのもアナログ回路だと言う事が解ってくると音の差は、当たり前だと思えてきます。その意味で、レコード盤と同じで、最初のオリジナル盤が正しい音だし、良い音なのです。再版は、制作時の一が関与していないことが大きいと思っています。やはり製作に携わる人達の思い入れや、才能が製品としてのCD盤の品質を大きく作用しているのですね。
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このところ出張がつづき、帰って来て和室のユニコーンの音を聴くと、どうしてこんなに良い音なのだろうと、感心しながら聴いています。しかし、蒸し暑いですね〜。日が落ちたというのに蒸し風呂状態でした。
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専門家の経験を上手く使おう!

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ベテランのオーディオ店の方とか、オーディオ評論家の方と話すとき、異口同音に言われるのは、オーディオはつくづくセッティングが大切だということです。どんなに評判のSPを買ったとしても正しいセッティングをしなければ、その能力の半分も発揮できないからです。最近は、インターネットの普及で安売り店から装置を購入することが増えて来ました。ご自分でセッティングできる方、出来ると思っている方は、機器だけ買ってご自分でセッティングされればいいのですが、もしかすると、そのセッティングで、高価な機器を上手く使いこなせないことが最近は多いようです。

反対に、何百万円もする機器を配達するだけでセッティングをしない(出来ない?)オーディオ店も増えているようです。勿論、オーディオ機器をセットする場所が制限されていて、セッティングの幅も少ない場合もあります。しかし、昨今ではSPなども大変高価になって数百万は当たり前、中には数千万のオーダーのものも有るようです。それらの高価の機器も、部屋に運んだだけで、徹底して良い音が出るまでセッティングしているオーディオ店の方が少ないようです。オーディオ機器は、単体の機械を買って揃えれば良い音がするというものではありません。

また、良い音がしないのは、的確なアクセサリーを使っていないからだと、マニアの方は言われます。セッティングを進めれば進めるほど、アクセサリーを使いこなさないと良い音がしないと言われているようです。

本当でしょうか?

本末転倒という言葉を思い出しますね。著名なケーブルを使わないと、良い音がしない。デジタル機器には、高価なクロックを配さなければ良い音がしない。順番が逆ですね。正しいセッティングをしていないから、何をやっても音が変わるのです。オーディオは、音を変えて楽しむ趣味だと思われている方もおります。まあ、趣味ですから何を楽しみにしても構わないのですが、本当に勿体ないと思います。

セッティングには時間とお金が掛かります。例えば、東京のオーディオ店が、関西まで出張したら、車の交通費だけでも4~5万円掛かります。それに、最低二名の人件費、もしかしたら、宿泊費も含めるとやはり10万円ぐらいの実費が掛かると思います。その10万円を値切ってセッティング無しにするのと、しっかりとセッティングして貰うのでは、大変な差が出ると思うのです。お金で買えないのが、経験と信頼です。オーディオ店とお付き合いをすると言う事は、量販店から一円でも安い品物を買うのとは違います。また、オーディオ店側もその差をはっきりと示すことこそ、生き残りの道だと思います。

家のユニコーンを調整していると、試行錯誤の連続で、その経験則がだんだん音を培ってきたことが解ります。その調整の礎になるのは、数十年間に及ぶオーディオ遍歴と、世界各地のコンサートホールでの実体験の積み重ねでしょう。その意味では、トントン・コツコツの調整にも相当な元手が掛かっていますね(笑)。

コンサートホールの体験は、音では無くその場の音場を再現しようと思い立ったことです。そのホールに身を置いて響いている音を体験してくることです。それも何回も何回も・・・その響きの記憶が、SP調整の時に活きてきます。
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今日は、茅野で久し振りにR.GRFの音を聴いています。いよいよこの音を聴けるのも最後になってきました。すると、どうでしょう?なんとも素敵な音がしてきます。前にあるQuadのESLを逃れて、気持ち内振りにしました。掛けたのは小澤征爾・ウィーンフィルのシェーラザートです。ライナー・ホーネックのVnが素敵です。繋いでいるSPケーブルは、街の電気屋さんで別けて貰った一番細いACケーブルです。アンプは、Quad44+405IIです。三十年ぐらい使っています。CDプレーヤーも初期のMarantz CD80です。入力がよければ、SPは何時も良い音がします。レコードでも、テープでもCDでもそうです。これが良い音でないとしたなら、何が良い音なのでしょう。もし、CDだけがよくないとしたら、機器を換える前に、セッティングを徹底してやってみたら如何ですか?その結果に愕然とされても、それはご本人の反省だけです。

45年以上使って来たIIILZとともに、同じぐらいの年齢のR.GRFは、CDでもとても素敵な音を出してくれているのです。お嫁に出すのは、もったいないとつくづく思うのですが・・・







再掲  折り返し点

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私は、一度縁があって手元に来たものは、なるべく置いておきたいと思っています。レコード、テープ、CD等のソース類は、特にそうです。逆に、自分の興味のない物は、なるべく購入しない様にしてきました。しかし、ソースは、興味の範囲が広がりどんどん増殖していきます。一方、永年増殖してきた体重は、昨年から、少しずつ減少させています。新しいズボンを買わなくても良いので、はけなくなった物が活かせて、吝嗇の私を満足させています。

しかし、先日のコンシーケンスを聴いて、ようやく心が定まりました。すべての機器は、完全に動いているし、いい音を出していますが、五年後、10年後を考えると、それらの機器が、いろいろな部屋に拡散しているのでは、後の人が大変だと思うようになりました。ですから、まだ未練はありますが、欲しい方が表れたら、お譲りしていこうと思いました。使いたい、聴いてみたい、これから苦労をしてみたいという方に、お譲りしたいと思っています。すべて完動品の美品です。価格は、ご希望購入価格も添えて、左記のメールアドレスにお問い合わせ下さい。ご返事には少し日数がかかる場合がございます。

スピーカー類

1. 英国製 タンノイ・レキュタングラーGRF・モニターゴールド15" オリジナル

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2. デンマーク製 DYNAUDIO "Consequence"  オーバーホール済 新品同様

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3. 米国製 ハートレーコンサートマスター VI

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プレーヤー類

1. スイス製 テープレコーダー Studer B-62 オーバーホール済

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2. スイス製 テープレコーダー Nagra T-Audio BBCタイプ 4tr再生ヘッド付き

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3. スイス製 ポータブルテープレコーダー Nagra IV-S

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4. スイス製 トーレンスTD-124・SME3009 専用キャビネット付き

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アンプ・DAC類

1. 英国製 QUAD 405II パワーアンプ 

2. サウンドパーツ パワーアンプ 6550p.p. アモルファストランス付き

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大型の商品が多いです。特にスピーカーやテープレコーダーは、思いの外、大きいし重いです。お車で取りに来られるのが一番助かりますが、費用や日程が合えば配達は可能です。いずれにしても、愛用していただく事が条件です。その意味で、転売目的の方はご遠慮下さい。T-Audioは友人の委託です。  

こうして並べると、やはり手元から離れるとだんだん愛着が薄くなっていくのだなぁ〜と思いました。Quad愛好会のK社長と話したら、GRFさんは最近、歳のことを言われてるけど、まだ早いのではとハッパ掛けられました。私より先輩のオーディオ仲間が少なくなってきた昨今、嬉しい叱咤激励です。私は勿論弱気にはなっておらず、まだまだ前向きですが、やはり物理的な制約ですね。

3.11以降、出来る内に手に入れておこうと、Decola も Hartley も Rectangular GRFさえも続けて手に入れて、自分で使って見て納得しました。あれから、5年経ちます。そろそろ、自分だけで楽しんでいるばかりではなく、還元していく時期になってきたようです。少しずつ少なくしていき、逆に部屋のインテリアを凝ってみようかと思っています。






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プレトニョフ ピアノリサイタル

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プレトニョフのピアノ演奏会にぜひ行きたいと願ったのは、去年の冬に、原田英代さんのレクチャーを受けてからです。ロシア・ピアニズムの歴史と特徴を丁寧に実演付きで、具体的に説明して頂きました。今までの演奏会で、一番ためになったレクチャーでもありました。演奏の具体的な奏法や手法、ピアノの音へのこだわりを解りやすい説明で素晴らしい晩でした。その折、原田さんに質問をしたのですが、いまはロシアンピアニストで誰を聴けば良いのかと?

言下に、プレトニョフを是非聴いて貰いたいと言われました。また同時に最近は指揮はするけれど、滅多にピアノを弾かないとも仰ったのです。そのプレトニョフのピアノ演奏会が、今週開かれています。実は先週の土曜日には西宮で演奏会が開かれていて、椀方さんが行っておられます。当初その演奏会には、私も行くはずでした。タイミングよく出張の予定が関西に入っていて、ご一緒に行けるはずだったのです。ところが仕事の予定がずれてその日は行けなくなりました。その日の夜、ご感想が載りました。

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椀方 2016年7月2日 20:41

 いやはや、素晴らしい演奏会でした。 カワイのコンサートグランドピアノ SK-EX 「SHIGERU KAWAI」 からはブリリアントな輝きからビロードの柔らかさまで変幻自在。休憩を挟んでたっぷり2時間半楽しんできました。

 バッハ(リスト編)の前奏曲とフーガイ短調に始まり、グリーグのソナタホ短調、ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード、後半はモーツァルトのソナタ第9ニ長調、第14ハ短調、最後にヘ長調K.533/494というもの。すべてのフレーズに意味があり、一音一音に魂が宿っていました。

その記事を、悔しい思いで行けなくなった関西の出張先で見ていました。この演奏会の内容は、東京の二つの演奏会、オペラシティと東京文化会館と同じです。東京は両方とも12000円の入場料ですが、西宮は4000円なのです! どうしてですか? 東京が高すぎると思いますが、西宮は地方自治体の援助があるからでしょうね。また、東京と関西のいろいろな意味の差が現れているとも言えます。しかし、二時間半にもおよぶ最高の演奏に椀方さんもご満足されたみたいです。私の代わりに、大学時代の演奏仲間と行かれたそうですし、かえって良かったと思っています。

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今日の東京は台風の影響でしょうか、とても暑い日で上野に行くのも大変でした。なるべく表に出ないように地下鉄で移動しましたが、神田からはJRに乗り換えました。公園口にでるためです。文化会館は、三月のジークフリート以来です。あの時は、超満員で、ひとで溢れかえっていました。それに比べると六割ぐらいの入りでしょうか。

先日二回程、オペラシティの演奏会に行きましたが、会場が広すぎて音が拡散してしまうので、今回は、文化会館の方にして見ました。しかし割り当てられた席は一回前方の中央付近でした。オーケストラなら良い席ですが、ピアノ独奏には、少し遠いと感じました。その為、第一部の美しいバッハやグリークの曲は、その柔らかな演奏スタイルが故に、睡魔に襲われそうで、夢幻の空間の中で聴いていました。
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休憩時間になり、気付けの白ワイン(量が少ない!)を飲んでから、後半は空いている前方の列に移動することになりました。ほぼ被り付きです。前が空いていたので、一列目は足が自由に出来ないので二列目にしました。演奏者の顔とペダルが見える特等席です。何よりも、音がまったく違います。Kawai の特製ピアノに巡り会って、プレトニョフはピアノの世界に戻って来たそうです。Shigeru Kawaiと銘が打たれたコンサートグランドは、木の構造がしっかりとしていて、スタインウェイから比べると柔らかな木の音がしました。

プレトニョフは、音を見事に制御して、モーツァルトの世界に導いてくれました。初めて聴くモーツァルトです。いつも聴いているピリッシュとは違い、音に尖ったところはありません。鉄のフレームの音がしないのです。柔らかなオルゴールみたい洗練された音を導き出します。手の動きは反対側だから見えませんが、オーバーなアクションはありません。ツィメルマンのような、いかにも切れが良いと言う音でもないのです。ゆったりと、モーツァルトが聞こえて来ます。リヒテルのねいろをより柔らかくしたといえばいいのでしょうか?最近はピアノの演奏会が続いていましたが、先日のグリモーとは対極にいるピアニストだと感じました。

演奏される曲は、K311、K457、K533と馴染みの曲ばかりですが今日初めて聴いたような演奏なのです。ゆったりと時は流れ、モーツァルトの音の本質だけが聞こえてくる素晴らし良い音です。強く叩くと、真ん中のF辺りで幾分弦が共振するところがありましたが、それ以外は、鉄の弦を叩いている感じがしない音です。不思議ですね。ペダルもオーソドックスですが、極めて微妙なコントロールがされていました。その響きのコントロールは手首でしているのでしょうが、彼の意志がそのまま音になっている印象でした。K457の二楽章は、ベートーヴェンの悲愴の二楽章の原型だと言われます。ゆったりと弾かれていく旋律の流れは、懐かしく感じるのです。

前半も後半もゆっくりと入ってきて、静かに礼をして、曲が終わると、立ち上がり静かに頭を下げる。そして次の曲に、気負うことなくはいっていくという演奏スタイルでした。アンコールは、リストの愛の夢。それもゆっくりと演奏されました。ピアノという楽器を演奏しているのですが、音楽の構成がしっかりと見えているのか、まるでオーケストラに支持するようにピアノから音が紡ぎ出されていきます。

ゆったりとした時間が流れ、終わると九時半を回っていました。去年の二月の寒いときにお話しを聴いた原田さんに感謝しながら、まだ熱風が吹いていた上野の坂を下りて、階段もゆったりと下りて空いている大江戸線に乗り、ゆっくりとした気持ちで帰ってこれました。

コルクの音

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先週来、出張や演奏会、週末は法事と用事が重なり、オーディオに専念することが出来ませんでした。それには、いま一つの理由がありました。よし!聞こうというモチベーションにならないのです。通常なら忙しくても、また忙しいからこそ、オーディオに集中できたのですが、何だかその気になれません。音は悪くは無いのですが、以前のような、音が立つという感じが消えているような気もします。
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思い当たる理由は一つだけありました。Trobadour 80をTW3のウーファーの上に置くとき、正式な足は、尖ったスパイクか、丸くなった方で立ちます。スパイクを使う場合は、その受け座があり、それを床側、この場合はTW3の上に張るようになります。そうすると、位置を動かす事が出来ません。そこで、そのビスをはめることなく、受け座側のナットで置いているのです。

それでも、Troubadourの重みは、徐々にですが、きれいに仕上げたTW#の上面を凹ましていくのに気がついたのです。応急の手当てとして、耐熱繊維の丈夫なフェルトをナット大に切って敷いてみたのです。これで、傷はつかなくなりました。音もそれほど変わらないと納得させていたのです。
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音はそれほど甘くはならず、低音との繋がりも自然で、幾分柔らかいけど、それはフェルトを挟んでいるのだから仕方が無いと思っていました。二日経ち、三日経ち、出張にいき、演奏会に行き、戻って聞いても長くは集中して聴けない自分に気がつきました。週末の法事を終えてから、落ち着いて理由を探ってみました。フェルトをしたまま、位置も微妙に追い込んでみました。

しかし、以前は流れていた爽やかな風が、オーケストラからの風が吹いてこないのです。日曜はちらかったCDの整理にくれました。夜も音楽を聞くのではなく、宮部みゆきの新刊を読んだり、CGやENGINEなどの車の本、それも、新刊とバックナンバーを読み比べていました。音楽を聞けてないのです。思いあまって、Bellwoodさんにメールを送りました。

Bellwoodさんが、フロートボードの上に敷いている制振シートは、何という商品でしょうか?家のT-80とTW3の間に傷防止で敷きたいのですが、音の傾向は如何でしょう?

GRFさん

私が使用しているのは、超薄型制振シート(Btype 厚1.5mm)です。

自動車用の制振鋼板、俗にサンドイッチ鋼板というもので薄鋼板の間に制振樹脂をサンドイッチさせたものです。

あくまでも制振(振動吸収)が目的です。私の場合は、スパイクを直刺しするのでウェルフロート天板の保護と、そもそもウェルフロートボードの弱点と言われた天板自身の鳴き防止のために導入しました。結果的にはウェルフロートの仮想メカニカルアースとしての機能強化につながったと思っています。

さらに薄いAtype(0.4mm)やマグネシウム製のものがありますが、スパイク直刺しなので耐貫通強度とマグネシウムの音質から選択しませんでした。マグネシウムは、一般論ですが、音を殺してしまい一見華やかな粉っぽい金属臭が乗るので私は音響用としてはまったくダメだと思っています。

私の直感ですが、T-80とTW-3の間に入れるのはスピーカーユニットもしくはキャビネットの響きを抑えてしまうので音の活気を失わせてしまうのでNGではないかと思います。キズ防止であれば、やはりフェルトが無難なのではないでしょうか。

Bellwoodさんから、丁寧なご返事を頂きました。お使いの薄いシートは制振用で、響きを押さえてしまうので向かないのではと言うご説明でした。響きが無くなるのではやはり無理ですね。音響的には直置きが良いのですが、ナットや丸い形状のスパイクでも、力が集中してキャビネットが凹むようなので困っているのです。

すると、深夜になり、

コルクはいかがでしょうか?もちろん天然コルクです。

一時期、ワインコルクを薄く輪切りにしたものをスピーカーの微妙な高さ設定や仰角設定の実験に使用していました。最近、IECインレットの緩み対策に使用して成功しています。先日のそねさん邸では劇的な成果を上げて自分でもびっくりしました。コルクは、フルートやクラリネットなど木管楽器の嵌合部に使われていて楽器を扱った身には親しみがありますし音として悪かろうはずがありません。

スパイクは優れものですが、結局、受け部が問題になってしまいます。シンプルにプレーンな底部にコルクシートなどでソフトな接合部にされてはいかがでしょうか。

少し光明が見えたように思えます。じかんは深夜を回っていたし、明日の朝は、ユーロカップの決勝です。実験は明日以降にしました。早朝?からユーロカップの決勝戦を眠い目を擦りながら見ていました。劇的な延長後半のエデルの目の覚めるシュートで、120分間の劇的なドラマを見て、また少し、一寝入りをして新しい週に備えました。

夕方近くになり、来客もお帰りになって漸く、コルクのことを考えはじめました。コルクを薄く切って、粘着テープにしている製品もあるようですが、沢山種類がありすぎて、どれを注文して良いか解りません。使われたコルクの入手方法をお聞きするメールを出したら、机の上にワインのコルク栓が転がっていました。

そうか、これを輪切りにすればいいと書いてあったと、早速、切れる包丁で、2mm程度に輪切りにしてみました。食パンを切る時と同じに、真っ直ぐ切ったつもりでも斜めになっていました。
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早速、フェルトを剥がして、コルクを張ってみました。フェルトと違って、キャビネットにくっついて、ずれないようです。エネルギーロスが少ないように思いました。こんな感じで貼れました。
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位置は、動かしていません。音を出した瞬間に解りました。音が立っているのです。フェルトより遥かに良いです。さすがは、音楽用素材です

いろいろと聞き比べが始まりました。昨日までとはうって変わって、何を聞いても良い音です。これは、Hさんにも聞いて貰わなければなりませんね。
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ピリッシュのピアノがイギリスから来ました。先日、全集を買ったと言いましたが、やはり音がオリジナルに比べると甘いのです。そこでまだ在庫なのでしょうか、バラ売りのDG盤があったので、それを発注していました。来て盤を見ると何だか変です。印刷が薄く、番号もよく見えません。音を聞いてみると、先日の全集よりもダメでした。再発盤をオリジナル盤と同じ形態で出しているのです。これはおかしいですね。早速、返品の手紙を送りましたが、どう言ってくるのでしょうか?字も薄いのですが、音も薄かったです。

松本の ITさん邸

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先日お知らせしたように、大型の装置の整理が少し宛始まりました。まだ部屋は物置状態ですが、徐々に片付いていくでしょう。最初に決まった業務用のテープレコーダー類は、見かけはこぢんまりしていても、鉄の比重が重く、変に持ち上げようとすると、腰に来たり、腕の関節に負担が来ます。最近の老人力のついてきた体力では、要注意になってきました。

今回の整理のお知らせには、日頃本ブログを見ていただいている方々の暖かい応募がございました。どの機器も程度は良いと思います。それが皆さんの装置の中で、どの様に使いこなされていくかが大切です。この連休中にもだいぶ片付くでしょう。今日は、茅野まで来たのでもう少し足を延ばし、松本までRevox B77を運んできました。昨日は、天候不順でしたが、今日は穏やかに晴れたいい日でした。しかし、高い山々は雲に覆われていて見れません。

松本インターからほど近いITさんのお宅に着いたのは、約束の時間通りでした。茅野の家からは、45分ぐらいですね。ITさんのお宅は、専用のリスニングルームで、二十一畳を横使いで使われています。
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正面から見ると幾分の内振りです。
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使用されているスピーカーはドイツのAudio Pysiks製のCarderasです。三つのキャビネットに分かれている最高級器で、初めて拝見しました。SPの間隔は2.7メートルだそうです。広い部屋を目一杯使われています。

Audio Physiksと言えば、有名なBrilonを昔、Shuさんのお宅で聞いたことがあります。バランスが取れて音場が出る良い音でした。このCarderasも、本格的な音場再生スピーカーです。どの様な音がするのでしょう。早速、お持ちしたRevoxB77を聞いていただきました。見かけはもう30年前の機械でそれなりに時間を感じますが、音は全く素晴らしいのです。Nagraを改造していなければ、やはり持っていたい機械ですね。4トラックバージョンはなかなかありませんから。Studerのヘッドは、見ているだけで気持ちが良いです。

聞かせていただいた音は、とても美音です。家で聞いていた時のRevoxの音より、遥かにきれいです。殆どテープヒスは聞こえません。逆にそこが少し気になったほどです。CDを聞かせていただきました。P-0sにdCSを繋がれている、最高級器です。久し振りにP-0sの作動音を聞きました(笑)。出て来た音はこちらもきれいな音ですが、低域が少ないのでしょうか、少しスッキリしすぎている感もあります。失礼ながら、左右のバランスを合わせさせていただきました。装置の配置が右側に展開していますから、左側の音場が大きく拡がり楽になります。それで、右側のSPを少しだけ(2mm)内振りにしてバランスを取りました。
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ヴォーカルのCDを使って、声が中央から聞こえるように微調整します。音のバランスがあってくると、音のダイナミクスが拡がり、音楽の陰影が出て来ます。具体的に言えば、低音の動きが見えてきて、音場のスケールが大きくなります。この状態で4トラックで聞きました。左右のバランスが整ってきてスケール感が出て来ました。いや〜やはりテープの音は良いですね。お持ちのテープの中で、少しきつい感じがしていた、バーンステインのマーラーの大地の歌を聞いてみたのです。フィッシャー・ディスカウとジェームス・キングのテノールの絶唱が聞けます。その声がお使いのTechnics ではすこし固く感じていたそうです。それが無くなり、音の柔らかさも聞こえて来ました。

お持ちのCDを聞かせていただいていて、折角の音場型のSPをお使いなので、平行法の音を聞いていただきました。調整は簡単です。現在、少し内振りになっているスピーカーを床の木目を定規にして、平行に置いてみればいいのです。定規的に平行にしただけでは、部屋の影響から音がずれて聞こえます。この部屋では、やはり右側の装置の影響で、左右の空間のバランスが違うので、それを合わせる必要があります。具体的には、この状態で中央に定位する筈のヴォーカルの声が、左側に寄って聞こえます。その分、音の厚みも薄くなります。そこで、右側のSPを幾分内振りにして音を、右側に寄せます。当初は、2mmそして、もう2mmと寄せてみました。前はそのままで、右側のスピーカーの後方内側を少しだけ、外側に向けるのです。

その場合、重いスピーカーやこのスピーカー見たく、三つのパーツに分かれるような場合は、上を押しても下の方は動きません。そこで、足で軽く蹴ると、1mmぐらいずつ動きます。その微妙な調整は、少しずつ音を聞きながら行います。音がピタリと中央から出てくるようになると、双眼鏡のピントが合ったように音が立体化して深みが出て来ます。ただ左右を合わせているのではなく、音のバランスを合わせているからです。すると、ヴォーカルばかりではなく全体のバランスが整ってくるのです。
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その左右のバランスの取り方は、内振りの時も同じですが、出てくる音が違います。左右に分かれていた音場が中央に寄ってきて、奥行きが出て来ます。後ろが拡散板が並んでいるので、その奥行きが拡散されています。内振りにすると必要になってくるのですが、平行法では無い方が自然です。一度、カーテンを掛けてその音の差を聞いてみてください。
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そして、平行法の場合、左右の間隔を幾分縮めて、低音の一体感を整合させてみます。左右のSPから分かれて聞こえる場合は、間隔を調整してみてください。音が一体化すると、全体のバランスが整って、スケールが大きくなります。

お仕事の連絡が入り、ITさんが席を離れた時間を使って、その調整を行ってみました。本当は、目の前でした方が、どの様に変化するかが解って参考になると思うのですが。でも仕事中に行ったのは、その左右の間隔だけです。お互いに3mm程度近づけただけですか、解りにくいほどの差ですが、音はだいぶ変わったと思います。いろいろ聞かれて、ご感想を聞かせてください。

選ばれた機器類は、最高級のグレードです。それが、あれだけの位置調整だけで、まったく違う音になるのは,痛快ですが、元の音の質が重要です。ITさんの装置は、その点、一本線が通っていました。丁寧に作られた部屋に音の良さで選ばれた装置が使われています。後ろの反射板をカーテンで覆ってみると、低音の変化が感じられると思います。

最後は、スピーカーの表面の掃除です。三日も経てば、埃はうっすらと付きます。聞かれる前に簡単に埃を払う習慣をつけると、その違いが解ってきます。音が良くなるおまじないだと思って、大切にお使いください。松本は茅野からは、一時間もかかりません。また、よらせて頂きますね。東京に来られたときは、家にも寄ってください。
 
mm単位の調整により、生き生きと演奏を奏でるように鳴りはじめ、さらに、並行法で音場が自然に見え始めました。今までの内振りではピントばかりが強調され、求めていたはずの音場が歪んでしまい、演奏会場が見渡せていなかったようです。

本日リヒターのトッカータとフーガを聴き、近くの音文(ハーモニーホール)でのパイプオルガンのように再生されたのに驚いています。内振りでは出なかった地を伝うような低音が出ています。

早速ご助言のように正面の反射板に着物の帯を貼ってみましたところ、奥行き出てきましたのでもっと試行錯誤してみます。今回は、大変素晴らしいルボックスばかりだけではなく、それ以上の調整をして頂き大変感謝しております。

遠方はるばるお越し頂きお疲れのところ、本日もうご自宅に戻られたようですが、猛暑が始まっていますのでどうぞお体ご自愛下さい。

丁寧なお礼状も頂きました。装置と同様に、精緻なご性格で、また落語もお好きなようです。装置が良くなってくると、昔の録音の落語も、目の前で演じられているように聞くことが出来ます。楽しみですね。



距離感を感じるように

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新東名が伊勢湾自動車道に繋がってから、名古屋方面に行く場合は、新東名経由で行くことが増えて来ました。御殿場から、新豊田で伊勢湾自動車道になるまで、殆ど緑の中をゆったりと走っていく道路が楽だからです。看板も何も無い、山の中の素晴らしい道です。勾配も2%以下に抑えられ、急なカーブもありません。何よりも、道幅が広く、設計速度140キロが実感されます。ドイツのアウトバーンを走っているような楽さと安心感があるからです。

それに比べ、中央高速は、山間の道路だと言えましょう。全線80キロ制限ですし、勾配もカーブも大変きつく、スピードを出せない構造です。下りの急カーブは制限速度で走っていても怖く感じるほどです。10年前、名古屋から戻ってくるとき、恵那山トンネルへの長い上り坂で、V6/3.2LのAudiに楽々と抜かれたことから、VWの2Lターボ車をトルクを増やすチューンをして貰いました。それからは中央道の上り坂も苦にならず、ゆったりとした気分で走って来れていました。

中央道を来ると名古屋からの中間点の茅野に家があり、関西方面への出張の中継点としてよく利用してきました。それも今年春の新東名の開通に伴い、中央高速を利用する回数が激変しました。以降、茅野へは東京から行くようになりました。特に長く感じるのが、恵那山トンネルから諏訪までの100キロです。伊那盆地を南アルプスと中央アルプスの間をただひたすらに北上する長い区間です。リニアモーターカーのように、南アルプスを貫通すれば、三角形の二辺を折り返すことなく、距離も半分に縮まるのですが、自動車道路網の目的は、どこにでも行けると言う事ですから、仕方がありません。

仕事の帰りに利用することが多いせいか、茅野の家に泊まると決めていても、最後の100キロのこの区間がだんだん長く感じ始めてきたのです。老人力のおかげで、夜間の動体視力が衰えてきたのでしょう。この区間は文字通り山間部ですから、雨が降るときは容赦ない降り方になります。そして、山の中ですから、辺りは真っ暗です。思ったよりきつい登り下りの勾配に加えて、急カーブの連続が続きます。高速道路なら許せない危険なカーブの連続ですね。阿智の辺り、松川の辺り、そして最後の辰野からの急カーブ、急勾配が危険です。

名古屋を出るのが遅くなった金曜日の夜遅くにようやく茅野の家にたどり着いて、10年間乗り続けてきた車の寿命と、10年分歳取った自分の身体を気遣いました。運転が楽しくなくなってきたのでしょうね。自動運転するような新しい車に買い換えするときでしょうし、老人力に見合った運転をするべきだと思いました。

着いた時は、蒸し暑さもあったので、当初窓を開けたままで横になっていました。このまま窓を開けながら寝ると、明日の朝大変だと思ったまま、寝てしまったのでしょう。冷蔵庫の中に足を入れているような夢を見て、気がつきました。深夜二時過ぎです。あたりは八ヶ岳からの冷気に覆われていました。危ない危ない!急ぎ、窓を閉めて、毛布を被って寝直しました。

翌朝は昨日の雨も上がって明るい朝でした。今日は、三連休の初日だそうです。午前中の用件を終えて、いつもの大門街道を下りはじめると、上りの車線は蓼科・白樺湖方面に上がる県外車で数珠つなぎになっていました。何時も思うのですが、関西方面から来る車の方が、関東から来る車より圧倒的に多いのです。勿論、時間帯があるのかも知れません。東京方面から来る車は、二時間ほど前に到着しているのかも知れないからですが、いろいろな関西ナンバーが見られました。中京方面、関西方面、神戸以西も来ています。こうしてナンバーを見ていると面白いですね〜。

そして驚いたのは、オープンカーの多さと多種、多様さです。勿論一番多いのは、マツダのロードスターです。何台も見ました。ロータス、フィアット、ポルシェ、BMW、ベンツ、VW、フランス車もありました。無かったのは、イギリス車ぐらいでしょうか。渋滞の中ですが、みな楽しそうでした。こうしたリゾート地では、オープンカーは似合いますね。こうした楽しい車も、若さが残っている内に乗らないと乗れなくなりますね。緩やかな道を下りながら、老若男女が楽しそうに登ってくるのを見て思いました。今日はこれから、松本まで行きます。






横浜のMさんの新しいサロン

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横浜のMさんが、この一年間心血をそそいでおつくりになられた、サロンを訪問してきました。山下公園に面して、目の前に氷川丸が見える光景はとても日本とは思えないほどの異国情緒が漂っています。そのマンションの二階が空くという話を聞いてきたのは、奥様の内部情報でした。マンションの入り口とは別なドアから入れる二回の大きなスペースが空くというので、Mさんの血が騒ぎました。今までにも、この海に面したマンションの内部を替えて数々の素敵なお部屋を作られているMさんのオーディオにも負けない趣味は、インテリアだからです。いつものオーディオ専用ルームの他に、高層階のお住まいのすばらしさは、以前にもお知らせいたしました。

私は、このように改装される前の普通のマンションを見ていますから、インテリアでどれだけ部屋が変わるかを目の当たりにしていつも驚いています。もちろん、全面的な内部の作り替えですから、相応の費用はかかるのですが、出来上がった部屋の価値は、全く違います。同じマンションの住人の中には、出来上がった部屋のあまりの素晴らしさに、施行してない前の部屋と交換された方もおられるぐらいです。

そのように、何件もの部屋をリノヴェーションされてきた、Mさんが今までの集大成として、作られたのが今回のサロンです。

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エントランスから中に入ると、左にピアノ右にソファーのゆったりとした空間が拡がっています。
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その大きなソファーにこしかけると目の前には、スタインウェイのグランドピアノが、山下公園の緑を背景に置かれています。
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PA用のスピーカーはL- acoustics PAスピーカーで、これが良い味を出していました。ミキシングは、MIDASのコンソールです。照明のコントロールも欠かせません。
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奥には、ワイン教室にも使われる5メートルものカウンターと大きなテーブルが並んでいます。このテーブルは対向で14名、ホスト席を入れると16名もの方々が一同に座れます。着席数は、35名にも及びます。丸テーブルも沢山用意されていて、イベント時は60名の着席が可能です。230平米にも及ぶ素晴らしい空間です。
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この素敵なスペースを使って、秋の初めには、同好の士を集めた催し物を行う相談をさせて頂きました。勿論、生演奏付きです。この素晴らしいスペースなら、奥さまも誘って頂き、日頃の埋め合わせを出来る会にしようと思っております。このサロンは、山下公園の前、グランドホテルの並びです。遠方からお越しの方は、前日の夜から来ていただき、中華街や素敵なレストランのナイトライフも楽しんでいただけたらと願っています。






暑い・熱い・あつい

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横浜から新幹線に乗るのは面倒です。菊名からJRで一駅移動するのが大変なのです。夕方の帰宅のラッシュアワーにぶつかると、その一駅がとても大変です。理由の一つが、東急線との接続がホームの真ん中ではなく端っこにあるからでもあります。横浜から新幹線に乗る人の中には、品川まで来て乗り換える人も多いと聞きました。横浜のMさんの夢のような大空間と、その後の四川料理を堪能してきた身には、その一駅が応えました。

しかし、新幹線に乗ってしまえばそこは別世界です。二時間半後、新大阪のホームに着いたときも、それほどの暑さは感じませんでした。もう、九時半なのでその所為かと思いました。ところがいつもの駅の地下鉄の階段を上って来たら、やはりと・・・とため息が出ました。熱いのです。タクシーの運転手も、用のないおじさんも、道路にでて何か話しています。典型的な大阪の夏の夜の風景が目に飛び込んできました。中華街でおなか一杯食べてきたので、今晩は何もはいりません。明日の朝のパンと牛乳、今夜の水分補給のお茶と炭酸水。それらを買い込んで、何時の部屋に。二重窓の効果は大きく、へやのなかはそれほど暖まっていませんでした。それでもクーラーが浸透してくると生き返ります。

先日の茅野の寒さがありますので、寝るときは、28〜29度まで上げて寝ました。それでも夜中、クーラーを切ったぐらいです。翌朝、玄関のドアー付近から、圧縮空気が漏れているような音がしてきます。そうです。クマゼミの絶叫です。二重窓の効果は大きく、部屋には全く聞こえませんが、玄関のドアの隙間から漏れてはいってくるのです。午前中は、事務所内にいました。お昼近くになって、地下鉄の終点近くまで行きました。表に出ると、めまいがするほどのあつさと明るさです。陽は真上から照りつけ、薄い頭を焦がします。道行く人はみな日傘を差しています。でなければ歩けません。カバンから白い紙を取り出し、頭の上にかざしました。でなければわたしも歩けません。

現場にいたのは、二時間半ほどでした。車を呼んで先程の駅まで戻りました。この日差しの中歩いている人などおりません。そのまま、新幹線まで来て、始発の列車に乗り込みました。東京は六時半です。またまたラッシュアワーの中央線で揺れながら、これで毎日どうして堪えられるのか解らない程、ポイントで揺られて、揺すぶられて、新宿-中野間の狂気のスピードに堪え、高円寺まで戻って来ました。満員電車から降りた東京は、大阪のような暑さではまだ有りません。北東からの高気圧が吹き出す冷たい空気がこの温度差を生み出すのですね。大阪と東京の地形的な差を感じる瞬間です。

いつもの部屋に戻り、クーラーを最大限にして、この文章を書き始めて三十分。大阪を出てちょうど四時間目です。本当に早いですね。今年の関西は、酷暑だそうです。三時間ほど炙られて実感しました。まだ夏は始まったばかりです。長い夏をすごされる関西以西の方々はくれぐれも体調管理にお気をつけ下さい。東京も少ししたら始まります。そして今年は、長く続くことでしょう。

心配は、地震です。聞かないときや出張の時はTrounbadourを降ろして出かけています。毎回調整をしなければなりませんが、毎日震度3〜4が来るので仕方がありません。7/20 19:47  

ところが今朝の東京は冷たい雨で、気温は20度ぐらいしか有りません。関西の人ごめんなさいです。




一転して冷たい雨の中を

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朝早く、雨の音で目が覚めました。夜半に無意識でクーラーを止めていたほど涼しい朝でした。今日は、この雨の中を茅野方面に行くので、一日パサートを借りて試乗会です。中央高速の登り下りを乗らないと、善し悪しの本当のところが分かりません。近くのディーラーまで行って、簡単なACCの使い方や、レーンコントロールのON・OFFを教わりました。雨の中を殆ど新車の試乗車は、滑り出していきます。シャーシーの強化か防音材の適切な使い方か、静かです。1.4Lターボと言う事は、普通の乗り方では解りません。

中央高速に乗りました。相変わらずの渋滞です。早速、ACCを作動させてみました。おっ〜!妙な感じですね。前方の車の動作により自然にアクセルやブレーキが掛かります。レーンコントロールは最初から稼働されていました。それが、変な感じです。ACCの方は、クルーズコントロールが自然に合わせているという感じですが、ハンドルさばきの方は慣れません。八王子のPAはいつもの様に満員だったので、次の藤野に入って、どうしたら外せるか、マニュアルを行ったり来たりしてようやく見付けました。基本動作だけは、やはり全部教わっておくべきでした。それでも、談合坂の上りも、さほど苦にならず通過します。

DSGの7段変速は、こまめにシフトを繰り返し、トルクの大きいところを選んで走っていますから、エンジンそのものの動向は1500〜2000回転を行ったり来たりで、まるで大排気量車のトルク溢れる走行と似たような動きをします。とても、1400のターボとは思えない動きです。しかし、パワーに余力はないので、シャーシーの方が勝っていて、車に乗せられている感じがします。大きなゴルフという感じです。初狩PAによって、吉田うどんをかき込み、また説明書を眺めて、勉強しました。適切なギア比で笹子トンネルの上りもそれほど気にはなりません。しかし、必要且つ充分ですが、力を温存して出しているのではないので、余裕感はやはりないのです。
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行きは、車の言うとおりに運転してみました。帰りは、その笹子のトンネルへ上りを、力強く登ってみました。すると、ギアは一段も二段も落ちて、回転も1500から3500ぐらいまで上がります。瞬発力はありませんが、必要且つ充分でしょう。しかし、燃費の数字がみるみる下がってきます。当たり前ですね。その笹子トンネルの長い下りをエンジンブレーキの掛かり方が弱めです。D→Sに落としてみると、当然回転が上がります。この辺りのコツを摑めないまま、八王子まで戻って来て、平らな道になりました。現在乗っている、10年物のパサートに比べて、全ての操作が軽くて、静かです。そこが、幾分頼りない感じがしました。

ディーラーに戻ると、待ちわびていた営業の人が、分厚い印刷物を見せてくれました。何やら、9月のはじめに、待望の2.0Lターボがようやくでるようです。ただ、ガソリンですから、減税はあまり期待できません。また、一番高いスポーツグレードのRタイプにしかでません。要らない物を外したスのバージョンで、2.0Lを出して欲しかったです。価格も360万の通常品が、高いグレードででるので、500万を越すようです。嬉しいような、がっかりするような複雑なニュースでした。
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肝心のディーゼルTDIはまだでないのでしょうか?でる場合は、普通のグレードでも出して欲しいですね。従来150万円の差があったAudiとの違いが、50万円になりました。以前として格安ですが、以前のような圧倒的な差がなくなったのが残念です。少し前にでたハイブリッドのタイプよりは、電池大ぐらい安いのですが、省エネ車ではありません。ベンツもBMWもどんどんディーゼルを出しているのに、一番必要とされるVWが出さないのは、やはり残念です。しっかりと結果で差を説明するしか、失地回復はないと思うのですが。


iさんとAionさんが来られる前に

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行ったり来たりの扉を閉めてから、訪問客はご常連の方々を除くとめっきりと減りました。Hさんや、Oさん、大山さんは、定期的に来ていただいていますが、それ以外のお客さまをお迎えするのは、連休の時の、HYさんと椀方さん以来になります。今日は一昨年の暮れ以来のAionさんと、毎年五月にはお邪魔させていただいている i さんが、久し振りに我が家にお越し頂きました。
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i さんのお宅は毎年5月のお花を撮りに行かせていただくほかにも、青葉台方面に行くときはお寄りしていますから、定期的にはお会いしているのですが、我が家に来られるのは、本当に久し振りです。今日は、同じ青葉台におられるお二人をお引き合わせするために来られたのです。i さんにお会いしたのは、25年ほど前ですが、以来レコードのこと、美術界のこと、パリのことなど沢山のことを教わってきました。私の方からは、オーディオや音楽のお友達を沢山ご紹介致しました。今回もその一つですね。

Aionさんは、以前ご紹介致しましたが、数あるオーディオ専用のお部屋でも、一二を争う素敵なお部屋にされています。その透徹した美意識は、部屋ばかりではなく勿論再生音にも現れています。その方をお呼びして、T-80とTW3の組み合わせを聞いていただくのですから、本来なら入念な鳴らし込みを必要とします。ところが、このところの連日の出張つづきで、音に集中する時間が全く取れませんでした。あまつさえ、出張中に三日続けて地震があったので、札幌に飛ぶ朝は、用心のため、位置を微調整してあったトロバドールを床に降ろして出かけたのです。直下型系の震度3が三日続いたのですから、綿密な意味では、位置調整をやり直す必要もあります。その意味から、乗せてあるだけのトロバドールを降ろす決断が出来ました。
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勿論、それだけではなく、最近使っていたケーブル類や、勿論沢山のCDが散らかっているのです。それを片付けるために、三時間前から整頓をはじめたのです。しかし、毎度のことですから、セッティングに集中すると時間を忘れます。その為に時間切れになることを恐れて、二重のアラームを掛けました。整頓用の時間と音の調整に掛かる時間の二種類です。まずは、整頓からです。同時に掃除機や紙のワイパーを使って埃取りです。普段使わない部屋でも、隅だとかケーブル回りは、うっすらと埃が付いている物です。SPについている埃は、音に影響しますから常にきれいにしているのですが、テーブルの下とか部屋の隅には意外と埃が溜まっている物です。

部屋の隅から徐々に片付いていきます。ケーブル類を収納した箱は、一時的に部屋から避難させました。それらの箱を持って、階段を上り下り、今日は涼しい日で助かりました。一通り片付けるだけでも、小一時間経っています。次は、肝心な音の調整です。トロバドールが乗っていないのを幸いに、ウーファーだけの位置決めもやってみました。高域カットのネットワークを外して、ウーファーに直接全体域の音をいれて、左右のSPの位置調整を行ってみました。目で見るのではなく、音を聞いて判断します。これが簡単そうに見えて難しかったです。やはりウーファーですから、自然に高域が減衰します。その音で位置決めをするのは、結構難しいですね。

試行錯誤しながら、15分ぐらいかけてやり直しました。やはり見た目と、実際の音の位置ではちがいます。定規で距離を測ればいいわけではありません。それから、トロバドールを乗せての調整です。こちらは、何度やっても微妙で神経を使います。前後、ユニット感の間隔それらが組み合わさった微妙な調整です。チタンの振動板一枚の厚みの差が、音に現れます。これは、うしろで聞かれている人の方が驚く程の変化を感じられるようです。位置が合ってくると、誰もが納得する音になるから怖いですね。今日は、下のウーファーの位置も変わっていましたから、まだ調整の余地を残したまま、時間切れになりました。あとは聞きながら調整して行くしかないでしょう。

アラームがなりました。あと十分しか有りません。CDを並び替え、ソファーの位置を確かめていたら、時間が来ました。シャワーを浴びてスッキリしてから、待ち合わせをしている駅までお迎えに行きました。着いたのは、時間ピッタリでしたが、お二方とも、早くから来られて別々な場所でお待ちいただいていました。早速、ご紹介をすませてから、近くのお蕎麦屋さんで軽く腹ごなしに。今日は涼しくて日差しもないから歩くのが楽です。

お二方とも来られるのは久し振りです。Aionさんは"Consequence"が鳴っていた二年前の暮れ以来ですし、i さんは、その前の"Hartley"が鳴っていたとき以来ですから、五年ぶりぐらいでしょうか?早速、整理したての部屋にお通ししました。私の部屋としては、整理されている方だと、お褒め?の言葉を頂きました。根本的に機器類とCD類が多いのが原因ですから、それらを整理しないことには、始まりませんね。
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そうして始まった久し振りの集いは、夜八時過ぎに終わりました。楽しい午後になりました。お二方も喜んでいただけました。その詳しい内容は・・・







Aionさんのご感想

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昨日、GRF邸にお招きいただき、Troubadour80+WFを聴かせていただきました。私はGRF邸を訪問するのは2回目で、前回は Spectral/DMA80でドライブされたDynaudioのConsequenceを経験しましたが、それはとても素晴らしいサウンドで、オーディオによって再生された音楽がコンサートホールで聴こえるそのままに再現され、それはそれは、こころから驚くべき聴体験でした。

では、今回のTroubadour80+WFはいかに。

SPの外側にも上方にも響きはスムーズに広がり、オーケストラのそれぞれのパート、ヴァイオリンや木管などがSP間に精密に定位し、さらにオーケストラの後方に位置すべきティンパニやグランカッサなども奥行きをもって聴こえ、コンサートホールそのままのような音響の三次元的な展開、精緻な写実性は、前回Consequenceでの体験とほぼ同様に、これ以上ない見事なものでした。

音の立ち上がり、切り下がりとも、極めて俊敏でスムーズ。よって、ピアノなどの音のアタックも、スピードの鈍いSPにありがちな強調感はなく、ピアニストによるタッチの違いもとても明確なものでした。

今回のTroubadour80+WFはそのような写実性に加え、音に仄かな官能性が感じられる気がしました。もちろんそれは決してこれ見よがしなものでなく、響きが微かに濡れているような、音の粒子のひとつひとつが時に溶け合い、別れあい、あたかも、音それぞれに関係性が生じているような・・・

これはConsequenceの時とは決定的な違いで、Consequenceでは音の粒子はどのような細部においてもそれぞれに独立していて、混ざりあうことはあっても溶け合うことはなく、その響きは精密な写真印刷のような印象がありました。

一方、Troubadourの響きの手触りはやさしく、柔らかく、包まれるよう。

私は、Troubadourのサウンドを、あたかもそこに生命があるかのような<有機的なサウンド>と感じます。GRFさんは、ConsequenceではなくTroubadour80+WFをご自身の本音の音とお話しされました。

今回、私は持参した以下のディスクを聴かせていただきました。

●Jordi Savall & Le Concert des Nationsの演奏による Charpentier - Canticm Ad Beatam, Virginem Mariam
●Jordi Savall & Hesperion XXの演奏による Du Caurroy - XXIII Fantasies

どちらのディスクとも私の最愛のもので、またAstreeらしく録音も最上。演奏は決定的にして最美。しかし、再生環境によっては、目も当てられないになってしまう。剛性一本やりの場所では、音楽の優美さ、華麗さ、上品さなどはすぐに損なわれ、キンキンカンカンとした安物のブリキのような響きに。古式SPのもとでは、繊細でデリケートなサウンドは即座に鈍く、濁った響きに堕してしまう。

悔しながら告白します。私の最愛のこのディスク、何度も何度も繰り返し聴き、最善に響くよう執拗にオーディオの調整に取り組んだこの音楽、私にいつも陶然とした時間をもたらしたこの演奏。

その最上の再生は、昨日のGRF邸で聴いたものでした。

GRFさん、昨日は大変ありがとうございました。また訪問させてください。どうぞよろしくお願いいたします。  

Aion  

Aionさんからは、翌日には、熱いメッセージが送られてきました。すこし、褒められすぎで本人はこそばゆい気持ちもありますが、今回のTroubadour 80+TW3の音を初めてお聴きになられる方は、驚かれると思います。時に、クラシックファンには、演奏会場がそのままトランスポートしてきたような感覚は他では得がたいものだからです。お聴かせした曲は、二年前にお越しいただいたときとほぼ同じプログラムでした。それが違いを明らかに出来たかも知れません。

最後にかけた、Aionさんが持って来られたサバールの曲は、確かに家では今まで掛かっていなかった種類の演奏でした。それが柔らかく立体的に展開したのは驚きました。以前から、何枚かは持っていたのですが、この様には鳴らなかったからです。古典の曲を中心に聞いてこられたi さんは、最近は私の影響だと言われるマーラーの演奏にのめり込んでいるそうです。マーラーの演奏からハイティンクに興味を持たれ、今日も家に来られる前にレコード屋さんに寄って、ハイティンクのフィガロを買われたそうです。こうしてレコードの先輩に、新しい分野や演奏家をご紹介できるのは、嬉しい事です。横浜市からバスの優待券を頂くご年齢になられても、常に新しい分野に情熱を傾けられるのも、素晴らしい生き方だと感銘しました。


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