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i さんの画廊から秋葉原のHさん邸へ

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先日、Aionさんとご一緒に、お越しいただいた i さんの画廊に、夕方お邪魔致しました。先日お話しをした作家の絵を見に行くためです。25年以上も親しんできた絵画ですが、ようやく機が熟してきた感じがしたからです。i さんの画廊は、現代絵画がご専門です。i さんお目を通した確かな作品は、日本中の美術館のコレクションにもなっていて、そういう美術館の若い文化員の教育や啓蒙、育成も長い期間掛けて継続しておられます。オーディオと同じ様に、物を見る目は簡単には得られません。良い作品を見続けるという経験を通じてでなければ、身につかないのです。

久し振りに i さんから美術界のお話しを聞いて、驚く事も沢山ありました。一番の驚きは、 i さんが、扱っておられた草間彌生さんの評価が世界中に広まり、特に中国での人気が上がったそうです。有名なカボチャをモチーフにした作品は、中国では縁起が良いと人気が高まり、作品が品薄になって高騰しているそうです。シルクスクリーンの作品でも自署のサインがあれば、信じられない程の価格がついていました。i さんの画廊での、草間さんの催し物が何回あり、i さんからご紹介いただいたこともありますので、その頃と現在のギャップに驚きました。

いつもながら、i さんのお話は、広く深く、半世紀に渡って、世界の美術界を生き抜いてこられた智恵と経験を聞かせていただくのは幸運だと思います。西に面した窓から西日が差しているので、時間が解りにくかったのですが、六時を回ってきたので、秋葉原のHさんお宅へ向かいました。Hさんのお宅へお伺いするのも、前回から一月も経っていました。ネジの緩みや地震の影響もあるかも知れませんので、今日は定期点検ですね(笑)。
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早速、左右のチェックです。ピッタリ中央を差しています。地下のこの部屋は、しっかりとした土台の上に立っているので、殆ど影響は無かったようです。しかし、全体にピントが緩んでいる気がしました。低音が過剰なのです。左右のバランスはあっているのですが、奥行き方向が出て来ません。ウーファーの増し締めを行いました。角度にすれば15度ぐらいでしょうか、少し宛緩んでいました。一年中で一番湿気が多い頃です。新しい機器ですから、当然ですね。幾分良くなりましたが、以前として奥行き感が出ません。

足に注目してみました。前二つ、後ろ一つの三点支持に、中央の足を加えた四点で支えています。一点メカニカルアースを試みるため、その中央だけ1mm未満ですが高くなっています。その為中央以外の三点は、フェルトを挟んで、高さの調整をしていました。そのフェルトを外して見ることにしました。順位外すと、やはり中央の足が高く、ガタがでます。仕方が無いので、せっかく合っているトロバドールを一旦降ろして、SPを傾け中央の足を外しました。それから、再調整です。スッキリとしてきました。

再度、トロバドールの位置の微調整を行うと、低音の膨らみや、バランスが解消されて、音に奥行きと陰影が出て来ました。家と同じ傾向の音です。少し、暗かったHさんのお顔もみるみる晴れ晴れとしてきました。最近、オーケストラ物を聞いても楽しくなくなってきたようで、ピアノばかり聞かれてたようです。早速、ピリスのモーツァルトを掛けてみました。深々とステージが拡がり、ピアノの陰影や微妙なタッチが蘇ります。良い音です。

さっきまでの音とはまったく違い、コンサートホールが出現するのです。定番のハーディング・ウィーンフィルのマーラーの10番、第五楽章冒頭の大太鼓の音を聞いてみました。ステージの奥の方から、ホール全体に鳴り響く様が見えてきます。その後の弦楽器の美しいこと!鳴り方が、家と同じです。違いは部屋の環境ですね。カーテンや配置も考えて微調整していきましょう。

パトリシア・バーバーなどのJazzヴォーカルも聞いて音を確かめました。ハイティンクのチャイコフスキー第二番も、先程までとはまったく違うホール感です。増締めと、足のフェルトと、位置調整、ウーファーのケーブルを元に戻しただけですが、まったく違う音になりました。怖いと思います。ご自分の装置が、1〜2ミリ違うだけで、これほどまでの音の差が出るのですから。Hさんご自身にその違いをお話しして貰いましょう。

GRF様

昨日は、わざわざ、寄っていただきありがとうございました。最近は、やたらと地震が多いので、再調整してあげましょうかと、先日も、ご連絡して頂いたのですが、生憎、用事があったため実現出来ませんでしが、本日、実にタイミングよく来ていただくことができました。

GRFさんは、言わば私のオーディオの師匠なので、弟子のオーディオの具合を絶えず気にして下さっております。誠に有り難い限りです。

部屋に入って早速、ピントが合っているかどうかのチェックをして頂きました。ピントは、合っている、しかし何かがおかしいとの、師匠のご指摘でした。実は、最近、オーケストラの音が良くなくなっていたのでピアノばかり聞いておりました。スピーカーは、1mmも動かしていません。(笑 ) なのに、なぜか?自分でもだんだんオーケストラを聞かなくなっていることになっていたんですね。しかし、自分では、なかなか気づかなったんですね。そこで、師匠の診断が始まりました。

① SD05とCDプレーヤーの接続の確認されて、LRが逆でした。そういえば、先日、オープンテープを聞くために、一時抜き差ししていたのでした。その時、間違ってしまったのでした。見事に、指摘されました。

② 湿度の変化のためか、ウーファーのマス締め。すぐに、音色が変わりました。明るく表情豊かになりました。

③ それでも、納得いかないお師匠さんは、元のケーブルに交換。また、音の落ち着きが出てきました。

④ ウーファーの脚の下にフェルトを敷いていたのですが、取り去りました。その時、5点支持になっていたので、中央の脚を取りました。そして3点支持にしました。

最後に、再度、ピントの再調整をして頂きました。すると、どうでしょう。あのお師匠さんの家の音が、再現されてきたではありませんか!1ヶ月でこれほどまでに音の変化が、起こってしまうのか。このトロバドールとウーファーの組み合わせは、生きている!絶えず、微調整をしてあげないと、うまくなってくれないとつくづく思った次第です。まさに、成長の早い植物を育てているような感覚に襲われます。本当に来ていただいて良かったです。

今回は、お車だったので、ワインは、飲んでいただくことはできませんでした。再度、近々、いいワインをご用意してお待ちしております。そのコルクで、トロバドールとウーファーの間に敷物を作らないといけないので。よろしくお願い致します。ありがとうございました。

H

昨日は車でしたので、ワインの栓の輪切りの実験は出来ませんでしたが、最後の音は納得の音がしてました。音の出方、質感、音場感も家とそっくりでした。ただ、音量を上げると部屋の定在波の影響が出て来ますので、やはりその対策をしなければなりませんね。

良い音が出たので、iさんのご紹介で、池之端の洋食屋さんに出かけて、昔ながらの日本の洋食を頂きました。話も弾み、楽しい晩になりました。 i さんありがとうございました。Hさんは隠れ屋に戻られて、あのつづきを聞かれたことでしょう。

強行軍

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先週、「暑い・熱い・あつい」関西で、頭が焼き付くような暑さを体験しました。今週も、同じところに行きます。その前に、大阪での打ち合わせもあるので、暑い中を汗まみれで移動するよりはと、のんびりと車で移動しようと思いました。出るときはやはり関東地方は雨で、中継地の茅野についても雨は止みません。少し様子を見ようと休んでいたら、雨で暗いし気温も丁度良い涼しさで、気がついたら二時間以上も寝てました。でも、これから走れば、九時前には大阪にはいれると、ぐっすりと寝たのでスッキリとした頭で、雨の中を大阪に向かいました。ところが、高速に乗ると恵那山トンネルと飯田山本のあいだで交通事故による火災事故があり、通行止めになっているのです。

いつ頃開通するかの情報が少なく、直前のパーキングは時間調整の為の大型トラックが一杯に溢れて入る事さえ出来ません。このまま、不通区間の飯田山本まで走ると出口での渋滞があると思い、一つ手前の飯田で下りて、暗い山道を恵那山トンエルの乗り口に向かいました。昼神温泉への道とも分かれて、山の中の道を数珠つなぎになり大型トラックとともに走りました。ようやく入り口にたどり着いて、高速に乗り長い恵那山トンネルを走ったら、沢山のトラックが前を走っていました。これらのトラックが、あの狭い山道を走ってきたのだと思うと驚きました。

順調とは言え下道を走ったので、予定よりは相当遅れています。その為、パーキングから途中のホテルを探して、何度か泊まったことのある岐阜羽島駅前のビジネスをインターネット予約しました。ホテルに着いたのは、10時半を回っていたので、駅の売店も閉まりホテル近くには何もありません。辺りを見回すと、500メートル程離れたところに、明るいコンビニの看板が見えます。雨が心配でしたが、そこまでビールとおつまみ類を買いに歩きました。カウンターで精算しようとしたらお金が少ないのに気がつき、ATMで引き出してホテルまで戻りました。ホテルでビールを開けてつまみを飲み始めて、袋を漁ると買ってきた筈の自動車雑誌が入っていません。そういえば、レジで別の色の袋に入れてくれたのを思い出しました。ATMに気をとられ見事に忘れてきているのです。やはり老人力でしょうね。

昼間寝てしまったので、午前二時近くまで寝られませんでしたが、今日は昨日走るはずだった二時間分をこれから走らなくてはなりません。朝のラッシュもありますから、お風呂に入り気合を入れ直してから、大阪に向かいました。やはり朝のラッシュで少し遅れましたが、ほぼ時間通りに打ち合わせにはいれました。ここだけだったら新幹線で良いのですが、午後の現場が離れていて移動が暑いのです。案の定、気温はじりじりと上がり、昼食を食べに表に出たら、やはり、きつい日差しに目も開けてられません。昼食は大阪なので、きつねうどんでした。味はいまいちでした。最近、ろくなものを食べていません・・・

ぎらぎらと暑い日の中、車で現場に出向き、打ち合わせを終えて現場を出たのは三時半過ぎ!阪名道路を奈良を通り過ぎて、亀山まで戻ってきたのは、五時過ぎでした。そこから、また夕方のラッシュアワーの東名阪を名古屋方面に走り始めました。伊勢湾自動車道から新東名に分かれるときに考えました。今日は朝から、走り詰めなので、このまま中央道を上って、茅野まで戻り休むか、思い切って新東名の楽さと早さで、東京まで戻るかの選択を迫られました。考えているうちに、道路は自然と新東名に向かっています。スムーズな道に覚悟して、東京まで帰ることにしました。

新東名は道は最高ですが、新しいパーキングエリアやサービスエリアは、観光用で食事の値段も高く、また空調が悪くて、空気が何時もよどんで頭が痛くなります。トイレ休憩だけにして、御殿場まで走り、トラックのたまり場の鮎沢パーキングまで走りました。ここはトラック運転手さんように、リーズナブルな値段で、ご飯、味噌汁のおかわり自由です。もっとも味噌汁の具には、殆ど何も入っていませんが。満腹になると眠たくなります。東京に眠い目を擦りながら着いたのは、11時過ぎでした。疲れて、お風呂で寝るところでした・・・・

風呂上がりに新聞を見ると、自動運転の車の紹介記事が。居眠りしたり操作が緩慢になると、警報音を出し、それでもダメなら、ゆっくりと停まる装置です。高速では停まれませんが、普通の道ではそろそろ、この様な安全装備をつけた車にしないといけないとつくづく思いました。

Studer B-62

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5月にお知らせした機器類の整理ですが、徐々に進んできました。長年愛用してきた機器ですから、いざお別れとなると、淋しいものがあります。育っていく我が子の将来を見るような物でしょうか?そして、お渡しするときデモで鳴らしますと、私が思っていたより遥かに良い音で鳴るのです!!!内心早まったかとも思うのですが、物理的に使用できない物は、可愛がっていただける人の元に行った方が幸せです。当方が、しばらく聞かなくなっただけで、機器類はメンテナンスしておりますから、良い音が出て当たり前なのです。オークションとは違い、顔を合わせての直接のお取引ですから、責任の重さが違います。

先日、名古屋でNagraのT-Audioを引き渡しするとき、パネル表示用のバッテリーの充電切れでErrorメッセージが出ました。しばらく使うと自然に直るのですが、引き渡し時に、トラブルがあれば、やはり完全にしてからお渡ししなければなりませんので、申し分けないのですが、しばらくお待ち願い再度メンテナンスを終えてから、またお持ちすることになりました。精密なスタジオ機機ですから、メンテナンス費用は掛かりますが、お渡しするには、完動品でなければなりません。

先日、松本でのRevox B-77のお引き渡しはよく行きました。その時になった4トラックテープの音は、手放すのが早まったかと思うほどでした。今日のStuderB-62も、トラブルがないように、朝から出してきて、動かして起きました。ケーブルを接続して、CDの替わりにならすと、さすがに38/2トラは素晴らしい音がします。走行もスムーズで、音にも品が有り、聴かなければ良かったと言うぐらいい音です。

引き取りに来られた方は、KlangfilmのEURODYNをTelefunken V69a F2a11 PPで鳴らされているそうです。長野のLogeさんや、大阪の(Y)さんと同じ系統ですね。本格派です。そのラインアップにB-62は似合います。(Y)さんもお使いです。時代が合っている事が大切です。家でも、最後はGRFを鳴らさないと、B-62の真価がでないと思いました。

シャッターのモーターが、寿命になり交換工事をしている最中だったの、車庫前の狭い空間にお車をいれていただきましたが、車庫入れがピッタリと決まりました。家の車庫前にピッタリといれられるのは、大山さんだけだったので、運転の巧さに驚きました。愛用の六気筒のBMWは21世紀になってずーと使われているそうです。同じ機械をじっくり使われる人なので、安心しました。
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いつもの、T80+TW3にB-62を繋いで音出ししましたが、音のバランスがあっていませんので、最後はGRFを鳴らさないと真価が見えないと思いました。まずは、最近の三次元サウンドから聞いていただきました。

さて、GRF様宅の音楽体験は予想していたよりも遥かに強烈でした。貴ブログにある「今回のTroubadour 80+TW3の音を初めてお聴きになられる方は、驚かれると思います。時に、クラシックファンには、演奏会場がそのままトランスポートしてきたような感覚」とはまさにその通りで、3次元的リアリズムで楽器が空間に浮かぶさまは圧巻です。特にスピーカーの後ろに廻って聴いたとき、楽団員の一人となったかのような音のシャワー体験は、不思議な感覚でした。

とご感想をお寄せいただきました。クラシックをお聴きになっているので、イメージが湧かれるのでしょうね。コンサートホールでクラシックを聞かれない方は、この音を聞いても、三次元にも感じないのです。すると音色だけの好き嫌いになります。音のバランスと言いますが、殆どの方が言われるバランスとは、周波数特性のバランス(音色)と左右の音のバランスだけです。平行法で聞かれている人は、前後方向のバランスも合わしていますが、今回聞かれたような三次元的な音では聞かれていません。

その三次元的な音は、トラバドールだけではなく、decolaもGRFもそのようになります。ひとしきり、トラバドールの音を聞いていただいた後、デコラのサウンドを聞いていただきました。最初は、モノラルのように聞こえていた音が、いつの間にかどんどん音場を拡げて、奥行き方向も鳴り始めます。魔法の機械ですね。

そして次に聴かせていただいたDECCA デコラが歌うオペラのステージはとても説得力のある、ダイナミックかつ魅力的なcomplete systemであることを証明するかのようでした。

最後には、一時的に接続がはずれていたGRFをわざわざ戦線復帰させていただきまして、初期版LPおよびBR-62の本当の力をお見せいただいたのです。(最後のが一番スゴかったです)

B-62+GRFの音を納得していただき、よかったです。最後に二人で、B-62をお車まで運びました。取っ手はあるのですが、あまりの重さに腕がちぎれるほどです。20年前に購入したときは、一人で簡単に運べましたが、老人力には敵いません。次の愛用していただく方にお渡しできてよかったと思いました。Nagra T-Audioの倍以上あるのではないでしょうか?その重量も含めての音なんですね。
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沢山あるテープレコーダーから順番に手放しています。まだ複数台あるNagra T-Audio(2track)BBC仕様と、Nagra IV-Sは、お問い合わせ下さい。それと、高価ですが、38/2トラのマスターテープそのものや、ダブもあります。ソースが無いテープレコーダーでは意味がありませんから。




夜香さんと横浜のMさんが (1)

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先日のAionさんの評判がよかったので、少し自信をつけ、一番怖い?お客様の夜香さんと横浜のMさんをお招きしてTroubadour80+TW3を聞いていただくことになりました。Mさんは、同じトラバドール80と大山さんの特注の46センチダブルウーファーT2Wをお使いですから、聞かれる音楽の分野の違いと、T2WとTW3の差を、聞いていただくことになります。また、Mさんは、プロトタイプも聞いていただいているので、最終形でどの様に進化したかも検証していただきたかったからです。

先日のAionさんがいらっしゃっるときは、当初は以前と同じに夜香さんと来られる予定でしたが、あの時はi さんも来られるので、クラシック専門の会になるので、別な日に夜香さんと横浜のMさんを、ご一緒にお招きして、辛口のご批評を受けようと覚悟致しました(笑)。前日は、B-62の引き取りの日だったので、GRFもDecolaもつないだままで、すぐに鳴らすことは出来る様にしてあります。

夜香さんはわたしとは聞かれる分野は違うので、じつは大変難しいお客様です。ただ、先日、長年愛用されてきたATCを中心としたSPシステムから、何とJBLのオリンパスに換えられたばかりです。まだまだ調整中で、お伺いした時のような音の水準には達してい無いそうです。それは、そうだし、長い坂道を敢えて上り始めた勇気と大きな夢の目標にあえて難しい相手を選んだ心意気が素敵ですね。

かたや、Mさんは、ご自分の夢の実現でもある、オーディオではなく人々が集い、音楽やワインを楽しめる空間をプロデュースされたばかりです。お二人とも、長年、オーディオに公私ともに関わり合ってきたベテランですし、確実に一歩づつ目標に近づいてくる生き方はに驚嘆しています。素晴らしい人生です。Mさんも、Troubadour80を使われています。それに去年は何回もヨーロッパの演奏会にも行ってこられました。コンセルトヘボウや、ベルリンフィル、ウィーンフィルも行かれて、生の音を浴びてこられています。

そのような、お二人にお聴かせするのに、緊張しないわけはありません。最初に何も聞いていただくかが大事なので、朝から考えておりました。それでもいつも聞いているCDからはじめて、徐々にペースを上げていくことにしました。アプローチは、夜香さんとは反対ですが、そうして、音を徐々に調音していこうと思いました。

今日お聞きいただくCD群は、用意してあったのですが、B-62の移動で、場所が少しずれて、最初に掛けるはずの盤が見つかりませんでした。それで、私が深夜にスピーカーの位置合わせに使っている、アバド・ウィーンフィルのブルックナーの第4楽章からスタートしました。いつも聞くぐらいの小さなボリュームだったので、お二方には、小さすぎたかも知れません。昼間と深夜では、暗騒音が違いますし、クーラーの音も大きく、私自身が聞く指標にしている空間を埋める弦楽器類が、聞こえないのです。お掛けしていて、お二人のお顔を見ると、何が変わったのかな?という怪訝な表情もされています。それでも、夜香さんはいつものGRFサウンドだとフォローしていただけましたが、Mさんは、あまり代わり映えがしないな〜というお顔です。やっぱりと思いました。昼間、この曲を掛けても、真価が分かりにくいのです。

早々に、次のアルバムにしましょう。今日は、クラシックを止めて、最初からポピュラー物から行けば良かったと思ったのです。こうなると次々と掛けて行かざるを得ません。Mさんからは、GRFヒットパレードと言われてしまいました。それではと掛けたのは、定番のサンサーンスの第三番の二楽章です。静かな演奏の中に、パイプオルガンが静かに浸透してきます。それでも、まだ地味かなと思って居ました。
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静かな楽章が終わりました。超低域の音を聞いていただき、この音をアンプ一台でやっているのですか?聞かれました。よくぞ聞いてくれたとばかり、是枝さんのアンプの説明をしました。ふむふむ、、、

次ぎに掛けたのは、ピリスとアバドのモーツァルトのピアノ協奏曲第14番です。明るい音色で若いモーツァルトが疾走していきます。この盤は、オリジナルの1993年盤と、111曲のDGGの赤箱、それに最近買った、ピリスとアバドのモーツァルトピアノ協奏曲集の中の盤と、三種類あるのです。冒頭の五分ぐらい、ピアノが出てくるまで聞いて、赤箱の盤を掛けてみました。音がくぐもっています。香りがないのです。その差は大きいですね。今一枚の協奏曲全集の方は、まあまあですが、やはり違いますね。再版盤はモニターが違うのでしょう。マスターを作り直さないで、前の盤をそのまま使えばいいのにと思いました。

再発盤を出す方は、この音質の差を認識しているのでしょうか?でも、比較しようにも前の音を聞いていなければ解りませんよね。大きな問題です。再度一番最初に掛けたオリジナル盤を掛けました。夜香さんもビックリの差でした。ピアノをならしているうちに、だんだん音もなってきました。やはり立ち上がりに時間は掛かります。ピアノが鳴り始めると、ますますCDの差が出て来ました。しかし、最近のオーディオ装置では、この差が出ないのかも知れませんね。ヘッドフォンが主体の時代ですから。次ぎに、ピアノ協奏曲全集から2012年の録音の第27番を聞いてみました。こちらは、オリジナルとはそう大差はないと思いましたが・・・
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次は定番のピアノソナタのK.457の聞き比べです。装置がだいぶなってきたので、全集の方も悪くは無いのですが、聴き比べるとW.Germany製のオリジナルには敵いません。Mさんから、プロトタイプの時よりは、低域の繋がりまったく違うと言われました。大山さんと試行錯誤しながら作ってきたところです。Bellwoodさんからも、三号機の時は言われましたね。丁度、ウーファーと繋がる300Hz付近の音が瘠せるのですね。インピーダンスを平滑にして、化粧をするのではなく、低域に関しては正攻法で攻めていきました。結果として、ワクワクするような音が出て来たのです。そこがコンシーケンスのオーディオ的には最高峰だけど、音楽の楽しさが違う様に思います。その差も、実は1ミリの調整で変わります。

ピリスのピアノからアルゲリッチのピアノに換えてみました。左手の迫力が変わります。クレーメルとのプロコイエフのアルバムです。いぜんは音がきつくてなかなか掛からない盤でした。冒頭のアルゲリッチの低弦が良いですね。難しい曲ですが曲に聴き惚れます。ピアノのスケール感が違います。嬉しくなりました。この辺で、乾杯でしょう。先日仕入れた、イタリアの高級発泡酒です。卸元の在庫一掃品ですが、レストランでたら、ピリスのソナタと協奏曲の全集が、すべて買えるほどのグレードです。久し振りの気分の良い乾杯ですね。さすがに美味しかったです。

調子が上がってきたので、この辺りから、定番のCDがどんどん掛かります。Mさん言われるところのGRFの大行進だそうです(爆)。まずは、アーメリンクの「楽に寄す」です。CDが出たときの有名な盤ですね。初期盤の薄い蒼の盤が大切です。そして、白井光子さんのブラームスも。なかなか、この音はでないとMさんから褒められました。さっそく、発泡酒の壜を取っ手【飲みねえ〜飲みね〜、江戸っ子だってね〜、神田の生まれよ」と言う調子で、ワインをしっかりとお注ぎました(爆)。楽しいですね〜。




夜香さんと横浜のMさんが (2)

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まだまだ楽しい時間は続きます。定番のCDを掛けていきました。まずはハーディングのマーラーの10番の第五楽章です。冒頭の大太鼓から暗いチューバの不気味なテーマが鳴り響きます。この部分を聞くと木曜時代劇の「風の果て」のテーマ曲を思い出します。その大太鼓が深く響いていきます。フルートの音色がしずかにはじまり、美しく上昇していきます。その音が浸透していくところが好きでいつも聞いています。やがてオーケストラ全体がクレッシェンドしていき冒頭のテーマが鳴り響くのです。そのクレッシェンドが盛り上がる様を聞いていただきました。10番は、クック版の第三稿の第二版に基づいた演奏です。ハーディングのデビュー盤でもありますが、この演奏を聴くといかにウィーンフィルが素晴らしいか実感します。その5楽章を楽しんで頂きました。
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クラシックの重い曲が続いたので、一息入れましょう。何時もテスト盤に使っているMuddy WatersのFolk Songです。スタジオ録音ですが、エコーが聞いて迫力有るMuddyの声が奥深いところから聞こえてきます。いい感じですね。男っぽい感じがよくでています。胴間声で調整を重ねましたから、次ぎもでディーンマーティンを聞いてみました。こちらは、 音の取り方が古いタイプで、HartleyやGRFのような昔のタイプのスピーカーが向くようです。夜香さんやMさんの様にJBLでこの手を聞かれる人には、少し物足りなかったでしょうね。この曲は、目標ではないので仕方が無いと思っています。それでも、お二人を前にこのような曲を掛ける勇気を買って下さい。
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少し気分を変えたので、大行進を続けましょう(笑)。ここでいつもの、ハイティンク・コンセルトヘボウのショスタコヴィッチの15番です。オーケストラは、だいぶまとまってきました。その分全体像を捉えていますから、室内楽の様な近接感は物足りなく感じるかもしれません。しかしじっくりと聞いていただきました。
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先程のピリスも良かったので、イザベラ・ファウストとメルニコフのベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第九番を掛けてみました。ピアノ中心にした曲はまとまっているし、迫力も有るとMさんも褒めてくれました。うれしいですね。
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二時間通しで聞いていただいたので、Mさんのご持参のピノを飲むため、音楽を離れ別の部屋に移動しました。そこでは美味しいワインを飲みながら、最近の夜香さんのオリンパスの話を中心に盛り上がりました。Mさんのパラゴンと同じ様に外観は維持しながら新しいアプローチでいろいろ実験をする話が次々と出て来ます。夜香さんのいま切り替えるという決意も聞き、中音はいろいろなヴァリエーションが考えられますから、どちらの方向に進んでも楽しみです。大体、LE-8Tが入ってきたときから、舞台は回ったのです。夜香さんの覚悟を聞いて応援したくなりました。

二本目のワインも開けて、歓談は絶好調です。良い音がするスピーカーはどこのメーカーでも良い音だと言いました。夜香さんは、ネットワークが健在なので、ConeQを掛けて,新しい時代の音も目指すそうです。シンプルなLE-8Tを基軸にしてどこまで夜香さんが良い音を出すか楽しみは尽きません。Mさんも、夜香さんの挑戦にエールを送って、いろいろなノウハウを説明されていました。楽しいですね〜。今日のテーマは明るい胴間声の再現です。オーディオは暗い物だと思われています。明るい音を出す方向が大切ですね。

後半は、武満徹のノーヴェンバーステップスからはじめました。この段階で、始まってから四時間も経過しています。楽しい時間は短いのです。小澤さんとサイトウキネン盤、ハイティンク・コンセルトヘボウ盤、若杉弘と都響の三つがあります。私は、ハイティンク盤が良いのですが、世評はそうでもないようです。話は、どんどん拡がります。夜香さんは技術者ですから、このSPの360度拡がっている音には興味を持って頂きました。音が消えます。音楽はどんどんかかり、三年前、夜香さんのところで掛かった、今井美樹の私はピアノも掛かりました。音が薄いのは覚悟の上ですが、どの様に違って聞こえるかが大事ですね。

ダイアン・クラールの初期のアルバムの声は良い音でしたね。それと反対ななのは、パトリシア・カースがオランピアでピアフを歌った人工的なアルバムはやはり妙な音でした。シンセサイザーから直接繋がっているような音に、エコーが二重に重なりここまでするかというアルバムです。会場の音場は無いのです。それでも人工的なエコーは充満していました。再びダイアン・クラールの新しいアルバムからデスペラードです。オンマイクの人工的でも違うアプローチを聞きました。Mさんは、いままでの音作りとは違うので、エンジニアが変わったのではと言われていました。
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口直しに、素直な録音のボサノバを掛けてみました。じっと聞いていたMさんが一言、クラシックはトロバドール、それにこれらの曲にはJBLにが必要では、でもGRFが有るから良いかと!と言われてしまいました。そういう個性的な録音にはJBLが良いそうです。それならばそのままの素の音はと、Toddさんが録音したフリューゲルホーンとギター、ベースのトリオを掛けました。こういう素直な録音は、良い音がするとお二方からお墨付きを貰ったのです(笑)。心に浸み入るフリューゲルホーンの音は本当にい音です。ワンポイント録音でステレオ録音されたベースの音はなかなか聞くチャンスは有りません。ジャズの録音では、殆どが近接のモノラル録音だからです。リンダ・ロンシュタットのデュオアルバムも聞きましたが、Aionさんが持って来られたという、グレゴリアンチャントから、聞く音楽の流れが変わりました。

夕方から夜の帷が降りてきました。この辺りで、もうワインは3本空いていますから、どういう切っ掛けでGRFの音を聞き始めたのか、良く覚えていません(爆)覚えているのは、とても楽しい時間だったと言う事です。翌日、沢山レコードが乗っていましたから、盛り上がったのでしょう。それから、近所のレストランに行き、いま1本ワインを開けたように思います。お二人とも、それから、一時間から二時間電車に乗っても取られたのですが、私は気がついたらソファーで寝ていました。楽しい晩でしたね。

中央道 神坂パーキング

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名古屋方面から,中央高速を上ってくると、恵那山トンネルに入る直前、岐阜県側最後のパーキングが神坂PAです。恵那山トンネルをくぐってホッとするところなので、お蕎麦を食べに下りのPAはよく利用します。上りは、恵那山トンネルの直前なので、頑張って追い越し車線を走っている事が多く、帰りは夜が多く、殆ど寄りません。今日は、大阪から早めに戻って来たので、夕方日がある内に神坂に来ることが出来ました。冬は寒くて出来ませんが、夏、陽がある内に到着したら行きたいところが、神坂のそばにあるのです。
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木曽は山の中です。この写真は、10年前のところと同じところですね。10年前も古びていましたが、1975年にトンネルが開通したときは、交互通行で、すれ違いも怖く、とても長く感じました。 1985年以降は上下別々になりました。75年からはもう40年以上経っているのですね。
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パーキングにも看板があり、馬籠宿一キロと書いてあります。
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丁寧な看板です。前からこれを見て、時間があったら行きたいなと思っていました。真冬は寒すぎますが、今日は暑い日です。少し手前の岐阜市内では、車の温度計は、41度を示していました。ちなみに窓を開けてみると息も出来ない程の暑さです。その中を走ってきましたから、恵那山トンネルまで上がってくるとだいぶ涼しくなっていました。それでも、蒸し暑さは残っています。ゆっくりと行ってみることにしました。
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最初はこんな感じです。緩やかな上りです。左手の方に学校が見えます。
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近くに来ると、小学校と中学校が一緒の場所です。山の中です、一体何人の生徒が来るのでしょうか?
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解りやすい看板が立っています。
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でも緩やかな上りが続きます。ゆっくり登っていくと振りかえるとだいぶ登っているのが解ります。
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下を見ると分かりますね。
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半分ぐらい来ると近道がありました。狭くて急だけど距離は半分ぐらいです。
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階段を下りると休憩所がありました。見晴らしの良いところです。一休みしましょう。汗が噴き出てきました。やはり暑いです。
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そこからは下り坂です。下りると橋がありました。そこから下を見ると、
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丁寧に魚道が作られていました。急な傾斜を登ってくるのでしょう。魚道を見ると人の優しさを感じられて気持ちが良いですね。
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そこからは、また上りです。
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登って振りかえると、今来た山の中の雰囲気が良くわかります。そこを登ると車道に出て、コーナーを曲がるとそこが、馬籠の宿です。
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宿場は、この道を上に登っていきます。子供が小さい頃、来たことがあります。もう遙か昔ですね。今日は、もう行きません。宿場に来るのが目的でしたから。外人の夫婦が多いのが目だちました。
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分かりやすい看板が作られていました。昔は何も無かった気もします。普通は宿場町は、平坦なところにあります。隣の妻籠もそうですが、馬籠は急な坂に沿って宿場街があります。いかにも山の中です。
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しばらく休んで、汗を冷まし、また来た道を戻りはじめました。
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越えてきた橋が見えます。あそこまで下がるのですね。
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いかにも山の中の木曽の山々です。
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この実が付いている木は何でしょう。ツバキの実のようにも見えるのですが・・・
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上から見た魚道の上の木は、もう紅葉が始まっているのでしょうか?それとも葉が赤い色しているのでしょうか?
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先程の休憩所に戻ってくると、もう陽はかげりはじめていました。
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車道の風景も夕方になってきたようです。私はこういう何気ない風景が好きです。
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農家の家の前に植えられていました。きれいな夏の花です。
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高速まで戻って来ました。僅か二キロほどの道ですが、戻って来たら小一時間経っていました。さ、これからゆっくり茅野まで戻りましょう。この分だと茅野も暑いだろうな〜

走行距離が222222キロ

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先週、大阪まで車で行ったとき、とうとう走行メーターが222222キロを示しました。五年前の記事に111111キロに達したと書きました。次の111111キロが五年かかっているわけですから、以前の4年間と比べて明らかに車での移動が少なくなっていますね。それでも、まさか、この車で22万キロも乗ると思ってはいませんでした。2006年に購入したのですから、10年間同じ車に乗っているわけです。車が丈夫なのでしょう。ドイツでは、30万キロ乗らないと買い換えないそうですから、まだまだ走れることになります。
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二泊三日での大阪行きでしたが、暑い道中でした。思い書類を入れた荷物を引き摺ってホームを乗り降りするのが、この暑さでは大変だったので、今回は車にしたわけです。先週は東日本は、所々雷雨が振っており、この日も途中で三回ほど集中豪雨に遭遇しました。一番凄かったのは、新東名の新城から豊田東への新しい道を走っているときでした。突然、前が全く見えないほどの雨になり、トラックに挟まれて怖い思いをしました。幸いにもトンネルに入れたので助かりました。長いトンネルの反対側は、雨は一滴も降っておらず、酷暑の夏の空がぎらぎらとしてました。

亀山から、名阪を通って大阪に着いたのは、6時半を回っていました。夜になると関西地区も所々雷雨に襲われていて、松原線から環状線に入る頃には、また物凄い豪雨のカーテンをくぐりました。梅田の辺りは一滴も降っておらず、暑い空気に覆われていました。今夜は空いていた大阪駅の上のホテルです。見慣れた風景が反対側から見れます。
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お腹は空いているのですが、暑い中遠くに行くのはいやだし、大阪駅の桜橋側のアーケードに行って、外人ばかりが入っているお好み焼き屋で、モダン焼を頼みました。夜遅く、粉物を食べるのはタブーなのですが・・・
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次の日は、終日大阪にいました。夜は、また安い宿を探して、少し不便な中之島のホテルにしました。昔、よく来ていたところです。その頃通った八階のバーはありません。チェックイン時のフロントの対応が丁寧すぎて、15分も掛かりました。昔はこんな事は無かったとフロントマンにこぼしたら、予約してあった部屋が無かったのでしょう、先日の札幌と同じ様にスイートルームに通されました。しかし、部屋は何十年前のつくりで、次の間つきなのですがグレードが上がったのかは良くわかりませんでした(笑)。
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翌日は、地下の駐車場から出て来て、事務所近くのパーキングに駐めていたら、暑くてドアノブが触れないぐらいになっていました。

夜香さんと横浜のMさんが 盤?外篇

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先週の楽しかった会で、最後の方になってアナログレコードを聞いた覚えはありますが、出ているレコードを見て、酔っ払ってこれらの沢山のレコードを掛けたのかは覚えていませんでした。みんなで酔っ払って盛り上がると、レコードを掛けてしまいます。昔は、それで針を飛ばしたこともありましたので、酔っ払ってからはなるべく掛けないようにしているつもりなのですが、気持ち良くなると見境もなく掛けてしまうのは、本当に困った習性です。 

ワインを3本以上あげて、暗くなってきた頃になって、Mさんや夜香さんのお持ちになったCDを掛け始めました。夜香さんがお持ちになったDIDOのSafe Trip Homeというアルバムの一曲目のdon't believe in loveがビートルズのCome togetherのイントロにもにた曲で面白かったですね。Mエヴァ・キャシディなどが良い音でかかったのは覚えています。MさんのところのTroubadourよりParagonの音に似ていると言われました。

ワインの代わりに、ラフロイッグが出て来て、どんどん盛り上がっていきます。柴田淳も、辛島美登里も、リンダ・ロンシュタットのデュオアルバム、先程のエヴァ・キャシディのField of Gold、Autum Leaves・・・お二方のお好きな音にどんどんなっていくのは、おもしろいですね。私の盤から、パトリシア・バーバー、定番のグレース・マヤモナリザ、杉並で録音した一連のJazzアルバムも久し振りに聞きました。元のファイルとCD用にマスターリングしたオリジナル盤も。そして、最後に定番のフランク永井も良いですね〜。夜香さんのご年代だとフランク永井は、やはり聞かれていません。
 
ここで、フランク永井に行ったところから、恐らくレコードに行ったのだと思います。何時もお掛けするのが、森進一のライブアルバムですから、我ながら古いですね。この辺りは、やはり夜香さんの年代の前ですね。それはそうです、ナレーターが芥川隆行ですから(爆)。こうしてGRFを聞いてみると、同じ人が同じ部屋でならしている音は、装置が違っても同じになっていくのです。最近はGRFのオリジナルを買われるかたも多いようですが、今は、コーナー型のオリジナルは全く高いですね〜。昔のSPを昔のアンプでならされるのではなく、古い器に新しい酒を入れるのも一興ですが。
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銀巴里での金子由香利の再会、谷村新司の「陽がまた昇る」「昴」の武道館ライブ盤、アズナブールの新宿厚生年金、尾崎紀世彦のライブ、・・・この辺りのアルバムをレコードで聞くと、GRFの素晴らしさが分かってきます。もっとも、相応に酔っ払っていなければダメですよ(爆)。音に包まれる安心感と、悠揚と流れる大河のようにGRFの音は鳴るのです。最新の機器の追求と古い機器を愛することが大事です。

越路吹雪も掛かりました。これは79年の日生劇場の実況録音盤です。何時聞いても良い演奏と録音だと思います。アナログには、身を任せられる音があります。アナログが良いか、CDが良いかという論議になりがちですが、私自身は、テープもやっていますから、アナログの本流はテープだと思います。その上で、40〜50年前のアルバムは、やはりレコードで聞くのが、我々の耳に馴染んでいるのだと思います。私がCDで聞いているのは、やはり音場と言う事になります。音だけ聞いているのでした、うまくデフォルメされたレコードの老獪さにはなかなか対向できません。だからと行って、若い人がCDをしっかりと追求しないうちにレコードに行くのは、いささか疑問だと思ってもいます。

私自身は、お酒の入らないときは、真剣にクラシックをCDで聞いています。コンサートホールの空間が再現出来るからです。お酒が入り、昔の曲を聞くときは、それは必然的にレコードです。しかし、同じ曲がCDであれば、最近はCDを優先して掛けています。アナログだから、CDだからという表面的な音の差ではなく、歌手を聞いているか、コンサートホールの音を聞いているかの差だと思っています。そのいみで、クラシックを演奏会場で聞かれない方は、レコードの音がオリジナルなのでしょう。

今回は、CDの音も、その後のGRFのアナログも、お二方にはご評価いただきました。酔っていましたが、夜香さんが、今日のGRFの音がHIFIだといわれたのは、微かに覚えています。GRFの方は何も変わっていません。トラバドールの音が熟成してきて、両方の音の相乗効果で良い音になったのでしょう。本当に楽しい晩でしたね。

Mさんのご感想を、お待ちしていますね。





 

思いの力  横浜のMさんのご感想

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連日オリンピック中継に釘付けになっている今日この頃である。

結果を出した選手のインタビューを聞いているとどれだけの強い思いの蓄積で今日のこの日があったのかを考えてしまう。

思いの力・・・・・。

まさに私には想像もつかない領域の話であるのだが、私はそれを最近オーディオでも体験した。GRF邸 ”トロバドールのある部屋”を訪問したのである。

ジャーマンフィジックス/トロバドール80は360°放射のドライバーを2個重ねたユニットで評論家のS先生が愛用されている。そして 私も使っている。

そのエネルギー感は大変強烈で雄大。ともすると御しきれず声や弦楽器が微妙にきつめに感じることがある。それを調整していくとこんどは声等の定位がやや曖昧になることがある。

どうしたものか。

底知れないポテンシャルを感じながら徐々に追い込んでいく。だが、まだまだ攻略仕切れていない。歯がゆさを感じていた。

前回、GRF邸を訪問した時はウーファー部はまだプロトタイプで未塗装状態。GRFさんは何回も試作、試聴をくりかえしてこのプロトにいたったのだ。

音は正直、よくも悪くもウチとそっくりなトロバドールサウンドだった。ふうむ・・やっぱりそうか・・妙に安心したりもした。弦楽器がややきつかった。

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ところがである。

Aionさんの最新のGRF邸訪問記で、

「トロバドールシステムが完成しすばらしかった。オーガニック系で”ほのかな官能性”のある音で、そしてあたかもそこに生命があるかのような音だった。」

との記載があった。それは私にとってはたまらない表現なのである。「なにぃーーーー」とばかりに早速夜香さんといっしょに訪問した。

どんな音なのか? なにをされたのか?

トロバドールの下にはメープルの木目に美しい塗装が施された完成版のウーファー部があった。BOXの素材はシナ・アピトンに変更され8インチのウーファーが前後に取り付けられている。塗装色によっても音が違うそうだ。ネットワークの細心の調整、トロバドールの下にひかれた天然ワイン用コルクの選択などこだわりのポイントが満載である。

何枚かオーケストラのCDが比較的小音量でかかり・・・ピリス/アバド のモーツァルト14番、定番ピリスのK.457がかかった。ともにドイツ盤と音源が吟味されている。

ピアノが・・・・。左手の充実度が凄い! 何気ない、いや何気なくないのである。いつも聴き込んでいるCDなのでよく感じとれる。本来クロス付近この場合250~350HZ辺りがやや曖昧になりそれが普通なのだがその曖昧さが全くなくシームレスに流れていく。ウチのトラバドールにはないものだ。
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それが如実に現れたのがアーメリンクの「楽に寄す」。ピアノは前述した通りだが今度はソプラノが・・・一切きつく感じることなくふっくらしている。好きなこの曲に浸りきることができる! 心地よい男性ヴォーカルの表現に胴間声があるがなんとそれをソプラノにも感じられるとは。中低域の漲る充実。恐るべし!!

白井光子のブラームス!これにはもはや脱帽である。このナチュラルサウンドは本当にCDの音だろうか?演奏者本人に聴かせてあげたい。適度に広い音場の中に溢れるような声量、声の色の変化が見事に聴き取れる。
これほどのレコード演奏はなかなか体験できるものではない。感動した。

DGのアルゲリッチ,クレーメルとのプロコフィエフ弦とピアノの重心が高めになりがちで再生が難しいCDなのだ。がそんなことは微塵も感じられない。思わず曲にのめり込む。

エヴァ・キャシディーのライブ枯葉が特に良かった。このライブの後、わずかで亡くなってしまった。天才歌姫の歌声にジンとくる。この表現はウチのパラゴンに似てるなぁ(ふふふ)

私の表情を読み取ったGRFさんはスペインのスパークリングをゆっくりグラスに注ぎ始めた。(笑)良い音、良い音楽はワインが進む。3人で4本空けてしまった。

何度もウーファー部の試作を試み執念でありえない境地に達せられたGRFさんのトロバドール。私もだいぶネジを巻かれた。

思いの力の凄さを改めて感じさせてくれた1日となった。

お開き近くなり御本尊GRFが登場。やはり他に追従を許さないステージ感や弦の美しさは圧巻であった。フランク永井から始まった歌謡曲大行進はやはり酔わせる。GRFさんの真骨頂であった。

GRFさん長時間ありがとうございました。

横浜のMさん 此方こそありがとうございました。ようやく完成したトラバドールのシステム、Mさんにも夜香さんにも気に入って頂いたようです。次は、横浜でやりましょう!

K&Kさん邸 訪問記

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祝日の午前中にお邪魔するK&Kさんは、4チャンネルによるマルチ再生をされています。私のアプローチとは正反対で、尚かつ奥さまの弾かれるグランドピアノの防音と響きを大切にされて、石井式のスタジオにリフォームをされておられます。マルチチャンネルと石井式スタジオという、普段私がしていない正反対のアプローチで音作りされてきたK&Kさんのお宅にお伺いしようと思ったのには理由があります。それは、K&Kさんが書かれたこのCDへの賛辞からです。それに対して、このCDには、とてもひどい目にあったといわれるhijiyanさんの反論と聴き方の違い、そしてその問題のSACDを聞きにhijiyanさんがK&Kさんのお宅まで出かけたという記事でした。

私自身は、昔のレニングラード・フィルのサントペテルスブルグフィルの演奏は、昔聴いただけですが、一見ムラヴィンスキーの時代と同じ様な演奏スタイルですが、一番大事な何かが無いと思って聴きに行かなくなりました。特に、あのオーケストラとマーラーとが自分の中では結びつきませんでした。しかし、マルチチャンネルで聞けば、この演奏がとても良くなるというのは、いろいろな意味で興味が湧きました。早速、そのSACDをアメリカから取り寄せ聞いて聞いてみました。演奏が特殊ですから普通のCDとはダイナミックレンジがまったく違います。家ではマルチチャンネルをやっていませんから、CDレーヤーとSACDレーヤーの音の違いしか分かりませんが、その音がまったく違ったのです。そして、hijiyanさんの訪問記では、肯定も否定もしていませんが、しっかりと鳴ったと書かれておりました。ぜひ、マルチチャンネルプレーヤーでの音も聞いてみたくなりました。
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K&Kさんとは、今年の五月の連休の時に、Harubaruさん邸でお会いしています。その時ご一緒したのが、横浜のvafanさんとBOさんだったのです。一度お邪魔しますと言ったまま、お二方のお宅にお邪魔するチャンスが生まれませんでした。しかし、五月の連休の次ぎに自由になるお盆休みの初日に、お二方のお宅にお伺い出来たのです。

当初は、新しくできた休日の午後にBOさんのところへ訪問する予定の日でした。BOさんお宅は、田園都市線のあざみ野、K&Kさんは、Harubaruさんと同じの厚木です。東京から見ると同じ方向なので、簡単に行けると思いがちですが、一方は小田急線、今一つは田園都市線ですから、厚木からは相模大野で江ノ島線に乗り換えて、中央林間から田園都市線の急行になり買えなければなりません。移動時間は45分ですから、新宿に戻れてしまう時間が掛かるのです。しかし、自由な時間が取れない最近のスケジュールから、ダブルヘッダーを決行しました。

前日は渋滞の中、東名を往復して、帰って来たのは夜遅くになっていましたが、オリンピック観戦もそこそこに早くでて、新宿駅からロマンスカーに乗りました。連休の日なので予約が無いと難しいと思ってインターネットで取ってありました。予想通り、ロマンスカーは家族連れの家族で一杯です。ところが子供たちは、乗ってくると外の景色には一向に構わず、ゲームに夢中です。こんな小さいころからゲームばかりやっているこの国、いやこの世界の明日を思いやられますね。

約束の時間に厚木に着くと、駅前のロータリーでK&Kさんのお車が停まっているのが見えました。お宅は、厚木市郊外の研究所などが多く点在する地域に隣接する住宅地です。近くに大学もあってバスの便なども良い地域です。
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奥さまが、ピアノの専門家で、奥さまの音楽室と、K&Kさんのオーディオルームを繋げて大きな部屋にしたそうです。その際に、石井さんにも来ていただき、本格的な防音設備を施されました。元の押し入れの柱などは残っていますが、結果的には、20畳近くの面積を確保した本格的なスタジオになっています。これだけ大きくなると、空気の量も多くなって圧迫感はありません。ピアノを本格的に弾かれる場合でも大丈夫ですね。ご愛用のグランドピアノは、スタインウェイのB-211(ツヤ消し塗装)です。一般のお宅では滅多に見られない逸品です。奥さまに無理いって音を聞かせていただきました。個人のお宅で間近に聞くスタンウェイのグランドピアノは、さすがに切れ味鮮やかです。この生の音を毎日聞いて、装置のチューニングをしているので、期待が高まりました。
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はじめに選ばれた曲は、ツィメルマンとキョン・チョンファによる、リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン曲です。西ドイツ版のオリジナルです。最初から良い音がしました。ピアノの響きがツィメルマン特有の冷静だけど熱い音です。そしてキョンファの切れ味鋭いヴァイオリンが静かに流れてきます。左側に配置されているスーパーウーファーも鳴っているのでしょうが、ほとんど分かりません。お願いしてそのウーファーの音を切って貰いました。30Hz以下しか鳴らして無いのですが、やはり切ると変わります。この盤は、ツィメルマンとキョン・チョンファという組み合わせですから、聞く方にも相応の覚悟を要求されます。私もしばらく聞いていません。
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スーパーツィーターの位置は、一番上にのっていますが、仮想同軸で聞かれる場合は、そのツィーターの間にいれます。K&Kさんもその構想で、新しくキャビネットを作られる予定だそうです。前に見えるアンプは、下段がウーファー用、上段がツィーター用とスーパーツィーター用のステレオアンプとして使われているようです。組み合わせでは、右側のアンプをツィーター用とスーパーツィーター用の上下二段で使う方法もありますね。現在の方法だと、そのツィーター用とスーパーツィーター用のアンプを中央に配置して上下二段で使う方法もあります。

K&Kさんは、作曲家ではドビッシーやラベルがお好きなのだそうです。二人ともフランス系だし、もともとはピアノ中心の作曲家ですね。次ぎに掛かったのは、私も好きなヤンソンス・コンセルトヘボウのラベルのラ・バルスでした。マルチチャンネルですね。お使いのSACDプレーヤーは、oppoの105Lmitedです。どの様なディスクにも対応できる万能プレーヤーですね。私も持っていますが、映画用に使っています。後ろの左右にも前方と同じHS-500が配されていて、音の統一性を保っています。マルチですが、ほとんど分からないほどのバランスで鳴らされていますから、音が立体的に鳴ったと感じて分かるぐらいです。K&Kさんは、5チャンネルではなく、前方は、二つだけの4チャンネルですから、マルチで鳴っていても、通常のステレオとそれほど違和感がありません。
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映画ではないので、しっかりとステレオが再生される装置では、前方中央のSPは必要ないのではと思っています。それがなければ、前方の音が左右に分かれて、第二ヴァイオリンやヴィオラの音が再現しにくいと言われる方もおられますが、その段階では正しい位置に置かれていないか、ホーン型のスピーカーで指向性が狭く、充分なエリアをカバーしていないからだと思っています。聞かせていただいている4チャンネルで充分ですね。コンセルトヘボウの前方席の音がしています。いいですね〜!

マルチになると、定位がはっきりします。逆に2チャンネルに戻すと、幾分音が左に寄っているのが分かりました。それは右のスピーカーの角度をほんの少しだけ変えればすぐに調整でいる範囲です。それより、スーパーウーファーの音量が少し大きいのではと感じたぐらいです。その位置が左前方なので、その分アンプが右寄りになり、その差を取るために、右側の音量がほんの少し小さいバランスで鳴らされているのではと感じました。それも、ほんの少しの差です。

持って来た定番のショスタコヴィッチの15番も聞かせて貰いました。K&Kさんからこのディスクを何時もお聴きになられていますが、どのあたりをチェックポイントにされているのかと聞かれました。やはり音場感と楽器の音色ですね。この聴き慣れたディスクを聞くと、確かに上下のツィーターの間にスーパーツィーターがあった方が自然ですね。それとマルチでは、理想的なバランスで聞ける席が中央だけになります。私の理想は、音場が出ているときには、どの席に座っても、演奏会場の座る席の差ぐらいにしたと考えています。ですから反対側のP席の場所に行くと、ステージが前にあり、その向こう側の空間に音が放射されている様が出て来ます。そこがmマルチシステムと正反対だと感じました。内向きにされているSP配置だと、その交点氏かサービスエリアが無くなります。マルチでも、平行法があり得るのではと思いました。

さて、今日の訪問の目的の悪魔の演奏と言われる、ティルミカノフのマーラーの第5番を聞かせていただくことにしました。大爆発する終楽章ではなく、比較的落ち着いていると思われル第三楽章をお願いしました。家の装置では、CDレーヤーとSACDレーヤーの音の差が大きいのですが、一番の違いは音の定位だと感じていました。SACDの場合は、中央付近の音が聞こえるのですが、CDレーヤーでは、位相が反対の時のように中央の音が抜けます。それが、マルチにすると全く自然になるのです。SP間の間にしっかり、オーケストラの木管類も,低音楽器も並びます。このマルチは、録音も、4.1で5.1では無いようです。K&Kさんのお宅では、SACD盤がピッタリと合っていました。後は、この演奏スタイルが好きかどうかですね。

ご自宅で録った録音を聞かせていただきました。鮮やかの音です。マイクの場所や、残響の付加の方法をお聞きました。ピアノの凹んだところに歌手に立って頂き、45度の方向から録音されたようです。ピアノも歌手の人もうまい方で、とても安定しています。大変録音も素晴らしく、自家録音の優位性がはっきりと感じられました。この素晴らしい録音を聞かせていただいて、持参した白井光子さんのブラームスの歌曲集を聴かせていただきました。マルチチャンネルで無いと、幾分左に寄られているのを確認しましたが、マルチでお聴きになるときは問題ありません。低域の定在波を逃れるために、イコライザーで80Hz付近は落としておるようです。その影響が若干感じるのかもしれませんね。でも、音のバランスは素敵です。何時までも聞いていたい音ですね。

お昼には、奥さま手作りのサンドイッチを頂きました。山のお話しもお聞きして、横浜のvafanさんとは、近くの丹沢の山を巡る山行もされているそうです。今年も、シャモニーに二週間ほど出かけて、フランスアルプスを巡られるそうです。素晴らしい、理想的な定年後の生活ですね。

時間が来たので、近くのバス停まで歩きました。近くに学校があるので、平日は10分おきに来るそうですが、休日の今日は一時間に二本だそうです。その為、途中の停留所からも沢山の若い人が乗ってきました。本厚木まで戻り、BOさん宅に向かってK&Kさんと急行に乗ったのです。









BOさん邸へ

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BOさんとは、去年の五月の連休の時に、横浜のvafanさんのお宅でお会い致しました。その後、去年のお盆休みに六本木のフレンチレストランで再会して、美味しい料理を頂いた後、拙宅まで暑い中を来ていただきました。年末にも、vafanさんとご一緒に遊びに来ていただき、GRFの部屋の方のアナログのご感想も頂きました。

次にGRFが鳴り始めると、広い部屋一杯に立体ステージが広がり、眼前でオーケストラが鳴り、前川清が歌います。う~ん、素晴らしい。言うことないですよね。こんな音聴いてるひとは、日本で何人くらい存在するのでしょうかねえ。「本物の2チャンネルステレオ再生とはこういうものか」という印象でした。マルチチャンネルは不要!と言い切りましょう。

BOさんに、GRFならばマルチチャンネルは不要!といわれました。いつもお話ししているように、本当のステレオ再生が出来れば、必然的に立体三次元音像が出現するからです。特に、映画用に開発されたセンターチャンネルは不要です。ステレオの実験録音をしていたとき、はじめて自分のステレオ再生音を聞いたホロヴィッツは、どうしてSPが無い真ん中から、自分のピアノの音がするのかと訝ったそうです。

正しく定位された録音を聞くと、SPが無い中央から音が聞こえてきます。ところが、映画用のスクリーンやモニターを挟んで、正しく位置調整されないと、肝心な声が中央から聞こえて来ません。また大きなスクリーンでは、中央付近に座っていないと、真ん中に居るはずの主人公の声が、近くのSPから音が聞こえてきて、違和感を感じるようになります。そこで、センターにSPを置いて画と音を合わせているわけです。しかし、普通のクラシックなら、正しい位置にSPをセッティングすれば、音は奥行き方向や前面にも拡がり三次元の音がします。GRFでその音を聞いていただいたBOさんからは、この様な感想を送っていただいたのです。

私の感覚では、センタースピーカーがなくとも、後方の残響音が付加されなくとも、会場のアンビエンスが収録されているならば、通常のステレオで充分会場の音場は再現出来ると思ってやってきました。しかし、午前中のK&Kさんの4チャンネルマルチの自然な音を聞かせていただいて、マルチに制約があるとすれば、やはり試聴位置が中央席に限定されるという点だと思います。私のSPでも、Hartleyが中央の席だけが、特別に良い音がする装置ですが、その延長上にあると思いました。

この反対のアプローチは、部屋の中央付近までSPを出してきて、後方に空間を作る平行法です。この方法は、アンプ類は単純な装置で済みますが、部屋の中央近くをSPが占拠するので、専用のリスニングルームでなければ難しいです。もっとも、5.1チャンネルでも専用の部屋が要りますから、その点では同じですね。違いはやはりアンプの数とスピーカーの数、そしてその置き場所の確保です。映画ファンなら、特殊効果が面白いでしょうが、ピュアの音楽ファンには、よほど技術的にステレオを精通しているか、同じ様なアンプ類が揃えられるかが、分岐点になると思います。

その意味で、専門の技術者であられるK&Kさんは、マルチチャンネルに挑戦される条件が揃っていたと思います。同じ部屋に、スタインウェイのピアノもあるお宅は、私は、髙城先生以外には知りません。短い滞在時間でしたが、大変感心していました。このようにマルチを自然に鳴らされている方もいるのだと感心しました。

相模大野で、江ノ島線に乗り換え、快速だと次の駅が中央林間です。車では、246や16号線が混んだとき抜け道としてよく通るところですが、電車で来たのは初めてでした。通過駅の小田急江ノ島線と終点の田園都市線の駅では、東急の方が力が入っていますね。折り返し駅ですから立派なホームでした。長津田、青葉台と急行に乗ってくると、あざみ野はすぐです。お隣の多摩プラーザには来たことがありますが、あざみ野は初めてです。駅前は、それぞれ違いますが、出迎えの車で住宅街に入ると、田園都市線沿線の高級住宅地とは分かるのですが、どこにいるのかは分かりません。酔っ払って降ろされたら困りますね(爆)。その高級分譲地の中にBOさんの素敵なお家がありました。郊外の大きなお宅です。半地下室の専用オーディオルームに通されました。半地下と言っても丘陵地ですから、ドライエリアも低く外国の一階みたいなつくりです。
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その三分の一ぐらいのスペースを使った専用ルームは、この様な大きさですから、半地下室全体の大きさが分かりますね。娘さんのドラムセットなどが置かれたプレイルームは、先程のK&Kさんのスタジオぐらいございました。窓も防音しようですから、先程のグランドピアノが悠々と入る大きさに驚きました。

BOさんの名前の由来は、デンマークの高級オーディオメーカーB&Oから来ています。この部屋には、新旧含めて三セットのB&Oの装置がありました。メインでお使いなのがこのトールボーイ型のSPです。上下に2本づつウーファーが配置され、中央部分には上下対称で中高音と高音用スピーカーが仮想同軸で配置されています。特色は、五角形のユニークな形状です。本来は、一番下の部分にパワーアンプを内蔵しているのですが、現在は、パナソニックのデジタルアンプで駆動されています。

装置の一番の特色は、CDプレーヤの代わりに、リッピングされたWAVデーターをメモリーに保存して、それを入力に使われていることです。SDメモリープレーヤーとでも言うのでしょうか?その出力をデジタルアンプに入れています。雑誌では、見たことはありますが使われているのは初めて拝見しました。技術者であるK&Kさんも興味津々です。メリットは、CDプレーヤーやハードディスクの回転に伴う振動や時間軸のブレも未然に防いでいることです。早速聞かせていただきました。
 
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モーツァルトのピアノ協奏曲の12番です。ゼルキン・アバド、ロンドン響の演奏です。柔らかで、残響に包まれた音です。弦楽器やピアノの音が自然です。ハイファイ調ではなく、演奏会場の音が少し離れた音で鳴っています。良い音色です。感心しました。良くB&Oのスピーカーは、「繊細で上品」「透明感のある澄んだ音」といわれ、逆に「音に厚みや暖かみが無く、硬く人工的な音」といわれています。確かに、その傾向はありますが、サウンドステージ感や音の実在感が良く出ていると思いました。低域は、専用のスピーカーを足すだけで変わるでしょうし、アンプを換えるだけでも相当印象は変わると思いました。

K&Kさんとは、全く別なアプローチですが、音楽が鳴っているという点では、変わりませんね。今日のお二人の訪問は、当たりの日です(笑)。安心して音楽に浸ることが出来ます。ただ、初めて見るメモリープレーヤーには驚きました。電池で駆動させているボードだけが、フローティングされ、小さなスイッチがプレーとか早送りのセレクターになっている様です。液晶表示される画面から選ばれています。それらを記録した元のCDは順番にきれいに並ばれています。沢山のメモリーにどの様に入っているのかはBOさんは勿論ご存じです。手品師がカード操るように綺麗な音楽が流れてきます。モーツァルトのアイネクライネが流れてきた時は、一瞬夢の国に行っていました。

アンドレ・プレヴィンのピーターと狼の冒頭のところが流れてきますと、狼のテーマのホルンも迫ってきます。ショスタコーヴィッチの第5番の音を聞きながら、装置の概要を説明していただきました。単純だけど歴史があってこの様にシンプルになってきたようです。SPの後ろにも、横にもB&Oの装置が並んでいるのは、今までの歴史を物語っています。SPから出てくる音は、とりわけ低音がひくくまで出ているの訳ではないのですが、ショスタコーヴィッチのなかできこえるピアノの低弦の音や、チューバの音も弦楽器の響きも良いのです。家で言えば、デコラの音の様にいろいろ工夫がされているのでしょうね。迫力ある演奏で、どこのオーケストラだとお聞きすると、インバル・ウィーン交響楽団の演奏でした。デンオンのシリーズです。家にもあるはずだとジャケットは思い出しました。
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インバルと言えばマーラーです。先程、「悪魔の演奏」第三楽章を聞いてきたばかりの第5番の冒頭が掛かりました。ティルミカノフから比べると遥かに洗練された演奏です(爆)。言えていますね。インバルでは寝れますが、「悪魔の演奏」の方ではねている暇はありません。B&Oのスピーカーは、オーケストラの迫力有る音を、聞きやすくしてくれます。特にピアノの音が素敵です。そのピアノを聞いていて、少しだけSPの間隔を狭めてみたくなりました。BOさんが、飲み物を取りに行っている間に、左側のSPを3mmほど、内側に寄せてみました。戻って来たBOさんは、その音の差がすぐに解っって頂きました。K&Kさんも、粒立ちが良くなったと仰ってくれて、ほんの少し調整で、良くなったようです。

その後も、美空ひばりのスタンダードナンバーとか、沢山聞かせていただき、夕方には、奥さまの手料理の前菜を肴にビールや美味しい日本酒を頂きました。まるで料理屋さんか、イタリアンレストランのように鮮やかな料理が出てくるBOさんのお宅ならレストランに行く必要も無いですね。シェフを教育費用が掛かりそうですが(爆)。

楽しい晩はあっという間に過ぎて、最後はその奥さまに駅まで送って頂きました。BOさんごちそうさまでした。奥さまによろしくお伝え下さい。次は、お二人に家に来ていただく番です。オリンピックばかりではなく、この夏休みは楽しくなりそうです。






Olympic 観戦の夏休み

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オリンピックが開催されているブラジルは、地球の裏側で、ちょうど12時間の時差があります。テレビ放映権が絡んでいるアメリカの時差とは、1〜4時間あります。その為、決勝戦はアメリカのゴールデンタイムに合わせて夜の10時過ぎに始まる事もあります。とても遅い時間帯で、選手は大丈夫なのでしょうか?予選などは、昼間に始まるとので、それらは日本では深夜から明け方まで正反対の時間割で進行しています。勢い、重要な試合は、向こうの夕方、こちらでは明け方になり。眠い目を擦りながら観戦することになります。

今回は、前回に比べれば成績も良く、強化してきた甲斐があったと言うべきでしょう。特に水泳陣や柔道は頑張りました。それと、卓球やバドミントンも良い成績を残しております。今週は後半の陸上陣ですが、こちらはやはり敷居が高く、予選落ちが続出しています。参加標準をあげて、言っても仕方が無い競技は、自粛するべきでしょうし、それらに付いていく役員連中は、全くの経費の無駄遣いです。陸上はまだ昔の体質なのでしょうか?

どこにも行かない夏休みだから、オリンピック三昧が出来たと喜んでいます。オリンピックのない昼食後は、再放送されているテレビの前で、ウトウトとしている猫状態の自分がいます。何も無いのがバカンスの語源ですが、どこにも行かずテレビ観戦するのは、相当な贅沢ですね。おかげで、評判のシン・ゴジラもまだ見に行けていません。夏休みで混んでいる映画館に行か無くても済むのはそれで楽しい夏休みの過ごし方だと、老人力が溜まってきた自分はウトウトと思うのです。私は、音響装置が整っているという大音量な映画館より、少し効果は薄れても音量が適正なところに行きたいですね。

映画館と言えば、心待ちにしているのが、有機ELの画面を持った、日本製のテレビです。現在、OELのディスプレイを作っているのは、韓国のLG社だけです。去年からそのLG製の湾曲した画面のヴァージョンが出ていますが、有機ELは、斜めから見ても色が変わりませんから、平面タイプで良いのではと思っています。あの画面に日本の映像エンジンを組み合わせ、それこそ4Kに対応した高性能なモニターが欲しいと思っています。去年購入したOppoのLimitedヴァージョンも、その目的に合わせて購入したのですが、残念ながらまだ箱の中に入ったままです。

セレクター付きのアッティネッターとオーバーホールしたばかりの405IIが、その画面を持ってスタンバイしています。先日聞かせていただいた、4ch方式でのマルチをユニコーンを使って、行ってみようとひそかに画策しています。後方用にはTroubadour40もあるし、それはそれで単純だけど豪華な組み合わせです。薄いパネルが魅力的です。いま使っているKuroもそろそろ限界に近づいていますので、そろそろなのですが。日本の三社とも有機ELを使ったディスプレーをこの秋には出して来ると予測しているのですが・・・




GRF邸訪問記  不思議な音響空間

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8月15日、GRFさんのお宅にうかがう機会を得ました。今回ご一緒したのは先日GRFさんと一緒にうかがったBOさん。BOさんはGRFさんへの訪問が今回で4回目だとのことですが、私は初めて。

なかなかうかがう機会に恵まれなかったので、わくわくしながらの訪問です。最寄駅の近くのお蕎麦屋さんで、お昼をいただいた後でGRF邸へ。実はお蕎麦屋さんでおいしいざるそばをいただく前に卵焼きや鴨肉などを肴に冷の吟醸酒まで…BOさんと「これはヤバイ」と言いつつ、あまりのおいしさについすすめられるままに味わってしまいました。アルコールが入ってしまって、この後ちゃんとした音の判断ができるのだろうか…ちょっと心配です。

GRFさんのお宅は、すでにいろんなかたが紹介されていると思うのですが、私の備忘録も兼ねてお部屋の概要を書き留めておくことにします。広さは24畳、天井高は3m位でしょうか。スゴイのは、その天井のほぼ全面が開口部になっていて建物の躯体の上端まで吸音材で埋められていること。

床は構造上の床の上にコンクリートを施し、計50㎜程の板材を積層してつくられているとか…表面はカリンの集成材(無垢材)で足を載せた感覚は強固そのもの。

壁には吸音処理はなく、天井のみで吸音しているようです。壁はMDFに塗装を施したもので、その壁面を支える桟は定間隔ではなく1/f 揺らぎを模したランダムの間隔にしているとのこと。その指示には施工した大工さんが困惑したとのことですが…(笑) 壁は音響的には床には接しないような造りになっているとのこと。ムチャクチャ凝った造りです。

吸音部の面積比から考えると吸音率は20%強くらいでしょうか?全体的にはデッドと言えるのかもしれませんが、正面の窓にかかったひとつのカーテン以外には高音域のみ吸音するような材料がないので、低音から高音までバランスよく吸音されているようで、響きにはまったく違和感がありません。会話の聴こえ方から判断すると響きの質はやや硬質のような気がします。
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オーディオ機器は…送り出しはEMMのトランスポートとDAC。CDはDSD変換した後、アナログ化されるとのこと。プリアンプは真空管式のモノラル構成のものをひとつの筐体に収めたもの。電源部は別筐体になっていて、やはり左右別々にDC供給している。パワーアンプはモノラル構成の3極管のプッシュプル。プッシュプルがひとつの管の中に収められており、真空管は全くわかってない私はシングルアンプと勘違いしてしまったのですが…。出力トランスはタムラの特注品でこれを作ってもらうのにロットで発注しなければならなかったとのこと。真空管オンチの私にはアンプについてこれ以上コメントすることは不可能です。

今日の主役はやっぱりスピーカー。

Omni-Directional(無指向性)のGerman Physicsのトロバトーレ80とBi-Directional(双指向性)のPSD社の特注品と思われる20㎝ウーファを背中合わせに配置したシステムの組み合わせ。300Hz、12dB/octのネットワークでクロスされている。このトロバトーレはチタンの0.025㎜厚のメンブレムを持つもの。ウーファシステムはキャビネットに独特の面取りが施され美しいバーズアイメープルの突板で仕上げられている。

最初に聴かせていただいたのはクレーメルとアルゲリッチのプロコフィエフのヴァイオリンソナタ。演奏会場にいる感じ。ピアノとヴァイオリンの位置関係が立体的に感じられる。柔らかい耳あたりの良い音なのにピアノはスタインウェイらしい華やかさが感じられて心地よい。

ダニエル・ハーディング、ウィーンフィルのマーラー10番は開放的な響き。ビックリしたのはグランカッサ。グランカッサの奥行き感、定位の安定感、質感、まさにコンサートホールで聴いているような…。こんな再生音は今まで聞いたことがない。

GRFさんに促されて立ち上がってスピーカーの周囲を回りながら聴いてみると…スピーカーの裏側からはサントリーホールのP席で聴くように下の方にオーケストラが展開する。横に回るとミューザ川崎の知る人ぞ知る舞台横の特等席みたいな音が…

昔のスターウォーズ第一作目でR2D2がレイア姫の3Dホログラフィック映像を空間に投影して姫のメッセージを伝える場面があったけれど、あれの音響版みたい。部屋の中にオーケストラの音響が立体的に構築されていて、その周りを移動して聴くとコンサートホール各席での音が聴けてしまう。ホログラフィックな映像のレイヤ姫と違うのはそのスケール感で、小さなレイヤ姫と違ってこちらは目の前に壮大なオーケストラが出現しているわけですから…。何とも不思議な音響空間。

GRFさんによるといくら無指向性のスピーカーを使ってもスピーカーの位置調整などがきちんとされないとこのホログラフィック感は得られないのだそうです。先ほど触れたグランカッサは部屋の音響、特に低域の吸音が適切に設定されないとあのような気持ちいい実在感は得られないのではないかと思います。通常のスピーカーよりも部屋の響きの影響を大きく受けるはずなので、この部屋の響きのホログラフィック感への貢献度はかなり高いのではないでしょうか?

もうこの後は、ホログラフィックな独特の心地よい音響空間に身をゆだねて、GRFさんが繰り出す名演盤をひたすら聴きまくるモードになりました。

ピリスのモーツァルト・ソナタ、白井光子さんのブラームス歌曲、ギレリスのベートーベン・ソナタ…やはり、臨場感が素晴らしい。
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続いてジャズ・ボーカル。パトリシア・バーバーのジャズ・ボーカルもタイトルのナイトクラブで聴く感じ。トニー・ベネットのWith my friendからダイアナ・クラールやスティービー・ワンダーとの豪華共演、マディー・ウォーターズのフォーク・シンガー。柔らかい心地よいボーカルでその場で聴いている感じ。

さらにヴァイオリンということでイザベラ・ファウストのベートーベン・ソナタ。メルニコフのピアノはベーゼンドルファー的でやや控えめ。ヴァイオリンを引き立てるような演奏。比較の意味で同じ曲をクレーメルとアルゲリッチで聴くとさすがにアルゲリッチは主張しまくって丁々発止の演奏で面白い。もうこの辺ですっかり音楽を聴くモードになっています。

ひとしきり聴いた後で、ワインタイム。

イタリアの白ワインをいただきました。シャルドネの高級ワインとのこと。ワインの味を活字にするのは私には無理ですが、Un po’ secco (中辛口)でしょうか?さすがにウチで食事に合わせて飲んでいるテーブル・ワインとは違って独特の香気が感じられます。これは食事とは別に味わうべきものなのかもしれません。

ここでいろんなお話が聞けて面白かったのですが、特にCDのドイツ盤と日本盤の違い、全集の盤はオリジナルとくらべるとガッカリなどはなぜそうなるのかというのは非常に興味深かったです。私にはまだよく理解はできないのですが…(笑)

アルコールが入った後はもうわけがわからなくなって、この後、夕食もはさんで音楽会は果てしなく続きました。(笑)

カラヤンのウィーン・フィル ニューイヤーコンサートからキャスリン・バトル独唱の春の歌、トスカニーニ、フィルハーモニアのブラームス。エバ・キャシディのライブでのAutumn leaves。フランク永井やちあきなおみまで。

GRFさんがベンチマークとして使われているハイティンク・コンセルトヘボウのショスタコーヴィチ第15番を聴かせていただいた時に、GRFさんが先日ウチにお越しになった時に言われていた意味がやっと理解できたような気がしました。GRFさんと拙宅では違ったアプローチだけど目指していることは同じと言われていたのです。確かにここで聴かせていただいた音、雰囲気感とウチのマルチch再生には共通のものが感じられたのです。

あ~、そういうことだったのかと。

でも、マルチchをやっている身としては2本のスピーカーでこんな音を出されてしまうと…う~ん、ガッカリというかなんというか…(笑)マルチchでやっと得られる雰囲気感以上のものを普通のCDで出されているわけで…。

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私がチェック用に使っているキム・チョン・ファ、ツィマーマンのリヒャルトシュトラウスのヴァイオリンとピアノのためのソナタも聴いたのですが、やはり柔らかい音にもかかわらず細部までよく聞き取れる解像度に感心させられます。ヴァイオリンはきつくなることなく心地よいし、ピアノはスタインウェイらしい輝きと華やかさがある。無理やりアラを探すと生の音はもう少しきつい音だったかもしれないということくらい。これは生の音を知る由もないので、真偽のほどは何とも言えないし、心地よすぎると文句をつけるのも変なので意味はないのですが…。(^^;)

気がつくと既に時計は9時を回っていて…ピリスのショパン、ノクターンを聴いた後、さらに遺作まで聴きたいという思いをやっとのことで断ち切って、GRF邸を後にしました。終バスに何とか間に合いましたので後ろ髪惹かれる思いを断ち切ってあの時においとまさせていただいてよかったです。

結局お聴きしたいと思っていたタンノイGRFや和室のユニコーンや「悪魔のソフト」すら聴くことができませんでした。再びGRF邸を訪れるための理由ができたと思うことにしましょう。(笑)

こんな音は拙宅ではとてもまねできませんから、次回はもう分析的に聴くことはやめてせっかくの機会を好きな音楽をじっくりと楽しむことに使いたいと思っています。どうか近いうちにまたその機会が得られますように…

GRFさん、すっかりお世話になりました。ありがとうございました。BOさん、ご一緒できて楽しかったです。

K&K

お盆の最初にお伺いしたK&KさんとBOさんが15日の日にいらっしゃいました。BOさんは既に何回も来られていますが、最終形のSPは、まだお聴きになっておられません。K&Kさんは、初めての来宅です。4チャンネルのマルチをお聞きの方が、拙宅のホログラフをどの様にお感じになるか楽しみでした。コンサートホールで聞くようにステージが出現します。マルチと違ってどの位置で聞いても、そのステージは変わりません。ホールで聞くときのように場所に依って音は変わりますが、どこで座っても良い音で聞けます。

はじめて、このホログラフィックの音を聞かれると、驚かれると思いますが、コンサートホール聞かれたことが無い方は、三次元の音とは感じないようです。スタジオでの奥行き感だけになります。それでも、ヴォーカルがバックから浮き上がり、鮮やかな音が聞こえてきます。いずれにしても、音場情報が入っている録音は、その場所が、部屋の中に出現するわけですから、こんなに楽しいことはありません。マルチをされているK&Kさんに確認頂き嬉しかったです。また、ぜひお越し下さい。次回は、DecolaとGRFの番ですね。そうそう、和室のユニコーンも聞いてください。



BOさんからも

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GRFさん

Troubadour完成ヴァージョンは想像以上に素晴らしい音でした。既に大勢の方々がそのサウンドを賞賛されていますので、今更私が屋上屋を架すまでもないのですが、感想をお伝えします。

まず一番印象に残るのは、サウンドの生々しさ・実体感でしょうか。勿論スピーカーだけではなく、送り出し機器・アンプ・部屋、そしてGRFさんの調整のワザが相俟ってあの音響を生み出していることと思いますが、クレーメルやアルゲリッチがすぐそばで演奏しているかの如き実在感、ショスタコ15番ではまるでホールに座ってコンサートを聴いているようなリアルなオーケストラ...オーディオでここまで到達できるのだなという感動があります。

この自然な音色を生み出しているのは、やはりGerman PhysicsのDDDユニットの性能によるものなのでしょう。考えてみれば、300Hz~30kHzの広い帯域を裸のフルレンジユニットがカヴァーしているわけで、箱鳴りとは無縁、鮮度の高いサウンドを360度に放射している訳です。極薄のメンブレンからスピードの速い音が飛び出すのですが、特別な癖は無く温か味があって、あくまで自然な音触り。普通のコーン型ユニットでは、こうはいかないように思います。それに加えてあの強力なウーファーが重低音まで下支えをしているのですから、無敵という感じです。

何十年も前ですが、DDDユニットの前身であるウォームウォルシュというメーカーのスピーカーを池袋のオーデイォフェアで聴いた記憶があります。完成度はDDDより低かったのでしょうが、その生っぽい音の出方・音場感が非常に印象に残っています。確か、その特許をGerman Physicsが買ったと雑誌で読みましたが、そこからここまで仕上げたのですね。

また、耳に自然に感じるのは、部屋の吸音が適切な為かと気づきました。付帯音が感じられずCDの音がそのまま再現されます。響きの管理は難しくて、吸音すれば音はキレイに整理されますが、やりすぎると生気が無くなってつまらないし、かといって響きが乗りすぎると不自然になったりします。機器の下に敷くインシュレーターひとつでサウンドは大きく変わりますし、ここはGRFさんの長年の経験と知見(及び執念?)を感じました。拙宅も天井を改造したいのですが、なかなか余裕が無いので...。

ピアノの華麗で生々しい音がスケールを伴って再現されるのは、スピーカーの優秀さと同時に、部屋の響きが非常に上手くコントロールされていることも関係しているのでしょうね。ただ部屋の容積が大きいだけでは、あの形が見えるようなリアルさは出ないように思います。特にヴァイオリンとの前後の位置関係など、臨場感溢れる再生で、感嘆するしかありません。

ハーディングのマーラー10番も凄かったですね。特にグランカッサは強烈でした。いわゆるオーディオ的に超低域をこれみよがしに誇張するものではなく、もっと自然で実物らしい鳴り方と思いました。ショスタコもそうですが、打楽器群のリアルさに驚かされます。そしてチェロやコントラバスの弦を弓で擦る音、その後に漂う重厚な響き。ホールで聴く印象に肉薄しています。過渡特性が良いのに、冷たいとか硬いという感触がまったく無いのが素晴らしいです。

ヴァイオリンやヴィオラも美しく、リアルに漂う...本当に、コンサートホールへのタイムスリップ装置ですね。いつまでも浸っていたいサウンドなので、気がつくと一楽章丸々聴きとおしていました。

しかし、あのスピーカーを鳴らしているのが30w?の球アンプというのも、面白いですね。特注是枝さんアンプがあのサウンドに多大に寄与していると拝察しますが、他方でSD-05の様なフルデジタルアンプで駆動したらどんな音楽を奏でるのか、聴いてみたい気もします。

自宅でリラックスして他の観客に邪魔されないで、しかもカラヤンやクレンペラーまで生みたいに聴けるのですから、これ以上の贅沢は無いですね。

拙宅でこのサウンドを真似るのは困難ですが、音の目標が明確になるので、その意味ではためになります。自分の音にそれなりにフィードバック出来たらいいんですが。

BO

BOさん 

先日はありがとうございました。初めてのK&Kさんとは違って、実験機も含めると4回目の拙宅来訪ですが、だんだん進化してきた段階を聞いていただいているので、違いが面白かったと思われます。特に四月の初旬に実験三号機を聞いていただいた時とは、キャビネットの材質の変化、表面加工の違い、そして、エージングの結果等でこれほど大きく違うのを聞いていただいてよかったです。

今後は、和室のユニコーンや、Troubadour 40の方の調整を行って行きたいと思っています。それらの実験がすこしでもBOさんの今後の参考になれたらとても嬉しいですね。

雨の北海道

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台風が立て続けにきて北海道は、雨ばかりです。いろいろな河川が、増水して限界に達しているところも多いです。山間部やその水が集まって集合するあたりが氾濫の恐れもあります。6月まで一つの台風も発生していなかったのに、天気図に三つの台風が来ている様は長年気象に興味を持っていますが、はじめて見ます。

昔は、アルプスを縦走しているときは、天気予報から各地の値を記入して、おなじ値を結んでいくと等圧線が表れる天気図を書いていました。この放送を、全高の山小屋や、船の上でみんなが同時に記入しているという連帯感があったのを思い出します。いまはインターネットで簡単に見れますし、衛星写真もそのままですから、台風でも瞬時に現在の姿が見れるようになりました。昔日の感を覚えますね。

今日も、台風11号崩れの温帯低気圧が道東に大雨を降らしています。台風より、温帯低気圧になってからの方が大雨が降りやすいのです。さらなる雨が心配です。そして、関東地方には9号が直撃中です。その9号も東北地方を縦断してまた明日には、北海道に再上陸します。これで、先週の7号から続けて三つ来ることになります。台風よりも離れている前線を刺激して長い間雨を降らせますから、地盤の緩みにもまして、災害発生の危険性が増します。それに、北海道は人工が疎らなので、災害があってもなかなか全容を把握しづらいようです。
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今月は、行事が重なって、北海道にまだ出かけなくてはなりませんが、先週も道南方面に行くことがありました。高速では味気ないので、山道を横断する近道?を通りました。遠くに台風七号の残りの雲は早く流れていましたが、その日だけは晴れていたので、景色は素晴らしかったです。
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帰りは、函館本線に沿って久し振りに羊蹄山を見ながら帰って来ました。ニセコのあたりは、夏行くとオーストラリアのキャンベラ付近と似ていると思いました。左側通行も同じですから、オーストラリア人には来やすい環境ですね。道路標識も、英語で「Don't use Smartphone while driving」と表示されビックリしました。
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夕方、余市のニッカ工場も二年半ぶりに寄りましたが、朝ドラのまっさん以降展示も変わり、工場でしか売ってなかったモルトも中国観光客に爆買いされて無くなり様変わりしていました。小樽も中国系の観光バスで、一杯のようです。観光名所は通り過ぎただけですから、良くはわかりませんが。
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和室も少しずつ

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GRFの部屋でのトロバドールのシステムに、この一年近く専念してきました。おかげさまで、思った以上の音が出て来たので、そのあいだいつも聞いてきた和室の方もようやく、手をつける気が起き始めました。いろいろと聞いてきた縦型配置の立体像は、トロバドールで実現しましたので、和室のユニコーンは、また以前の横型配置に戻しました。6畳間では、この方が部屋が広く使えて落ち着きます。立体像再現実験も、トロバドールが実現した360度の音場と比べると、壁が近くにあるので、音場がU字型なるのが、気になっていたからです。
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和室の横型配置は、去年の秋以来ですから、久し振りです。やはりこの方が、部屋が広く使えて視覚的にも落ち着きますね。OさんとDSDのDAコンバーターの実験もやっています。いろいろな組み合わせがあり、順列に変化させてその差を聴き比べているところです。その実験では、縦型配置だと立体方向の変化が大きすぎて、少し落ち着かないので、横型に戻して見ました。

DAコンバータを作り上げていくのは、製作者のOさんには、大変だけど面白いチャレンジだと思います。私は、様々な表情を好きだ、嫌いだと言っているだけですから気楽な物ですが、その組み合わせは無限にあり、一つ一つ確かめながらの匍匐前進になります。電源部のつくりや置き方が一番大きく変化を見せるようです。足の材質、どこに置くかを含めて、試行錯誤の最中です。

だからといって、それは大変高い位置での判断ですから、音そのものは、聞き応えのある素晴らしい音になっています。この部屋でもまれてから、GRFの部屋に行き、それこそemmと一騎打ちですね。日の丸には勝って欲しいし、買って欲しくもない複雑な気持ちです(笑)。まだまだ国体に出れるぐらいです。国内を勝ち抜き、オリンピックに出れるように頑張って貰わなければなりません。デヴァイスの選択、はんだ付けまで含めたトータルの構成力を問われます。じっくりと仕上げていきましょう。横位置での配置は、そういう繊細な変化を受け止めて、表現してくれます。
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後ろの障子の位置をご覧になると、SPの間隔が微妙に狭まっているのがお解りでしょう。このSP間隔の調整がが、音場の再生には欠かせません。
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さて、これから音の鳴らし込みをしていきます。電流を通して音を馴染ませることが大切ですから。聞き込むCDを見付けてきました。そのお話しは、また明日にでも・・・


今年の大阪の暑さ

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何十年も大阪に行っていますから、夏の暑さは知っていました。大阪から戻って来ると感じる東京駅の涼しさも。しかし、この夏の大阪は、いままでも一番の暑さではないでしょうか?新大阪の駅に着いたのは、一時頃でした。ホームの上に降り立った瞬間、とてつもない蒸し暑さと、あたりを包む熱風にたじろいたほどです。ホームからエスカレーターで改札口に下がっていくと、空調が効いていますから、一気に涼しくはなるのですが、本当に驚き、感心しました。人は、この様な暑さの中でも過ごせるのだと。

高架になっている新大阪の地下鉄の駅も、うだるような暑さです。淀川を越えるときの空の風景は、バンコックやシンガポールのような熱帯の空です。もっとも、シンガポールは海に囲まれていますから、こんなには暑くなりません。地下鉄の車両の中は目一杯冷房を掛けていますから、ドアが閉まると冷蔵庫に入ったぐらい冷えます。次の駅に着く前に、その時のためのジャケットを羽織りました。すぐに、駅に着きますから、覚悟を決めて階段を上がりはじめました。それでも、荷物の重さもあり、上り詰める頃は、胸が痛くなるほどです。深呼吸をしても入ってくるのは、熱風ですからどうしようもありません。ビルの影に入って気を落ち着けました。

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しばらく、事務所で涼んだ後、また地下鉄に乗り大阪の南の方まで移動しました。地下の駅まで、熱風が吹き込んで来ます。階段を上って表に出ると、眩しいぐらいの日が差してきます。同時に、熱い空気に包まれます。焚き火の近くにいるような感じです。この暑さの中で良く生きていると思うほどです。

この日は比較的湿度が少ない日だったので、冷房が入っていなくても建物の中は、何とか動けます。しばらくいてから、奈良に移動しました。夕方着く前に、夕立が降ってかえって蒸し暑くなりました。熱くなったアスファルトに中途半端に水を掛けてかえって状況を悪化された感じです。奈良も、本当に外国人の方々が増えました。今までは、京都や大阪に近すぎてホテルが建たなかったのですが、最近はそうも言ってられないようです。しかし市内の中心部は、高さ制限があり、採算が合うホテル運営が難しそうな状況は変わりません。公園に囲まれた県庁地区を開放して、高層ビルを作り、大型施設を周りの環境に合わせて再開発しなければ、観光の後手は直らないでしょう。

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翌日は、また大阪まで戻って来ました。相変わらず、地下鉄から出てくると一歩も歩きたくなくなる暑さです。夕方、東京駅に戻ってきたら、あまりの涼しさに拍子抜けしたぐらいです。

今年の大阪は猛暑日が、25日も続いていて、これは勿論新記録です。東京の猛暑日は、暑い練馬でも6日ですが、大阪の市内で、26日間続いているのです。30度以上の真夏日は東京が42日間、大阪は60日間です。30度と35度では、まったく違ってきますが、今年の大阪は、37度、38度ですから限度を超えています。台風も東日本ばかりで西日本にはほとんど行ってません。大地は干上がっているのです。

ラベルの管弦楽曲

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おかげさまで、 Troubadour80+TW3の音が素晴らしく、音の良いCDを掛けると、音では無くその演奏にほれぼれしてしいます。50年以上オーディオをやってきましたが、こんな気持ちになったのは初めてです。いままでは、その時良いと思っても、すぐに不満点が出て来ました。その繰り返しが、原動力になって今までやってきたとも言えます。しかし、今回は、良い音なのでその原動力が日に日に無くなっていくのを実感しています。

先日、K&Kさんのお宅にお伺いした時、オーケストラ物では、ドイツ系の交響曲などよりも、フランス系のラベルやドッビシーの管弦楽をお聴きになられると言われていました。私も、ラヴェルやドッビシーは大好きで、K&Kさんが来られたときに、何枚かお掛けしました。とくにヤンソンス・コンセルトヘボウのSACDは、静けさがしみ通るような良い演奏で、ヤンソンス特有の透徹とした演奏で感心しました。

一方、ベルウッドさんの記事から、昔、ラジオ技術誌に演奏評を連載していた、西条卓夫さんの事を思い出しました。氏は、ご自分のことを盤鬼と呼ばれていて、大変厳しい基準で音楽評をされていた方です。私も、クラシック音楽を聴き始めた頃、氏の推奨する演奏を中心に聞いていたことがありました。第九は「トスカニーニにとどめを刺す」とか、凡庸な演奏には「概してお寒い」という名セリフで一刀両断にされていました。その中で、その頃デビューしたばかりのハイティンク・コンセルトヘボウのラベルを褒めていたのを思い出しました。

オーディオファンには、ラベルの管弦楽は、最低音から最高音まで万遍なく演奏してくれる、いわばハイファイ再生用の音楽ですね。そういえばと思い起こしてCD箱を漁ってみました。すると出てくる出てくる、我ながらこんなにあったかと驚いた次第です。ずらりと並べて、順番に聴き直して見ました。いろいろな曲があり、スペイン狂詩曲など大好きなのですが、主には半分ぐらいのCDに入っていた「La Valse」の曲を聞き比べして、演奏と録音の違いを楽しんで見ました。録音順に並べてあります。

1955 ミュンシュ ボストン交響楽団 ダフニスとクロエ

これは、何と1955年のステレオ録音です。まだステレオの実験を始めた頃ですね。その頃は、モノラルが主流でしたから、モノラル用のセンターチャンネルとステレオ用の3チャンネルの録音でした。

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1956 ミュンシュ ボストン交響楽団 ボレロ ラ・ヴァルス スペイン狂詩曲

その頃は、ミュンシュ、モントーのボストンとライナー率いるシカゴがRCAのメイン看板でした。1956年は、いまから60年前です。現在聴いても何の遜色もありません。勿論、録音機材は全て真空管の時代です。リボン型のマイクと伴い、暖かな音が特徴ですね。

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1957 バルビローリ ハレ管弦楽団 ダフニスとクロエ ラ・ヴァルス マ・メール・ロワ

ハレ管弦楽団は、イギリス最古のオーケストラの一つです。その優秀な楽団を率いていたバルビローリは、マーラーやブラームスを得意としていましたが、ラベルでも、解りやすく安定した音楽つくりで、60年経っても全く色あせない演奏をしています。

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1959 モントー ロンドン交響楽団 ダフニスとクロエ スペイン狂詩曲 パヴァーヌ 

色あせないと言えば、モントーほど不思議な指揮者はいないでしょう。ストラヴィンスキーのバレー曲を初演しています。20世紀初頭のことです。春の祭典は、バレーの振り付けも含めて当時大スキャンダルにもなったそうです。今でも、火の鳥や春の祭典を聴くとその斬新な演奏スタイルには驚かされます。モントーは、フランス人ですが、ベートーヴェンやブラームスの解釈もとても正統的な演奏で、正確なバトンさばきと、リズム感は何を聴いても安心していられます。

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1961 パレー デトロイト交響楽団 ダフニスとクロエ 優雅で感傷的なワルツ ボレロ

映画用の35mmサウンドトラック用の磁気テープを使ったマーキュリーの優秀な録音は、一世を風靡しました。モスクワでの録音が有名ですね。パレーはそのマーキュリーの沢山の録音を残しています。特にフランス音楽物やマーチには定評があります。60年前の録音とは到底思え無い、熱く深い演奏です。自動車で反映していたデトロイトの街の栄華も感じられますね。

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1962 パレー デトロイト交響楽団 スペイン狂詩曲 ラ・ヴァルス クープランの墓

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1962 クリュイタンス パリ音楽院 ラ・ヴァルス スペイン狂詩曲 パヴァーヌ クープラン

私達の時代は、フランス音楽と言えば、クリュウイタンスでした。モノラル時代からパリ音楽院との有名なレコードを録音しており、パリ音楽院特有の古色蒼然とした木管楽器の演奏とあいまって特有の音色を醸し出していました。ステレオの再録音は、そのレコード盤の素晴らしさからも、本当のコレクターズアイテムです。

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1963 アンセルメ スイスロマンド ボレロ ラ・ヴァルス

このアンセルメは、デッカ録音の典型です。他のフランス音楽との組み合わせでボレロとラ・ヴァルスだけしか入っていませんが、音の良さは感じられます。しかし、その他の一流オーケストラの大きなスケールの演奏を聴いてしまうと、スイスロマンドのオーケストラの技量も少し足りないのが解ります。

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1964 クリュイタンス パリ音楽院 スペイン狂詩曲 マ・メール・ロワ ラ・ヴァルス

1964年のクリュイタンス・パリ音楽院管弦楽団の来日公演は、後のムラヴィンスキー・レニングラードと並んで、伝説の公演になっています。62年のスタジオ録音と違って、大変な迫力で、フランス音楽がどのような物かを知らしめました。優雅で高貴な柔らかい響きと、フランスのラグビーチームのような力強い演奏は、日本の聴衆を興奮の渦に巻き込んだのです。モノラル録音ですが、放送録音が残っています。その頃の、今もですが、NHKのステレオ録音は、音場の録り方が悪く、モノラル録音の方がかえって良かったと、この録音を聴いて思いました。スピーカーいっぱいに拡がるモノラルの音場がもし再生されないとすると、やはり左右のSPの位置を調整する必要があるでしょう。
 
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1964 モントー ロンドン交響楽団 マ・メール・ロワ パヴァーヌ スペイン狂詩曲 

同じ頃、モントーがロンドン交響楽団と入れた一連のラベル録音がこのアルバムです。ロンドン特有の音の重さはあるのですが、それを切れ味よく引っ張っていきます。モントーのリズム感に驚きます。クライマックスと悠然と流れる時間との対比が、モントーの演奏の魅力です。その流れは、ハイティンクに引き継がれている様に思えます。ドイツ系の音楽だとクリップスにもモントーの音楽を感じるのは私だけでしょうか?

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1968 ミュンシュ パリ管弦楽団 ボレロ パヴァーヌ ダフニスとクロエ2

日本にも何回も来日していたミュンシュが、亡くなる年に最後に録音したのが、この有名なパリ管弦楽団とのアルバムです。ミュンシュ特有の激しい演奏で、ブラームスの第一番と同じ様に忘れられない演奏です。日本フィルを指揮しに来ていたこともあり、そのリハーサルの番組を見た記憶があります。笑うと壮絶な目をしていました。指揮者と言うより、戦士とか剣豪を思い起こしました。パリ音楽院がパリ管弦楽団になったという説もありますが、まったく違う響きには当惑させられるほどです。

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1971 ハイティンク コンセルトヘボウ スペイン狂詩曲 パヴァーヌ 優雅で感傷的なワルツ
1976 ハイティンク コンセルトヘボウ メヌエット マ・メール・ロワ ダフニスとクロエ

西条卓夫さんが絶賛したという、このアルバムは、三十代でコンセルトヘボウの正指揮者になったハイティンクの実力が良くわかります。この頃の、ハイティンクはとても熱情的で、テャイコフスキーの交響曲なども、熱い演奏を残しています。最近のハイティンクは、ブルックナーやベートーヴェンなどのドイツ音楽を中心に演奏していますが、ラベルの演奏は、そういうドイツ音楽という枠を外したとても自由な表現になっています。

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1974 マルティノン パリ管弦楽団 マ・メール・ロワ クープランの墓 パヴァーヌ

マルティノンはやはりフランス音楽中心です。シカゴ交響楽団とはレパートリーが原因で不幸な時代がありましたが、日本フィル時代に聞きました。66歳という若さでなくなったのは残念ですね。ミュンシュに師事したそうですが、演奏のスタイルはもっとオーソドックスです。ミュンシュと同じパリ管弦楽団から違う音色が聞こえて来ます。

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1981 デュトワ モントリオール交響楽団 ボレロ ラ・ヴァルス ダフニスとクロエ 

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1982 デュトワ モントリオール交響楽団 マ・メール・ロワ パヴァーヌ クープランの墓

デュトワといえば、モントリオールとの演奏が一世を風靡しました。同じデッカで、アンセルメのフランス音楽の路線を、違う演奏スタイルですが、継承しました。アンセルメは極めて前衛的ですが、デュトワはオーソドックスだと思います。デッカの録音が鮮鋭なので、いいいみで誤解されているのでしょう。NHKでも長い間指揮をしていますが、私自身は、感銘したという演奏には遇っていません

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1982 アバド ロンドン交響楽団 ラ・ヴァルス・展覧会の絵(ムソルグスキー)

この盤は、ムソルグスキーの展覧会の絵がメインの盤です。カップリングされている曲は盤によって変わります。この盤は、ラ・ヴァルスが組み合わさっています。1979年にロンドン交響楽団の首席指揮者になった頃はアバドが活躍をはじめてどんどん上昇してきた時期です。すこし硬質ですが、緻密な音がしています。後年のルツェルンの音の片鱗が聞こえます。

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1982 マリナー ドレスデンシュターツカペレ ボレロ パヴァーヌ 

一聴してドレスデンと解ります。少し硬調の音色にマリナーの柔らかさが加味した特徴ある音がします。ラヴェル以外のいろいろな曲も入っています。

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1982 プレヴィン  ロイヤルフィル  ダフニスとクロエ スペイン狂詩曲

アバドの同じロンドン交響楽団が、同じ年に録られたとは思えないほど、響きが違っています。勿論、DGとEMIの録音ポリシーの違いも有りますが、プレヴィンの全体を捉える演奏と、アバドのように細部を組み立てていくと自ずから全体が見えて来るというアプローチの違い際立っています。と書いてよく見たら、ラヴェルの演奏は、ロイヤルフィルでした。違って当然ですね。ムソルグスキーだけがロンドン交響楽団でした。


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1985 プレヴィン ウィーンフィル ラ・ヴァルス・展覧会の絵(ムソルグスキー)  

これは、上記のアバドと同じ組合わせのアルバムです。オーケストラがウィーンフィルに変わっています。ウィーンフィルの長い歴史の中で、展覧会の絵とラ・ヴァルスは初めての演奏だったそうです。今から考えると考えられませんが、もう、30年も経っているのですね。二人とも五十代に入った頃で、エネルギーに充ちた演奏をしていました。こちらは、PHILIPSの録音ですから、音のバランスは大変良く合っています。迫力有る良い演奏です。

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1989 ハイティンク ボストン交響楽団 ダフニスとクロエ

ハイティンクが、コンセルトヘボウの常任を終えて、向かったのがこのボストン交響楽団でした。小澤の時代ですが、首席客演指揮者として活躍しました。この演奏は、通常のダフニスとクロエを想像していると驚きます。ハイティンクのどこにこの情熱的な音楽を秘めているのでしょう。音も90年に近づきデジタル録音も安定してきました。この盤のSACD盤があれば凄いですね。

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1993 ブーレーズ ベルリンフィル マ・メール・ロワ 道化師の朝の歌 スペイン狂詩曲

録音は、93年です。めずらしいベルリンフィルの演奏です。SACD盤は名盤です。一聴して音の良さが解ります。この盤を掛けて、CDの音が悪いとお嘆きの諸氏は抜本的に装置の見直しが必要でしょう。音の細かさ、演奏の細部へのこだわりがそうさせているのでしょうが、特筆した演奏と録音だと思います。残念ながらCD盤は国産でしたので、直接の違いを表せないのですが、いつか探してみましょう。

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1995 小澤 水戸室内管弦楽団 パヴァーヌ  マ・メール・ロワ 

別な意味で、水戸の音を良く捉えた演奏です。実はこの演奏を聴いて、長い間水戸室内を敬遠していました。準・メルケルの東京公演を聴いて少し持ち直し、先日水戸まで出かけて、演奏を聴いてきましたが、日本のオーケストラとしては秀逸だともいました。小澤征爾の演奏が私には合わないのでしょう。

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1996 マゼール ウィーンフィル ダフニスとクロエ スペイン狂詩曲 ラ・ヴァルス

これは名盤です。一聴してマゼール解る音の濃さですが、オーケストラが楽しんで弾いているのが良くわかるからです。演奏者の自主性を積極的にだして、でもどこから聴いてもマゼール調になっているのが、この指揮者のマジックです。それは、どこのオーケストラでも彼の色に変わるから不思議です。低域の豊かさ、開場一杯に拡がる柔らかな響き。リズムの正確さ。聴いていて楽しい音楽ですね。これは96年当時のオリジナル盤と全集ものの音の差が大きいので、ぜひ昔のオリジナル盤をお聞き下さい。一番肝心なスケールが違います。

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2003 アシュケナージ NHK交響楽団 ラ・ヴァルス 鏡 ツィガーヌ クープランの墓 

アシュケナージが、N響の首席になったときの演奏です。すみだトリフォニーホールでの録音で響きは、日頃の音とは違いますが、肝心のリズム感はやはり日本のオーケストラだと解ります。リズムがやはり違うのですね。音が真面目すぎるというか?他の演奏と聴き比べるとやはり異質です。録音も私はこのレーベルの音にはどこか遇わないようです。

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2007 ヤンソンス コンセルトヘボウ ラ・ヴァルス 

ヤンソンス・コンセルトヘボウの特徴が良く表れた名盤です。音の静けさ、透徹さ、透明度、融合どれを取ってもコンセルトヘボウの音がします。コンセルトヘボウの会場より、ミューザで聴いた時の音の静けさが感じられるのが、不思議です。音の良さでは、この盤とブーレーズの演奏が秀逸ですね。装置の S/N比を問われますが、この音が聴ければ、演奏会場に足を運ばなくても良いでしょう。

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2009 ゲルギエフ ロンドン交響楽団 ダフニスとクロエ パヴァーヌ ボレロ 

この頃から、ゲルギエフの演奏にあまり感心しなくなりました。これらのロンドン交響楽団の自主製作盤は、それほど良い録音が無いように思います。バービカンホールの柔らかさは出ているのですが、少し混然としすぎているようにも思われます。ラベルの演奏向きでは無い気もするのですが・・・

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と書いてきたときは、和室のユニコーンで聴いていました。横向きです。壁からの距離も、微調整しながら聴いていました。それでも低域がやはり混然としているので、ちなみに、T-80+TW3の組み合わせではどうかなと隣の部屋に持って行って、聴き直しました。低域の分解能と、やはり三次元の奥行き感がまったく違うので、演奏が違って聞こえます。驚きました。こうなると良い音がしなかった盤は、今一度こちらの装置で聴き直さなければなりませんね。SPと部屋と、そしてCDプレーヤーの差ですね。


思っていたのより沢山あって疲れました。写真を撮って貼るだけで一苦労です。まだまだあるのですが、全集の中に入っているので、ジャケットが面白くないから、オリジナルを探したら載せますね。録音順に載せましたが、1955年からですからもう、60年以上前の音を聴くことになります。オーディオの進歩は、大変な進歩があったとも言えますが、それほど変わりが無いという人も居られるでしょう。レコードを聴くような判断では、ほとんど変わりません。ところが、SACDを聴くと、その差がとてつもないと気が付くのです。人によっては、音が小さく迫力無いといわれるかも知れません。そこで問われるのが、装置のダイナミックレンジです。音が大きくなるとすぐ飽和してしまうのは、レコードに標準を合わせている時代の機器だからです。30dbの差をしっかりと出す装置が必要ですね。


和室の音の向上を目指して

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和室の音の向上を目指して取り組んでいるのは、CD系のヴァージョンアップです。常用だったemmが隣の部屋に行ってから、この部屋では、CD34改がメインの音源でした。ほとんどのCDは問題ないのですが、最新の長時間対応のCDやSACDを聴く場合は、やはり14Bitのままでは限界があります。そこで、OさんにDSDにアップコンバートしてアナログ変換する、11.2MHzまで対応するDAコンバーターを頼んでありました。これはこれで、出来上がったばかりなのでまだ音決めはこれからです。電源部のデヴァイスの選定から、配線の材質、出力トランスの取り付け方、等々いくらでも音が変わる要素が有ります。それを経験とじっさいの音を聴きながら判断する楽しいけど苦しい通り道が待っています。

今日は、その第一段として、トランスポートとDAコンバーター間の接続ケーブルの違いを試して見ました。機器間のアース管理がデジタル系では大切です。細かなデジタルノイズもいろいろと音に悪さします。同軸、バランス、光とケーブルの種類も変えてみました。このコンバーターの入力は、デフォルトがバランスです。同軸だと幾分音が薄くなるのです。光だとその点は大丈夫ですが、発展途上国なのでまだまだ検証しなければなりませんね。

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今一つ実験は、HD-1のハードディスクをSSDのメモリータイプに替えてみました。こちらは、友人の薦めです。クロックアップした機械は二台あるので、同じCDを再リッピングして聞き比べをして見るつもりです。丸一日掛けて、バックアップしたデータは、再読込するときに暗号の解読をするので、音が変わります。やはりまた時間を掛けて再リッピングするしかないようです。SSDは回転系がないですから、それに起因する振動がありません。当然音は違ってきますが、音はやはり変わりますから、慣れも必要ですね。

和室は、狭さもあり、少しのことで音が変わります。やりがいがあるとも言えますが、おきな部屋と同じ音を目指して仕方が無いので、クラシックでは、二階席の臨場感、ポピュラー音楽では、少し濃い音を出すように調整をしてみます。濃い音は簡単なのですが、強調感のない自然の音の再現が難しいですね。

台風の北海道

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この夏の北海道は、台風が三回上陸しました。台風接近前からも、また去ってからも大雨がつづき、方々の河川が氾濫しています。雨の降り方は尋常でなく前が見えなくなるような熱帯系の雨です。昨日も、その台風の上をこして帰って来ました。夜遅い便は、運休した様です。一万メートルの上空をとぶ飛行機は、離陸時と着陸時に台風が来ていなければ、迂回したり、遥か上空を越えたりして台風の影響を受けずに飛んで来ます。勿論、上昇時や下降時には気流の悪いところを通りますから、それなりの揺れは覚悟しなければなりません。昨日の千歳発は夕方6時半でした。丁度、岩手県に上陸した頃です。
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台風の進路にあたる函館は閉鎖されていましたが、千歳はギリギリまで動いていたようです。もっとも、東北方面の飛行機は、機材が来ませんから欠航でした。札幌は、日本海側の気候ですから、千歳とは天候が異なります。昨日の台風でも、さっぽろはまだ晴れ間が見えていました。南からの湿度が押し寄せて蒸し暑いのですが、空の入りは秋の気配を見せています。
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札幌は晴れているのですが、北広島の山を越えて、苫小牧側の気候エリアに入ると、南の方は黒い雲の覆われていました。空港にちかずくと雨も降ってきました。千歳空港の位置は冬の気候を考えると良い場所にあると思います。札幌市内だと冬は日本海側の気候の影響を受けて雪が良く降りますが、千歳は太平洋側ですから何時も晴れているのです。台風の時は反対になるのですね。
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空港には四時前に着いたのですが、予約してあった六時半までの飛行機は台風を避けるための人達で満席でした。空港の本屋に行って、じっくりと本選びをしました。ANAの機内誌で連載されている吉田修一の小説を探したのですが、暗い話や、怒りを描いた様なので敬遠して、池上彰の解説本をかって読みましたが、テレビ番組をダイジェストにしたようで、30分もあると読み終わってしまいました。歴史の副読本には良いのでしょうが、物足りなさも残ります。仕方がないので、また本屋さんに行って、吉田修一の台湾の新幹線にまつわる本『路』を買いました。登場人物の多さや、同時進行形、過去と現在の交差、情景の描写等の手法は変わらないのではと思いました。
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