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Channel: GRFのある部屋
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Aionさんの お・も・て・な・し

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先月の中旬、マイミクの夜香さんの日記に、Spectralのアンプに純正のMITケーブルで、SONYのSS-AR1を鳴らされているAionさんのお宅の記事が掲載されていました。Spectralのアンプを鳴らされている方もめずらしいのですが、MITのケーブルで、B&Wではなく、SONYのSS-AR1を鳴らされているというところに、反応致しました。夜香さんに、いつか連れて行って欲しいとお願いしたところ、お忙しいのに、一月後の先週の日曜日にお伺いすることが出来ました。

朝から、出かけるのも憂鬱になるほどのひどい雨で、澁谷の坂を歩いたら、靴までびしょびしょになると思い、裏の五日市街道で車を拾って井の頭線の永福町まで行き、各駅停車に揺られて、終点澁谷のひとつ手前の神泉駅に下りました。やはり雨はひどく、このルートが正解でした。この辺りは、東京でも有数な高級住宅街で、澁谷の喧噪が嘘のように静まりかえり、聞こえるのは雨音だけです。

Aionさんのお宅は、その閑静な住宅街の中に有る低層の高級マンションです。この辺りは、二種住専ですから、高さ制限があり、三階建てしか建たない地域なのでしょう。恐らく澁谷から歩いてこられる夜香さんはびしょ濡れになっておられるかもしれません。しかし、すぐお見えになられました。関東平野の真ん中から来られたのですが、直通の電車が通っていて、乗ったら一本だそうです。

ご紹介も終わり、ソファーに座って改めて装置を拝見致しました。白い基調の部屋に、ラックとケーブルとSS-AR1のクロが映えます。床は白い厚手のカーペット。シミひとつついていません。横浜のMさんのパラゴンの部屋よりも白いカーペットです。窓の外は、ガラスのブロックが積み重ねてあります。レーズのカーテンともあいまって白い色が浮かび上がります。

落ち着いたところで、第一曲目が始まりました。おお!元気のいい音です。部屋一杯に拡がり、幾分内向きにされたSPからは、コーナー型のような大きなステージが展開します。コントラバスの音も深く、しっかりと低域まで音が出ています。サバールと思われるオーケストラの少し厚めのティンパニーのかわが振動する感じも良く出て、気持ちの良い音です。久しぶりにクラシックの良い音を聴きました。ホルンやトランペットもしっかり鳴らされ、充実した演奏です。冒頭の木管が次々と鳴らされて下降旋律を奏でているところも、久しぶりに英雄の一楽章を聴いたという感じでした。第七番と同じようにモチーフの展開がこの様に自然に拡がっていく曲は、滅多にありません。ケレンミのない堂々とした良い音です。これなら何の音楽でもかかるのではないでしょうか。嬉しくなってきました。


・ベートーヴェン:交響曲第3番から第1楽章 Jordi Savall & Le Concert des Nations

次に掛かったのは、ワーグナー/リスト編曲のピアノ曲で、トリスタンとイゾルデの愛と死です。堂々とした演奏で、タッチがとても深い名演です。私がこの頃、Silke Avenhauseの演奏を聴いているのから来た選曲なのでしょう。最後まで、とてもスケールの大きな演奏で、終わってから聴くとらザール・ベルマンとのこと。そうか、そうだった!と昔聴いていたベルマンの演奏を思い出しましたが、遥かにスケールの大きな音で、MITのケーブル特有の音がしています。このCDはアメリカのマイアミにあるレコード会社のCDで、現在は発売していないので、中古を探すしかないようです。その中古は、200ドル以上しているそうですが、これは手に入れないと仕方がないですね。それを手に入れるまではと、その他のリストの曲を早速発注しました。

・ヴァーグナー/リスト:イゾルデの愛の死  Lazar Berman (Pf)

その後、モンテヴェルディの恋文と現代音楽のスティーヴ・ライヒのフルート曲がかかりました。いずれも初めて聴く曲です。しかし、この次に掛かったブルックナー:交響曲第7番から第2楽章 には参りました。晩年のヨッフム・コンセルトヘボウの来日公演からの演奏です。NHKホールの音とは思えないほど、滑らかな弦の音に驚きました。ヨッフム最晩年の境地が演奏に表れています。30分間、聞き惚れていました。今日の白眉はこれでしょう。
  
サバールのマレと、シェーンベルグの明るい曲がかかってから、こちらも最晩年のクレンペラーの真夏の夜の夢がバイエルンの演奏で掛かりました。 楷書で丁寧に書かれた書という感じです。私は、フィルハーモニアの方のウィットに富んだ演奏の方が好きですね。

ここまで一気に掛けて、珈琲タイムです。いつの間にやら、雨は小降りになってきたようですが、どんどん暗くなっていきます。美味しいモンブランをいただき、アナログレコードの部に入りました。

こちらも驚きの連続です。まずこれも私の好きなミルバから。第一次世界大戦から第二次世界大戦の間にはやった曲をミルバが、あの声で歌い上げています。いつ聞いても素晴らしいですね。

続いて、ブラームスのピアノトリオ。演奏形態から言って、カザルストリオかとも思ったのですが、それほど音が旧くない。お聞きすると、エドウィン・フィッシャーのピアノ、シュナイダーハンのヴァイオリン、マイナルディのチェロの演奏でした。マイナルディのチェロがいいですね。

続いて掛かったのが、パルジファルの前奏曲。ワーグナー的な響きが充実しています。誰の演奏家と考えました。ケンペかカイルベルトという感じですが、お訊きしたらなんと、カラヤン!そういえば、と納得しました。カラヤンのワーグナーは特別だからです。いつもは冷静な演奏ですが、ことワーグナーになると、白熱の炎のように燃え上がります。その燃え上がるようなエネルギーの昂揚が良く表現されていました。

アナログレコードの最後は、ピアソロのライブでした。ギターの演奏が良かったです。その後はリクエストタイムで、夜香さんがお持ちになったCDを掛けて頂きました。

今までの曲とまったく違う曲ですが、前回夜香さんが来られたときは、この様な曲がかかっていたのです。ここで、私のリクエストで、このままの状態で、クロノスからのクロックを付けた音と、外した音の差を聴かせて貰いました。音は、確かに違います。使用しているときは、低音の凄みが益します。外すと音のずれが無くなり、明るい音になります。好みの問題の範囲ではありますが、私も夜香さんも、無い方の音が好ましく感じました。

この辺りは、好みの問題の範囲なのかもしれません。私のemmは、外部クロックの端子はありません。クロックの効果は、距離やケーブルが大きな要素になります。立体的に最短距離で繋いだ場合の音と、離れたときの音の差を知っている私としては、外部端子に頼るのではなく、内部のクロックをより安定したクロックに置き換える方が、現実的だと思っています。

SPの位置調整に関しては、一度、平行法を試してご覧になられたらと思いました。現状の内振りの配置だと聴取位置の微妙な差により聴いている場所で音場が動くようです。次回はその試みも提案してみようかとも思いました。内振りの配置では、厳密には中央の一点でしか聴けなくなりますが、左右に拡がった配置は、コーナーに置かれた交差法に近い音になります。立体感は前に出てくるのです。大変迫力が有る音になっています。SS-AR1の低い音は、音楽的で迫力もあり、大変好ましく思えました。しかし、音を決定しているのは、モノラル仕様で使われている力感溢れるスペクトラルのアンプでしょう。家で、"Consequence"を聴くときに使用しています。久しぶりにコンシーケンスを聴きたくなりました。これからが、オーディオの季節ですから。

予約されているレストランに向かう頃には、雨が上がっていました。坂道を下りていくとそこは、澁谷の街、文化村の前に出るのです。高級住宅街から澁谷の街の境目がとても面白く感じました。Aionさん、いろいろありがとうございました。次回は、是非家にお越し下さい。同じ様なおもてなしは出来ないかもしれませんけど、私も直球で勝負したいですね(笑い)。夜香さんおそくまでありがとうございました。









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