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Channel: GRFのある部屋
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「Quad 愛好会」のお二人が

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今週の連休には、いろいろな予定を入れてあったのですが、葬儀で変更になりました。振替休日の今日の午後だけは千葉からお客さんが来られました。「Quad 愛好会(聴く会)」の会長さんと副会長さんです。「Quad 愛好会」の会則27条には会の内容をみだりに公開しない罰則がありますが、今日はQUADの会ではないので、お二方の暗黙の了解をいただいて、会の内容を少しだけ漏らすことにいたします。少しだけと限定するのは、内容が5時間にも及び、余りにも内容が濃いために、そのすべては到底書ききれないからでもあります(笑)。

副会長のK社長は、レコード愛好家です。本日も私の前回の記事を読まれていて、秘蔵のSP(78回転)レコードをご持参になりました。デニス・ブレインのモーツアルトとヴァンダ・ランドフスカのチェンバロ、そしてリパティのショパンです。盤質も良いSPで最初のデニス・ブレインのホルンが鳴ったとき、三人とも声を上げました。会長のキャンベルさんは、のけぞり笑いはじめたぐらいです。ご自分のレコードなのにK社長も、余りにも蓄音機と違う音に驚かれたご様子。私は、ブレインの特有のホルンが実在感を伴って鳴り響いたので、我ながら驚きました。素晴らしい音です。K社長はやはり電気吹き込みの時のSPは、電蓄で鳴らさないといけないと独り言のように言われました。

ランドフスカのチェンバロは、プレイエル社に特注されたというチェンバロの特有の音がゆったりと再現されました。演奏がゆっくりと聞こえる素晴らしい音です。リパティのピアノは、LP用の録音とSP用の録音が別にされたと言われているそうです。こちらも素晴らしい粒立ちで、SP再生時のDecolaの優位性を再認識しました。

次に、K社長が持ち込まれたレコードは、ミルシュテインのバッハのパルティータでした。見覚えがあるレコードです。でも、その音を聴いて今度は私がのけ反りました。まったく記憶にない音だからです。LP再生には、赤いマークの付いたマーク1のLP用をK社長はご持参になりました。家のLP用よりこなれた良い音がしました。やはりカートリッジは聴きこなさなければなりません。その音は、今まで聞いたことの無い素晴らしい音でした。ミルシュテインが好きで、キャピトルの原盤を私も持っていますが、すべて聴き直さなければと思いました。

キャンベルさんの驚かれる姿も印象的でした。QuadやHartleyなどいろいろと聴いてこられた長いオーディオ人生の方向性を変えるかもしれない出来事でもあるからです。それも180度違う方向へ。足し算のオーディオから引き算のオーディオへの大きな変換点になるやもしれません。

デコラの音は、オーディオ的には大したスペックではないのです。周波数的にはSPレコードの帯域と変わらないほどです。マーク3以外のカートリッジでは、特にその傾向が強まります。帯域の広さより密度の方向です。その密度も濃い方向ではなく、軽い音と言うべきなのでしょうか?実在感のある軽さ、すなわち極めて楽器的な音なのです。

今日は、SPからLPへ。モノラルからステレオへと時代の流れ通りに聴いてみました。ステレオレコードになったのは、二時間以上経った頃でしょうか?気がつけば、GRFの音がなっているような広さに拡がっています。参考までに、GRFの音を聴かれていないK社長の為にGRFもならしてみました。久しぶりのGRFでした。デコラにも負けない良い音でしたが、音場の構成が反対です。45度配置で中央に密度を作ろうとする特有の音場感と中央から拡がっていくデコラの音場はデッカのカートリッジの特有の響きと相まって実在感があります。

実況録音盤の拍手や会場の雰囲気が見事に再生されていきます。定番の越路吹雪・金子由香利・アズナブールが掛かり出しました。運転手のK社長さんには申し訳ありませんが、キャンベルさんご持参の白ワインを開けて日生劇場や厚生年金会館にワープしに行きました。文字通り、記録(レコード)が蘇るのです。不思議なのは最内周に行っても音が悪くならないのです。レコードを聴いている感覚よりテープを聴いているような気が何時もすることです。
 
お二方の感想をお待ちしていますね。


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