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Channel: GRFのある部屋
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(Y)さんのコメントに

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Commented by (Y) at 2014-07-12 22:08

音には温度が無いのに、暖かく感じたり冷たく感じたりします。質量が無いのに重かったり軽かったりします。でも、感じる人もいるし感じない人もいるし。それってやっぱり経験値が大きく作用しますよね。真空管ラジオ、という言葉を聞いただけで特定のイメージが浮かぶのは、やっぱりあの時代の経験でしょうね。若い人が聴いたら…。うーん、どうなんでしょう? そこそこの歳でも、モノラルを聴いたことが無い人がいる時代ですからねえ。

>音には温度が無いのに、暖かく感じたり冷たく感じたりします。質量が無いのに重かったり軽かったりします。

(Y)さん たいへん良いポイントですね。確かに音には、温度はないのですが、温度によって、音の速度は変わりますね。また、空気の重さ、大気圧や湿度によっても、重かったり、軽かったりします。

真空管ラジオの音も、木製と戦後急速に普及した、プラスティックでは、明らかに音が違います。一緒に振動している材質や回りの温度によって、音が変わるのではないでしょうか?

空気が振動して、それが音になっている以上、振動するモードの違いを、人間の耳は聞き分けているのでしょうね。また、結局聴いているのは、耳ではなく脳です。脳は常に音をサンプリングしていて、今聞こえている音が何なのかを、無意識のうちに比較検証しているのでしょう。そのサンプリングがない、記憶にない聴いたことが無い音には、反応しようがないのです。

ステレオになってから、もう、60年を過ぎようとしています。現在、モノラルの音が聞こえるのは、AM放送ぐらいしか残っていません。ラジオの音=モノラルの音なのです。しかし、現在のラジオからは、昔聴いていた懐かしいモノラルサウンドは聞こえてきません。モノラルの音が、過不足無く聞こえるためには、耳が聞こえやすい領域の周波数帯域をしっかりと再現しなくてはいけ無いからです。

モノラルの音が自然に聞こえてくるには、視野で言えば全視野を網羅していないと不自然に聞こえます。また、元の音を知らないと、耳が反応しないのです。少なくとも、聴いている部屋のある一面の壁を網羅できるような、再生手段が必要です。言い換えると、モノラルほど大型装置を必要とするからです。

(Y)さんのお宅のオイロダイン、長野のLogeさんのKlangfilm、コーナーに置いたAutographやGRF、PragonやJBLの大型システム、部屋全体の空気を振動させる平面型SP、そして、360度放射をしているGerman PhysiksのようなSP。それらの装置からだけから、モノラルの暖かい、でも精緻な浸透力のある音が聞こえてくるのです。

もちろん、一番の驚きは、グレデンザに代表されるようなSP蓄音機からの、朗々とした、他を圧倒するようなあの伸びのある音です。あの音のエネルギーを出すには、SPの溝の大きさと、毎分78回転という、線速度が生み出す音の加速度です。電気蓄音機になって失った物は、そのエネルギー感です。それは、音を絞るアッティネッター・ボリュームが、音のダイナミクスを制限しているからでもあります。

私の知っている方に、オーディオは、音の大きさが一番大切だと、耳が壊れるほどの音のシャワーを浴びるのが快感だと言われる人達もおられます。私の耳では、二三日難聴になるような音です。あるとき、パラゴンの直前40センチで大音量で聞かされたことがあります。しばらく、耳がじーんとして、難聴になり、ほうほうの体で逃げてきました(苦笑)。SPレコードの音は圧倒的ですが、柔らかな音は、耳に決してきつくはありません。その意味では、ほとんどの方が、SPの音を歪みっぽくて、やかましい音だと誤解しているのです。

一方、真空管ラジオの狭い帯域から、ペリー・コモやビング・クロスビー、フランク永井や水原弘の声を聞いて感動していた事も良く憶えてきます。最近も、フランク永井や水原弘の実況録音盤を手に入れて悦に入っていますが、その音の帯域は、まさにAM放送独特の周波数特性に合っていたのです。FM放送になって、聴かなくなったのが、彼らのようないわゆる胴間声の魅力だと、その実況録音盤(ライブ盤)を聴いて改めて確認しました。女性も、美空ひばりや江利チエミ、青江三奈、松尾和子、大津美子、越路吹雪、岸洋子などすべてアルトの音域の歌手です。

ドイツ語圏で、車を借りると、カーラジオの音が、いわゆるドンシャリなのに驚きます。低音は、ブンブンドンドンといい、高音はしゃりしゃりのいかにもツィーターがチャカチャカと鳴っている音です。これは子音を強調する必要があるドイツ人の好みの音なのでしょう。それが、フランスから、イタリアに入ってくると、まったく違う母音の音が良く聞こえる音になります。発音上から言ってもイタリア人と日本人の音の傾向は似ていると思います。

そのドイツの車の音は、FM放送の音で、イタリアの音はAM放送の音だと一言で言えるのです。私の原点は、そのAM放送の二つの放送局を使って実験していた、立体放送なのでしょう。暖かく柔らかで、どこまでも拡がって行く大空間。でも、AM放送の音域とS/N比の範囲でしか聞こえない安心感もあるのです。限定された島のような安定感というべきなのでしょうか?制限があるから、安心していられるのかもしれませんね。

(Y)さんのコメントに、返事を書いていたら、長くなりました。まとまりが無く、書き流した文章ですが、とりとめなく拡がるのも、ゆっくりとした日曜の朝にふさわしい話題ですね。


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