久しぶりに、ベルウッドさんが、拙宅に来られました。先月、UNICORNさんのお宅であったとき以来でしょうか、ほぼ、一月ほどお会いしていなかったのですが、その間にも、ベルウッドさんの活躍は相変わらず素晴らしく、音楽会のみならず、ストラさん、デーさん、マイクキタさんと、諸先輩の所を訪問されて、詳細な訪問記を書かれています。前回お会いしたTさんのお宅では、レコード針のクリーニングの具体的な方法を説明しましたが、家でもレコードの音を、久しぶりにGRFで聴いていただこうというのが今回の来宅の目的です。
前日、関西から車で戻ってきて、やはり疲れが出たのでしょう。雨模様で午前中は、涼しかったので、ほとんど寝ていました。午後からは、ようやく起き出してきて、寝間着のまま、録りだめしている自転車の旅番組「こころ旅」を、一週間分眺めていました。その間も、見ながら時々寝ていたのでしょう。メールに着信があり、もう新宿駅を通過中とのこと。いそぎ、シャワーを浴びて、ようやく着替えたと思ったら、はや玄関のチャイムが!
いつもの如く、まずは和室の方へ。最近は、和室に入るとなかなか出てこれなくて、隣の部屋に行くときは、相当出来上がってからになります。今日は、メインはGRFを聴きに来ていただいたので、早々にと思ったのですが、案の定、今回も和室を出るには、三時間ほど掛かりました(笑い)。
その和室のユニコーンでは、ファイル化したテープの音の音質の差を聴いていただきました。最初は、dcc(デジタル・コンパクト・カセット)からファイルです。これはWAVで44.1kHz/16 or18bitの音です。CD音源と同じですが、時々18bitの録音があります。ファイル化するときは、24bitのモードで録音しています。音は、同じアルバムのCDも沢山ありますから、簡単に比較できるのですが、低域が安定したテープそのものの音がします。ゲルギエフのプロコイエフのロメオとジュリエットです。低く、小さくならされる大太鼓の音がとても実在感があります。この音を聞いて、16bit/44.1kHzのCDと同じ規格だとは誰もが、信じられないでしょう。
続いて、4トラックテープの音をファイル化した音源から。比べると、やはり60年代の音ですから、テープヒスは聞こえます。もちろん、ダイナミックレンジの狭さや、テープのコンディションに起因する音の揺れも感じます。でも暖かい音です。貴重な録音が沢山残っています。
それに比べて、38/2トラのテープは、マスターテープの音がします。全く次元が異なり、ホールの差、オーケストラの響きの差、指揮者の個性がそのまま反映されます。困るのは、録音の古さを全く感じない、柔らかで、奥の深い音が聞こえてて、レコードやCDでいつも聴いている音とはまったく違う響きがすることです。最初に、この音を聴いたときは、本当に驚き、また、余りの音質の差に呆れました。50年代の録音でも、全く古さは感じません。その意味で、音だけで、演奏を判断するのが、とても難しくなってきます。
我々の記憶の中には、例えば、50年代のワルターはこの様な音がするという概念があります。それをみまちがえるような音で、鳴ったら、記憶の中の音が、目の前の演奏を否定します。その様な意外性を利用して、ベルウッドさんに、誰の演奏家当てて貰うクイズを出しました。普通の消去法では、正解にたどり着けません。演奏スタイル、テンポ、特有のフレーズ、響きの違いを聞き分け、頭の中のデータベースから、対象を絞り込んでいくのですが、音が良いから、正解であっても、自らその答えを否定してしまうのです。その意味で、究極の引っかけ問題です。
米国のオーケストラか、ヨーロッパのオーケストラの基本的な響きの違い一つ取っても、そこには時代の響きもあります。その音質的なフィルターが無いとしたら、後は、自分の感性に合うか、こころに響き合うか、そのような自分の中の物差しの確かさを、試されているような感じでしょう。しかし、驚くべきは、ベルウッドさんの、その判断力の確かさです。嬉しくなってきました。
テープの最後は、DATに収録された演奏会録音です。大部分は、90年代に放送された音源から収録された物です。現在の再生技術の進歩、DAコンバータの確かさが、DATもやはりテープの音だと、一聴して分かる安定した音を出しています。48kHzと44.1kHzの僅かなサンプリングの差だけとは思え無い、テープ特有の柔らかで、暖かな音がするのが不思議です。いまは、無くなってしまった貴重な音源が蘇ります。これらの範疇から、意外性のある演奏を選び、当てて貰うクイズは、とても楽しい時間になりました。ヴァイオリン協奏曲を掛けて、すぐさま、フランチェスカッティとあてられる人が何人おられるでしょう?驚くべき正解率です。
気がつけば、もう、三時間近く経ち、最初はしらふで真剣にやっていた試みも、気がつけばワインもいつの間にか二本目を開けるようになりました。そこで、酔わない内にと隣の部屋に移動しました。最初は、先日SPの間隔を調整して低域の量感を増したT4から聴いて貰いました。我ながら、GRFの音に肉薄していると感じてました。ベルウッドさんは、GRFをほとんど聴いたことがありません。その音を聞いて、「ほほう、おお、これは…」と思わず驚嘆するような広大なステージと悠揚せまらぬ余裕の大シンフォニー…。「さすが…、これがGRFの音…です……よね??」と、ベルウッドさんからきかれたのですが、私自身も、これがとてもT4から聞こえてくる音には聞こえず、T4に近づいて、確かに鳴っているのを確かめてから、にやっとしました。
ベルウッドさんは、「エ〜!?」と、言ったきり絶句。我ながら不思議です。何故、T4からあのような、コントラバスの深い響きが聞こえるのか?なぜ、後ろのGRFが鳴っているような、奥行きのある深い音がするのか?これは、実際に聴いてみなければ分からないでしょう。
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その後、GRFを繋いで、聴いていただきました。T4で鳴っているGRFの様な音と、同じ音がするのが不思議です。コーナーに置いた交差法のSPと適切な間隔で、前の方に置かれた平行法のT4が同じ音をするなんて。ベルウッドさんご自身も、このT4を鳴らしているのだから、複雑な思いをされているのでしょう。勝手な推測ですが、6畳でも専用の部屋に床置きすれば、このような音場が得られるるだろうか?そもそも6畳でこの様な、深い音場がでるのだろうか?このGRFのある部屋の床の材質、天上の構造、周りを囲んでいるレコード棚やCD棚の材質、そういう物が渾然一体として、この大きな部屋だからこそ、この響きがしているのに違いない。六畳に引っ込むのなら、UNICORNさんや和室のユニコーンのような、置く場所を選ばないSPにしなければ成らないのだろうか?恐らく、この一瞬にいろいろなことがベルウッドさんの頭の中を駆け巡ったであろう事でしょう。もちろん私の勝手な思い込みですが(笑い)。
さて、GRFといえば、やはりレコードです。先日のUNICORNさんのお宅で、実践した針の洗浄効果とそれによってもたらされる立体感を、先日、手に入れた、フランク永井の実況録音盤と水原弘のライブ盤を聴いていただきました。圧倒的にフランク永井が良いですね。ビング・クロスビーやペリー・コモのような柔らかく深い声に圧倒されます。歌っているときと、落語家でもあった高い声のおしゃべりとのアンバランスが、とても良いです。その明るさに比べると、水原弘の声やしゃべり方は、やはり暗く、楽しくありません。そういう、音ばかりではなく歌手の性格さえ分かるのがGRFを愛用している理由でしょう。
クラシックの音も聞いていただきました。それから、原酒のウイスキーになり、またいろいろなレコードが棚から引きづり出されました。楽しい時間はあっという間に過ぎ、それでも、何時もよりは早めにお帰りになられたのですが、大変楽しい盛り上がった夜になりました。
前日、関西から車で戻ってきて、やはり疲れが出たのでしょう。雨模様で午前中は、涼しかったので、ほとんど寝ていました。午後からは、ようやく起き出してきて、寝間着のまま、録りだめしている自転車の旅番組「こころ旅」を、一週間分眺めていました。その間も、見ながら時々寝ていたのでしょう。メールに着信があり、もう新宿駅を通過中とのこと。いそぎ、シャワーを浴びて、ようやく着替えたと思ったら、はや玄関のチャイムが!
いつもの如く、まずは和室の方へ。最近は、和室に入るとなかなか出てこれなくて、隣の部屋に行くときは、相当出来上がってからになります。今日は、メインはGRFを聴きに来ていただいたので、早々にと思ったのですが、案の定、今回も和室を出るには、三時間ほど掛かりました(笑い)。
その和室のユニコーンでは、ファイル化したテープの音の音質の差を聴いていただきました。最初は、dcc(デジタル・コンパクト・カセット)からファイルです。これはWAVで44.1kHz/16 or18bitの音です。CD音源と同じですが、時々18bitの録音があります。ファイル化するときは、24bitのモードで録音しています。音は、同じアルバムのCDも沢山ありますから、簡単に比較できるのですが、低域が安定したテープそのものの音がします。ゲルギエフのプロコイエフのロメオとジュリエットです。低く、小さくならされる大太鼓の音がとても実在感があります。この音を聞いて、16bit/44.1kHzのCDと同じ規格だとは誰もが、信じられないでしょう。
続いて、4トラックテープの音をファイル化した音源から。比べると、やはり60年代の音ですから、テープヒスは聞こえます。もちろん、ダイナミックレンジの狭さや、テープのコンディションに起因する音の揺れも感じます。でも暖かい音です。貴重な録音が沢山残っています。
それに比べて、38/2トラのテープは、マスターテープの音がします。全く次元が異なり、ホールの差、オーケストラの響きの差、指揮者の個性がそのまま反映されます。困るのは、録音の古さを全く感じない、柔らかで、奥の深い音が聞こえてて、レコードやCDでいつも聴いている音とはまったく違う響きがすることです。最初に、この音を聴いたときは、本当に驚き、また、余りの音質の差に呆れました。50年代の録音でも、全く古さは感じません。その意味で、音だけで、演奏を判断するのが、とても難しくなってきます。
我々の記憶の中には、例えば、50年代のワルターはこの様な音がするという概念があります。それをみまちがえるような音で、鳴ったら、記憶の中の音が、目の前の演奏を否定します。その様な意外性を利用して、ベルウッドさんに、誰の演奏家当てて貰うクイズを出しました。普通の消去法では、正解にたどり着けません。演奏スタイル、テンポ、特有のフレーズ、響きの違いを聞き分け、頭の中のデータベースから、対象を絞り込んでいくのですが、音が良いから、正解であっても、自らその答えを否定してしまうのです。その意味で、究極の引っかけ問題です。
米国のオーケストラか、ヨーロッパのオーケストラの基本的な響きの違い一つ取っても、そこには時代の響きもあります。その音質的なフィルターが無いとしたら、後は、自分の感性に合うか、こころに響き合うか、そのような自分の中の物差しの確かさを、試されているような感じでしょう。しかし、驚くべきは、ベルウッドさんの、その判断力の確かさです。嬉しくなってきました。
テープの最後は、DATに収録された演奏会録音です。大部分は、90年代に放送された音源から収録された物です。現在の再生技術の進歩、DAコンバータの確かさが、DATもやはりテープの音だと、一聴して分かる安定した音を出しています。48kHzと44.1kHzの僅かなサンプリングの差だけとは思え無い、テープ特有の柔らかで、暖かな音がするのが不思議です。いまは、無くなってしまった貴重な音源が蘇ります。これらの範疇から、意外性のある演奏を選び、当てて貰うクイズは、とても楽しい時間になりました。ヴァイオリン協奏曲を掛けて、すぐさま、フランチェスカッティとあてられる人が何人おられるでしょう?驚くべき正解率です。
気がつけば、もう、三時間近く経ち、最初はしらふで真剣にやっていた試みも、気がつけばワインもいつの間にか二本目を開けるようになりました。そこで、酔わない内にと隣の部屋に移動しました。最初は、先日SPの間隔を調整して低域の量感を増したT4から聴いて貰いました。我ながら、GRFの音に肉薄していると感じてました。ベルウッドさんは、GRFをほとんど聴いたことがありません。その音を聞いて、「ほほう、おお、これは…」と思わず驚嘆するような広大なステージと悠揚せまらぬ余裕の大シンフォニー…。「さすが…、これがGRFの音…です……よね??」と、ベルウッドさんからきかれたのですが、私自身も、これがとてもT4から聞こえてくる音には聞こえず、T4に近づいて、確かに鳴っているのを確かめてから、にやっとしました。
ベルウッドさんは、「エ〜!?」と、言ったきり絶句。我ながら不思議です。何故、T4からあのような、コントラバスの深い響きが聞こえるのか?なぜ、後ろのGRFが鳴っているような、奥行きのある深い音がするのか?これは、実際に聴いてみなければ分からないでしょう。
![](http://pds.exblog.jp/pds/1/201407/22/99/f0108399_2271317.jpg)
その後、GRFを繋いで、聴いていただきました。T4で鳴っているGRFの様な音と、同じ音がするのが不思議です。コーナーに置いた交差法のSPと適切な間隔で、前の方に置かれた平行法のT4が同じ音をするなんて。ベルウッドさんご自身も、このT4を鳴らしているのだから、複雑な思いをされているのでしょう。勝手な推測ですが、6畳でも専用の部屋に床置きすれば、このような音場が得られるるだろうか?そもそも6畳でこの様な、深い音場がでるのだろうか?このGRFのある部屋の床の材質、天上の構造、周りを囲んでいるレコード棚やCD棚の材質、そういう物が渾然一体として、この大きな部屋だからこそ、この響きがしているのに違いない。六畳に引っ込むのなら、UNICORNさんや和室のユニコーンのような、置く場所を選ばないSPにしなければ成らないのだろうか?恐らく、この一瞬にいろいろなことがベルウッドさんの頭の中を駆け巡ったであろう事でしょう。もちろん私の勝手な思い込みですが(笑い)。
さて、GRFといえば、やはりレコードです。先日のUNICORNさんのお宅で、実践した針の洗浄効果とそれによってもたらされる立体感を、先日、手に入れた、フランク永井の実況録音盤と水原弘のライブ盤を聴いていただきました。圧倒的にフランク永井が良いですね。ビング・クロスビーやペリー・コモのような柔らかく深い声に圧倒されます。歌っているときと、落語家でもあった高い声のおしゃべりとのアンバランスが、とても良いです。その明るさに比べると、水原弘の声やしゃべり方は、やはり暗く、楽しくありません。そういう、音ばかりではなく歌手の性格さえ分かるのがGRFを愛用している理由でしょう。
クラシックの音も聞いていただきました。それから、原酒のウイスキーになり、またいろいろなレコードが棚から引きづり出されました。楽しい時間はあっという間に過ぎ、それでも、何時もよりは早めにお帰りになられたのですが、大変楽しい盛り上がった夜になりました。