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Channel: GRFのある部屋
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テープのDSDファイル化

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50年前の4トラックテープや、いわゆる38/2トラのテープのDSDファイル化を進めています。Nagraのお師匠さんのCさんが、定年退職をされたのをこれ幸いと、無理矢理テープを送り込み、数百巻のDSDファイルに変換していただいております。50年以上経ったテープの、長寿命に驚くと同時に、高性能テープと言われた、バックコーティングされたテープの剥離に難儀しています。しかし、ワカメ状態になったテープも、走行中ヘッドへの適度なテンションを掛けることで回避して、安心して聴ける音源に復活する様は、長年テープレコーダーを使って来たベテランのCさんならではの熟練の技です。

そうして、ファイル転換されたDSDは、44.1kHz/16BitのCDフォーマットで掛けても充分聴き応えのある水準になっています。私は、通常は48kHzのDATの水準で聴いています。44.1kHzと48kHzの間に大きな違いを感じるからです。もちろん、折角、DSDIF5.6MHzで変換している以上、ワンビットでも再生します。Audio GateやAudirvana Plusを使用しています。KorgのDAC-10を使えば、DSD128(5.6MHz)でもそのままアナログ変換されます。

emmを使っている場合は、まだDSD64(2.8MHz)のSACD水準でしかワンビットは受け付けません。そのemmは去年からヴァージョンアップの話はあったのですが、延び延びになって、来年にボードをgalvanic isolation対応にして交換アップグレードがあるようですが、ハード交換になるとまた費用が掛かることでしょう。しかし、emmではSADCグレードのDSD64でも、通常聴くようなきつい音にはならず、アナログを彷彿する柔らかな音で再生出来ますから、5.6MHzに対応する来年が楽しみでもあります。

それらの最新デヴァイスを使って、30〜50年前の38/2トラックテープを再生すると、器の大きさがようやくあってきたのか、ほとんど遜色のない音質で再生出来ます。正確に言えば、デジタル変換というフィルターを通して、幾分スッキリした音になり、聴きやすくなるのです。かといって、音が痩せると言うことではありません。テープの走行に伴う音が消えるといった方が正しいかもしれませんね。

我々の仲間も、数十年掛かって集めてきた秘蔵のテープが沢山あります。問題は、それらのテープの一部に磁性体の剥がれや、テープの劣化が始まっていることです。先にも書いたとおり、表と裏のコーティングが違うタイプが、剥離が起きやすいようです。完全に劣化する前に、中の音楽ソフトを取り出したいという思いで、変換中は、一時もその場を離れられない、実に気を使う作業を繰り返してファイル化を推し進めています。その作業の楽しみや苦しみは、収録した録音技術者の音楽的素養がすぐ解る事です。また海外の演奏家の日本での演奏と本場での演奏の差もよく聞き取れます。手を抜いた演奏は一聴して分かります。怖いモノですね。

いわゆる、マスターダブと呼ばれる、門外不出の筈のマスターテープのコピーを聴くこともあります。その音質は、レコードとも、テープでも、CDでも決して聴けない音です。ダイナミックレンジが大きすぎてそのままでは、入りきらないからです。放送の時はリミッターが入っていたのでしょう。生の演奏会場そのものの深く柔らかいコントラバスや低音木管楽器の音が部屋を充たします。どのような装置を使っていても、全く今までとは違う音に愕然とします。それを聴くと市販のオーディオとは何なのかと!

しかし、問題があります。この様なテープを収拾していたり、昔、FMの生放送を38/2トラで録音して方々が、一気に高齢化しているという現実です。我々の世代は引退して前期高齢者の仲間入りをしました。しかし、テープ全盛時代の先輩達は、もう後期高齢者の範疇になって来ました。身体も装置を動かせる内は、まだオーディオをさせて貰えますが、寝たきりになったり、施設に入ったりすれば、大きく、重い38/2トラのテープ類は、即座に邪魔者扱いされることでしょう。そのまま廃棄されたり、孫の小遣い稼ぎにインターネットで転売されてしまいます。10インチのテープは、いまや貴重品でもあるからです。その中に入っている音楽は、その分野が好きでなければ全く価値が分からなくなるのです。

このブログをお読みの方々や、そのご友人、先輩方の中で、昔のテープをおもちの方で、貴重な音源をおもちの方はぜひ、その音源を変換されませんか?CDフォーマットにすることも出来ますし、ハードディスクに5.6mHzのファイルにしてお渡しすることも出来ます。我々は、クラシック中心ですが、ジャズももちろん行います。マスターテープとか、生放送の音源とか、貴重な音源を変換して後世に伝えていくのも、我々の義務だと思っています。

変換後は、もちろん、そのテープはお返し致します。また、そのまま、お預かりすることも可能です。現在、我々の貴重なテープのアーカイブも2000巻を越えました。10インチのマスターターダブやエアーチェック音源も数百巻に登ります。昨年、ご遺族の方からお預かりしたテープだけでも、数百巻になりました。それらの貴重な音源を、順次ファイル化しているのです。著作権の問題から、50年以上経って、パブリックドメイン化した音源以外は、公表は出来ないのですが、現在は、50年前の1964年以前のものは、可能になりました。また、これからも、CD化されない貴重な音源を残すことに大変意義があると思って行っています。

変換できる音源は、

1.オープンリールテープの2トラック、4トラックテープ、速度は、9.5センチ・19センチ・38センチ、録音カーブはNAB・CCIRの両方です。ドルビーにも対応します。

2.DAT、dcc、カセットです。

1950年代から1980年代までは、オープンリールテープが、スタジオ標準でした。その後、2000年過ぎまでDATが保存用の主流になりました。

変換用の機器は、マスターテープは、当時レコード会社でテープからレコードのカッティングをするときに使われていた、TELEFUNKEN M-15と、90年代まで録音スタジオで活躍したSTUDER A-80、放送局で使われていたNAGRA T-AUDIOを使用して行っています。DATは、Stellavox、SONY、FOSTEXのDATのプロ用機器です。

ご希望の方は、まずメールでご連絡下さい。詳しくお打ち合わせを行ってから行いたいと思います。営利事業ではありませんので、変換する音源は、後世に残すべきモノに限らせていただきます。プライベートな音源は、出来かねます。また、変換作業は慎重に行いますが、テープの劣化等による事故には責任を負えません。そのあたりをご了解いただいた方に限らせていただきます。

テープの送料等は、ご負担下さい。変換用のハードデスクをお預かりして、一緒にご返還致します。音源は、我々のアーカイブにも加わり、お預かり致します。変換中に音源を聴く驚きが、我々の原動力ですので(笑)。


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