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幸せな日曜日 マーラー第5番 

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今日の午前中は、先日来た「絶対音感」という本を読んでいました。ノンフィクションで面白く、どんどん進みます。絶対音感の教育や、日本のドレミの特殊事情。絶対音感と相対音感の違い。五嶋みどりと龍の違い。龍君と日本のオーケストラのピッチの問題。実は私はテレビのドキュメンタリーで、五嶋龍君の日本デビューを聞き、ピッチが高すぎて狂っていると感じていました。日本的にみるとその通りなのですが。問題はピッチではなく日本の平均律教育による音律の問題で、これは大変です。

夢中で読んでいたら、もうでかける時間です。そのまま、地下鉄の中でも読んでいました。地下鉄副都心線に新宿三丁目で乗り換えて急行に乗ると、あっという間に池袋駅の西口。芸術劇場の下にでます。新装なった芸術劇場。例の恐怖のエスカレーターは無くなりましたが、それでも、まだ三階分は登らなくてはなりません。行きは、エスカレーターを乗りましたが、帰りはエレベーターで降りてきました。

今日は、昨年末の第三番に引き継ぎ、マーラーの第5番をエリアフ・インバルの指揮で都響の公演です。昨年聴いた三番の弦セクションの素晴らしさから、第四楽章を楽しみにしてきました。最初の曲は、小編成でモーツァルトのフルート協奏曲第二番、前日の横浜公演では、同じマーラーのリュッケルトのしによる歌曲だったのですが、どういうわけか、今日はモーツァルト。独奏は上野由恵さんです。初めて聴きましたが、清楚で良い演奏でした。でも、なぜマーラーの前にモーツァルトなのでしょうか?

休憩後は、一気にメンバーが増えて、打楽器も多いマーラー特有の編成です。冒頭のトランペット、幾分ピッチが低く感じたのは、今まで読んでいた本の所為ばっかりではないでしょう。第一楽章と第二楽章は休みなしで良い展開です。第三楽章は好きな楽章でホルン協奏曲みたくホルンが活躍します。冒頭のところも素晴らしいですね。繰り返しで、少し裏返りましたが、気にせずどんどん進みます。弦楽器が良くなってきました。第四楽章の前で、指揮者は一旦中座して、チューニングのやり直しです。音を合わせてから、アダージョへ。期待通り弦が良いですね。在京のオケでも都響が一番でしょう。特に低弦が良いです。チェロの美しい響きは、滅多にしませんし、コントラバスの柔らかな弾き方は、○響とは大違いです。勿論、ヴィオラも第一、第二のヴァイオリンも言うことありません。最終楽章の弦の響きの良さは、本当に素晴らしい。木管も、金管も完璧です。

唯一気になったのは、今回も打楽器でした。トライアングルの音色がくすんでいるのと、ティンパニーの響きが薄いです。大太鼓が弱く、シンバルの音が潰れます。これは鳴らし方もあるでしょうが、ステージ奥のオルガン下のくぼんだところに音が入り、飽和するような気もします。オルガンのステージが打楽器の天井を塞ぎ、音が上に登らない所為かもしれません。もっとも横浜でも、気になったので楽器や鳴らし方の問題かもしれません。もしかすると、打楽器のピッチが少しだけ低いのかもしれません。いずれにしても打楽器がもう一段迫力があれば言うこと無しです。インバルの演奏は、何時も変わりません。今日の最終章の盛り上がりも見事ですが、まだ狂うばかりという音が出ていないのだけが少し不満でした。

終わったら、エレベーターに乗り、地下鉄ですぐに帰って来ました。新宿三丁目で久しぶりに伊勢丹により、変わった売り場に戸惑いながら、おつまみを買ってきました。家に着いたら白ワインを開けて、マーラーの余韻を少し冷ましました。幸せな日曜日でした。


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