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Channel: GRFのある部屋
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まるで美術館のような

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この写真に写っているコーナーに有るタンノイはGRFではありません。一回り以上大きなAutograph millenniumです。とても小さく見えませんか?そしてその内側に並んでいるのは、タンノイ史上最強とも言える18インチのウーハーを搭載したKingdomです。小さく見えるわけは二階まで吹き抜けになっている5m以上もの天井高にあります。部屋はほぼ正方形で、一辺が8メートル近くあります。畳換算だと40畳ぐらいでしょうか?天井高が二階までの吹き抜けですから、20畳の部屋のボリュームの4倍はあるわけで、大音量を出すためにはアンプには相当頑張って貰わなければなりません。
反対側のガラス戸の上は、文字どおりの美術館です。素晴らしい空間です。個人のお宅というより小型の美術館ですね。部屋の構造も壁構造で、この高さを保っているのですから、いろいろ技術的に工夫があるのでしょう。柱が内空間は気持ちの良いものです。八ヶ岳の康耀堂美術館の感じです。通りに面したお宅なのですが、外回りをコンクリートの壁で覆い、外側に向けては窓は全くありません。防音にも防犯にも最適です。その壁の内側には京都の中庭見たく緑が配置されています。大きな窓は真空の二重窓で、しっかりとした防音と気密を保っています。都会の中に作る最適な方法でしょう。建ぺい率はその中庭で補えます。

Kingdomの48センチウーハーには専用でマッキントッシュの1200Wが充てられています。上の3ウェイは300Bでドライブしている845です。ドライバーと出力段は別々のトランスから供給されているのだそうです。文字通り超弩級でした。この部屋の主のTさんが、 Kingdomの中を開けて見せてくれました。重量級のSPで170キロもあるそうです。バッフル厚さが半端ではありません。どうやって搬入されたのかといぶかる程の重さです。もっとも、この部屋は一階で真空ガラスのおおきなガラス戸がありますから、問題は無いのですが。
詳しい器機の説明を受けてから、そのKingdomから聴かせていただきました。マルチアンプ方式ですから、低音の力強さは驚くほどです。幾分内向きですから音像が中央に集中してきます。そのエネルギーを受けた止められるのが、Tさんはお好きなのでしょう。タンノイの旧い、すこしすきま風が吹いているような音が好きな私には、少し重かったです。チェロソナタが時としてコントラバスソナタにも聞こえてきます。どの曲も力が入っていて、極めてオーディオ的な音がすると思いました。お聞きすれば、調整のアドヴァイスをされているのが、ベテランのレコーディングエンジニアとのこと。スタジオで再現される音を目指されているのだと解りましたが、私には大音量で、そこし刺激が強いと感じました。大排気量車の圧倒的なパワーは解るのですが、サーキットで最高速を出す為に作られていて、オーディオ的には、快感ですが、これで一般道は走れないと思いました。


Tさんは、出版関係の仕事で功績があった方です。現在も、クラシック専門誌のMostly Classic誌の発行人をされています。クラシック音楽、オーディオ、お仕事の出版のすべてに造詣が深い方です。そして美術にも深いのは、この私的な美術館のようなお宅を拝見すれば解ります。極めて趣味のよいのは、無駄を排したお宅の作り方を拝見すれば解ります。また、これと信じると信念を持って真っ直ぐ進まれるのでは思いました。器機の選び方でも解りますね。SPはタンノイですが、アンプはフェーズテックとViolaです。その他、アクセサリーにも凝られています。適材に配置されていて効果を上げていました。


さて、いよいよ、オートグラフです。Kingdomに比べれば、オートグラフは音量も小さいので、室内楽や小編成に使われているとのこと。そんな事は無いはずと思っていました。しかし、7メートルも離れているので、音量を上げないと中抜けするかとも思いましたが、そんな懸念も聴いた瞬間無くなりました。しっかりと中央の定位もなされていて、さすがにAutographです。言うことはありません。Kingdomとは正反対の音と言ってもいいぐらいです。入力の質をよくすれば一変によくなると感じました。掛かったCDは国産のCD特有の音がしているのです。少し厚かましいあの音です。それでも、必要かつ充分な帯域でゆったりと鳴るのは、オートグラフ特有の音ですが、小さな部屋で聴くような飽和感は全くありませんから、どちらかというとGRF的な音で鳴っています。この部屋の音がそうさせるのでしょう。これだけの大きな部屋で平行面もありますから、所々残響が聞こえることもあるのですが、床の絨毯(恐らくニュージーランド製)の吸音が聴いているのでしょう。

Tさんが以前家に来られた時、家の音よりもレコード棚の方に興味を持たれたのを覚えています。それはそうでしょう。音の大きさがまったく違いますから。それで、今回も何かオリジナルレコードを持って来るようにと、仲介していただいたUNICORNの先輩のAさんから言われていました。そこで、私のの好きなカラヤンのシベリウスとハイティンクのブラームスを持ってきました。それと、コントラバスのシュトライヒャーのコントラバス協奏曲。そのシュトラヒャーが加わったシューベルの鱒。最後に定番の越路吹雪の1979年盤です。

カラヤンが静に掛かりはじめました。イエスキリスト教会の高い天井に音が吸い込まれていきます。素晴らしい弦の合奏です。さすがにオートグラフは弦楽器になると素晴らしい音を奏ではじめます。大編成のオーケストラが悠然と鳴っていきます。私のこれだけの間隔のコーナースピーカーでは聴いたことはありません。私の部屋でも長辺方向に置けばこの間隔が得られるのですが、奥行きが足りませんから、三角形の内側で聴くように鳴ってしまいます。でも、何時か実験はしてみようと思いました。


ハイティンクのコンセルトヘボウも素晴らしい弦合奏です。木管楽器の融合されていく様も素晴らしい音で鳴りました。シュトラヒャーのコントラバス協奏曲は、太いコントラバスがゆったりと鳴っていきます。私ならこのAutographだけで良いのにと思っていました。Kingdomは反対側の棚の方におかれて、ソファーを今一台入れて座ればまったく違うシステムが聴けて面白いです。しかし、今ならこのKingdomを使った5チャンネルも凄い音がしそうです。前面の壁を使った大スクリーンも可能ですね。

最後は、いつもの越路吹雪です。左右のオートグラフから離れた中央にコーちゃんが立って歌っています。凄い実在感です。日生劇場のステージが出現しました。これだけの距離と高さがが必要なんだと思い知らされました。どこか、田舎の古民家を手に入れて改造するしか有りませんね。何だか急にやる気が出てきました。


短い時間の訪問でしたが、大変参考になりました。Tさんもレコードの良さが解っていただいたように思えます。そのうちRoksanにされるそうです。Aさんと盛んにアームの話をされていました。次回が楽しみです。




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