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二つのGRFのある部屋

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二つのGRFのある部屋 様

「もうひとつGRFを購入したんですよ」と伺ったのが昨年末、それからちょうど1ヵ月後の昨晩「もうひとつのGRF」に対面しました。GRFさんのお宅に初めておじゃましたのがもう6年前になりますが、その時の「初代GRF」から放たれる音の世界に驚いたことは、今でもハッキリと覚えています。

その後、縁あって様々なお宅で「GRF」を聴かせて頂く機械に恵まれましたが、そのどれもが全て違うバージョンの物でした。そして、今回の「もうひとつのGRF」もまたや別バージョン、モニターゴールドを搭載したレクタンギュラー型です。

箱の形は違えども、同じユニットを搭載しているGRF同士の対決、いや競演になりますから、どうしても興味はその違いの一点に集中してしまいますね。

レクタンギュラーGRFは、このお部屋にある大型のコンシーケンスやハートレイの定位置となる、後ろや横の壁から十分に開放された所に平行に置かれていました。近くに寄って見せていただくと、本当に素晴らしいコンディションであることがわかりました。45年間という時間、一体どのように保管されていたのでしょうか?サランネットを外すと、とても大きなバックロードホーンの開口部が表れます、同時にエンクロージャーとホーンの強靭な造りも確認出来ました。

そして、いつもの大きなソファーに添わらせていただいた瞬間、ゆっくりと音楽が流れ始めました。

最初は、初代のコーナーGRFで聴くときより、音量が控えめなのかなあと思ったのですが、それは音量の違いではなく、音場の違いによる錯覚と気がつきました。コーナーGRFの包み込まれるような音場ではなく、レクタンギュラーGRFのそれは、広大で奥行きの深いものでした。

深々とした低域は、決して直線的なものではなく、ステージの奥から押し寄せるように鳴り響いて来ます。正面に広大なホーンの開口部があることを考えると不思議ですね。

音質的な違いで言えば、コーナーGRFがクールでさわやかな秋風のような感じとすると、レクタンギュラーGRFはやや熱気と湿度を感じる春風のような印象を受けました。日本酒で言えば、辛口とやや甘口くらいの違いですかね(笑)

同じ「GRF」という名称を与えられたこの2つのスピーカーですが、形状や構造、そして何より使い勝手がかなり異なるので、同じ部屋においても、かなり相反したキャラクターであることがわかりました。ただ、「バックロード」という共通の方式がもたらす、3次元的な音の広がりは、「GRF」という名称を持つスピーカーのみに与えられた特権なのでしょうね。

さて、今後はどちらの「GRFのある部屋」になるのでしょうか?

チューバホーン

早速、新しい「?」GRFを聴きに、ランカスターをお使いのチューバホーンさんが来てくれました。この音を聴かれたのは、近所のAさんと、大山君についで三人目です。コーナーGRFの音場に包み込まれる音と違い、SP後方に奥行きを感じる平行法で置かれたGRFは同じユニットが出している音とは思えないほど、違った響きがします。

バックロードホーンの構造体が中にそのまま入っている形のエンクロージャーは、後方のバッフル板以外はすべて二重の構造になっています。側面を叩いてもコツコツという音しかしません。下方に空いた開口部は大きくバックロードによる迫力のある低音がストレートに前に出てきます。その迫力有る音は大音量にするとPA的な響きさえします。静にならしているときは、甘く柔らかな響きです。

タンノイの他のどれとも似た音はしません。考えてみれば、IIILZやLancasterは密閉箱で、箱の響きを利用していますし、Yorkは低いところまで延ばしたチューニングのバスレフです。各々、レクタンギュラー型とコーナー型がありますが、まったく違う音がします。箱の響きが違うからでしょう。レキュタンギュラー型の方が、箱の響きに影響されます。コーナー型の方が強度が出るのか、辛口です。このGRFでもその特徴は変わらず、コーナー型の方が広がりはありますが、すこし辛口ですね。

チューバホーンさんが言われるように、幾分甘口で柔らかい音がするのがRectanglarGRFの特徴です。さまざまなバックロードホーン型を作られてきた大山さんはバックロードホーンの形式で、初めて後方定位するSPを聴かれたと言われました。木管や金管はステージ後方からの響きと共に聞こえてきます。極めて奥行きの深い立体的な響きです。その前方に弦楽器群が拡がります。その響きの美しいこと。それはレコードもCDも同じです。コーナーGRFは左右に音が拡がり、ヴォーカルはしっかりと中央に定位します。そして音は前方に出てくるのです。しかし、平行法に置かれたレクタンギュラーは、オペラのホールみたく間口より奥行きが深いのです。

現在は、今までコンシーケンスやハートレーが良いとで鳴ったベストポジションに置かれています。そのままで左右の幅を少し拡げるとステージの間口が大きく変わります。一度、部屋を横に使った実験もしたいですね。いずれにしても、今一部屋も、二部屋も必要になってきました。田舎の古民家でも借りないと収納できなくなってきました。昔からの蔵が一番良いのですが。夢ですね・・・。

チューバホーンさん ご感想をありがとうございました。次は今週末に来られるTaoさんのコメントを待ちましょう。Chatsworthを使用されていたTaoさんの好みな音だとは思います。でも、それまでに部屋を片付けなくては!





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