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久し振りの紀尾井室内管弦楽団

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「紀尾井シンフォニエッタ東京」が改名して『紀尾井ホール室内管弦楽団』として、新たな一歩を踏み出す記念のコンサートに行ってきました。改名に伴い、秋から開始していたシーズンを、半年ずらして新年度はこの四月から始まることになりました。その半年間は室内楽の演奏会が開かれていて、それはそれで結構楽しめました。

午前中資料作りをしていて、気がついたら何と一時を回っていました。開演は二時です。いそぎ支度をして、地下鉄の駅に着いたらもう一時半です。十数分で四谷駅につくはずでしたが、そういうときに限って中野坂上でも、新宿駅でも時間調整を行って、四谷駅に着いたらもう開演10分前です。でも駅からホールまでは10分は掛かりません。少しだけ余裕が出来て、桜が終わった外堀の土手の淡いスミレの写真も撮れました。ホールに着いたら1分前。席に着いたら同時にメンバーも入ってきました(汗)。


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今まではゲストとして演奏されていたウィーンフィルのコンサートマスター・ライナー・ホーネックさんを新たに首席指揮者として招き、『紀尾井ホール室内管弦楽団』としての新たなスタートを切ったのです。新しく入ってきたメンバーとともにどの様にオーケストラが変わったか、楽しみにしていました。入り口で渡されるパンフレットは、デザインも変わりましたが、紙質は少し安っぽくなりましたし、雑誌のようなデザインで、今までの厚手の上級紙で作られた落ち着いた感じが無くなり、すこし不安を感じさせます。紙質だけではなく制作もコストダウンした感じです。

ステージのメンバーもよく見ると、少しずつ顔ぶれが変わっていることに気がつきました。最初の曲は弦楽器だけの、ストラヴィンスキーの穏やかな曲のストラヴィンスキーのバーゼル協奏曲です。8・6・6・4・2もいつもの構成です。しかし、出てきた音は低弦が強めの力強い響きでした。ビオラのメンバーは組み合わせが替わってはいますが、いつものメンバーです。低弦の違いは、コントラバスの吉田さんが久しぶりに復帰したことぐらいです。いつもの池松さんとの音の違いが明確にあり驚きました。吉田さんの音は、去年ぐらいから変わってきたように思います。N響の低弦の響きが随分と充実してきました。まるで楽器が変わったようです。池松さんと河原さんの組み合わせは、軽快で動きの良い響きですが、吉田さんが入ると音が重くなります。もちろん、低弦の重厚な響きは、チェロの演奏に左右されます。しかし、見たところチェロのメンバーはいつもと同じように感じました。

後ろの方の若手の人も何人かは変わっており、音が少しシャープになったようです。だからといって、水戸のような力で押すのと違って、特にコンサートマスターが玉井さん時は、柔らかでしなやかな響きが出ていて、弦楽器の素晴らしさは、室内管弦楽団では世界でも屈指の実力だと思います。全体には都響の響きをコンパクトにした感じでしょうか?

二曲目のバッハの二つのヴァイオリンの掛け合いは聴き所が満載でした。通奏低音とリズムを併せ持つチェンバロが入るだけで、オーケストラの響きは安定します。全体の響きは昨今の奏法と違い、昔のリヒターのバッハの音楽の世界に入ったようで安心感に包まれました。ただ、後半は少し飽きてきましたが、、。アンコールは、ブラームスの時代のウィーンフィルのコンサートマスターのヨーゼフ・ヘルメスベルガーの編曲による同じ曲のカデンツァでしたが、ホーネックさんの説明によると、時代を反映して少し華美すぎると言うこととでしたが、アンコール曲には良いでしょうと笑わせて演奏が始まりました。別の曲のように聞こえました。楽しんだところで、前半は終わりました。ここまでは、弦楽器だけです。後半のハイドンは、どの様な演奏でしょうか?



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休憩では、インターネットの接続で半月ぐらいご無沙汰でしたBellwoodさんと新しい響きについて意見交換しました。印象はほぼ同じですね。

後半のハイドンは、大曲です。編成も管楽器は充実していて、フルート・オーボエ・ファゴット・トランペットは二管でホルンは4管の豪華さです。もっともそのホルンはほとんど一緒に吹かれる時間は少なく、トランペットとティンパニーは、大曲の最後だけに登場します。奏者には忍耐力を要求するような曲ですね(笑)。ハイドンの時代だとマレットの質を問われる近藤さんのティンパニーですが、ホーネックさんの指示か通常の柔らかな響きのマレットでした。少しホッとしましたね(爆)。

その木管は大変充実しており、ハイドンのオーケストレーションの意外性のある特徴を良く出していました。ホルンの安定は今までより良かったです。しかし、大曲すぎて幾分冗長に感じたところも事実です。その点がハイドンたる所以で、モーツァルト、ベートーヴェンとの違いを逆に感じることが出来ました。曲の個性は地味ですが、新しい管弦楽団の方向性も良くみえたと思います。ホーネックさんでは無い,指揮者の音楽も楽しみです。次回はルーセル・ショパン・ビゼーのフランス系の音楽です。また、千々岩さんが活躍されるのでしょうか?私の好みは玉井さんの力が抜けたところなのですが、、、

夕方から雨が予想されていましたが、帰り道も何とか持ったようです。いつものイタリアンでワインを飲みながら、Bellwoodさんと感想戦は多岐に及び、今回も楽しい時間でした。


紀尾井ホール室内管弦楽団 第106回定期演奏会

2017年4月22日(土) 14:00

ストラヴィンスキー:ニ調の協奏曲(バーゼル協奏曲)

バッハ:二本のヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調BWV1043

(アンコール) ヨーゼフ・ヘルメスベルガー1世:
バッハ/2本のヴァイオリンのための協奏曲のカデンツァ

ハイドン:十字架上のイエス・キリストの最後の七つの言葉 Hob.XX/1A

紀尾井ホール室内管弦楽団

コンサートマスター:玉井菜採(ストラヴィンスキー、バッハ)
          千々岩英一(ハイドン)

ソロ:ライナー・ホーネック、千々岩英一

指揮:ライナー・ホーネック





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