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Klempererの初版盤

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10年前に本ブログを始めた頃の最大の関心事は、オットー・クレンペラーの英国コロンビア盤の初版盤を集めることでした。それは、初版と二版目以降では、音が決定的に異なるからです。その差については、ここで詳しく書きました。家で実際にこの差を聴かれると、あまりの差に呆然とします。コピーではあるのですが、もうすこし同じ質で製作して欲しいと思うからです。先日来、Mola Molaのイコライザーで飛躍的に良くなったレコード再生でこの初期盤を掛けるとどのように聞こえるか試してみました。

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その時に聴いたレコードがこれです。晩年のニューフィルハーモニアでの演奏です。若いバレンボイムのピアノの音も冴えていますが、何よりもニューフィルハーモニアがクレンペラーの指揮により、スケールの雄大な演奏を広げています。長年、ウォルター・レッグのもとで、フィルハーモニアを録音していたのは、ダグラス・ラーターでした。50年代の主流はモノラル録音で、初期の頃はモノラルをラーター、ステレオは助手のクリストファー・パーカーがつとめていました。パーカーは後年、プロデューサーのクリストファー・ビショップと組んで、ビショップ & パーカーのコンビでEMIで70〜80年代にかけて活躍しました。


ニューフィルハーモニアの時代になって、クレンペラーの音も変化したようです。録音機材の発達もあるでしょうが、プロデューサーと録音技師が変わったのが大きいと思います。ニューフィルハーモニアでは、ハイドンの交響曲、モーツァルトのドンジョバンニと38番,39番の交響曲とピアノ協奏曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲やミサソレムニス、そしてマーラー7番,9番とブルックナーの6番交響曲などです。いずれも切れ味の良い録音になっています。レコードもウォルター・レッグが去り、レーベルもSAXの時代からASDへと変換される時代です。しかし、SAXらしいのは、ラーターの時代の録音ですね。同じ英国コロンビアでもSAXシリーズとASDシリーズの音の差は興味深いです。


レコード仲間の、S.O君がクレンペラーの「真夏の夜の夢」を持ってきてくれました。スケルツォを聴きました。柔らかく包まれるような音も素敵です。今回の音の改善で一番変わったのが、このような初版盤と二版との音の差です。クレンペラーのコロンビア盤は二人ともほとんどそろえていますが、よく見るといまだ二版盤だったと言うのが見つかりました。5000番台のSAXはレーベルがブルーシルバーからセミサークルへ、そしてカラースタンプ、スタンプとめまぐるしく変わっています。二人で検証すると、三種類二版のままが見つかりました。中でも、ブルックナーの5番は2組持っているのですが、両方とも1枚目と二枚目が合っていません。それも、二組とも一枚目が初版盤、二枚目が二版盤なのです。ですから、世の中のどこかでこの反対の組み合わせのレコードがあるでしょう。


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それと、同じニューフィルハーモニアのマーラーの第七番です。これはカラースタンプが初版です。私はスタンプ盤を持っています。カラースタンプが初版だと知ってから、もう1組買ったのですが、これもスタンプ盤でした。しかし、一組は刻印を見ると「1」番だったので、これも時代が変わるときにレーベルだけが変わったのではと思っています。箱も厚さが違います。


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このマーラーの七番のカラースタンプとブルックナーの五番のセミサークルをその晩遅く、イギリスのサイトから思い切って購入しました。今ひとつ、モーツァルトの38番、39番の盤も今回確認したら、小さなStereoマークだったので、大きなStereoマークを一緒に購入して一安心です(笑)。

同じSAX盤でも、Szellの収集もあと4枚まで来ましたが、前も話したとおり現在は異常な高騰で、特にベートーヴェンの9番や3番はとても手に入りません。クレンペラー盤は数も多く、それほど異常な高騰はしていませんが、それなりです。私たちの世代のように同時進行してきた古くからのレコードファンと違い、これから収集しようとするのは相当な覚悟が必要でしょう。骨董品ですから数はどんどん減っていきます。でも、10年も経てば日本から相当数が世界の収集家に戻っていくことでしょう。中古レコード店の高価買い入れのチラシを見ました。高い価格で買い入れますが、それを倍にして売るのは、すこし、商売として楽すぎませんか?手放す方も、買う方も被害者ですね。
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追伸 
さて、英国から到着した初版のカラースタンプ盤と、二版のスタンプ盤はどのように違うのか、興味津々です。同じ音量で、そのまま聞き比べてみました。二版の方が明瞭な音です。少しドイツ盤的な感じもしてきます。初版は、柔らかいのです。強調したところが無い、深い音ですね。その差に、納得しました。ブルックナーのセミサークル盤も違いました。最も、こちらは、同じ盤が三枚そろったのですが、その同じ一枚目のマトリクスは全部同じです。三面目もレーベルは違いますが、同じマトリクスです。四面目が1Gと2Gの差がありました。それより大きな違いは、スタンプ盤はレコードの厚みが少し薄いのです。






              

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