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Channel: GRFのある部屋
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アナログを再開したのはお正月からでした

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クリスマス頃に届いたMolaMolaをアナログレコード用に使い始めたのは、暮れの旧友たちの集いの前の晩からでした。古くからの友人たちは、皆古希ですから、もちろんアナログレコードの世代です。その為に、レコードプレーヤーに繋いで聞き始めました。

前日から実験し始めたレコードの音も通常のレコード音とは違って最低域まで出て、それはそれで、ずいぶんと驚かされました。それらの効果もあったのか、普段よりも深い音がしていて、自分も驚くほどスケール感が出てきたのです。音は生き物です。聞き手である我々の力量を測られている気もしています。聞こえる人に聞こえる音を出すし、負のオーラの持ち主が来ると敏感に察して音も萎縮してしまう。今日は装置のご機嫌もよいようです。


すると、今までのレコードでは聴いたこともない深い音がし始めたのです。驚きました。暮れから、お正月もずーっとレコードの音に没頭していました。MolaMolaのプリが、今まで聴いたことのない音を再現し始めたからです。開発してきたトラバドールとTW3の組み合わせは、360度放射で、三次元的な音場の再生に取り組んできました。その音場がレコードから聞こえたときには、驚き、困惑したほどです。


あまりの驚きに、お正月だというのに、おなじMolaMolaを購入したHさんにも来ていただき、聴いていただきました。Hさんもお正月早々大変驚かれていました。その後、横浜のMさんとShigy65さんにも聴いていただきました。いろいろとレコードを引っ張り出してきて聴き始めたのですが、いよいよビックリし始めたのは、一月の末に大山さんが来られていろいろ実験をしてからです。


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大山さんのリクエストで、いつも掛けている越路吹雪のライブ盤を掛けて一番驚いたのは、私自身でしょう。CDの音を基本に三次元の立体感を出そうというTroubadour80+TW3の組み合わせが、レコードでも立体的な実在感がある音が出たのに、驚いたのです。ふたりで顔を見合わせて、これは、越路吹雪を聞く会を開かなければと頷きあったのでした。



二月に入りのびーさんとgenmiさんが訪れてくれました。その時の話題は、三次元のサウンドとMolaMolaのEQの性能でした。genmiさんが


実際比較試聴させていただいて低域カーブの違いでそれほどまでの変化があるとはただただ驚きました。何が違うというと、音場感というか空気感といいますか、まさにその会場で実際に聴いているかのような雰囲気を肌で感じることができるかできないか、というように私は感じました。越路吹雪やフランク永井の昔のリサイタル盤を聴かしていただいたのですが、40~50年前にタイムトリップしてもう本当にその会場にいるかのようでした。


と感想を述べていただき、のびーさんも


それにしてもあのアナログには参りました。これをどう表現しようかと思案しているうちにgenmiさんに先を越されてしまいました(笑)。


genmiさんが書かれている通り「音場感、空気感が違う」というのは紛れもない事実です。ただ、あの「低域が深く静かに沈み込んでいく感覚」をもう少し具体的に言葉にしたいと思います。あの日、何度か話題になった富士山に例えると、富士山の裾野が横に広く、縦に深く視界の外まで続いていく感じですかね。夜明け直後、超快晴で山肌までしっかりと見えるスーパーリアリズムのような富士山ではなく、もっとさり気なく、少し遠くから、でも窓越しではない、そんな富士山を見たような感じです。多くの場合、富士山の裾野が霞で見えなかったり、左右の障害物で切り取られたり、富士山は雲の中で手前の富士宮の製紙工場だけがはっきり見えたりで、理想の富士山を拝むのは中々至難です。


イコライザー・カーブの低域端を2dB、より正確に再生することで全体があれ程変わるのは本当に不思議です。18dB時では、従来の良質のアナログと同様、心地よい質感と比較的リアルな中央音像が印象に残るプレイバックでしたが、20dBでは、上下左右の見えない枠が取れて、グッと沈み込む感覚が現れます。



と驚かれていただきました。私自身も皆さんいお聴かせしているうちに確信を抱くようになりました。いまここで聴いているLPの音は、私だけでは無く、いままで誰も聴いたことのない領域の音だと言うことです。


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それは、Oさんとご一緒に来られたS.Tさんのご感想に丁寧に書かれていました。


フォノアンプの性能は音を拾うプレーヤーの性能、スピーカーの高度な再生能力があって初めて十分に発揮されるものだから、単純にフォノイコの事だけを論じてもいけないのですが、環境がここまでチューンアップされたGRFの部屋では、このフォノイコは素晴らしい性能を発揮しています。その機能の一つを使ってEQの低音上昇カーブを18dbから20dbに上げた時、LPの音は一変します。これまでテープでしか聞けなかった厚い低音域に支えられた豊かなアナログサウンドがLPから聞こえます。全く素晴らしいというしか、アナログ好きの私としては言う言葉がありません。

どういうわけかこのシステムで聞くLPの音はCDより記憶を呼び覚ます力が強いようです。カラヤン/ベルリンフィルの63年盤LPの第九のリハーサルで4楽章のコントラバスが例のメロディーを弾き出した瞬間に、66年に上野の文化会館で20歳を過ぎたばかりの私が聞いたカラヤンの第九で地底から響くような雄大で重厚な低音弦の音に仰天した記憶が一気に甦りました。

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また越路吹雪のベラミにおける67年実況盤の「チャンスが欲しいの」を聞いた途端、ちょっと狭いベラミのホールの音響とダンスフロアの混雑がまざまざと思い出されて、正直なところちょっと涙が出そうになりました。Genmiさんが「オーディオ」を超えて「タイムマシーン」だとお書きになっている通りで、「紅茶に浸したマドレーヌ」にも劣らないほど、GRFの部屋のアナログは昔の記憶を瞬時に呼び覚ます力があるようです。 全く驚きの連続した充実した再訪でした。


この音を隣で聞いていた私も『タイムマシーン』だとの思いを深くしました。CDが表す三次元の空間を聴いて、どこでもドアで50年代でも、60年代でも瞬時にトランスポートすると装置だと思っていましたが、LPレコードから聞こえてくる三次元のサウンドは、CDより実在感があります。実際に生でその空間に触れている、また空間の中にいるという感覚です。SACDやCDの三次元のサウンドは、コンサートホールの大空間の二階席にいて目の前にオーケストラが表れてくると言う感覚ですが、レコードの場合は、かぶりつきの席で聴いている実在感が濃く再現できるのです。


10ヶ月ぶりに来ていただいた椀方さんにもLPレコードの新しい再生音について語っていただきました。




早速LPレコードを聞かせていただきました。
レコード再生に有りがちな高域の勝った音ではなく、低音域の最低音までがフラットに再生されるテープ再生のような朗々とした音楽が鳴り響きます。
GRFさん秘蔵の38/2トラックのマスター音源には及びませんが、4トラックテープからDSDファイル化された音源を聞かせていただいているように聞こえます。


このMolaMolaはフォノアンプだけでもすごいですね。
LPレコードなら、テープ音源と違って保管状態さえ良ければ劣化も少ないので、この先何十年もの先々までLPレコードに刻まれた音楽情報を余すことなく再生できる希望があると感じました。LPは古い機器でないといい音がしないと信じているコレクターの方こそ、このMolaMolaの再生する音を聴いて欲しいと思います。










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