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Channel: GRFのある部屋
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遅れに遅れた感想文。

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GRF様

「GRF のある部屋」を通読、再読、再々読しておりましたところ、今年の六、七月ごろでしたか、どうやらデコラの調整が終わったようで、室内も整理されてGRF とT4が絶好調になったようでした。この期を逃してなるものかと、わがまま言ってお邪魔したわけです。これが今年のお盆のころでしたね。舞台再訪です。

驚きに満ちた時間でした!

まず最初に聞かせていただいたのはデコラでLPでした。音像は部屋一杯に広がるようで、しなやかさや柔らかさ、そして重厚感も濃厚です。「このデコラでこんないい音を聞いている人は他にいないんじゃないですか?」というご無礼な質問をしてしまいました。GRF さんはそのとき、ちょっと悲しそうな顔をして「そうなんです」と答えられました。どうだいざまあみろ、などという態度をとらないところがGRF さんの真骨頂ですね。

僕がブログを拝読しているかぎりでは、このデコラはデコラであってデコラではない。発売当時の音を遥かに凌駕する、世界に唯一無二の再生音なのではないでしょうか。と僕は思ったのですが、ブログによると「あとは、緩衝材のスポンジの選別、後ろの板の取り付け、アームの調整、そしてチューナーの調整等、細かいやり取りはまだまだ沢山あります」とのことでした。

まだまだ先があったとは!

そのあとで聞かせていただいたのがT4とGRF 。これは本当にどちらが鳴っているか分からない。音像や音色についてのコメントは訪問なさったみなさんが異口同音におっしゃっているのて改めては書きません。僕が驚いたのは、GRF さんがT4とGRF を交互に、瞬時に切り換えて聞かせていただいたときでした。音は同じですよ。どちらが鳴っているのか分かりません。

しかし、本当にビックリしたのはそのあとです。瞬時にスピーカーを切り換えれば、常識的にいって普通は音像が前後左右に“はためく”と思いませんか。それが、聞こえている音像は微動だにしないのです!これには本当に驚愕いたしました。

さらには「鳴っているのはデコラではないか」という感覚まで覚えました。音像が最初に聞いた室内に広がったデコラの音と寸分違わないのです。

そのあとでマスターテープの再生音も聞かせていただきました。これはひろびろと広がるコンサートホールそのままの音です。この「GRF のある部屋」の音を実際に聞かれる機会のない方のために、誤解をしているかもしれませんし、お叱りを受けるかもしれませんが、あえて僕なりの想を書けば、それは「映画館の音」です。

それも最近の設備が充実した映画館を想像していただけると「GRF のある部屋」の再生音を、すこしはイメージできるかもしれません。最近の映画館の客席は完全吸音です。またスピーカーは壁に埋め込まれていることが多いのですが、それゆえに結果的に一種の平行法になっています。

また、最近はマルチチャンネルで再生されているようです。素材はデジタルですね。昔はフイルムが伸びてしまったり映写機の回転が不正確で盛大なワウフラッターがでたものですが、このごろはそんなこともありません。大音量ですがうるさくはないし、高音がきつくもないと思いませんか?通常は映像に集中していますが、サウンドトラックを聞くとなかなかのレベル再生音です。

そして、映画館が巨大空間だということも加味してください。場合によってはスピーカーが数十もあるマルチ再生。こうした再生音と似たような音を小規模( ?) な空間でスピーカー左右二台みで聞ける、というのが「GRF のある部屋」の音だと思うのですが、いかがでしょうか?

クラシックならば、会場の生音を思い出していただければ、「GRF の部屋」の音と言えるのですが、ポップス、ジャズやロック、自然音や民俗音楽となると、比較は難しいですよね。それを比較すると最新鋭の機材を導入した映画館の大空間、ということになると思います。

舞台は移動して「ユニコーンのある和室」です。こちらに移動して驚くのは部屋自体の静寂性が「GRF のある部屋」と同等だということです。和室は畳や障子が吸音に役立っているようですね。また塗壁も定常波を起こさないのでしょう。もっとも、二つのお部屋の間の廊下がライブ過ぎることによる錯覚かも。( 失礼)

こちらではたぶんパソコンにインストールした音源を各種、切り換えて聞かせていただいたのです。

色々と質問をしようとしたら、スピーカーに対して右手になるいつものテーブル席に座っていらっしゃるGRF さんと、和室の入り口である襖の前に立っている僕との間に知らないオッサンが立ちふさがって盛大にテナーサックスをブローしています。そこを退いてよと手を延ばしそうになってフッと気がつきました。この立ちはだかっている邪魔なサックス奏者はユニコーンの再生音なのです。丁度、GRF さんと僕と左右のユニコーンのスピーカーが造る四角形の真ん中に男が立っています。僕が、これは誰ですかとGRF さんに聞いたら、スタン・ゲッツです、とのことでした。

七十年代の半ば、マンハッタンのラジオシティー・ホールで聞いたスタン・ゲッツの投げやりな演奏にがっかりしてから、ゲッツは「ゲッツ・ジルベルト」以外、聞いていなかったのです。これは見直さなければならないかなあ、と思いました。それほど熱のこもった演奏だったのです。

いやあ、堪能いたしました。お腹一杯です。( 美味しいお昼もありがとうございました。ご近所にいいお店が沢山あってうらやましいです)

遅まきながら、以上がお盆休みの舞台再訪時の感想でした。

S.Y

お盆の時にいらしたS.Yさんから、二度目のご感想が送られてきました。「「GRF のある部屋」を通読、再読、再々読」されておられるそうです。書き殴った文章ばかりなので、「再々読」まで堪えられるか、心許ないのですが、参考にしていただけるのは、有り難いことです。

私自身は、あまり映画館には行きませんが、最近のデジタルサウンドとマルチチャンネルのサラウンドの音は、家の音から一番遠い存在ではないかと思っていました。もし、S.Yさんがそのように感じられたとしたら、それはスタジオで作られた音を再現しているからだと思われます。

「クラシックならば、会場の生音を思い出していただければ、「GRF の部屋」の音と言える・・・」と書かれているので、クラシック以外の音はもともと PAを前提にしている音が多いので、それが映画館の音と聞こえるのは、そうかもしれませんが、そう指摘されたのは、初めてのことです。

こうして、お盆の頃の事を読み返してみると、遙か昔の事のように感じますし、つい昨日の事にも思えます。書かなければどんどん忘れていったことなのかもしれません。過去の記事を読むと、すっかり忘れていることもあり、老人力の増したのを今更の様に感じています。



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