去年に引き続き、11月は川崎のミューザです。昨年は、ウィーンフィル、ベルリンフィル、コンセルトヘボーと世界のトップスリーを一週間の間に、一同に見れたのですが、私の中のランキングでは、コンセルトヘボーとベルリンフィルは双璧でしたが、ウィーンフィルは、相当ランキングが下がりました。その、ウィーンフィルに変わって入ってくるオーケストラにはシカゴ、ドレスデンそしてバイエルンが有ります。今回のミューザ川崎は、そのバイエルン放送交響楽団をコンセルトヘボーの常任指揮者でもあるヤンソンスが振る演奏会です。加えて、ソリストに何とツィメルマンを配したブラームスのピアノ協奏曲第一番と、後半は展覧会の絵という豪華なプログラムでした。
半年前の売り出しの当日に購入したので、もう場所も覚えていなかったのですが、行ってみると一階前列中央という、ステレオ装置のど真ん中で聴いているような席でした。少し前過ぎる気もしましたが、こんなに近くで聴くこともないだろうから、楽しもうと考え直しました。いつもは、二階席の前の方、中央少し右よりがステージ横の席がお買い得の席あたりに座っています。同じステージ横でも後ろよりは、ステージより前の方の席が良いですね。
ステージをじっくり見回していると、Bellwoodさんとhijiyanさんの姿がステージ後方の席にみえました。hijiyanさんが来られるのは、つぶやきで知っていたのですが、同行する友人がBellwoodさんだとは知りませんでした。Bellwoodさんは、あまりツィメルマンを高く買っていませんから、今日来るとは思わなかったのです。
私自身は、最近とみに力を増した老人力のおかげで、ツィメルマンが何を引くのかさえ忘れていたぐらいで、ブラームスの二番では無いかと思っていたのです。それが来る前に調べたら、先週と同じ第一番、これはいろいろな意味で聞き比べになるだろうと予想してきました。でもオーケストラの違いが解って良いのではと思いました。Bellwoodさんは先週の金曜日、土曜日と紀尾井でのレーゼル演奏会を二日続けて観て、今日ですから、一週間に三回ブラームスのピアノ協奏曲を聴かれるのですからすごい事です。それで、視線があったとき、小さく手を振りお互いの存在を確かめ合ったのです(爆)。
時間になると、あっというまにオーケストラが入場してきて、颯爽とツィメルマンが表れました。腰痛でコンサートが延びて、今年の一月武蔵野に聴きに言ったことを思い出します。寒い日でした。ツィメルマンは日本が好きなんでしょうね。11月から冬は何時も日本にいるような気がします。今日は元気です。もっと元気だったのは、70歳を超えているはずのヤンソンスです。コンセルトヘボーで見たときよりも肌の色は良いし、とても元気です。
最初からティンパニーが連打される特徴的なテーマが開始しました。先週の演奏とはその打楽器の力強さが違います。管楽器の勢いも、低弦の深さも、オーケストラの大きさが違いますから、当たり前なのですが、曲のスケール感がまったく違うのです。ゆったりと鳴るバイエルンの音は、ピッチが幾分低く、ゲヴァントハウス的な深い音がします。弦楽器はとても柔らかく、弱音がきれいです。ピアノに邪魔されてチェロの奏者の顔は見えないのですが、音は良く聞こえてきます。
ピアノは、そのオーケストラの音色とピッチが合っていないように感じました。指揮しているのはヤンソンスですが、ツィメルマンの左手は、あたかも自分で指揮しているように動きます。ヤンソンスの演奏はとても解りやすく、細部にまでしっかりと指示を下していきます。それよりも尚、遅いテンポで、ピアノが弾かれているように感じます。コンセルトヘボーもそうですが、ヤンソンスが弾くときは、ムラヴィンスキー仕込みの消え入るような弱音でピアニシモは演奏されます。先週のレーゼルだったらピッタリだったのにと思いました。
先週、音が外れてとても気になった第一楽章の後半の第三ホルンとピアノの掛け合いのところに来ましたが、何ごともなかったようにオクターブ飛ぶ難しい音も音程的にも、音色的にも全く問題なく過ぎていきます。トランペットもトロンボーンも、金管の安定性はドイツのオーケストラを聴いているときには一番安心していられるところです。それと打楽器は安心して聴いていられます。今回の音を聞いて、やはり値段は高いけど、一時間も電車に揺られて来る特別な演奏会は、こうした一流のオーケストラだけにしようと思いました。しかし、このホールは音は良いのだけど、この川崎のホールの環境がせめて上野の森の文化会館の様だったらいいのにと何時も思います。
国立競技場の盛りにあんなグロテスクな自転車のヘルメットみたいな競技場を建てるのなら、雰囲気の良いアプローチがある大人の演奏会場を作って貰いたいですね。終わったら、ゆっくりと森林の中を歩き、雰囲気のあるレストランが有るともっと良いのですが。
カデンツァに入るのところは、ピアノの勇み足が感じられました。ツィメルマンの中のテンポと実際のオーケストラの間にずれが有るようにも感じました。二楽章に入っても、ピアノのテンポにはまだ違和感が残りました。オーケストラは、良く歌い各楽器とも好調です。幾分ヴィオラの音が弱いような気もしましたが、第一、第二ヴァイオリンもとても柔らな音で、昨年ウィーンフィルに感じた、きつい音もなく深くブラームスの音楽に合っています。
三楽章に入って、音楽が熱くなってきました。実際にもステージの側は、ライトの所為でしょうか、暑いのです。やはり次回は、二階席にしようと思いました。どんどん盛り上がりを見せフィナーレへと進んできます。最後はまとまった良い演奏でしたが、前回聴いたベートーヴェンの最後のソナタのツィメルマンとは別人のように感じました。盛大な拍手に何回もステージに呼び出されますが。ヤンソンスは満足そうでしたが、ツィメルマンは、いまいちはにかんでいるようにも見えました。
今回の日本公演は、この川崎からスタートして、京都を往復、サントリーで月曜と火曜に演奏して、最後にまた西宮まで行くようです。いつも東京と関西を往復しますが、チャーター機なのでしょうね。移動が大変です。川崎→六本木→京都→西宮なら自然ですが。音楽家も大変です。裏方の楽器を運ぶ人はもっと大変でしょうね。
続く
半年前の売り出しの当日に購入したので、もう場所も覚えていなかったのですが、行ってみると一階前列中央という、ステレオ装置のど真ん中で聴いているような席でした。少し前過ぎる気もしましたが、こんなに近くで聴くこともないだろうから、楽しもうと考え直しました。いつもは、二階席の前の方、中央少し右よりがステージ横の席がお買い得の席あたりに座っています。同じステージ横でも後ろよりは、ステージより前の方の席が良いですね。
ステージをじっくり見回していると、Bellwoodさんとhijiyanさんの姿がステージ後方の席にみえました。hijiyanさんが来られるのは、つぶやきで知っていたのですが、同行する友人がBellwoodさんだとは知りませんでした。Bellwoodさんは、あまりツィメルマンを高く買っていませんから、今日来るとは思わなかったのです。
私自身は、最近とみに力を増した老人力のおかげで、ツィメルマンが何を引くのかさえ忘れていたぐらいで、ブラームスの二番では無いかと思っていたのです。それが来る前に調べたら、先週と同じ第一番、これはいろいろな意味で聞き比べになるだろうと予想してきました。でもオーケストラの違いが解って良いのではと思いました。Bellwoodさんは先週の金曜日、土曜日と紀尾井でのレーゼル演奏会を二日続けて観て、今日ですから、一週間に三回ブラームスのピアノ協奏曲を聴かれるのですからすごい事です。それで、視線があったとき、小さく手を振りお互いの存在を確かめ合ったのです(爆)。
時間になると、あっというまにオーケストラが入場してきて、颯爽とツィメルマンが表れました。腰痛でコンサートが延びて、今年の一月武蔵野に聴きに言ったことを思い出します。寒い日でした。ツィメルマンは日本が好きなんでしょうね。11月から冬は何時も日本にいるような気がします。今日は元気です。もっと元気だったのは、70歳を超えているはずのヤンソンスです。コンセルトヘボーで見たときよりも肌の色は良いし、とても元気です。
最初からティンパニーが連打される特徴的なテーマが開始しました。先週の演奏とはその打楽器の力強さが違います。管楽器の勢いも、低弦の深さも、オーケストラの大きさが違いますから、当たり前なのですが、曲のスケール感がまったく違うのです。ゆったりと鳴るバイエルンの音は、ピッチが幾分低く、ゲヴァントハウス的な深い音がします。弦楽器はとても柔らかく、弱音がきれいです。ピアノに邪魔されてチェロの奏者の顔は見えないのですが、音は良く聞こえてきます。
ピアノは、そのオーケストラの音色とピッチが合っていないように感じました。指揮しているのはヤンソンスですが、ツィメルマンの左手は、あたかも自分で指揮しているように動きます。ヤンソンスの演奏はとても解りやすく、細部にまでしっかりと指示を下していきます。それよりも尚、遅いテンポで、ピアノが弾かれているように感じます。コンセルトヘボーもそうですが、ヤンソンスが弾くときは、ムラヴィンスキー仕込みの消え入るような弱音でピアニシモは演奏されます。先週のレーゼルだったらピッタリだったのにと思いました。
先週、音が外れてとても気になった第一楽章の後半の第三ホルンとピアノの掛け合いのところに来ましたが、何ごともなかったようにオクターブ飛ぶ難しい音も音程的にも、音色的にも全く問題なく過ぎていきます。トランペットもトロンボーンも、金管の安定性はドイツのオーケストラを聴いているときには一番安心していられるところです。それと打楽器は安心して聴いていられます。今回の音を聞いて、やはり値段は高いけど、一時間も電車に揺られて来る特別な演奏会は、こうした一流のオーケストラだけにしようと思いました。しかし、このホールは音は良いのだけど、この川崎のホールの環境がせめて上野の森の文化会館の様だったらいいのにと何時も思います。
国立競技場の盛りにあんなグロテスクな自転車のヘルメットみたいな競技場を建てるのなら、雰囲気の良いアプローチがある大人の演奏会場を作って貰いたいですね。終わったら、ゆっくりと森林の中を歩き、雰囲気のあるレストランが有るともっと良いのですが。
カデンツァに入るのところは、ピアノの勇み足が感じられました。ツィメルマンの中のテンポと実際のオーケストラの間にずれが有るようにも感じました。二楽章に入っても、ピアノのテンポにはまだ違和感が残りました。オーケストラは、良く歌い各楽器とも好調です。幾分ヴィオラの音が弱いような気もしましたが、第一、第二ヴァイオリンもとても柔らな音で、昨年ウィーンフィルに感じた、きつい音もなく深くブラームスの音楽に合っています。
三楽章に入って、音楽が熱くなってきました。実際にもステージの側は、ライトの所為でしょうか、暑いのです。やはり次回は、二階席にしようと思いました。どんどん盛り上がりを見せフィナーレへと進んできます。最後はまとまった良い演奏でしたが、前回聴いたベートーヴェンの最後のソナタのツィメルマンとは別人のように感じました。盛大な拍手に何回もステージに呼び出されますが。ヤンソンスは満足そうでしたが、ツィメルマンは、いまいちはにかんでいるようにも見えました。
今回の日本公演は、この川崎からスタートして、京都を往復、サントリーで月曜と火曜に演奏して、最後にまた西宮まで行くようです。いつも東京と関西を往復しますが、チャーター機なのでしょうね。移動が大変です。川崎→六本木→京都→西宮なら自然ですが。音楽家も大変です。裏方の楽器を運ぶ人はもっと大変でしょうね。
続く