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「アポロン降臨」

数日後、更にコンシークエンスのセッティングをかなり追い込んだとのことでしたが、スピーカーから音が出ている感じがが無くなり、ステージ感が更にはっきりとしてきました。まずはクレンペラーのマーラー7番は、楽器の一つ一つが更に鮮明になってきます。奥行き感が物凄く深く描かれます。この音の余裕感はまさにこのコンシークエンスだけが持つもので、他の譬えが見つかりません。金管の咆哮も圧倒的です。テンシュテットのマーラー5番第一楽章の冒頭のトランペットの音色の複雑さと立体感に、一聴して心を掴まれてしまいます。試聴の間も、細かい調整を進めましたが、本当にスピーカーにポンと1mm触るだけで音が変わってしまいます。GRFさんの追い込みの度合いが分かります。
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今回、GRFさんは今までのパッシブボリュームを止め、新しいアクティブプリアンプを導入されました。この新しい真空管プリアンプは電源まで完全に分離されたデュアルモノで、そのチャンネルセパレーションと色づけの少なさ、そしてそのS/Nの良さが特徴的です。この導入は今までの緻密さとステージ表現に加え、音の勢いを加えます。GRFさんの経験値と視点の確かさに脱帽します。そもそもオーディオ、特にアナログ部はパッシブボリューム、アクティブプリのプリアンプ論争の様な絶対論では答えがでないでしょう。経験則からの臨機応変な適材適所の選択が重要です。色々な機器やケーブルなどを取り替えることで、確かに音は変わりますが、音が良くなることとイコールではありません。
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このプリアンプの導入が更に音に生命力を吹き込みます。パッシブボリュームの時点でも金管の咆哮が圧倒的と感じましたが、更に演奏者の息づかいと楽曲への思い、そしてオーケストラを含めたその技量が伝わります。そして素晴らしいクオリティのUK盤のクレンペラー「大地の歌」の最終楽章など、ルードウィッヒの歌声に引き込まれ、恍惚の世界に浸ります。
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その次は同じマーラーでもカラヤン指揮の交響曲6番第3楽章です。特にこの第3楽章は天上の音楽といっても良いくらいの美しいメロディに全身が包まれます。そして低音域は、その楽曲のベースとなるモチーフを表すためにとても重要な部分だと思いますが、そこの表現もいままで感じたことがないくらいに色々なものを問いかけてきます。まさに音楽がそこにある感じ、といっても過言ではありません。
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マーラーばかりの感想ですが、このスピーカーの持つ能力を分かりやすく実感するには、大編成で広大なダイナミックレンジを要求するマーラーなどの楽曲が早道です。その他実際はボーカルなども色々と聴きましたが、そのすべてがCDであることは特記しなければなりません。CD34改やEMMのプレーヤーから再生される16bit44.1kHzのCDで何が不足なのでしょうか。CDという円盤に記録された音楽を余すところ無く掻き出す、その入力装置のクオリティ分に応じて、このコンシークエンスは普通では考えられないほどの再生能力を発揮します。

上手く表現出来ませんがこの音を譬えるならば、「メルセデスの450SEL6.9」(車好きしか分かりませんね)という感じでしょうか。アメリカの大排気量V8とは違う上質で緻密、かつ圧倒的な余裕を感じました。

4年前に音楽の神様が舞い降りてきたと申し上げましたが、今回は音楽の神、ミューズ(ムーサ)だけでは足りず、音楽の神を主宰するアポロンまで引きずり出したのでしょうか?持ち主の音楽への愛情と、経験で研ぎ澄ますそのオーディオセンスがここまで音を良くしていくポイントなのでしょうか。私は決してGRFさんの提灯持ちではありませんが、この音は「百聞は一見にしかず」ならぬ「百文は一聴にしかず」です。こう書くと、GRFさんはこの師走に更に忙しくなると思いますが、皆さま是非一聴されることをお薦め致します。 O


Oさんから、先日のご感想が送られてきました。四年前には「神が舞い降りた」との名セリフを頂きましたが、今回は、何と全知全能の神、アポロンまでご登場頂くことになりました。それではあまりにも恐れ多く、更なる進化が有った場合は、大宇宙へ飛び出さなければならなくなります(笑)。Oさんは決して提灯持ちではないのですが、真っ暗の中を一歩一歩、歩き出すときに足下を照らしてくれる、文字通りの提灯をかざしてくれたことになり、本当に感謝しております。

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