雨が続いていた9月の連休の間の火曜日の午後、ようやく時間を見付けて近くのVWディーラーに用意して貰った、懸案の2.0Lのパサートの試乗に出向きました。去年の大スキャンダル以降、日本に入ってくる予定だったVWグループのディーゼル車は全く影を潜めました。VWだけではなく、Audiもポルシェもディーゼル車は御法度になったのです。何年も前からVWジャパンは、ゴルフ以外の車の戦略を小排気量の経済性に絞って、大型のシャランまで1400ccのダウンサイジングになってしまいました。それ故、Golfでは残っている2リッター車を大型のパサートからも外してしまったのです。
その段階では、経済的で力の必要とする長距離用には、いよいよ定評あるディーゼルエンジンTDIを持ってくるつもりだったのでしょう。事実、2015年の冒頭の導入予定車のなかには、はじめて2Lディーゼル車の名前も載っていたのです。仕事で、ドイツやオランダによく行く私は、レンタカーがほとんどディーゼル車になっている実情をよく知っています。去年のスイスのA5も、13年の時のドイツの旅のA6も、ディーゼルターボ車でした。圧倒的なトルクで、アウトバーンを快調に飛ばすことが出来る、ディーゼル車の優秀さを知っています。車内では、ディーゼルの音も全く気になりません。
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ところが、肝心なときにそのディーゼル車で大スキャンダルを起こし、その時点では日本には正式には一台もディーゼル車は入っていなかったのに、ヒステリックな日本の消費者の目を気にして、ディーゼルの輸入をやめてしまったのです。VWは日本以外の国では、直後は影響があった売れ行き減も、最近は回復してきて、地震の影響があったトヨタを抜いてまた世界一の座を射止めているのですが、日本では、売り上げはほぼ半減しました。VWJは、有効な積極策を出せないままに、BMWやボルボ、ベンツ、最近では、プジョー・シトロエンにも、どんどんとディーゼルを導入されて、シェアを落としてきたのです。
私は、パサートには、元から有る現在も使い続けている2リッターのターボ車をディーゼルの代わりに復活すべきだと主張してきました。経済性ばかり追わなくても、充分性能も燃費も良いのですから。しかし、現状の14.リッターでは、やはりギリギリの性能ですので、長距離を移動する私には、その余裕の無さが、疲労に繋がるように感じました。待望の2リッターターボが復活すると聞いて,その試乗を楽しみにしていたのです。
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今回の2Lターボは、AudiのA4で言えばFF車の方の経済性も追ったバージョンで、quattro用に使われている252ps(185kW)/(370Nm)高性能版ではありませんでした。これは10年前にロムチューンした私のパサートと同じ数値です。今回の数値は、220PS(162kW)/ 350Nm の方ですが、1.4リッターの150ps(110kW)/250Nmよりは遥かにパワフルです。排気量の差がそのまま数値に表れています。実際に乗ってみると、14.リッターで動く車に、2リッターを乗せているわけですから、その差は全部余力となって表れます。最初からこのヴァージョンを発売してくれれば、この一年半悩まないでも済んだのに、VWJを恨みました。
出足も違いますが、何よりも大きいのは、走行中の加速力です。前の車をよけたり、追い越したりするときの余力がまったく違い、1.4リッター車に感じていたフラストレーションは、全く感じませんでした。だが、問題は違うところにありました。それは、スポーツタイプといわれるR-Lineの仕様です。一番の問題はシートです。スポーツタイプなのでしょうか、持ち上がって支える部分の材質は炭素線維です。バケットがきつく底の部分も皮で滑りやすいのです。安っぽいロゴも理解できません。私は、現用のファブリックのシートが一番だと思っています。少なくても、ハイライン用の普通の皮シートにして欲しかったです。VWジャパンの企画の人間は、パサートを購入する人達のリサーチをしているのかと疑います。現場の営業マンも同じ感覚のようです。他のお客さんからも同じ事を聞いているからです。
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それと、R-Line仕様でやり過ぎなのは、19インチの重いタイヤですね。元々は、17インチのサイズの筈です。18でもやり過ぎだと思っています。折角、サスペンションの堅さを換えられるDCCも装備してありますが、その効果を相殺するような仕様ですね。それと、最近のMQB仕様の車は、軽量化されて燃費も向上していますが、なじめない物がありました。それはオルガン式ペダルではなく、上から吊り下がっている形式なのです。そして、R-Lineの仕様は、それがメッキ仕様で、雨の日は滑りますし、その小さな足や開いた姿勢ではそのペダルに届かないことがあります。試乗する度に困っていました。これは新しいAudiも同じです。
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MQBのプラットホームは、軽量化や性能向上を果たしているそうですが、客側から見ると、合理化されすぎて全体に安っぽくなっています。現在乗っている10年前のパサートの方がインテリアの材質や装飾が上質だったように思えます。そこまで思い至ったとき、上質といえばと、急にパサートの上級機種、クーペタイプのCCのことを思い出しました。今年の7月にカタログ落ちした機種です。VWとしては大変おしゃれな車ですが、そういうお客はAudiに行きますから、日本ではあまり人気が無く、新しいモデルが発表されていないにもかかわらず、販売中止になったのです。
家に帰って、程度のいい車が、載っていないか検索してみました。すると、人気がなかった機種なのか、販売を終えたばかりで在庫が残っていました。528万の車でしたから、諸費用を入れると、580万を越してくるのが、0.1〜0.4万キロの展示車で440〜460万でした。100万ぐらい安くなっていますね。1.4Lの安い方の仕様で込み込み400万でしたから、いろいろな装備をすべて含んだ高級車の仕様のCCは、車の代金を比べると、200万ぐらい安くなっていると思いました。
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ccは現在のプラットフォームモデルではなく、私が乗って来たタイプの最終形です。ですから、ハンドルの形状は、上の写真様な今の下が平らな変形ハンドルではなく、前のタイプの丸い形状です。実際に回してみればすぐに解りますが、丸の方が自然です。下の写真を見れば分かりますが、ウッドパネルの質感も旧型の方がお金が掛かっていました。10年経ったのに、同じ車に乗っているとも言えますが、10年間いろいろなところが進歩した最終形に乗るとも言えます。ダッシュボード回りの質感、本物のウッドパネル。自動追従装置や、衝突防止ブレーキ、レーン変更の警告、など必要な装置を積んでいます。ハンドリングや乗り心地が変わるDCCなどは欲しかった装置です。日本では発売されないフェートンの代わりのVWの最高車種なりますので、300万以上も高価なライバル車に積んである装置は全て含んでいます。
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ロムチューンした2Lターボ車に比べれば、やはり1.8Lは見劣りします。トルクカーブもフラットではなく、ピークを持つタイプなので、ある程度回さないと力が出ないことでしょう。この車も、専用のチューンを施すつもりです。そうすればストレスが無く載れると思うのですが。
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10年目でようやく、次の車にバトンを渡せる今の車を久しぶりに掃除しました。内装もきれいにしてみました。10年前のこだわりがウッドパネルに現れています。今は、このウッドドパネルが手に入らなくなってきて、超高級車にしか見られなくなりましたね。落ち着く内装なのですが、残念です。
その段階では、経済的で力の必要とする長距離用には、いよいよ定評あるディーゼルエンジンTDIを持ってくるつもりだったのでしょう。事実、2015年の冒頭の導入予定車のなかには、はじめて2Lディーゼル車の名前も載っていたのです。仕事で、ドイツやオランダによく行く私は、レンタカーがほとんどディーゼル車になっている実情をよく知っています。去年のスイスのA5も、13年の時のドイツの旅のA6も、ディーゼルターボ車でした。圧倒的なトルクで、アウトバーンを快調に飛ばすことが出来る、ディーゼル車の優秀さを知っています。車内では、ディーゼルの音も全く気になりません。

ところが、肝心なときにそのディーゼル車で大スキャンダルを起こし、その時点では日本には正式には一台もディーゼル車は入っていなかったのに、ヒステリックな日本の消費者の目を気にして、ディーゼルの輸入をやめてしまったのです。VWは日本以外の国では、直後は影響があった売れ行き減も、最近は回復してきて、地震の影響があったトヨタを抜いてまた世界一の座を射止めているのですが、日本では、売り上げはほぼ半減しました。VWJは、有効な積極策を出せないままに、BMWやボルボ、ベンツ、最近では、プジョー・シトロエンにも、どんどんとディーゼルを導入されて、シェアを落としてきたのです。
私は、パサートには、元から有る現在も使い続けている2リッターのターボ車をディーゼルの代わりに復活すべきだと主張してきました。経済性ばかり追わなくても、充分性能も燃費も良いのですから。しかし、現状の14.リッターでは、やはりギリギリの性能ですので、長距離を移動する私には、その余裕の無さが、疲労に繋がるように感じました。待望の2リッターターボが復活すると聞いて,その試乗を楽しみにしていたのです。

今回の2Lターボは、AudiのA4で言えばFF車の方の経済性も追ったバージョンで、quattro用に使われている252ps(185kW)/(370Nm)高性能版ではありませんでした。これは10年前にロムチューンした私のパサートと同じ数値です。今回の数値は、220PS(162kW)/ 350Nm の方ですが、1.4リッターの150ps(110kW)/250Nmよりは遥かにパワフルです。排気量の差がそのまま数値に表れています。実際に乗ってみると、14.リッターで動く車に、2リッターを乗せているわけですから、その差は全部余力となって表れます。最初からこのヴァージョンを発売してくれれば、この一年半悩まないでも済んだのに、VWJを恨みました。
出足も違いますが、何よりも大きいのは、走行中の加速力です。前の車をよけたり、追い越したりするときの余力がまったく違い、1.4リッター車に感じていたフラストレーションは、全く感じませんでした。だが、問題は違うところにありました。それは、スポーツタイプといわれるR-Lineの仕様です。一番の問題はシートです。スポーツタイプなのでしょうか、持ち上がって支える部分の材質は炭素線維です。バケットがきつく底の部分も皮で滑りやすいのです。安っぽいロゴも理解できません。私は、現用のファブリックのシートが一番だと思っています。少なくても、ハイライン用の普通の皮シートにして欲しかったです。VWジャパンの企画の人間は、パサートを購入する人達のリサーチをしているのかと疑います。現場の営業マンも同じ感覚のようです。他のお客さんからも同じ事を聞いているからです。

それと、R-Line仕様でやり過ぎなのは、19インチの重いタイヤですね。元々は、17インチのサイズの筈です。18でもやり過ぎだと思っています。折角、サスペンションの堅さを換えられるDCCも装備してありますが、その効果を相殺するような仕様ですね。それと、最近のMQB仕様の車は、軽量化されて燃費も向上していますが、なじめない物がありました。それはオルガン式ペダルではなく、上から吊り下がっている形式なのです。そして、R-Lineの仕様は、それがメッキ仕様で、雨の日は滑りますし、その小さな足や開いた姿勢ではそのペダルに届かないことがあります。試乗する度に困っていました。これは新しいAudiも同じです。

MQBのプラットホームは、軽量化や性能向上を果たしているそうですが、客側から見ると、合理化されすぎて全体に安っぽくなっています。現在乗っている10年前のパサートの方がインテリアの材質や装飾が上質だったように思えます。そこまで思い至ったとき、上質といえばと、急にパサートの上級機種、クーペタイプのCCのことを思い出しました。今年の7月にカタログ落ちした機種です。VWとしては大変おしゃれな車ですが、そういうお客はAudiに行きますから、日本ではあまり人気が無く、新しいモデルが発表されていないにもかかわらず、販売中止になったのです。
家に帰って、程度のいい車が、載っていないか検索してみました。すると、人気がなかった機種なのか、販売を終えたばかりで在庫が残っていました。528万の車でしたから、諸費用を入れると、580万を越してくるのが、0.1〜0.4万キロの展示車で440〜460万でした。100万ぐらい安くなっていますね。1.4Lの安い方の仕様で込み込み400万でしたから、いろいろな装備をすべて含んだ高級車の仕様のCCは、車の代金を比べると、200万ぐらい安くなっていると思いました。


ccは現在のプラットフォームモデルではなく、私が乗って来たタイプの最終形です。ですから、ハンドルの形状は、上の写真様な今の下が平らな変形ハンドルではなく、前のタイプの丸い形状です。実際に回してみればすぐに解りますが、丸の方が自然です。下の写真を見れば分かりますが、ウッドパネルの質感も旧型の方がお金が掛かっていました。10年経ったのに、同じ車に乗っているとも言えますが、10年間いろいろなところが進歩した最終形に乗るとも言えます。ダッシュボード回りの質感、本物のウッドパネル。自動追従装置や、衝突防止ブレーキ、レーン変更の警告、など必要な装置を積んでいます。ハンドリングや乗り心地が変わるDCCなどは欲しかった装置です。日本では発売されないフェートンの代わりのVWの最高車種なりますので、300万以上も高価なライバル車に積んである装置は全て含んでいます。

ロムチューンした2Lターボ車に比べれば、やはり1.8Lは見劣りします。トルクカーブもフラットではなく、ピークを持つタイプなので、ある程度回さないと力が出ないことでしょう。この車も、専用のチューンを施すつもりです。そうすればストレスが無く載れると思うのですが。

10年目でようやく、次の車にバトンを渡せる今の車を久しぶりに掃除しました。内装もきれいにしてみました。10年前のこだわりがウッドパネルに現れています。今は、このウッドドパネルが手に入らなくなってきて、超高級車にしか見られなくなりましたね。落ち着く内装なのですが、残念です。